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  私の知らない山(改訂版) (UROSHITOK作品集8 私の知らない山より)

作者: uroshitok


 (一)

 

 それは、ある企業関係の親睦会での談笑から始まった。

 親睦会に集まった者は、全員すでに定年を迎えていた。

 年齢が近いものばかりであった。

 私の姓は、加茂。

 一歳年下の友、門前もんぜんも出席していた。

 彼とは、二十代前半の頃、多くの登山行をした。

 彼との会話は、ごく自然に、山の話になっていった。

 

 そんな中で、門前が言った。

 「加茂さん、大山が良かったですね」

 「うん、大山?」

 「そう。山陰の大山ですよ。確か、初夏の頃だったかな、梅雨入り前だったと思いますよ。最高の天気だったですよ」

 「えっ、いつの事だい」

 私には、全く記憶がないのである。誰か、他の登山仲間と勘違いしているのだろうと思った。

 「昭和39年、東京オリンピックのあった年ですよ」

 驚いている加茂には、無頓着に、アルコールの入った赤い顔で、門前は話しを続ける。

 「大山寺橋からの登山口から、ガレ場を経て、弥山へのコースでした。さすがは、1700mを超える山です。素晴らしかった。また機会があれば、ご一緒しましょう」

 「ちょっと待って、私は、何も覚えていないんだ。誰か他の人と、間違えているのじゃないのか?」

 「間違いないですよ。確か、写真も残っていると思いますよ」

 「どうも、さっぱり記憶がないなあ」

 加茂には、さっぱり思い出せない。やはり、門前の記憶違いであろう。

 加茂は、そう判断して、その場は終わった。


 そんなある日、門前から封書が送られてきた。

 手紙と写真であった。

 手紙の概要は。

 ”古い写真をさがしました。未整理の箱の中に、色あせていた物を見つけました。小さな写真ですが、間違いなく、加茂さんだと思います。お確かめください”とあった。

 また写真には。 

 ”昭和39年、大山登山行”と裏書されていた。


 はてな?、加茂は、その小さな写真を、食い入るように眺めた。

 セピア色がかった、白黒写真である。名刺サイズよりは少し大きい、手札サイズである。当時の標準的な、サイズである。

 近くに居た登山者に、撮って頂いたのであろうか、二人の全身が写っていた。

 一人は、若い頃の門前であった。

 もう一人は、加茂自身の若い頃らしい。

 然しである、何となく、自分の心に合致しないものがある。

 「変だなあ」独り言が出た。

 昭和39年と言えば、東海道新幹線が開業し、アジアで初めてのオリンピックが、東京で開催された年である。

 その年の梅雨入り前に、自分が何をしていたのか?

 今から40年も以前のことであり、然たる記憶もない。

 さりとて、大山に登山した記憶は、全くない。

 自分はまだ、認知症では無いし、記憶喪失症でも無い。他人からその様に言われたことも無い。


 加茂は、自分のアリバイを、捜したくなった。

 屋根裏に仕舞っていた旧い日記、登山手帳、写真の束やアルバム等を取り出して、何かしらの手がかりが無いかを調べる事とした。

 元より、杜撰と言えるほどでは無いが、几帳面な性格では無かったが、大山登山行の記録は無かった。

 梅雨時に、何かをしていた記録も無かった。

 前年の9月に、寮生活を止めて、下宿生活に入っていた。

 また、体調を崩して、いろいろな病院で、不調の原因などを調べていた。

 当時としては、最新式の検査を受けた記憶もある。

 例えば、放射性同位元素ラジオアイソトープ照射などである。

 他にも、医者に指示されて、全身を覆うカプセル内での検査もあった。

 だが、結果としては、原因不明のままに終わった。

 体調不調は、主に、視神経と繋がる頭痛であった。


 門前から送られてきた写真は、どうも、自分の様である。

 左肩が下がり、首をやや右に傾けている。これは、私の体形であり、癖でもある。

 しかしながら、何か違和感が消えない。

 当時の主流であった白黒写真である。

 濃い登山シャツを着こみ、少し淡色のズボンと、膝下までの長いソックス、そして皮革の登山靴の姿で立っている。

 登山記録帳を見ると、この年、つまり昭和39年5月の連休には、立山にも行っている。

 当時のバスは、現在と異なり、弥陀ヶ原より、やや下方のが終点であった。

 重いザックと、スキーを担いで、天狗平を越えて、地獄谷を横に見て、雷鳥沢に達した。

 この時は、雷鳥沢で、5日間、雪上のテント生活を送った。

 ここでの積雪は多く、3階建て雷鳥荘の1階入口は、雪ノ下に埋もれて、3階から出入りしていた。

 我々のメンバーは4人であった。

 春山スキーを楽しみ、立山三山縦走や、奥大日岳登山等を行った。

 すっぽりと雪に覆われた奥大日岳へは、室堂乗越下方の雪斜面をトラバースして到達した。このトラバースは、重い雪面であった。

 雪崩の危険をも感じながらであった。

 また、立山縦走は、雷鳥沢から別山乗越経由、別山・真砂岳・大汝山・雄山・一の越・雷鳥沢へと周回した。

 鮮明に記憶しているのは、雄山頂上付近での登り道で、加茂の前を行くメンバーの一人が、突然、足を滑らし、数メートルを滑落したことであった。

 一瞬、ひやりとしたが、ピッケルを雪面に打ち込んで、事なきを得た。

 このキャンプは,好天に恵まれ、春山を満喫した。


 この時の写真も見てみた。

 同じく、白黒写真であった。

 同じ仕事場の、写真好き仲間が、自ら現像し、印画したものであったが、手札形よりも大きいサイズばかりである。

 4人のメンバー全員が、雪上でおどけている場面もあった。

 私、加茂は、細身のスキーズボン姿である。

 膝までの長いソックスを、ふくらはぎまで、ずらしていた。

 全員が、驚くほどの若さである。

 好天に恵まれていた。

 夜は、氷点下の寒さであったが、日中は、濃いコバルトブルーの空のもと、薄着でも、汗ばむ程の陽気さであった。

 4人ともに、同じ山岳会色の、エンジ色のユニホームシャツ姿である。もちろん、白黒写真であるが、それぞれに、開放的な、おどけたポーズを取っている。

 これらに関しては、加茂には十分な記憶がある。

 これに比べて、6月と思われる、大山登山の記憶は、全く無いのである。


 加茂は、これらの写真を見くらべた。

 2か月以内の時期に撮ったと思われる、二つの山行の写真である。

 そこには、明白な違いが見て取れた。

 服装が違った。

 先ずは、登山シャツ。共に、襟付きで前開きボタン式である。

 立山での写真には、エポレット(肩章)が付いている。所属山学会公式のユニホームである。

 大山の写真には、このエポレットが無い。

 次に、ズボンも異なる。

 立山の写真は濃い、黒色である。

 加茂の記憶でも、彼自身のスキーズボンは黒色であった。

 それに比し、大山の写真の色はグレイ色に写り、生地も粗く見える。

 然しながら、何よりも決定的な違いがあった。

 それは、当時、所持していなかった、膝までのニッカーズボン姿であった。ストッキングに関しても、記憶が無い。

 大山写真の違和感の意味が、次第に解かってきた。

 大山写真に写っている自分(?)の服装に、記憶が無いのであった。


 しかし、謎は深まるばかりであった。

 解決に導くかも知れない一つの方法は、大山写真に写っている加茂らしい男は、自分では無いとする、ことであった。

 これが加茂にとっては、最も自然で、妥当な結論であった。

 謎は残したままではあるが。

 

(二)

 

 そんな事もあってか、視神経にも負担が増して、持病の頭痛の頻度も増した。

 病院にも行くことになった。

 病院は、発病の初期に通ったところの、ある大学の付属病院であった。

 ラジオアイソトープ検査も受けたのもこの病院であった。

 脳神経外科を紹介されて、診察を受ける。その後、待合室で待つ。

 約1時間後、ようやく声がかかった。

 以前に検査を受けた、郊外にある建物での、再検査をすること、であった。

 日時を指定して、後日行くことになった。


 郊外、山すその建物は、以前の時とは異なる様相となり、名称も”コスモデベロップメント・HU"に変わっていた。

 加茂は、受付窓口で、医者からの紹介状を手渡した。

 封書である紹介状の内容は不明である。

 ややあって、一人の老年者が現れた。

 彼は、少しばかり離れた位置で、しばし、加茂を眺めるように立ち止まり、それから歩みより、言った。

 「加茂明永かもあきながさん?、ですね」

 「そうです」

 「体調は?いかがですか?」

 「最近、不調気味です。ここで、40年前に、検査を受けたことがありますが、その時と同じ症状です。今では、私の持病になっています」

 「なるほど」

 やや間をおいて、医師らしき、老年の男は言った。

 「40年前に、カプセルの中の、あなたを検査したのは、わたしです」

 「はっ、そうでしたか」

 確か、その時は、若くて気鋭の男性だったとの記憶がある。

 今では80歳位だろうか。スリムであり、健康な感じがある。

 「今日も、あの時と同様の検査をしていただけるのですか?」

 検査機能は、進歩している筈だと思った。


 「いいえ、実は・・」

 老人は、なぜか口ごもった。そして、何かを思いつつ。

 「その前に、お聞きしますが」と、続けて言った。

 「あなたの近辺で、なにか、不審なことや、気がかりなことが起こりませんでしたか?」

 ”例えば、どんなことですか?”と返事をしかけて、はっと、加茂は気づいた。

 「あります!私にとって、不思議なことがありました。いまだに謎のままですが」

 加茂は老人に、自分の記憶には無い、門前との、大山登山の話をした。

 老人は黙って聞いていた後で、言った。

 「案内しましょう」と。

 施設は、40年前と様変わりしていた。廊下の横には、いくつもの扉がある。

 一つの扉を開けて、中へ入る。さらに奥まった扉の中へ案内される。

 かって、加茂の入ったカプセルに似た設備があった。

 「これですね?私を検査する機械は?」

 「はい、昔あなたが検査を受けた設備と同様のものです。しかし、今日は検査をいたしません」

 「はあー」加茂には、まだよくわからない。

 「この装置は、三次元構造スキャナーです。きわめて高性能です。物体の内部構造のすべてをスキャンします」

 「病院に置かれているCTスキャナーの様なものですか?」

 「あれとはかなり異なります。あれは、生体などの断層写真を撮り、内面を検査する装置です。写真として保存し得る装置です」

 「物体の内部構造をスキャンすると言うことは、動物の内部構造もスキャンすると言うことですか?つまり、分子・原子レベルまで?」

 「そうです」

 この瞬間、加茂は、大山登山の謎を解く鍵を見つけたと思った。

 「スキャンしたものは、保存もできるのですか?」

 と加茂は、重ねて確かめた。

 「保存装置もあります」

 「コピー装置は?」

 加茂は、矢継ぎ早に質問する。

 「あります。しかしながら、未だ完璧ではありませんが」

 「コピーされ、再生された生物は生きているのですね?」

 「そうです」

 「これは、凄い装置ですね!40年も以前から可動していたなんて!信じられない」

 加茂は、まさに信じられぬ思いで老人を見た。

 「それは真実です。信じてもらい難いことは理解できます」

 老人は、続けて、加茂に聞いた。

 「この建物の表札を見ましたか?」

 「コスモ・・、何とかでしたっけ?」

 「コスモデベロップメント・HUです。宇宙開発人間部門の意味があります。この建物は医療機関ではありません。人類が宇宙へ進出する場合を想定して造られた研究機関です」

 「人間もコピーするのですね?」

 「はい、より正確には、物体を遠く離れた場所へ、ファクスのように送ることです。ここでスキャンした物体を、離れた場所で、寸分違わずコピーすることです。これが研究開発の目的なのです」

 「でも、それでは、複数の同一物や、同一人物が存在することになる。倫理的にも大問題だ!世論は許さないんじゃないですか?」

 「だから、国際的にも、秘密裏に進められています」

 「私に喋っても?」

 加茂は急に不安になってきた。

 

(三)


 「理由をお聞きください」

 と老人は、静かに語る。

 「人類が、宇宙を目指すとき、大きな壁に突き当たります。その一つは、物質の輸送を含め、人間や生物達の往来問題です。例えば、月に基地を建設し、人間が住む。さらに生活空間を広げてゆく。優れた設備と、優秀な人材が、長期にわたって必要不可欠となるのです。さらに、ハイテク技術製品を含め、一般的な日常品や食料品にいたるまで、あらゆる物を生産する場が、必ず必要になるのです。

 しかしながら、現状を見ると、これらは、遠い未来の夢としか思われません。なぜならば、輸送手段が大きな課題として立ちふさがっているからです」

 老人は一息いれた。

 

 「人や物を合成する手段として、コピーを選んだのですね」

 加茂は言葉をはさんだ。

 「そうです。無線伝送コピーを選んだのです」

 「コピー受信機を、再生する場所に造らねばならない。そこには、ファクスのインクに相当する、あらゆる元素が準備されていなければならない」

 加茂は、思いつくままに口に出した。

 「そのとうりです」と老人。

 「それ自体が、気の遠くなることの様に思えます」と加茂。

 「しかし、現実に進展しています」と老人は動じることもない。

 「お見せしましょう」と老人は歩き出した。


 廊下に出て、さらに、戸外に出る。

 小型のRV車がある。

 若い男が、運転席に座る。

 加茂と老人は、後部座席に乗る。

 「C-5へ」と老人が若い男に告げる。

 男はうなづき、車が発進する。舗装された道路を進み、山中を蛇行して、上部へと上がる。

 頂上に、円盤状のアンテナを備えた建物があった。

 車は、そこに止まり、三人は建物の中に入った。

 山麓の施設と同様に、廊下があり、そこここに、扉がある。

 山をくり抜いたのであろうか、外見以上に、大規模な施設である。

 扉を一つ開けて、中へ入る。さらに、内部の扉を開ける。

 老人が指し示した。

 「コピー装置です」と。

 様々な機器や計器に取り巻かれた、円形の大きな室内、中央に小型の乗り合いバスほどの、装置がある。

 内部が透けて見える。

 装置には、いくつものパイプが周囲から繋がっている。

 「これ等のパイプの向こうには、あらゆる必要な、分子や原子が準備されています。これから、コピー保存してあるニワトリを、再生します」と老人は加茂に告げた。

「コピースタート」と、運転してきた若い男が言い、装置の数か所をいじる。

 装置が、静かに稼働した。

 内部で、透明な液体と煙が噴出し、霧が発生する。

 短いプラズマが、連続して起こる。

 10数分後、徐々に霧が薄れてゆくが、やがて、クリヤに、物体が姿を見せた。

 赤い鶏冠を有した、白色の雄鶏であった。

 そのニワトリは生きていた。

 「取り出して、餌をやってくれたまえ」と老人。

 若い男がニワトリを取り出し、ケージに入れる。

 「私に、餌をやらせてください」加茂は申し入れた。

 加茂は、餌を与え、ニワトリに手で触れた。生命感にあふれていた。

 「これは、マジックではないですか?」

 加茂の問いに、老人は、やや困った様な顔をした。

 「マジックは、魔法ではありません。必ず、タネがあります。このコピーは、マジックを超えたマジックと言えます」

 「タネも仕掛けもあるマジックだ。私のコピーも、このコピー装置で造られた。40年前に」

 思わず加茂は、興奮し、老人を凝視しながら叫んだ。

 老人はうなづいた。


 「私のコピーは!、彼は、今どこにいるんですか?」

 言いようのない不安と好奇心が入り交じり、加茂は思わずよろめいた。

 若い男が、彼を支えた。

 「彼は、ここにはいません」

 「何処にいるんですか?」

 座らされた椅子で、身を乗り出すように、加茂は聞いた。

 「ゴビ砂漠で、砂漠緑化の研究に従事しています」

 「ゴビ砂漠で、緑化の研究・・?、すでに40年も経過している。彼は、私とは、ずいぶん違っているだろうな?」

 加茂は絶句しそうになった。

 「40年前の、私のコピーは、もういないんだ」

 加茂は、力なく呟いた。


 ”私は、何故ここにいるんだ。彼らは何故、私をここに導いた?”

 茫洋とした思考で、加茂は自問する。

 「今でも、若い時のあなたは、保存装置のメモリーの中にいます。コピーはもちろん禁じられていますが」

 と老人は言う。

 「もう、どうでもいいです。疲れました」

 加茂の気持ちの一旦が、言葉になって出てしまった。彼は、出来ることならば、横になって眠りたかった。

 「若い頃の、あなたを、お見せしましょう。このヘルメットを付けてください」

 老人が、若い男に向かって、頷いた。

 椅子にもたれた加茂の頭部に、若い男が、半ば強制的に、コードの付いたヘルメットを装着した。

 

 (四)

 

 持病の頭痛の頻度も増し、かって受診したことのある大学付属病院で、診察を受けた。

 新進気鋭らしき、若い医師が、最新の検査機器を用いて、検査をしてくれた。

 

 診察結果は、緊張性の片頭痛であった。

 ”ゆったりと生活することが、最良の治療法である”と告げられた。

 これは、加茂自身の思いとも合致していた。

 人生、ゆったりと生活することは、かなり難しい。

 そんな日々、門前との交信も遠のき、大山登山の謎も、心の片隅へとと、忘れがちになっていた。


 20XX年、平和を取り戻しつつあった時代、世界は広い分野において、協力体制を構築しつつあった。

 加茂はすでに70歳をこえていたが、相変わらず、山登りを続けていた。

 妻と共に山に登り、ロッジに宿泊する日もあった。

 そんな晴れた日の夜には、二人して星空を眺めた。

 星空は、加茂達の若い頃とは異なっていたが、やはり美しく、そして彼らの心をとらえる。

 若い頃と異なっていた理由は、その時代が、自然に満ちた、きれいな空気の田舎であった、と言うことである。

 今は、空気の澄んだ高山の夜空にあっても、明かりをもって、移動する人工衛星が多い。さらには、ライトを点滅させながら飛ぶ飛行機が多いのである。

 月も星も、太古から変わらず、少なくとも、人の目には、その様に見えるのだが。

 しかし、人類は宇宙へと伸びようとする。

 身近な月への思いも、時代と共に変わってくる。


 人類が再び、月に立ってから久しい。

 小規模だが、月の基地も建設されている。

 月や、月の基地に関する情報も、マスコミを通じて流されている。

 巨大な人工衛星も、地球の周りを回っている。

 その巨大な人工衛星の名は、プテラノと名付けられていた。

 前世紀の、翼飛竜に因んだ名称である。

 搭乗する飛行士達の名が、写真付きで紹介されていた。

 以外に思えるほどの少人数であった。

 その中には、日本人も一人いた。名は、邯鄲壮かんたんたけしであった。

 出身地や経歴は簡単に紹介されていた。

 マスコミが彼の正体を求めて動いたが、不明のままである。


 加茂も、同じ日本人として、彼に注目した。

 妙に惹かれるものを感じたが、それが何であるかは理解できなかった。


 ある夏の夜、加茂は、自宅の二階の、ベランダで、床几しょうぎに寝ころび、星空を眺めていた。

 満天の星月夜であった。

 こんな夜は、決まって、彼の脳は活性化するのだ。

 少年のように、夢が、想いが、遠く宇宙の果てまで広がってゆく。

 宇宙の何かが、地球の、日本の、田舎の町の、小さな家の、ベランダに寝そべって、空を見上げている自分に、眼を注いでいる。

 彼自身の心も、宇宙に飛んで、彼自身を見ていた。

 そんな、幸せな実感にとらわれる。


 プテラノは、視界の中を、ゆっくりと移動していた。

 プテラノが、寝そべった加茂の頭上を、ゆっくりと通過しかけた。

 赤い、プテラノの光を眺めていた加茂は、不意に気が遠くなった。


 (五)

 

 邯鄲は、以前、コスモデベロップメントHUにいて、老人と共に、山頂の建造物に、加茂を案内した、あの男であった。

 彼のプテラノでの役割は、コピーと電送であった。もちろん、対象は、生体をも含めたものである。

 所属する室名CP-5には、コピー対象物に適応すべき多くの元素が準備されていた。

 コピー装置や電送装置には小型スーパーコンピュターが付属していた。

 これらの装置は、内部での、やり取りにも、正常に機能した。

 邯鄲は、自らの嗜好品である日本酒を、一瓶増やした。

 ペットとしての、ハムスターも一匹再生した。

 更に、数種の実験も、すべて成功した。


 だが、より重要なことは、外部からの電波信号をキャッチし、メモリーに保存すると共に、コピー装置で再生することであった。

 地球からの発信元は、あのコスモデベロップメントHUの、山の建物C-5からであった。

 そこでは、数人の技術者が、作業に従事していた。

 指揮をとっているのは、あの老人であった。

 加茂が、この施設を訪れてから、およそ10年が経っていた。

 しかし、この老人の風貌には、さしたる変化はなかった。

 これは、健康な老人に見られる特徴であって、ある程度の年齢に達した後は、風貌の変化は少ないのかも知れない。

 彼らは、先ずは、無機物である食器皿を、発信し、成功した。

 次に、食料である、パンを発信し、これも成功した。出来立ての温かい、ふっくらとしたパンが、邯鄲の手元で、コピー再生した。

 次々と、様々の形態の物が発信され、全てが成功裏の終わったのであった。

 

 実験は、最終段階に進んでいった。

 生体の発信とコピー再生へ、である。

 草・木・虫・魚・爬虫類・鳥・マウス・家畜類等である。

 全てが順調に発信され、プテラノ内に記憶され、コピー再生されていった。

 一番最後に残された発信物は、人間の生体であった。

 若い技術者の一人、草堤茂内くさつつみもないが、発信人間となった。

 スキャンされた彼の個体の全データが、プテラノのCP-5に向けて発信された。

 草堤の身体は、身に着けた衣類ごと、CP-5の邯鄲の目前に出現した。

 この瞬間から、二人の草堤が存在することになったのである。

 CP-5に現れた草堤は、邯鄲に挨拶をした。

 歴史的な瞬間ではあったが、世間には、未だ極秘であった。

 コスモデベロップメントHUでの草堤は、スキャナーを出た。

 コピーであるプテラノ内の草堤は、別な履歴を歩むこととなる。


 ともあれ、地球と人工衛星間の、無線生体電送コピーは成功した。

 コスモデベロップメントHUでは、もう一つの計画も課せられていた。

 それは、脳内記憶を操作することであった。

 この計画の、主なる目的は、若い健康な身体に、豊富な経験と知識をインプットすることであった。

 これが、宇宙開発にとって、大いに有効であると考えられたのであった。


 人間には、300億個(大脳に200億個、小脳に100億個)もの、細胞がある、と言われている。

 同等の大きさのPCを比較した場合、その多様性と広がりにおいては、人間の脳の敵ではない。

 PCの脳とは、CPUとメモリーであろう。

 PCのメモリーでは、追加と消去が可能である。

 人間の脳には、無数のメモリー残量がある。

 記憶をつかさどる部分は、主に大脳皮質にあると、言われている。

 大脳皮質を操作して、人間の記憶を、人為的に、追加したり、消去したりすることが、可能であるとの考え方があった。

 コスモデベロップメントHUでの試験で、これは成功した。

 加茂明永もこの被検者である。

 彼は、コスモデベロップメントHU(CHU)での記憶を消されていた。


 記憶を追加する場合には、同じ体質の人間の間で行うことが、最も良い結果であった。

 つまり、コピー体に対しての結果が、最良であった。

 計画では、若いコピー加茂明永に、ゴビ砂漠で、経験を積んだコピー加茂明永の記憶を。追加上乗せしたかったのである。月基地での、有用な人材を意図して。

 彼らは、CHUで実験することなく、直接に、プテラノに向かって、その操作を行った。その実験の成功を確信していた。

 CHUに保存されていた若い加茂のコピーに、ゴビ砂漠での経験を持つ加茂の脳のコピーが上書きされて、プテラノに向けて発信された。

 

 (六)

 

 我が家のベランダで、床几に寝そべり、人工衛星プテラノの移動する、星空を眺めていた加茂明永は、何故か急に、気が遠くなった。

 それは、CHUから、彼自身の変形したコピー情報が、プテラノのCP-5に向けて発信された直後であった。

 CP-5の室内では、邯鄲や草堤達が、送られて来る電波に基づいた、加茂明永の再生を待っていた。

 

 カプセルの霧の中から、若い加茂が現れた。

 彼は、不思議そうに、辺りを見回した。

 「ここは、何処ですか?」そして

 「頭の検査は、終わったんですか?」と、言った。

 邯鄲達の返事を待っている。

 邯鄲と草堤は顔を見合わせた。

 しばしの後、邯鄲が答えた。

 「大よそは、終わりましたが、もう一つ検査をします。そこへお座り下さい」

 上部にヘルメットの置かれた椅子を指示した。

 若い加茂は、示された椅子に座った。

 「あれ!私の服が変わってる。あなた方と同じ服装だ。何故ですか?知らぬ間に・・」

 と、彼は驚き、不思議そうに言った。

 「あなたは眠っていましたので、我々が検査の必要上、着替えさせていただきました」と、邯鄲が説明した。

 若い加茂の頭部に、ヘルメットが装着された。

 スイッチが入れられ、彼の意識が遠のいた。

 「失敗だ!」草堤が言った。加茂が頷いた。


 (七)

 

 ベランダで仰向き、天空を眺め、極めて活性化していた加茂の思いは、彼の身体から遊離して、宇宙空間を飛んでいた。

 プテラノが、その軌道上で、下から見上げる加茂の真上に来た時、彼の思いが、ふっと乱れて、急に意識が遠のいたのだ。

 プテラノは軌道上を移動し。加茂から遠のいて行く。

 加茂はそのままで、眠ったように動かない。

 

 時刻が流れた。

 ベランダで過ごす時間が長すぎる。妻が様子を見にやってきた。

 「まあ!、こんなところで寝てるの?」

 「風邪引くよっ」

 加茂の肩に手をやって、揺り動かす。

 「どうしたの? よく寝ていること!」

 さらに強く揺する。

 加茂は目を開けた。

 妻を見つめる彼の表情に、妙な戸惑いがある。

 「ここは何処だ?」

 「何言ってんの! 寝ぼけて!」

 妻がとがめた。”しっかりしなさい”と、肩においた手に力をこめる。

 彼は起き上がった。

 夢遊病のごとく歩き始めた。

 呆気に取られる妻を置いて、屋内に入り、寝室に向かい、寝床に入った。

 「どうしたの?」

 妻の不安そうな声である。

 加茂は僅かに反応するが、無言である。

 横で動かない妻。

 かなり経ってから、加茂が言った。

 「心配するな。遅いから、寝てくれ」

 「気分が悪いの?」と妻が聞く。

 「少し、でも心配するな、眠ろう」


 翌朝になり、妻は眠りから覚めた。夫を見ると、彼は寝不足のようであった。

 加茂は、その後も数日を、妻から見ると、これまで以上に、漠然と過ごしていた。しかし、食欲も、ほぼ正常に有り、さして体調が悪いとも思えなかった。

 しかしながら、突如として、無口になったり、独り言を言ったりする事もあり、妻は心配であった。


 あの時、プテラノに向かって、CHUから発信された、コピー加茂のデータは、自宅のベランダに寝そべり、プテラノの通過する星空を眺め、空間に浮遊していた彼のスピリットと、接触した。

 ゴビ砂漠で経験を積んだコピー加茂のデータは、若体の加茂のコピーデータには上書きされず、ベランダで、思いに耽る加茂のスピリットに合体した。

 ベランダでの、加茂の意識が遠のいたのは、この瞬間だった。

 加茂は、自分に起こった、この現象に戸惑っていた。

 動揺し、心の安定に、時間がかかっていた。

 20代過ぎてからの人生経験が二重になっていたのである。

 20代の、あの日以後の経験が、別々の経験を持つ二人の加茂が、一つの脳の中に存在する。

 ボディは、ベランダ加茂のままである。

 ゴビ砂漠で経験を積んだコピー加茂のボディ経歴は無い。多くの傷跡も、皺も病歴も無い。


 今や、加茂の記憶は二重である。

 その中には、門前と共に登った、大山の記憶もあった。

 ゴビで、共に過ごし働いた多くの友人、老若男女の、つい最近に至るまでの記憶があった。

 しかも、ゴビでの彼は、おそらく、今もゴビで存在し続けていると思われる。


 「これは罪だ!」と、加茂の二重のスピリットが叫んだ。

 「別離、生き別れ!戻すことの不可能な、悪魔の仕業だ!」

 ゴビの経験を持つ、両加茂のスピリットが呻いた。

 

 加茂は、若い頃に読んだ一冊のSFを思い浮かべた。

 アルフレッド・べスターの長編小説”虎よ!虎よ!”であった。

 遥かなる空間で、廃棄された宇宙船の中に、唯一人で、見捨てられた男が、テレポーテーション能力を得とくし、自分を見捨てた人間達に、復讐する物語である。

 主人公は、極限の苦しみのなかで、テレポーテーション(瞬間移動)能力を身に着けた。

 自らの身体テレポーテーション能力であった。


 しかしながら、今回は、より複雑な、入り交じった記憶の同居を伴うポーテーションである。

 科学力による、ポーテーションである。

 偶然、関りを持ってしまった加茂の心も、尋常ではないのだ。

 

(八)

 

 後日、CHUで、あの老人は、加茂明永が来るのを待っていた。

 彼等は、加茂に起こった状態を、キャッチしていたのだ。

 老人の予想した通りに、加茂はやってきた。

 脳が二重経験意識を持つようになってから、ほぼ一か月が経っていた。

 

 「あなた方のやっている事は、あまり良いこととは思えない」

 応接室の椅子に座ったあと、加茂が切り出した。

 「あなたの苦しみは、直ぐに治してあげます」と、老人は直ちに返事をした。

 「あなた方は、身体だけでなく、脳までコントロールしようとしている。それ自体が罪なことですよ」と、加茂は言った。

 「あなたの脳に、二重の記憶を生じさせたのは、我々の誤りでした。深くお詫びいたします。ゴビ側に関する記憶は、消去させていただきます」

 と、老人は、冷静な表情で語る。

 「人類は古来より、身体や脳をコントロールすることに、時間を費やしてきました。罪なのは、身体や脳をコントロールすることではありません。停滞することです」

 「停滞が罪?。そうは思えません」加茂は同意しかねた。

 「進歩が罪である。とも言えますよ」とっさの、加茂の意見であった。

 「滅びの理論です。停滞は人口過剰を呼ぶ。あるいは病気のまん延を呼ぶ。資源の枯渇を呼ぶ。数え上げれば切りがなく、不幸を呼びます」と、老人。

 「科学が欲望を満たし、また欲望を助長しています。争いは、欲望のぶつかり合いでしょう?」と、加茂。

 「不幸を減らしているのが科学です」と、老人。

 加茂は、水かけ論だと感じた。

 両者の意見には、人間の持って生まれた本質が含まれている。

 進歩であれ、停滞であれ、人間は、その本性に従って行動する。

 欲する好奇心を満たすために、行動する。


 「罪なのは、何かの目的のために、不幸な人をつくることです」

 さらに、加茂は続けた。

 「例えば、私のコピーが、月で再生されたとします。彼は、広漠たる未開の地で、困難な目的を背負って生きねばならない。苦しみの内に死をむかえるかも知れない。例えそれが、崇高な目的であったとしても、オリジナルの私が同意していたとしても、コピーの彼は、私では無い。あなたの考えは間違っている」と、加茂は興奮気味に、一気に喋り続けた。

 

 「まあ、まあ、落ち着いてください」

 老人は、軽く片手を挙げる仕草をして、言った。

 「科学者は、十分な慎重さに基づいて行動します。我々は、誰かを不幸にするのでは無くて、人々を幸福にするために活動しているのですよ」

 「お茶か、何か飲みますか?、タンポポ茶は、いかがですか?」と、老人。

 タンポポ茶には、鎮静作用があると言われている。

 加茂も、タンポポ茶は好きである。

 研究者らしき、若い男が、カップを盆に乗せて運んできた。

 「砂糖は、いくつですか?」

 「ふたつ」と、加茂は答えた。

 老人も飲んだ。加茂も飲んだ。

 マイルドで、独特の味わいがある。

 直後に、加茂は後悔した。睡眠薬が入っていたかも知れぬ、と。

 不安の面持ちで、老人の顔を見た。

 老人は、うつろな目で、加茂を見ていたが、すぐに目を閉じた。

 つづいて、頭を垂れた。

 

 「眠りました」と、飲み物を運んできた若い男が、加茂を見ながら言った。

 「睡眠薬が入っていたのですか?」

 「はい」

 「何故?、こんなことを?」またもや、突然すぎる。理解し難い現象であった。

 「これから、説明いたします。少しお手伝いしてください」」

 

 寝かされた老人の頭部には、ヘルメットが着けられている。

 ここは、立体構造スキャナーのある部屋である。

 かっては、加茂も訪れた部屋であった。

 「彼の、脳を、お見せしましょう」液晶画面の前で、若い男は、加茂に説明する。

 液晶画面に、一瞬、2114の文字が現れ、直ぐに消えた。因みに、加茂のパソコンでは、WIN2014が現れる。

 画面には、多くのフォルダが表示されている。

 「彼は、コンピューターですか?」驚きの連続が、翻って、加茂を冷静にした。

 「そうか、彼の脳には、コンピューターのデータが入力されているのでしょう」と、加茂は看破するように言った。

 「そのとうりです。少し古くなりました。旧いデータを消去して、最新のものに更新する必要があります。これから、それを行います」と、若い男が、事も無げに言う。

 加茂は、この若い男の口調が、老人と似ていると思った。

 彼も、コンピューターを入力された人間(?)かも知れない。

 「あなたに関する、彼の、脳内データを消します」そして、数分が経過した。

 「もう、彼の脳裏には、あなたの記憶がありません。ところで、あなたも、ご自分の脳を、画面で見たくありませんか?」

 加茂は、とんでもない、と思った。

 「あなたの目の前で、あなたの中のコピー側のデータを、消してあげます。あなたのプライバシーデータは、開きません」加茂の内心を知ってか、若い男は言った。

 

 二重の、複雑な想念に、加茂は悩んでいた。コピー側の想念は、自らである記憶消去に抵抗する。

 このままでは、加茂は、発狂しそうであった。

 彼らは、おそらくは、100年後の、コンピューターとコンタクトしている人間達だろう。

 加茂は、頭を抱えた。彼の顔は苦痛で歪んだ。

 「もうっ、元に戻してくれ!」と。

 「落ち着いてください。ほら、タンポポ茶です」

 若い男が、ポットから、飲み物をカップに注いだ。

 苦痛から、逃れたい加茂が、それを飲んだ。


 (九)

 

 加茂の治療は成功していたらしく、彼は、落ち着きを取り戻していた。

 2015年春、加茂は75歳になった。

 所属していた、ある企業の山岳会のOB会が開催されて、加茂も出席した。

 参加者の中には、門前もいた。

 近況や、過去の話に、あちらこちらで、花が咲く。

 加茂も話す。

 「私は、近郊の山々で、山頂だけでなく、主な稜線を、ほぼ全て歩きました。ささやかではありますが」と。

 「ささやかではありませんよ。そう思うのは贅沢ですよ」

 そう言ったのは、あの門前であった。

 「私なんかは、山登りも、儘にならぬ環境におかれましてね。最近になって、ようやくゆとりが持てる状態になったと思ったら、もうこの歳です。あなたが、羨ましい」と。

 「やあ、すまない」

 加茂は門前に謝った。

 門前の奥さんは、アルツハイマー病に罹り、長く介護したが、最近に他界したのであった。

 加茂は門前に同情した。そして

 「今度、もう一度、大山に登らないか?」と、言った。

 加茂自身に、記憶は無いが、かって門前が、二人で登った、と言った、大山登山を提案したのであった。

 「えっつ、もう一度ですって、私は、大山に登ったことなどは、一度もありませんが?」

 と、門前は言った。

 「おいおい、君が言い出したことだろう。私と登ったんだろう?大山に!」

 門前は、ポカンといて聞いている。

 「君は、君の言ったことを納得させるために、登頂した際の写真まで送ってきたんだ。君が大山に、一度も登らなかったって?、それは無いよ」

 「でも、私には全く記憶が無いんですよ」

 と、彼は、大真面目であった。


 (十)

 

 これより、一か月ほど前のことである。

 CHUで、老人と若い男が話していた。

 「人の記憶を操作することには、無理があります」

 若い男が言い、老人がうなづく。

 「我々の時代に到達した人類は、我々が想像していたような、我々の協力は無かったのかも知れませんね」

 「我々は、22世紀に戻ろう」

 「可能な限りの痕跡を消して」


 2019.10.25 改訂版(完)

 旧版 2004.10.31 (完)

 

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