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太陽の勇者は沈まない ~マモノ災害と星の牙~  作者: 翔という者
第22章 その艇は嵐を往く
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第1279話 光を捉えろ

 シャオランが新たに獲得した技、空の練気法”無間”。


 それは、敵が”空の気質”の中にいる限り、どこにいようがシャオランの攻撃が当たるという反則級の性能を持っていた。


 シャオランがその場で拳を振るうだけで、ドゥームズデイがダメージを受けていく。ドゥームズデイも動こうとするが、その動き出しをシャオランに狙われ、遠距離からの打撃で動き出しを潰される。


「ruuu...ruuuoaaaaa!!!」


 雄たけびを上げ、ドゥームズデイが動く。

 シャオランに攻撃されながらも、無理やり耐えながら。


 ドゥームズデイはその身を雷電に変換。この場を取り巻く雨雲を伝って、電光の速度でシャオランの背後に回り込んだ。目にも留まらぬ一瞬の早業である。


 シャオランの戦いを見守っていた日向にも緊張が走る。


「そうだ、ドゥームズデイにはまだそれがある……! シャオランの攻撃は空間のどこにいても当たるらしいけど、その狙いを一瞬で外せるだけの速度を出せる光速移動。まだまだ油断はできないぞ……!」


 シャオランの背後に姿を現したドゥームズデイは、間髪入れず大剣を右から左へと振り抜いた。狙いはシャオランの首。


 しかし、シャオランは後ろを振り向かずに身を(かが)め、ドゥームズデイが降り抜いた大剣を回避。それだけでなくドゥームズデイとの距離を詰め、”地震”の震動エネルギーを(まと)わせた右ひじを腹部に突き刺していた。


「rua...!?」


 これにはドゥームズデイも、ダメージのあまりの大きさに硬直する。ぶつけたのは震動エネルギーだけなので、シャオランの右ひじもドゥームズデイの雷電の身体に焼かれてはいない。


 シャオランは、続けて左足で後ろ蹴りを放つ。

 当然ながら、この左足にも震動エネルギーを(まと)わせている。


 ドゥームズデイは光速移動を行ない、シャオランから距離を取った。シャオランが突き出した左足は残念ながら空振りだ。


 だが、シャオランはその左足で力強く踏み込み、その場で左の寸勁を放つ。すると、離れた位置にいるドゥームズデイの腹部に衝撃が走り、ドゥームズデイも悶絶した。


「ruuaaa...!?」


 寸勁は、最小限の動作で、最短距離を突く。その特性上、見てからの回避はほぼ不可能である。しかしその特性ゆえに、相手に密着しなければ届かないという弱点も持つ。


 その弱点を”無間”でカバーし、どこにいても回避不可能の一撃が飛んでくるというのだから凶悪な話だ。


「近づけば震動エネルギー、離れれば”無間”。どの位置にいても致命打が飛んでくる……。鬼だなシャオラン……」


 日向は思わず、ドゥームズデイに同情しそうになった。パッと日向が考える限り、もはや”空の気質”の中にいる限り、シャオランに打ち勝つことは不可能であるように感じた。


 ドゥームズデイもそう判断したのだろう。シャオランから追撃を受ける前に光速移動を行ない、”空の気質”が満ちる空間から飛び出した。


「……つまり、お前はもうシャオランの”空の気質”の範囲内に近づけない。外野の俺たちは、そこ以外を注意しておけばいいってことだよな」


 そう言いながら、日向がドゥームズデイの移動先に回り込んでいた。ドゥームズデイが姿を現すと同時にイグニッション状態の『太陽の牙』で斬りつける。


「おりゃあっ!!」


「ruooaaa!?」


 直撃だ。

 ドゥームズデイは左肩から右腰にかけて大きく焼き斬られ、後ずさる。


 追撃するために再度『太陽の牙』を振るう日向。

 しかし、これは間一髪のところで光速移動によって避けられた。


 ……が、そのドゥームズデイの移動先に、今度は本堂が回り込んでいた。


「シャオランの”空の気質”によって、これだけお前の逃走先が絞られれば、後は俺達が一定の間隔で散っているだけで、お前が何処に逃げようとも(とら)えることが可能……!」


 そう言って、本堂が右手の爪を振るう。

 ドゥームズデイの顔面に五本の裂傷が入った。

 超帯電体質の本堂ならばドゥームズデイに接触しても、少しだけなら無傷だ。


 本堂の攻撃は日向より断然速い。

 ドゥームズデイに逃げられる前に二撃目、三撃目をお見舞いする。


 大剣の射程が活かせない超接近戦。おまけに本堂は電撃への耐性持ち。ドゥームズデイは分の悪さを察知し、再び光速移動を行なって本堂からも逃げる。


 だがしかし、今度はその光速移動中に、日影が”オーバーヒート”で激突してきた。ドゥームズデイは雷電状態を解除され、甲板に叩きつけられる。


「ruuuu...!?」


「なめんなよ、それだけ何度も光速移動してりゃ、出だしくらいは(とら)え切れるようになるってもんだぜッ!」


 日影の激しい灼熱のラッシュ。ドゥームズデイは再び防戦一方である。『星殺し』にとって、『太陽の牙』による攻撃は一つひとつが致命的であるということを考えると、本堂が相手だった方がまだマシだっただろうか。


 とはいえ、日影には本堂のような電撃耐性が無い。

 そこに付けこみ、ドゥームズデイは全身から激しい放電を行なった。


「ruuaaaaa!!」


 その場で嵐が吹き荒れているかのような大放電。

 日影はそれに巻き込まれないよう引き下がるしかない。


 ……と思いきや。

 日影は逆にドゥームズデイとの距離を詰め、その顔面に左拳をぶち込んだ。


「rugg...!?」


「やっとその(かて)ぇガード解きやがったな。おかげでもう何の遠慮も無しにテメェをぶっ飛ばせるってモンだ。拳が灰にされようが、このまま殴り抜かせてもらうぜ! ”陽炎鉄槌(ソルスマッシャー)”ッ!!」


 大爆炎と共に、ドゥームズデイが吹っ飛ばされた。

 その吹っ飛ばされた先にはミオンがいる。


 ミオンは、飛んできたドゥームズデイをジャンプで飛び越える。そして、自分の真下にやってきたドゥームズデイを見下ろした。その表情は微笑んでいるが、どこか恍惚としている。


「やっとあなたに、この一撃をお見舞いしてあげられるわね! ”如来神掌”!!」


 言って、ミオンがドゥームズデイの顔面の前に掌底を突き出す。


 顔面に凄まじい衝撃波がぶつけられ、ドゥームズデイは後頭部から甲板に叩きつけられた。甲板が大きく粉砕されてクレーターができるほどに。


「ru...aa...!!」


 トドメになってもおかしくない猛攻を受けたドゥームズデイだが、まだ動けるようだ。うめき声を上げながら立ち上がろうとしている。


 そのドゥームズデイに今度こそトドメを刺すべく、日向が飛び掛かった。大きくジャンプし、ドゥームズデイの胸を狙って『太陽の牙』を突き刺しにかかる。


「これで終わりだ、ドゥームズデイっ!!」


「ruuuu...!!」


 ドゥームズデイの身体が発光する。

 光速移動を行ない、日向から逃げるつもりだ。


 しかし、ここはシャオランの”空の気質”の範囲内だった。


 シャオランがその場で、拳を地面に打ち付けるような動作を行なう。すると、離れている位置で倒れているドゥームズデイに拳の衝撃が走った。


「やぁッ!!」


「ru...!?」


 その一撃でドゥームズデイの動きが止まる。

 日向の攻撃を回避するための動作が潰される。


 そして。

 日向の『太陽の牙』が、ドゥームズデイの胸を刺し貫いた。

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