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第2話 日常とフルダイブ

 うどんを食べ終え、仕事に戻った。

「はぁー、疲れた、帰ろ帰ろ」

 本日の実験が終わったので、帰り支度を始める。

「それでは、お先に失礼します」

「はい、お疲れ様でした」

 同じ部署の人に声をかけて、会社をあとにします。

 会社から家は結構遠くて、車で30分位かかる。


***


「ただいまー」

 まぁ、独り暮らしなので当然返事はないけど、何も言わないと寂しいので、いつも言っています。

 家に帰り着くと、9時を回ったところでした。

 今日は金曜日です。明日は仕事がないので、お風呂に入ってバタンキュー。

 ……がいつものパターンなのですが、今日はちょっと違います。

「ふう、さっぱりした」

 シャワーでささっと体をきれいにした。

「ふふふ、ついにこの時が来たか」

 そうです。ついにこの時が来てしまいました。


「かいふうぅのぎぃぃい」


 ……すみません、いきなりトチ狂ったと思われるでしょうが、これは興奮せずにはいられません。

 そうです。万世不朽のファンタジアの世界をまるっと体験できるというVRMMOをこれから始めようというのですから。

 このゲームの存在に気づいたのはつい先月のこと。

 名前は天衣無縫(テンイムホウ)のファンタジア。

 SNSのタイムラインに流れてきて知りました。

 クローズドベータ(人数制限したテストプレイ)に申し込んだりもしたのですが、残念ながら外れてしまいました。

 発売日までの期間、私がどれだけ待ち焦がれたことか。

 まぁ、VRということで、ちょっと準備もしないといけないので、結果オーライだったんですけどね。

 準備というのが、私が服用している薬と病気のこと。

 ダイブ型のVRゲームの場合、脳の障害や病気や脳に作用する薬の服用によって利用が制限される場合があります。

 まぁ、脳に作用する装置ですから当然といえば当然ですけどね。

 なので主治医の説得が必須だったわけです。

 一部、影響の強い薬を他の薬に置き換えるということで、無事承諾を得まして、今に至るわけです。

 待つこと1ヶ月、感慨深いですね。

 そういうわけで、開封の儀です。

 この日のために、昨日届いたまま段ボールごと放置してました。


 段ボールを開けるとヘルメットのような装置とメモリースティックのようなものが入っている。

 このヘルメットがVR装置か。

 で、メモリースティックがゲームの本体と。

 うん、本当にそれだけ。


「……えっ、これだけ?」

 え、本当にこれだけなの。

 いや、一世代前のゲームとかパッケージあったじゃん。

 説明書とかリーフレットみたいなやつも。

 ちょっと想像と違うというか。

 いや、そりゃVRゲームはしたことないからわかんないけど。


 ……で、取り敢えず、どうすればいいの?


 私の手にはスタイリッシュなヘルメットとメモリースティック。


 ……で、取り敢えず、どうすればいいの?

 (重要なことなので、二回言いました)


 まじまじとヘルメットとスティックを観察する。


……


…………


………………


「あ、ヘルメットの内側に紙が入ってる」

 黒のメッシュに黒の紙は分かりにくいよー。

 まあ、使用方法とかggrks(検索しろ)とか言われるんだろうけど。

「えーと、なになに、安静にできる環境で……」

 それから私は紙にかかれている指示通りに、行動していく。

「これで、いいのかな」

 ヘルメットを被って、ベットに横になった。

 眼を瞑り、ヘルメット(ヘッドギアと呼ぶらしい)のスイッチを押す。

「なんか、めっちゃ怖い」

 VR技術もフルダイブ機能も普及して、数年が経っているが、脳に作用すると言うのはやはり怖い。

 安全機能も付いてるというが、どうなのだろうか。

「スキャンが完了しました。これよりフルダイブに移行します」

「ひゃい、お願いしゃぁぁぁ……」

 返事をしようと思ったが、途中で意識が遠のいた。

読んでいただき、ありがとうございます。

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