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赤毛姫よ、逃亡せよ!  作者: バール
お城時代
2/12

赤毛姫よ、逃亡せよ!

放置しててすみません!

『赤毛姫の寵愛』というゲームについて説明しよう。

このゲームは架空の男性との疑似恋愛シミュレーションゲーム、所謂乙女ゲームというやつだ。

前世での私は乙女ゲーム勢ではなくどちらかというとBLゲーム勢だったがこのゲームにはかなりハマっていた記憶がある。


ストーリーが素晴らしいのだ。


まずこのゲームの主人公はある王国の側室から産まれた位の低い王女だが突然赤毛になった事により事態は一変する。

その国にはある言い伝えがあった。その国の王族の祖先は赤い髪をした非常に力の強い神であったとされ、その血をひく王族は皆髪が赤く、そして他のどの国々の王族よりも強い魔力を持っていたという。しかし代を重ねるごとに神の血は人間との婚姻のために薄まっていき、主人公の代にもなると王族の力は弱まり、純粋な赤毛を持つ者はほとんどいなくなっていた。(いたとしても灰色がかったくすんだ赤色だった)


そこで主人公が突然変異的先祖返りを起こす。利用価値のない忘れられていた数ある王女の一人から王族である正妃から産まれた王子達よりも重要な存在になってしまったのだ。

国としてはその濃い血脈をより多く産んでもらいたい。そのために主人公が18歳の成人となった日に王家の血をひく王族、貴族を送り込むのだ。


まぁそれが攻略対象なわけですよ。


主人公は苦悩する。自分が子を産むだけの道具なのではないかと……。その悩みを攻略対象者と分かち合い、最後には自分の最も寵愛する相手を選ぶというのがこのゲームの内容だ。



とっても面白かった。


主人公は嫌いなウジウジ系だったけどたいして暗いシーンもないし、どっかの某吸血鬼を題材にしたゲームのようにドSと言う名の拷問されることもない……。











でも現実となれば話は別。




だってぶっちゃけゲーム内でヒロインちゃんが悩んでいた通りヒロインちゃんはただの子供を産むだけの道具だ。恋愛描写で隠されているけどそれはよく考えればわかること。

それにもう少し考えてみればヒロインちゃんは赤毛にならなければ酷い扱いを受けていた筈だ。情勢の悪い他国に嫁がされたり、王族の血を増やす政策のために好色で有名な王弟の側妃にされていたかもしれない……。


つまりこの国では利用価値のない王族の子、それも王女になんて人権はないのだ。










蘇った前世の記憶を整理した後、私は目を開けた。


相変わらず私の燃えるような夕陽色の髪はその強い魔力を表すかのようにキラキラと輝いている。




『私が……教えた魔法……忘れちゃダメよ……私がいなくなっても、隠さなくちゃ……』




お母様が死の間際に必死に言っていた言葉を思い出す。



私の髪はお母様が死んだ後に突然変異したわけじゃない。産まれた時からずっと赤かった。

お母様は大した後ろ盾のない私が様々な事に利用されてしまうのではないかと危惧していたのだ。


お母様は非常に頭の良い方だった。


……そこを危ぶまれて排除されたのかもしれないけど。




「……大丈夫、お母様。私は赤毛姫になんてならないわ」



私は鏡に映る自分に向かっていう。



私はこの赤毛を隠して生きなければならない。


お母様を殺したこの国を助けるために何故自分を犠牲にしなくてはならない?


よくわからない男と結婚しなければいけない?







今世でも自由を奪われなくてはならない?





「私は今度こそ自由に生きるのよ」




《ーーーーーーー》




私は呪文を唱えた。


お母様が最後に教えてくれた呪文を。



鏡の中にいる私の髪に変化が現れた。

みるみるうちに黒く染まっていく赤毛。


数十秒後には鏡の中には緑の瞳をした黒髪の少女が微笑んでいた。


お母様が教えてくれた呪文、それは《髪の色を変える魔法》。


お母様からの最後の贈り物。




「さぁ……二度目の人生の始まりよ」



ジャキリ



私は腰までかかる髪を掴むと肩から下の髪をハサミて勢いよく切った。





そういして私、フェリス王国第18王女、クラリス・ウェイク・フェリスは赤毛姫ではなく、そして王女ですらない王子としての偽装生活を始める。


この時はまだ、後に世界を揺るがす事件が起きる事も、前世での因縁が絡み合う事も、私は知る由もなかった。







これ、終わるんでしょうか\(^o^)/

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