表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
太陽の勇者は沈まない ~マモノ災害と星の牙~  作者: 翔という者
第23章 合衆国本土奪還作戦
1389/1700

第1356話 連絡が取れなかった理由

 時間は少し(さかのぼ)り、プリースト型のレッドラムが巨竜型のレッドラムの援護に駆けつけたころ。


 こちらは南エリア、サミュエルチームの三人の様子。

 彼らは現在、通信が途絶えた他チームの安否を確認するべく移動中だ。


 移動中、リカルド准尉がつぶやく。


「音信不通か……。冷静に考えて、考えられる可能性はそう多くはない。電波妨害を受けているか、応答する余裕が無いくらい激しい戦闘になっているか、通信ができない状態に追い込まれているか……」


「通信ができない状態……。つまり、もう手遅れってことだよな」


 ルカン少尉がそう答えた。

 リカルドは重々しくうなずく。


「そういうことです。何らかの方法で拘束されていて、まだ生きてはいる……という可能性もありますが、レッドラムは殺意が高い。その可能性は少ないでしょう……」


「けどよ、やばい敵が出てきたり、やばい状況に追い込まれたりしたら、チーム内の誰か一人は、始末される前に応援の要請をしたりしねぇかな? 罠にでも()められて、一斉に全員殺されたりしない限りさぁ。だから、何かあったとしても、誰もそういう通信を入れてないっていうのはおかしいんだよ」


「なるほど……。冷静に考えると、確かにそういう視点もありますね……」


便(たよ)りが無いのは元気な証拠ってな。意外とみんな無事かもしれねぇぜ?」


 二人がそう話していると、先頭を行くサミュエル中尉が声をかけてきた。


「あまり希望的観測は持たない方が良い。もしもの場合、ショックがより大きくなる。……そろそろ指定のポイントに到着するぞ。ガルシアチームがいる場所だ」


 そして三人は、目的地にやって来た。


 ガルシアチームは、全滅していた。

 全員、血まみれで道路の上に倒れていた。


「ああ、そんな……」


「くそったれ……!」


「……よく戦った。後は任せろ、お前達」


 戦友たちに追悼を捧げる三人。

 その時、別チームからの通信が入ってきた。


『こちらジュリアンチーム。前線基地からの連絡を受けて、オズマチームの捜索を行なっていたが、今しがた発見した。結論から言うと、全滅だ。剣か何かで斬られたような傷が見受けられる』


 どうやら、音信不通になっていたもう一つのチームも手遅れだったようだ。


 改めて、発見した遺体を見てみるサミュエルたち三人。

 遺体は全て、斬撃による致命的なダメージが死因となっているようだ。


「オズマチームの連中も、剣か何かで斬られてたって言ってましたね。ガルシアたちを()ったヤツと同一犯ですかね?」


「恐らくは。ところで少尉。お前は先ほど、こう推測したな? 『やばい敵が出てきたり、やばい状況に追い込まれたりしたら、チーム内の誰か一人は、始末される前に応援の要請をしたりするのでは? 誰もそんな連絡をしていないのはおかしい』と」


「まぁ、しましたね。結果はこの通りでしたが」


「彼らが全滅した原因、考えられる可能性は二つ。一つはお前も言っていた通り、罠に()められて一気に殲滅されたパターン。そしてもう一つは、正面から圧倒的な戦力で蹴散らされたパターン」


「通信するよりも早く、戦闘開始から六人全員一瞬でやられたってことですか? けど、爆破で六人まとめて吹き飛ばされたとかならともかく、彼らの死因は斬撃……」


「そうだ。一人ひとりが剣で直接斬りつけられている。精鋭軍人の六人全員を、通信で報告されるよりも早く、一瞬のうちに始末する剣士。そんな怪物、俺は()()しか思い浮かばん」


「……まさか」


 その時だった。

 彼らの近くのビルの屋上から、高く飛び上がった人影が一つ。


 その人影は、両手に持った”怨気”の光剣を構え、地上にいる三人めがけて斬りかかった。


「殲滅スル」


「中尉! 上!」


「ああ!」


 姿を現したのは、光剣型のレッドラム。

 敵陣営の最高戦力、鮮血旅団のうちの一体。


 ガルシアチームを殺した犯人が光剣型のレッドラムだと気づいた三人は、これから光剣型が自分たちに対してどんな先制攻撃を仕掛けてくるかを瞬間的に予測。


 その結果、三人は光剣型の攻撃に前もって気づくことができ、急いでその場から飛び退いた。


 誰もいなくなった場所を、光剣型が十字に切り裂く。

 硬いアスファルトで舗装された道路に、深くて大きい十字傷が刻み込まれた。


「先制攻撃失敗。戦闘続行スル」


「出た……光剣型です!」


「少尉! お前がニホンチームの飛空艇に連絡を取れ! 奴は俺と准尉が引き付ける!」


「イエッサ! 死なんでくださいよ!」


 光剣型のレッドラムが斬りかかってきた。

 サミュエルは高周波ブレードを構え、光剣型の斬撃を受け流す。


「くっ!? なんという威力……いなすのが精いっぱいだ……!」


「攻撃続行」


 光剣型が続けて斬撃を放つ。

 その一太刀一太刀が、家屋も両断するのではないかと思うほどの強さ。


 サミュエルは体勢を崩さないように、光剣型の斬撃を防御し続ける。一瞬でも体勢を崩してしまったら、その時がサミュエルの最期となるだろう。


 リカルドが右手から冷気を発し、光剣型へ向けて放射。

 光剣型は飛び退いて冷気を回避するが、サミュエルから追い払うことはできた。


 その間にルカンが、全チームへ向けて一斉通信。


「誰か来てくれよ、頼むぜぇ……!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ