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太陽の勇者は沈まない ~マモノ災害と星の牙~  作者: 翔という者
第22章 その艇は嵐を往く
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第1232話 航空戦

 日向たちが嵐の戦艦の上で派手に暴れている頃。

 こちらは飛空艇を操縦する北園と、その補佐を務めるスピカの様子。


 やや緊張した面持ちで操縦桿を握る北園。立体モニターを見てみれば、飛空艇の左舷(さげん)に嵐の戦艦が並走してきている。


 嵐の戦艦の甲板や艦橋に設置されている三連装砲が飛空艇に照準を合わせ、砲撃してきた。青い稲妻が(ほとばし)る雷弾の弾幕が飛空艇に迫る。


 すると、飛空艇全体を包み込むような青色のエネルギー壁が発生し、飛んできた雷弾を防御した。この青色のエネルギー壁は北園がよく使うバリアーに似ている。雷弾がバリアーに命中するとバチバチと音を鳴らして破裂する。


 コックピット内にて、スピカが北園に声をかける。


「よしよしー、うまく展開できたねー。今のがこの飛空艇の機能の一つ、バリアーだよ。吸い上げた操縦士の精神エネルギーで(ふね)全体を包み込んで、あらゆる方向からの攻撃を防御してくれる」


「これがあれば、大抵の攻撃は防げるってことですね!」


「そのとーり。さて北園ちゃん、フライト戦における鉄則の一つ、それは相手の背後を取ることだよー。航空機の武装って大抵は前方に攻撃するためのものばかりで、真後ろに攻撃できる武装ってほとんどないからねー。敵機の後ろについてしまえば攻撃し放題ってワケ」


「なるほど! それじゃあ、あの戦艦の後ろに回り込みますね!」


「幸い、機動力はこっちが上だ。小回りの良さを活かして、後ろを取っちゃおうー」


 雷弾をバリアーで防ぎつつ、飛空艇が減速。嵐の戦艦に追い越させる形で、飛空艇が戦艦の背後を取った。


 戦艦の真後ろには巨大なメインブースターがあり、青い火を噴射して戦艦の加速を生み出している。また、甲板にはいくつかの三連装砲も設置されており、背後に回り込んできた飛空艇めがけて雷弾を発射してきた。


「おっと、背後に回り込んできた敵への対抗手段も用意していたみたいだね」


「でも、横に並んで追ってきていた時よりはずっと弾幕は少ないです!」


「だねー。敵の攻撃はバリアーが防いでくれるけど、ある程度は回避も意識してね北園ちゃん。バリアーにも耐久力はあるし、何よりこの(ふね)は動かすにもバリアーを張るにも北園ちゃんのエネルギーを使用してる。あまり被弾が多いと北園ちゃんのエネルギーも無駄に消費することになっちゃうからね」


「りょーかいです! でも、飛空艇で敵の攻撃を避けるのってちょっと難しいですね……」


 北園は操縦桿を上下左右に動かし、それに合わせて飛空艇も上下左右に動く。スピカに言われた通り雷弾を避けようと頑張っているようだが、完全に避けきるには至らずバリアーの端に何度もかすっている。


「さて、今度はこっちから攻撃だよー」


「あ、それならやり方知ってます! インドでやったことあるから!」


 そう言って北園は、操縦桿のすぐ側に取り付けられたパネルを操作。飛空艇の左右のハッチが展開し、十数門のミサイル発射口が姿を現す。


 ミサイル発射口に金色のエネルギーが集中し、エネルギー弾として次々と発射された。嵐の戦艦のメインブースターおよび飛空艇に砲撃している三連装砲に命中する。


「その調子だよー。今、この飛空艇は操縦桿を通じて北園ちゃんの思考とリンクしてる。北園ちゃんが『あれを狙いたい』と思うだけで、飛空艇は標的を自動的にロックオンしてくれるよー」


「どおりで私の狙った場所ばかりにミサイルが飛んでると思った!」


 飛空艇のミサイルは戦艦の三連装砲をどんどん破壊していき、メインブースターにも損傷を与えることに成功。戦艦の損傷箇所から青色の炎が噴き上がる。


 すると、戦艦が急減速。

 その巨大な機体を飛空艇に直接ぶつけるつもりだ。


「わわっ、北園ちゃん避けてー!」


「は、はいっ!」


 北園はすぐさま操縦桿を回し、右に舵を切る。飛空艇の機体が斜めに傾き、どうにか戦艦を回避した。


「ふー、危なかったねぇ。今の操縦は上手かったよ北園ちゃんー!」


「えへへー、褒められた」


 北園は喜ぶが、その一方で嵐の戦艦は再び飛空艇と横並びの位置を取ってきた。甲板や艦橋に備え付けられた砲台が一斉に飛空艇を狙う。


 飛空艇もエネルギー弾のミサイルを発射し続け、戦艦の三連装砲を破壊していく。戦艦とは反対側のミサイル発射口から放たれるミサイルも、飛空艇の上を越えたり下をくぐったりして戦艦へと誘導されていく。飛空艇と戦艦の激しい砲撃戦が展開されている。


 北園は雷弾を回避しながら先ほどのように戦艦の後ろに回り込もうとするが、戦艦も飛空艇に合わせてスピードを調節し、なかなか背中を取らせてくれない。


「ううー、うまくいかないよー。スピカさんどうしよう!?」


「落ち着いてー。それならとりあえず、この場で円を描くように右にカーブしてみよう」


「右にカーブですか? とりあえずりょーかいです!」


 右にカーブするとどうなるのか、結果が予測できない北園はとりあえずスピカの指示に従うことに。操縦桿を回し、戦艦から離れるように飛空艇が右にカーブする。


 それを追うように戦艦も右にカーブ。しかし両者の機体の大きさの差で、小回りが利く飛空艇の方が先にカーブを終えた。その場でぐるりと回るようにカーブして、まだカーブの途中だった戦艦の右舷を正面に(とら)える形に。


「よーし、丁字の形になったねー。それじゃあ仕上げといこうかー。この(ふね)にもミサイルの他に主砲が装備されていてねー、ミサイルと違って正面にしか撃てないけど、その威力は絶大だよー。パネルのここを操作して?」


「りょーかいです! 主砲、発射します!」


 スピカの指示の通りに北園がパネルを操作すると、この飛空艇の先端正面が展開し、内部から主砲発射機構が露わになる。そしてそこに北園の精神エネルギーが収束、変換され、金色のエネルギーが集中していく。


 そして、飛空艇が主砲を発射。

 金色のエネルギーの巨大なビームが、目にも留まらぬ速度で撃ち出された。


 放たれた金色のビームは、嵐の戦艦の右舷から左舷にかけてを一直線に貫く。その一撃が致命傷となり、嵐の戦艦のあちこちで爆発が起こる。大破炎上だ。


 墜落していく戦艦の上を、北園が操縦する飛空艇が飛び越えてこの場を去る。北園の記念すべき初航空戦は見事な白星で終わった。

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