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太陽の勇者は沈まない ~マモノ災害と星の牙~  作者: 翔という者
第23章 合衆国本土奪還作戦
1370/1700

第1337話 エア・アサルト

 コロンバスからおよそ700キロメートルほど先に、セントルイスの街がある。


 具体的な場所を説明すると、ミズーリ州東部。

 ミシシッピ川とミズーリ川の合流地点に位置する。


 街の右端に沿うようにミシシッピ川が流れており、その先にはイースト・セントルイスの街がある。他にも周辺には大小さまざまな郡市が存在し、セントルイスはその中でも最も規模の大きい都市だ。


 現在のセントルイスの街は、グラウンド・ゼロの地震の影響によるものか、多くの建物が倒壊してしまっている。あちこちから黒煙が(のぼ)り、鮮血の異形たちが跋扈(ばっこ)する。まさに地獄のような光景である。


 そのセントルイスの東の空から、日向たちが乗る黄金の飛空艇が接近。

 飛空艇の周囲には五機のラプター戦闘機。

 さらに、七機の無人ステルス爆撃機。


『タイガー。こちらラプター1。作戦エリア、セントルイスを目視で確認。第一ターゲットである多連装ミサイル砲台型のレッドラム、まもなく射程圏内。これより戦闘を開始する』


「了解。東エリアの砲台はこの飛空艇で始末する。残り三基を頼んだ。幸運を(Good luck)


 ラプター戦闘機に搭乗するノイマン准尉と、飛空艇に乗っているマードック大尉の通信が行われた後、ラプター戦闘機部隊はそれぞれ展開し、飛空艇を追い抜いて先行。その後ろに無人ステルス爆撃機もついて行く。


 セントルイスの四方に設置されたミサイル砲台型のレッドラムも、空から接近してくる戦闘機を捕捉。五十の発射口から次々とミサイルを射出した。


 戦闘機と爆撃機が左右に展開。

 地上から発射されたミサイルを回避し、追尾を振り切る。


 それから遅れて、飛空艇も作戦エリア内に進入。

 東エリアのミサイル砲台型レッドラムをロックオンする。

 操縦桿を握るのは、オネスト・フューチャーズ・スクールのアラム少年。


 飛空艇の接近を、東エリアのミサイル砲台型レッドラムも感知した。飛空艇めがけてミサイルを乱射してくる。


 飛空艇は戦闘機ほど速くはないが、バリアー機能を搭載している。

 ミサイル砲台型レッドラムが撃ってきたミサイルは全てバリアーで防御し、こちらからもエネルギー弾を撃ち返す。


 飛空艇が撃ち出したエネルギー弾が地上を爆撃し、東エリアのミサイル砲台型レッドラムも巻き込む。十数発のエネルギー弾を撃ち込まれ、ミサイル砲台型レッドラムは崩壊した。


 操縦を務めるアラムは、この戦果を見てガッツポーズ。


「やった! 一基やっつけたよ!」


「アラムくんすごい! それに、あれだけミサイルを撃ってもバリアーで敵の攻撃を受け止めても、まだ全然疲れてなさそうだし、超能力のスタミナもついたんじゃないかな?」


 北園がアラムを褒め称えると、アラムも嬉しそうである。

 年相応の少年のように得意げに語る。


「へへ、この数日間、実戦の中でみっちり鍛えられたからね。初めて操縦した時よりはずっと強くなってる自信があるよ!」


「おおー、それは頼もし……あ、ちょっと待って! あれ!」


 そう声を上げて、北園がコックピット内のモニターの一部を指さす。


 モニターに映し出されているのは、セントルイスの中心街。

 地震に耐えて、倒壊を免れたビルが群立しているエリア。


 そこに、巨竜型のレッドラムの姿があったのだ。

 空を見回し、背中の翼を広げ、飛ぶ準備をしているように見える。


「例のドラゴン型だよ! こっちまで近づかれたら大変なんじゃないかな!?」


 その北園の言葉を聞いて、マードックもうなずいた。


「その通りだ。予定より少し早いが、三人にはさっそく地上へ降りてもらって、巨竜型の足止めを行なってもらおう。日向、日影、エヴァ、よろしく頼むぞ」


「分かりました!」


「よっしゃ、任せとけ」


「了解しました」


 マードックに返事をして、三人はこの飛空艇の甲板へ移動。

 吹き付けてくる風を目いっぱいに受けながら、眼下の街を見下ろす三人。


 ここから三人は地上へ降下するつもりだ。

 日影は”オーバーヒート”を使って。

 日向はエヴァの能力の補助を受けて。


「エヴァ、頼むからしっかり俺を地上へ降ろしてくれよ? 地表激突だけはやめてくれよ?」


「努力します」


「そこは『任せてください』くらいの頼もしい言葉が欲しかったなぁ!」


「泣き言いってねぇでさっさと行くぞ」


「くそ、今は自力で飛べる日影が羨ましい……!」


 やり取りを終え、三人は共にジャンプ。

 頭から飛び込むような体勢で地上へ降下。


 真下には巨竜型のレッドラム。

 翼を大きく羽ばたかせ、すでに身体が少し浮きあがっている。


 この巨竜型が思うように暴れ回ったら、日向たちは地上部隊展開どころではない。この巨竜型を自由にさせるわけにはいかない。


 エヴァが『星の力』を集中し、能力を発動。


「堕ちよ……”アバドンの奈落”!!」


 エヴァの詠唱と同時に、巨竜型を上から押さえつけるような重力場が発生。巨竜型は羽ばたいても羽ばたいても上昇することができない。


「GRRRR……!?」


 戸惑っている巨竜型。

 それをチャンスと見て、次は日影が仕掛ける。


 全身に業火を(まと)い、落下のスピードをアップ。

 流星のような速度で、巨竜型めがけて突撃する。


「再生の炎……”落陽鉄槌(ソルブレイカー)”ッ!!」


 そして日影は、巨竜型の脳天に着弾。

 これには巨竜型もたまらず体勢を崩し、背中から地上へ落下した。


「GRRROOOO……!?」


 道路や看板、標識やガードレールを破壊しながら地上へ落ちた巨竜型のレッドラム。


 しかし、日影の最大火力を脳天に喰らったというのに、巨竜型はまだまだ健在だ。頭に燃え移った日影の火を、頭を振って消火している。必死にと言うより、(わずら)わしそうに。


 そこへ、三人も地上へ降りてきた。

 日向は、エヴァの重力操作でゆっくり降ろしてもらいながら。


 巨竜型も体勢を整え、改めて三人を見据える。

 四つ足で大地を踏みしめ、顎下(あごした)が地上すれすれの前傾姿勢。


 そんな体勢でも、背中はビルの三階に届きそうだ。

 仮に後ろの二足で立ち上がれば、それこそ見上げるような背の高さになるだろう。


「GRRRRRR……!!」


「うわぁ、さっき日影が激突したから怒ってるよ」


日向(テメェ)が視界に入ったからブチギレてるんじゃねぇか?」


「視界に入っただけでかい。理不尽過ぎていっそ笑えてくるわ」


「お二人とも、話はそこまでに。……来ます!」


「GRRROOOOOOO!!!」

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