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太陽の勇者は沈まない ~マモノ災害と星の牙~  作者: 翔という者
第22章 その艇は嵐を往く
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第1226話 星殺しではない?

 日向の”星殺閃光(バスタードノヴァ)”によってドゥームズデイは轟沈したが、そのドゥームズデイが実は『星殺し』ではないという可能性が浮上した。


「あの戦艦は人型の本体も、狭山さんの記憶も残さなかった。今まで倒してきた『星殺し』は皆、外殻の中には人型の本体がいたし、狭山さんの記憶を残したのに。この法則に当てはまらないってことは、あのドゥームズデイは『星殺し』じゃ……いやそもそも、あれはドゥームズデイじゃなかった可能性さえある」


「そういえば日向くん、前に疑問に思ってたよね。あの戦艦のドゥームズデイは『星殺し』っぽい見た目じゃないって感じのことを」


「ああ。たとえばマカハドマは氷を司る『星殺し』だったから、見た目も分かりやすく『人間の頭部の形をした氷像』だった。同じくアポカリプスは霧そのものだったし、プルガトリウムは溶岩の怪獣みたいな奴だった」


「ついでに、今回倒したジ・アビスの外殻は海そのものだったもんね」


「うん。そこにきて、ドゥームズデイの外殻はあの戦艦だ。とても”嵐”っぽくは見えない。これはいったいどういうことなんだろう……ってことを不思議に思ってたんだっけ」


 しかし、あの戦艦がドゥームズデイではないとしたら、いったいあの戦艦は何だったのか。たった一発のエネルギー砲で町一つを跡形もなく消し飛ばす破壊力は、他の『星殺し』と比較しても遜色ない危険度だ。それに一応、外殻と属性の関係性はともかく、”嵐”の一要素である”雷”の属性も用いている。


「さすがにレッドラムってことはないだろうし、雷のエネルギーを使ったり、出現するだけで空が暗くなったりするし、”嵐”の星殺しであるドゥームズデイに何かしら関係していそうだとは思うけど……」


 ……と、日向が思考していた、その時だった。

 エヴァが皆に向かって声を上げた。


「待ってください! 東の方の遠い気配から、先ほど日向が撃墜したドゥームズデイと同じ気配が放出されました。ものすごいスピードでこちらに向かっています!」


「は、はぁ!?」


 日向もまたエヴァの言葉を聞いて、声を上げて困惑する。先ほど撃墜した戦艦と同種の戦艦がまたやって来ているのだとしたら、その新手の戦艦も日向たちにあの雷砲を撃ち込んでくるだろう。だが日向の”星殺閃光(バスタードノヴァ)”はエネルギーの消費量が尋常ではなく、日向も一発放つのが限界である。


「つまり今の俺の火力は、しけたマッチ以下……! また来られたら俺はもう撃ち落とせないぞ!?」


「ならば、直接乗り込むか」


 本堂がそう発言した。


 一瞬、誰も彼もが「こいつ何言ってるんだ」という表情を本堂に向けたが、だんだんと「冷静に考えると意外と悪くないかも」という表情に変わっていった。


「たしかに……乗り込みさえすれば、少なくともあの雷砲を俺たちに向けて撃ってくることはなくなるだろうし……」


「飛空艇がないと、あの戦艦が空に逃げても追いつけないけど、向こうから来てくれるなら私たちも乗り込める手段はあるもんね。私は空を飛べるし、あと日影くんも」


「ああ。そうなると、乗り込むメンバーはオレと北園、あとシャオランもいけるか?」


「う、うん。風の練気法の”飛脚”を使えば、ボクもいけると思う」


 第二の戦艦に乗り込むのはこの三人になるか……と思ったところで、エヴァが手を挙げた。


「待ってください。私の『星の力』を用いた異能で、皆さんを空へ浮かび上がらせることができます。自力で空を飛べない者たちも、これで一緒に乗り込めるかと」


「そうか、ジ・アビスが支配していたタホ川を越えた時みたいにか」


「今はジ・アビスから取り戻した分の『星の力』もあるので、あの時よりもさらに強力な能力が使えます。六匹の犬たちも一緒に連れて行けます」


「よし、あの雷砲の破壊力を考えると、犬たちも地上に残らず俺たちについて来てもらった方がむしろ安全かもしれない。犬たちがオーケーなら一緒に来てもらおう」


 日向はそう言って、エヴァの提案を受け入れることにした。

 犬たちも了解し、日向たちと共に第二の戦艦に攻め入ることに。


 そうと決まれば、次の戦艦がここにやって来て攻撃準備を始めるのをわざわざ待ってやる道理もない。日向たちはこちらから攻め込むために動き出す。


 まずはエヴァが、自力で飛べない者たちに能力を行使して浮かばせる。


「舞い上がれ……”天女の羽衣”!!」


 エヴァがそう唱えると、日向と本堂と六匹の犬たちを風のベールが包み込む。すると日向たちの身体がふわりと浮き上がった。


「お、おお? 風で浮いてるのかこれ? 前は重力を使ってたよな?」


「先ほども言った通り、ジ・アビスから『星の力』を取り戻したことで、より強力な能力が使えるようになりました。前回は重力でなければ皆さんを浮かばせるのは難しかったですが、今は風の浮力だけで同じことができます。前回は皆さんより圧倒的に重い車も運ばなければなりませんでしたし」


「そういえば、ネプチューンも同じような能力で魚のマモノたちを空に浮かべてたなぁ。ネプチューン自身も飛んでたし。今のエヴァと同じ芸当ができるって、やっぱりネプチューンってすごいマモノだった?」


「実際、すごいです。それだけあのネプチューンが『星の力』の適応者……マモノとしての適正が高いということなのでしょう。ネプチューンは私ほど色々な能力は使えませんが、あの風の能力に特化することで、私と同等の域まで能力の性能を高めたのかもしれません」


 日向たちが浮き上がったのを見て、北園と日影とシャオランもそれぞれの異能で宙に浮く。


 そして六人と六匹は、一気に天に向かって浮上した。

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