敵性個体紹介・第20章時点
〇ライフル型
右腕が近未来的なデザインのライフルのような形になっているレッドラム。その腕から発射するエネルギー弾を用いた遠距離狙撃を得意とする。エネルギー弾の属性は個体によってバラバラのようで、電撃のビームを発射する個体もいれば、熱光線を発射する個体もいた。
〇大盾型
左腕が、全身を覆い隠せるくらいの盾状に変形しているレッドラム。その名前と見た目のとおり防御力が高く、ロケットランチャーを撃ち込まれる程度なら一歩も退かずに耐えることが可能。本体も大柄でパワーがあり、攻撃力も高め。その大盾を使ったぶちかまし攻撃は、ワゴン車の衝突にも引けを取らない威力。
〇ゾンビ型
ゴスロリ型のレッドラムが、オリガと戦った際に生み出したレッドラム。この個体の魂は、かつてオリガがホログラート基地で起こしたテロ攻撃で犠牲になった人たちのものを利用している。そのためこのレッドラムは、オリガへの恨みつらみを吐き散らかしながら襲い掛かってくる。
「犠牲になった人たち全員が、みんな共通で恨みがましい性格だったっていうのは都合が良すぎる気がする。ゾンビ型たちがオリガさんをひどく憎んだのは、生みの親であるゴスロリ型が持つ”怨気”の影響もあるんじゃないか?」というのは、今回の戦いの後で日向が語った考察。
●サイボーグ型
プルガトリウムと共にウラン・ウデの街を襲撃した目付きのレッドラム。2メートル近い身長と、ゴリラのように大柄な体格。上半身は鋼鉄のプレートで覆われ、顔もフルフェイス型のヘルメットで覆われている。金色の目は、そのヘルメットのスリットからわずかに覗かせている。
背中には左右二本ずつ、計四本のロボットアームを持っており、さながらロボットかサイボーグのような見た目をしている。
非常に好戦的で、なおかつ徹底的に人間を見下している。ウラン・ウデの街では嬉々として破壊活動を行なっていた。
能力は”電撃能力”と、星の牙”雷”。この二つの雷属性の異能を並列稼働させ、超高圧電流を生み出すことができる。空から雷を落とすことも可能。
狭山と同じ”怨気”の使い手であり、この気質を纏った攻撃を受けた者は一定時間、能力による怪我の回復ができなくなる。
ロボットアームの先端には鋭いクローが取り付けられており、岩をも容易く削り取る。クローの中心……手のひらの部分には電撃のレーザーを発射する機構も存在する。
サイボーグ型自身も極めて打たれ強く、そして十万馬力のパワーを持っている。典型的なパワーファイターながらも、四本のロボットアームによる手数と電撃の異能で、鈍い動きをカバーしている。
●ゴスロリ型
プルガトリウムと共にウラン・ウデの街を襲撃した目付きのレッドラム。他のレッドラムと違い、見た目は人間とそう変わらない。身長140センチ、外見年齢十歳ほどの幼女の姿を取っている。金色の瞳は、ツインテールを結ぶ右側のリボンの中心。
おしゃまな性格の少女だが、やはり本質は他のレッドラムと変わらない。何のためらいもなく、むしろ楽しそうに人間を殺して回る。
”生命”の星の牙であり、自分の身体を構成する血液を撒き散らし、そこから新たなレッドラムを生み出す能力を持つ。さらに”霊魂保存”の超能力も持っており、亡霊となってその地に取り憑いている霊魂をレッドラムとして新生させることも可能としている。おまけに”怨気”の使い手でもある。
身体から血の茨を伸ばして相手を攻撃する。血の茨には吸血能力も備えられており、茨で傷をつけた相手から血液を吸い取る。その吸血速度は相当なもので、一瞬触れただけでも足がふらついてしまうほどに血を抜き取られてしまう。
その小柄な見た目に反して異様に重い。肉体を構成している血液の量が尋常ではなく、その尋常ならざる量を幼女の形に超圧縮しているためである。ちなみに、当のゴスロリ型に体重のことを質問すると怒るらしい。
ちなみに、彼女がジナイーダのことを執拗にちゃん付けで呼んでいたのは、ジナイーダの本来の心がゴスロリ型以上に幼い少女のものであると見抜いていたからである。
●赤鎌型
サイボーグ型やゴスロリ型と共にホログラートミサイル基地の防衛にあたった目付きのレッドラム。鎧のようなデザインの赤い氷で武装し、昆虫の脚のようにささくれだった大鎌を武器としている。
その正体は、ゴスロリ型によってレッドラムとして新生させられた『星の牙』コールドサイス。ゴスロリ型から”怨気”と『星の力』を分けられている。
”怨気”と過去の暴走の影響か、自我はほとんど壊れてしまっており、レッドラムとして地球抹殺を黙々とこなす戦闘マシーンに成り果ててしまっている。しかし日下部日向への執着は残っているらしく、彼を見たら他の標的そっちのけで襲い掛かることも。
彼女が生み出す赤い氷は”怨気”でコーティングされており、熱に対して極めて強い。衝撃への耐久力も普通の氷以上だが、さすがにシャオランの打撃のような、あまりに強すぎる衝撃は防げないようである。
”吹雪”の能力によって赤い雪を降らせる。この雪にも”怨気”が含まれており、降雪地帯にいる者は回復不能のダメージをじわじわと蓄積されていってしまう。さらに力を解放することで赤い猛吹雪を発生させることも可能で、その威力はただの降雪の比ではない。
背中の羽を展開して羽ばたかせると、スピードがさらに上昇する。氷の鎧を脱ぎ捨てて身軽になった状態で羽を展開すれば、その速度は音速の領域に片足を突っ込むレベルにまで上昇。目視で捉えることすら難しくなる。しかし高速移動中は複雑な動きができなくなり、直進するしかなくなってしまうという弱点も。
最後の最後で自我と「どうして自分は戦っていたか」を思い出し、当初の目的である「エヴァを守ること」を実行。守るべき少女の窮地を助け、贖罪のように死んだ。
■ジナイーダ・ユーリエヴナ・トルスタヤ
ロシア軍の若き女将軍。階級は少将。オリガと同じ『無敵兵士計画』を体験した鋼鉄の女。
『無敵兵士計画』に組み込まれたことに怨みは無い。しかし、「他者と争って出し抜くことばかり考え、そのためなら『無敵兵士計画』などという倫理に反する計画を平然と実行に移す『人類』という種族は、救いようがない。存在価値がない」という結論に達しており、「人類を滅ぼす」という利害の一致から狭山に接触。人類に仇を成すレッドラムとなった。
しかし実のところ、ジナイーダの精神は『無敵兵士計画』によってボロボロに壊れてしまっており、同時に複雑に拗らせてしまっている。
ジナイーダの本来の人格は、まだ年端もいかない少女である。現在の彼女は強き女将軍として振舞っているが、これは教育者たちが「そうなるように」と彼女に教え込んだから。ジナイーダは最後までそんな性格に変わることはできなかったが、変われなければ怒られるので、そういう「強き女将軍」のフリをした。
ジナイーダの本来の「幼い少女の性格」は本編において、同じ境遇で育ったオリガなら自分を理解して味方になってくれると何の確証もなく思い込んでいた部分や、人質の少女を我が身も顧みずに助けようとする日影を見て、自分も『無敵兵士計画』から助けてほしかったと無意識に羨む部分などから垣間見える。
『無敵兵士計画』に組み込まれたことも、怨みは無いというのは建前で、本当はバリバリに怨んでいた。しかし洗脳的教育によってロシアに対する怒りの感情をわずかに抱くことすらできない思考回路にされてしまい、その代わりに人類に怒りの矛先を向けるようになった。「人類は争いばかりしている」→「だから『無敵兵士計画』みたいな馬鹿な計画も実行する。復讐!」という考え方である。
・超能力
使える超能力は四種類。”発火能力”、”念動力”、”結晶化”、”気配遮断”。特に”発火能力”が強力で、ジナイーダがダメージを受ければ受けるほど火力が高まるという特性を持っている。また”怨気”も使用することができ、その影響で”発火能力”の炎が赤黒く染まっている。
・ツァーリ プラムヤ
ジナイーダの必殺の一撃。直訳するとロシア語で「皇帝の炎」。ジナイーダが大ダメージを受け、”発火能力”の火力が限界まで高まると使用可能。”結晶化”で作り出した炎の槍を投げつける。槍は着弾と同時にエネルギーを解放し、大爆炎を巻き起こす。その火力は、下手をすれば百人以上の人間をまとめて消し飛ばすほどに強烈で、おまけに連射ができる。
★プルガトリウム
狭山がこの星の環境や生命を絶滅に追いやるべく生み出した、七体の『星殺し』の内の一体。炎と溶岩を司る怪物である。
マグマがそのまま怪物の姿となったような見た目で、ただ侵攻するだけで周囲にマグマをまき散らし、焼いてしまう。その身体から火山弾のようにマグマを発射したり、口から熱線を吐いたりなど、直接的な攻撃もそれぞれ非常に強力である。
その肉体を構成するマグマの温度は3000℃と、通常のマグマよりはるかに高い熱を持つ。このプルガトリウムより低いエネルギーによる攻撃は超高熱により無効化されてしまう。またプルガトリウム自身も流動するマグマで造られているため、物理的な攻撃がほぼ効かない。無敵とも言える防御力を誇っている。
倒す方法は主に二つ。プルガトリウムの超熱を冷却して弱らせるか、プルガトリウムをはるかに超えるエネルギーをぶつけて蒸発させるか、である。前者はプルガトリウム自身の熱量と巨大さを削り切るのは非常に困難で、後者はプルガトリウムを超える熱を生み出す兵器や攻撃が極めて限られる。どれも一筋縄ではいかない。
”気配遮断”の超能力も使用する。この能力のせいで、エヴァはプルガトリウムの気配を感知することができなかった。本来なら、プルガトリウムほどの『星の力』の塊なら、この時点の強さのエヴァでも数百キロメートル先から気配を捕捉できたはずだった。
・破片
プルガトリウムから切り離されたマグマの塊は、そのまま独りでに動くようになる。この独立したマグマの塊は「プルガトリウムの破片」と呼ばれる。プルガトリウム本体と比べればはるかに小さなマグマだが、その火力は健在。倒すことも消し飛ばすこともできない無敵性にモノを言わせつつ、周囲を動き回って焼き尽くす。