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太陽の勇者は沈まない ~マモノ災害と星の牙~  作者: 翔という者
第23章 合衆国本土奪還作戦
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第1338話 セントルイス攻略戦

 日向、日影、エヴァの三人が地上へ降下し、巨竜型のレッドラムとの交戦を開始。


 それを飛空艇のモニターで確認したマードックは、作戦を次の段階に移すべく、飛空艇の操縦士を務めるアラムに声をかけた。


「良し、それではアラム君、低空飛行に切り替えてくれ。これより地上部隊を各エリアに展開する」


「わかった! ちょっと待ってて!」


 マードックの指示を受けて、アラムが飛空艇の高度を下げる。

 昇降口の転送装置を地上へ照射し、地上部隊を街中へ送った。


 アメリカチームの地上部隊は、基本的に六人一組で構成されている。

 銃器を使う標準兵三人、ブレード兵が二人、回復担当の衛生兵一人。


 これが合計二十チーム存在し、東西南北の各エリア一つにつき五チームを派遣する。それぞれで街中のレッドラムを殲滅し、巨竜型と対峙している中央エリアの日向たちに近づかせないようにするのが目的である。


 西エリアの部隊展開を完了し、次に飛空艇は北エリアへ向かう。


 その北エリアでは、ラプター戦闘機部隊のノイマン准尉がミサイルを発射し、ちょうどミサイル砲台型のレッドラムを陥落させたところだった。


「タイガー。一基片付けた。残りは西と南の二基か」


 その西と南に残っているミサイル砲台型のレッドラムが、五十の発射口から次々とミサイルを発射している。実際には本物のミサイルではなく、”結晶化(クリスタライズ)”の超能力で熱のエネルギーをミサイルらしい形に加工したもののようだ。


 そのため、普通のミサイルとは違う。

 どうやら、発射したミサイルは標的の熱を感知して追跡してくるらしく、その証拠に本来ならロックオンが効かないはずの無人ステルス爆撃機もミサイルに追い回されている。


「スピードを出して振り切れば追跡は逃れられる。しかし、この数の弾幕は厄介だな。タイガー」


 多くのミサイルが空を飛び回っているため、ちょっとした拍子に衝突してしまいそうだ。さらに後ろから追いかけてくるミサイルもある。これら全てを回避し続けるのは、見た目以上に困難だ。


 AIが操縦するステルス爆撃機は、生身のパイロットたちと比べて単純な回避行動しかできない。そのため、空を飛び回る無数のミサイルの弾幕に苦戦しており、すでに予定より多くの爆撃機が墜とされてしまっていた。


「これ以上ステルス爆撃機を墜とされたら、地上部隊の支援に支障が出る。さっさと残りも片付けないとな。タイガー」


 その時、味方のラプター戦闘機二機が、西エリアのミサイル砲台型レッドラムを爆撃。始末に成功した。残るは南エリアの一基のみである。


 その南エリアのミサイル砲台型レッドラムが、再びミサイルを大量に発射。自身に攻撃を仕掛けていたラプター4とラプター5を攻撃する。


『こちらラプター5! 俺がミサイルを引き付ける! ラプター4はミサイル砲台型をやれ!』


『了解! 感謝する!』


「タイガー。ラプター1も加勢しよう」


 ノイマンがラプター4と合流し、共にミサイルを発射。

 ミサイル砲台型のミサイル発射口に、二機が撃ったミサイルが吸い込まれる。


 ミサイル砲台型の内部でミサイルが爆発。

 すでにラプター4とラプター5から攻撃を受けていたミサイル砲台型は、それがトドメとなって破壊された。


『よし! やったぞ!』


 ラプター4のパイロットが歓声を上げる。


 だがその一方で、ミサイル砲台型のレッドラムが発射したミサイルは、依然として機能している。ミサイルの引付を担当したラプター5が、いまだに大量のミサイルに追われていた。


『ちっ、ダメだ避けきれない……!』


 そして、ラプター5の機体にミサイルが着弾。

 機体はコントロールを失い、きりもみ回転しながら地上へと()ちる。


「ラプター5!」


『やばい! ラプター5が!』


 その時、墜ちていくラプター5のハッチが開き、そこからラプター5のパイロットが脱出装置で射出された。


 その射出されたパイロットを、金色の大鷲のマモノのユピテルが回収。

 パイロットを背中に乗せて、そのまま飛空艇まで向かっていった。


『ふー、危なかったぜ……。悪い、早速だがラプター5は店じまいだ。後は頼む』


『よかった、無事だったか! オーケー、お前の分まで働いてやるよ。代わりに、終わったら良い酒を頼むぜ! どうせ一本くらい隠し持ってるんだろ!』


『なぜバレた』


 ともあれ、ラプター5は無事に戦線離脱。

 街の四方に設置されていた四基のミサイル砲台型のレッドラムも全て排除することができた。


「タイガー。ここからは地上部隊の援護を……と言いたいところだが、残存している敵ミサイルが邪魔だな」


 ノイマンの言う通り、ミサイル砲台型のレッドラムはいなくなったが、ミサイル砲台型が発射したミサイルはいまだにセントルイスの空を飛び回っており、熱を頼りに戦闘機や爆撃機、飛空艇を追い回してくる。


「地上班の援護の前に、まずは空の掃除だな。ミサイルはロックオンできない。全機、機銃でミサイルを撃ち落とすぞ」


『ラジャー』


 さっそく四機のラプター戦闘機が、飛び回るミサイルに向けて機銃を掃射。空のあちこちで爆発が起こる。


 ラプターがミサイルを駆逐しているその一方で、飛空艇は全地上部隊を、目標のポイントに投下完了していた。


 北園、本堂、シャオラン。

 彼女たち三人は、北エリアに降り立った。


 ARMOUREDのマードックから、三人の通信機に連絡が入る。

 ちなみに、ARMOUREDが降りたのは西エリアである。


『こちらマードック。三人とも、無事にエリアへの侵入に成功したようだな』


「はい、マードックさん! 今のところ、周囲に敵はいません!」


『良し、それでは予定通り、君たちには遊撃隊として動いてもらう。基本はそこ、北エリアの攻略を担当しつつ、戦況を見て、救援を必要としているエリアへ加勢に向かってほしい。エリア間の移動には飛空艇やユピテルに乗れ。我々ARMOUREDも同じように動く』


「りょーかいです! それじゃあ、マードックさんたちも気を付けて!」


『承知した。お互い、生きてまた会おう』


 返事の後、マードックとの通信は終了。

 北園たちも、共に降り立った他の部隊と一緒に動き出す。


 巨竜型レッドラムの抑制。

 制空権の奪取。

 言うなれば、これらは作戦開始のための準備段階。


 ここからが、セントルイス攻略戦の本格的な幕開けである。

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