偽装生活の訪れ
エロじゃないです。エロじゃないです。
そうだ、王子になろう。
先ほど切った自分の髪を掃除した後、私は王子になる事を決意した。
私はさほど身分の高い王女ではないから今のままだと身を守る術も教えてもらえないまま王弟の側室ーズの仲間入りをしてしまう。それは流石に不味い。てか嫌だ。
だったらまだ身分の低い王子として生きる方が戦場に真っ先に行かされるだろうが自由度も高いし隙を突いて逃げ出す事もできるかもしれない。勉強や魔法も教えて貰えるし。
ではどうやって王子になろうか?
……まず、私の家は大した力の無い子爵家だし今は国の数打ちゃ当たる作戦で王族の子供が大量発生してる訳だから王子が一人増えた所で管理がずさん過ぎて気づかれる事もないだろう。逆もまたしかり。
つまり
「とりあえず王子用の服を貰わなきゃな」
侍女のマリアさんを呼ぼう。
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おかしい、侍女のマリアさんがいない。
勝手に城の中を歩き回って探してみたけど(王女なのに護衛が一人もいない)何処にもいない。
つまり仕事をどっかでサボってるって事だよね!?良いの!?王女付きなのに!!??
城の中を走り回った所為でとても疲れた私はベッドに倒れこんだ。
……自分の扱いの雑さに落ち込んだ。私はベッドに不貞寝しようと思う。起こさないでくれ頼む。
「あぁっ、やめてくださいましぃ❤︎王子様っ❤︎❤︎そのような事ぉぉ❤︎❤︎❤︎」
「良いではないか良いではないか」
「あぁ〜、ダメなのにぃ〜感じちゃうぅ〜」
……隣の部屋から男女の淫らな声が聞こえてくる。
おいおいふざけるなよまだ昼間だぞしかも隣は幼女の部屋だぞトラウマ与える気かよてか何番目の王子だよ。悪代官みたいな台詞吐きやがって。
……しかしこの声聞き覚えがある。
「ああん❤︎王子様ぁ〜❤︎❤︎❤︎」
「あぁ、お主はなんとも豊満な身体を持っているではないか、マリアぁ……」
Oh.dear………
探し回った侍女は隣の部屋で肉体労働に励んでいたようだ。
この国滅んだ方が良くね?
その後私は無事にマリアさんから王子の服を受け取る事が出来た。全く疑問に思われなかったのでやっぱり自分の事を見てくれる人はいないのだと思い知った。
が、私はその事で落ち込む前にマリアさんが乱れたままの格好で私の前に現れた事の方がショックだった。
言っておくがマリアさんは侍女だが男だ。40代後半のおっさんだ。
自称女のおっさん侍女がその禿げあがった髪を解れさせ、メイド服のボタンが4つほど弾け飛び、そのたゆんたゆんなお腹ががエプロンを捲り上げ、その脂ぎった顔にある円らな黒目が潤んでいるのを見てしまった私はSANチェックです。
……失敗っ!
ヤバいかもしれない。この城での生活。
SAN値ピンチSAN値ピンチ!!