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第25話  フィナーレ! ~ぬるぬる触手とアップルミント香る白くネトつく何かを添えて~

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この先ニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロニョロな感じなので苦手な方お気を付けください!


 あ、でもちゃんとKENZENな内容になっているから安心してご覧下さい。

 

 でも念の為に言わせてもらうと――



 運営様。どうか見逃して下さい。



「たあっくさん……気持ちよくぅ、してあげるからねぇ…?」


 アルラウネタイプ巨大モンスター、禁獣ブルトゥームはそう宣告した。


「――はっ!?」


 ほぼ同時にヴェタルが【ピヨリ】状態から回復し――


「いや何これ気持ち悪いぃっ!!」


 自分を拘束するぬめぬめ触手に嫌悪感を示す。


(えっ!? っていうか何で裸!? 私こいつが召還される直前までAP(アーマーポイント)満タンだったわよ!? まさか、さっき触手にしばかれただけで【オールブレイク】した挙句に【ピヨリ】状態になったっていうの!?)


 更に言えばその一撃で2000弱のダメージを受けてしまっているのだが、【ピヨリ】状態だったヴェタルがそれを知る由は無い。


(じょ、冗談じゃないわ…! 弱点の炎属性を吸収する上に一発でAPを全部もっていくなんて…! まともに相手をしていられない!)


 こうなったらこの召還モンスターは徹底してスルーだ。どっちみち召還主を倒せば勝ちなのだから、この化け物に構う必要は無い。

【拘束】状態でも【霧化ミスト・ボディ】は使えるので、それで脱出してからあのピンクを集中攻撃だ!


 と思った矢先だった。


 ――プス。


「いたっ…!?」


 首筋に注射でも撃たれたような痛み。

 かと思うと突如、体が痺れ始める。まるで長時間正座をしていた時のような、あの感覚が全身に広がるようだ!


(マズい! 痺れ毒!?)


 と思った時にはもう遅い。

 視界の右下。ステータス異常を表記するスペースに【オールブレイク】、【拘束】の他にも【痺れ】が追加される。アーツとアビリティが使用不可になるステータス異常だ。


「うふふ~。逃がす訳無いじゃ~ん♪」

「このっ! 放しなさい! たかがアルラウネの分際で生意気よ!」

「あはは~♪ たかが吸血鬼の分際で生意気だねぇ♪」

「その辺の吸血鬼と一緒にしないでくれる!? 私は誇り高い純血種ピュア・ブラッドなのよ!?」

「へぇ~。誇り高い(・・・・)、かぁ~。だったらぁ~ちょっとテストしてあげる♪ ――【ラプチャーズ・アロマ】、オン♪」


 ぶしゅうぅ…!

 ブルトゥームが根付く花弁の中心から。触手の瘤から。或いは蔦から咲いた得体の知れない花から。

 桃色のガスが一斉に噴き出す。

 ブルトゥームが出現した時に、大気中に溢れ出した物と同じように見えるが――


 ドクンっ…!


「っ…なっ、あっ…!?」


 痺れている体が急に熱を持つ。

 まるで霞が掛かったように、意識がボンヤリとしてくる。


(即効性の…っ、媚毒っ…!)


 しかし、『マズい』と思う危機感すら急速に薄れていき、何の為に抵抗するのか――その理由すらも不明瞭になっていく。


「…あ…この……卑怯、ものぉ…」

「えへっ☆ ごめーん卑怯で☆ でも真面目にやったらぁ、私キミの事一秒でボコっちゃうからぁ~、別にいいよね☆ そんな事よりぃ~。早速始めよっか☆」


 一方的に言い放つと、ヴェタルを縛る肉の蔦が蠢き始めた。 



 ***



 ヤベー奴を呼び出してもうた!!?


 ヴェタルの思考を読み、駆け引きに打ち勝ち、切り札の召還魔法を成功した――まではいい。本当に、綱渡りのような勝負だったけど、100点満点を自分に上げたいくらいだ。

 初のパリィも上手く行ったしね。内心ホクホクだった。


 けど――


「う……あ…そこぉ……だめぇ…っ」

「えー? 何処がぁ? 何処がダメだなのぉ? どうダメなのぉ~♪」


 ニュルニュルニュルルルッ…♪


【オールブレイク】してSUPPONPONになったヴェタルに無数の蔦――いや、蔦の形をしたおぞましい触手が絡みつき、彼女を拘束する。白い肌に汚らしい粘液を塗りたくられる。

 モザイクを掛ける必要があるような場所にはキッチリと触手が這いまわっているおかげで、お茶の間が凍り付くような大事な所は見えない。


 けど。シュタットの街を焼く炎が、或いは月の光が粘液に濡れた肌を反射し、テラテラと輝いて――――実にエッチ!


「う、うなじ、うなじヌルヌルしないでぇ…っ」

「あははぁ~☆ そのヌルヌルが気持ちいい癖にぃ☆ ほぉ~ら☆」

「ひゃぁん…っ」


 ―――― こ れ は ア カ ン 。


 ひゃぁん、とか言っとるで!? あのヴェタルが!

 あのヴェタルが。シュタットを攻め落とし、数々の冒険者を手に掛け、洗脳し、アイセさんすらも打ち破ったあのヴェタルがやで!?

 あの高慢な顔つきが今では眉を八の字に寄せ、瞳を潤ませながら頬を真っ赤に染めている。

 それは――メスの顔とか揶揄されている――発情した女の子の顔だった。


「エッチな事ぉ、するなぁ…っ♪」


 言葉とは裏腹にヴェタルの顔も、声も蕩けている。


「えぇ~? じゃ~ぁ、止めちゃおうかなぁ?」

「え…? えぇ…? なんで止めるのぉ…?」


 ヴェタルが出した、猫なで声に思わずドキリとしてしまう。あれ、ほんまに同一人物か? と思えるくらいに、今のヴェタルは乱れて、蕩けていた。

 瞳にもすっかりハートマークが浮かび――多分、自分が何を言っているのかも分からない状態かも知れない。


「じゃあ、続けて上げるね♪ 今のはリラックスする為のマッサージ。本番はこれから♪ それ」


 ぬるぬるぬるぬるっ!


「あっ、あっ、あぁっ…! だめぇっ! みんな見てるのにぃ…っ♪」


 触手の動きが一段の激しくなる。ヴェタルの声も切羽詰まったものになり――部下の吸血鬼達が主の乱れっぷりにゴクリ、と生唾を飲んで観賞、もとい見守っていた。


「えー? 別に恥ずかしく無いから問題ないよー? だって今私がやってるのぉ、只のマッサージ、だしぃ☆ エッチな所、全然触ってないんだよぉ? 私が触ってるのはぁ、」

「ひゃん!?」

「すべっすべの太ももとかぁ、」

「ひうんっ!」

「毛一本生えてないキレーな脇とかぁ、」

「やぁん!」

「敏感なうなじとかぁ、」

「そこ弱いのぉ!」

「ぷりっぷりのO☆SI☆RIとかだよぉ?」

「ふあぁっ!? OSIRIだめぇっ!?」


 おー! 触手に苛められてヌラヌラになったデッカイOSIRIがぐにぐにと揉まれ倒されるとるでぇ…!


「他にもウエストのくびれと♪ すべすべ肌の二の腕と♪ とんがり耳の先と♪ それから足裏~♪」

「あっ♪ あ♪ あぁっ♪ もうだめぇ♪」


 どんどん触手に体中をなぶり、もといしゃぶられていくヴェタル。

 空に宙吊りにされてしまったヴェタルの体は、無色透明の粘液で汚され、もう汚れていない部分を見付ける事の方が難しい。まるで頭からスライムでも被ったかのような有様になっていた。

 そして、その声が更に色っぽく、蕩けていく。


「ああぁっ♪ もうダメぇ♪ ダメなのぉ♪【オー】するぅ♪【オー】しちゃうのぉ♪」

「しちゃう?【オー】しちゃう? 誇り高い純血種ピュア・ブラッドが【オー】しちゃうの?」

「もうっ、無理ぃ♪【オー】する!【オー】するの我慢できない♪ あ♪ あ♪ あ♪ あっ♪ あっ♪ ああぁっ♪ だめぇええっ♪」


 色っぽくも、切羽詰まったヴェタルの声。

 興奮して紅潮した体が、がくがくと痙攣し始める!

 あれは――間違いない!【オー】する寸前だ!


「くすっ☆ ダーメ☆」


 ところが、ヴェタルが今まさに【オー】しようとした瞬間。ヌルヌルぬちゃぬちゃ音を立てていた触手達の動きが一斉に止まった!


「えっ!? ええっ…! なんで止めちゃうのぉ…!」 


 ヴェタルは触手の動きが止まった事に戸惑いと――そして不満を隠せなかった。『もう少しで【オー】出来たのに!』とでも言いたげな、とても切なそうな顔をしている。


 これは――――焦らしプレイ!?


「だってはしたないでしょ~? 皆見てるんだよ? それなのに、普通にマッサージしてるだけで【オー】しちゃうなんて……純血種ピュア・ブラッドでしょ~? 恥ずかしくないのぉ~? 御先祖様に申し訳ないとは思わないのぉ~?」

「でもぉ~、でもぉお…っ!」


 完全に意識が蕩けてしまっているのか――今のヴェタルは正気じゃない。舌っ足らずな猫なで声で不満を表すと、切なそうに身をよじる。


「くすっ☆ やらしー子☆ そんなに【オー】したい? 皆見てるのに?」

「し、したいっ!【オー】したい!」

「ふふっ☆ 素直でよろしー☆ そんな貴方にはとっておきの【オー】――【究極ゥッッッ!!!! オーバーッ・ハートオォッッッ!!!!】を無限にプレゼント☆ してあげるねぇ☆」

「あぁ……♪」


 うっとりとヴェタル。

 そんなヴェタルを見たブルトゥームは、うんうん、と満足げに頷き――


「あ。ちなみにマッサージじゃなくて本番だけど……別に良いよねぇ?」


 え? 本番? 本番ってつまり――

 

 ―――――― ヤ っ ち ゃ う の ?


 ぎょっとしてヴェタルの顔を見ると――


「……は…い…♪」


 本番の意味を分かってるのかどうなのか、瞳にハートマークを浮かべ、口の端からだらしなく涎まで垂らしながら――うっとりとした表情で頷いた。


「本人の承認、確認(かっくに~ん)☆ リリウム様~?【合体許可】ちょーだーい?」


[YES! 合体! NO! 強引!]


「はい☆ 許可貰ったよぉ~。たっぷり愛し合おうね☆」

「何じゃそらっ!?」

「何って……キミ、サキュバスなのに知らないのぉ?『合体』はお互い合意の上で、しかもリリウム様にちゃんと合否を判断しても貰わないと出来ないからぁ、ヤル場合(・・・・)は今みたいにリリウム様に【合体許可】を貰わないとダメなんだよぉ?」


 いやいや! つまり『合体』はセック○の事で、和○は良くても強○は駄目って事でしょ!? 意味は何となく分かったけど……エッチする度にリリウム様にその報告をせなアカンのかーいっ!?


「そういう事で~。これは合意の上での『合体』だから☆ 頂きまーす☆」

「「「ウフフフフ……っ」」」

「いっ…!?」


 突如、ブルトゥーム本体の花弁の中心から、ミニブルトゥームとでも言うような女性型花モンスターが三体現れる。

 見た目はブルトゥームをロリロリにした感じで、腰から下が完全に花に埋まっていた。本体からかなりサイズダウンして人間部分の大きさならボクと同じくらいだ。

 そいつらは期待に満ちた顔のヴェタルに密着し、纏わりつく。子供がじゃれついているようにも見えるけど――


 ずるるるるぅっ!!

 突如彼女らの股座――花弁の中心からおぞましい形状をした触手が生え出した!


 一見、雌しべにも見えるそれは――ひょっとしなくても、『本番用』のアレじゃないの!?

 

「はーい。ここからは見せられないよ☆ リリウム様に怒られちゃうから☆ 皆も『合体』は人目の無い所でしないとリリウム様に怒られるからね?」

「「「「「お前が今、怒られろ!!!!」」」」」


 ボクを含め、野次馬ほぼ全員のツッコミが炸裂した!


 しかし次の瞬間。

 ミニトゥーム三体とヴェタルの頭上から現れたワーム型の触手が、四人をまとめて丸呑みした!


『っ!! ……ッッ♪♪ ……ッッッ♪♪♪』

「ひえっ…!?」


 大型のワーム触手の中から、丸呑みにされたヴェタルのくぐもった声が聞こえる。

 まるで獣のような、叫び声だった。

 

[究極ゥッッッ!!!! オーバーッ・ハートオォッッッ!!!!]

 

 やけに気合の入ったリリウム様の【オー】を知らせるアナウンス。

 まるで必殺技を叫ぶ熱血系主人公のようだ! 


 いや、まあ。多分、それだけ激しい【オーバー・ハート】に見舞われているんだろうけど。

 

[究極ゥッッッ!!!! オーバーッ・ハートオォッッッ!!!!]

[究極ゥッッッ!!!! オーバーッ・ハートオォッッッ!!!!]

[究極ゥッッッ!!!! オーバーッ・ハートオォッッッ!!!!]


「ひっ! ひえええっ…!」


【オーバー・ハート】のアナウンスが、止まらない!

 ぶよぶよとした緑色の表皮が波打っている。丸呑みされたヴェタルがのたうち回る様子が見て取れるようだった。


「誇りw高いwピュアwブラッドwの末路がこちらですw ウケルw」


 丸呑みされ、現在進行形で【オー】し続けるヴェタルを指差しながらブルトゥームは心底おかしそうに笑って――



「んじゃ次サキュバスちゃんね☆」



 あっけらかんとした様子で、ボクに死刑宣告を下した。



 ***



 じょ、冗談じゃないわい! あんなんされたら――DESがとんでも無く高い今のボクじゃ、一瞬で正気を失ってまうやんけ!


「――逃げよ」

 

 翼を広げて空中に飛び立つ。

 飛び回ってれば、何とか逃げ切れるかもしれない。それにヴェタルは【オーバー・ハート】し続けている。時間を稼げば、ヴェタルが【気絶】してバトルはボクの勝利で終わる筈だ!


「ほい。手加減【サイクロン】☆」


 ビュオオオオォォォッッ!!


 竜巻の魔法っ!? って、範囲広いわっ! こんなの避けきれるかぁ! 


「んにゃあああぁぁっっ!?」


 ビビビシビシビビビシビビシッ!

 8ヒットコンボ! 824ダメージ!


[ハルちゃんオールブレイク♪ &ピヨリ~♪]


「はい☆ つーかまーえた☆」 

「――はっ!?」


 い、いつの間にかSUPPONPONな上に触手に拘束されてるぅ!?

 にゅるり…っ、にゅるにゅるっ…!


 ぞぞぞぞぞぞっ…!


「うひいいいいいっっ!!? き、気持ち悪いいいっ!!」


 無詠唱で中級規模の魔法を使った事とか、多段ヒットダウン属性の魔法を食らっても【戦闘不能】にならなかった事とか、色々ツッコミたい所はあるけど……ぶよぶよにゅるにゅる触手の感触がとにかく気持ち悪いぃっ!! 

 ウナギとかイカとかタコとか! あの辺のヌルヌル海産物が全身を這い回ってるみたいぃ…!


「まーたまたぁ☆ さっきの吸血鬼を見てキミも『ボクも色々されたい☆』って思ってるんでしょ? 私の【ラプチャーズ・アロマ】もかなり吸い込んでる筈だし☆」


【ラプチャーズ・アロマ】? この、バトルフィールドの中に充満している桃色ガスの事? 確かに、あれのせいでヴェタルがメロメロになっていたと思うけど……


 ――あれ? ボクには、あんまり効いて無くない?


 ヴェタルの痴態を見たせいでちょっとムラムラするくらいだ。


「ってうわぁっ!?」


 触手を引き寄せられ、改めてブルトゥームと真正面から対峙する。

 うわデカい! 太ももから下は花に埋まってるけど――ブルトゥームの上半身の部分だけでボクの身長を軽く超えている。


「ふふふ…☆ キミも、もう我慢できないよねぇ? 今すぐにぃ…そのプに○○(ピー)に私の触手お(ピー)(ピー)をぶっこんで、激しく前後したり上下したりして欲しい筈だよねぇ!?」

「セクハラとか言うレベルじゃねえぞ!? ちょっとは自重しろぉっ!」

「――うん?」


 ブルトゥームが首を傾げる。やや童顔で、顔は可愛い。滅茶苦茶強い上にデカくて何考えているのかよく分からないのが怖いけど。


「……キミ、なんでラプってないの」

「ら、ラプって?」

「結構アロマを撒いたんだけど……まだラプチャー足りないのぉ?」

「分かるように話せや!」

「何だかメロメロになってトロトロになっちゃう事よ!」


 説明雑ぅ! 子供か!


「やっぱりラプってないじゃない!【ラプチャーズ・アロマ】追加!」


 ぶしゅううっっ…!!


「っ!? ――げほっ! けほっ!」


 ぬあああぁぁっ!! 桃色ガスがぁ! 直接吹き付けられてるぅ!


「げほっ! げほっ! うああっもう! 甘ったるぃわ!」

「っ!? 嘘っ!? 私のアロマをこんなに嗅いで、ラプらない!?」


 何だかブルトゥームが動揺している。

 ああでも確かに、あのヴェタルがあれだけ乱れたのに、ボクは割と平気な感じだ。そう言えばヴェタルの【心魂掌握マインドハッカー】もボクは効かなかったけど、それと何か関係があるのかな?


 キーンコーン。

[タレントの情報が更新されたよ~]


「情報開示今なの!? バトルの真っ最中じゃい!」


 しかも自分で召還したモンスターに絶賛襲われているところやぁ!


「しょうがないわ……ふふ。こうなったらキミにはぁ、私のとっておきをプレゼントしてあ☆げ☆る」

「とっておき? 取り敢えず――要らんわむごっ!?」


『要らんわ』の『わ』と同時に、触手を口の中に突っ込まれた!? 


「あっふ☆ せーの☆」


 ごぷり、とグロテスクな触手の根元から得体の知れない膨らみ(・・・)が、先端へと移動してくる…!


 え? いや、これってもしかしなくても…!?


「むーっ!? むーっ!! むぅううううぅ!!!」

「あっは☆ たーくさん☆ 出して、あ☆げ☆る☆ね?」


 口の中に突っ込まれた触手以外にも、ボクを拘束している触手、他にも大小様々な触手がその先端をボクへと向け――その先端が一斉に弾けた!


 どぴゅるるるぅっっ!! どぷどぷどぷどぷっ!!


「んんんんんんっっっっ!!!?!?!?」


 んぎゃあああぁぁぁぁっっ!!!?

 生暖かくてドロドロネバネバした白くべたつく何かが大量にぃぃっ!!?

 知りたくもないし考えたくもないけど何じゃこりゃああぁぁっ!!?


「はあぁ~~☆ 出した出した☆ すっきり☆ 溜まってたんだよねぇ☆ あ。吐いちゃダ~メ☆ だからネ☆」


 飲め! と言わんばかりに口の中に入った触手が喉に押し込まれ――


 ごきゅん。

 いやああぁぁぁっっ!!? 飲んじゃったぁああっ!?

 うげええぇぇっ!! マズいぃっ!! 気持ち悪い――


「――――あえ?」 


 涙目なりながらも自分の中にある感覚に気付いた。

 

 美 味 し い や ん 。


 生臭くて苦いものかと思い込んでいたけど――とんでもない!

 粘性の割にはさらりとした感触。

 優しい酸味と深いコク、そしてまろやかな甘味。

 さらに舌の上で転がすと、唾液に濡れた瞬間シュワッ、とラムネ(駄菓子のヤツ)のように溶け消えるのだ!


「えっ!? これはまさかっ!?」

「そう気づいてくれたのね☆ これは私の特性 ケ フ ィ ア なの☆」

「お、美味しいっ!? 嘘やん!? 触手の中から出されたもんやぞ!?」

「味だけじゃないよ? 香りも、良いでしょ☆」


 言われてすっかりドロドロになった自分の身体の匂いを嗅ぐ。

【ラプチャーズ・アロマ】の甘ったるい花の香りに混じって、爽やかな甘味と酸味が混じった果実のような香りがした。


 これは、この匂いは!? まさか!?


「馬鹿な!? アップルミントの香りやとぉ!?」


 歯磨き粉のアレぇっ!!


「嘘だ!! 触手からぶちまけられるのが、アップルミント香るケフィアだって!? 信じられるかいなっ!」

「ちっちっちっ☆ 分かってないなーサキュバスちゃん☆ 私達触手モンスターもね? 嫌われたくないから色々努力してるのよ? その努力の成果がこれなの。今どき臭くてゲロマズ粘液を出す触手なんて流行らなーいの☆」

「えぇ……」


 触手も大変なんやな。いやでもボク見た目多分凄い事になっとるで?

 頭っから大量のケフィア被ったし。

 全身触手に絡め取られたまま、白濁粘液塗れやで。

 どこのエロゲーや!?


「……でも、やっぱりラプチャーしてくれないだね……その特性ケフィアは、アロマの何倍もラプチャー成分が強いのに……」


 マ ジ で ?


 いや、お腹が熱い以外は――なんかめっちゃ漲る以外はへーきやけど!

 まるで風邪ひいた時に買う、お高い栄養ドリンクでも飲んだみたいだ。 


「ふーん成程。H系のステータス異常に耐性? があるのかなぁ? 私のケフィアに耐えるなんて、もうチートを疑うしかないけど――」


 何やら一人ウンウンと考え込むブルトゥーム。


「あの。諦めて開放してくれません?」

「☆や☆だ☆」


 笑顔で言われた。


「分かった。じゃあこうしよっ☆ 今からちょっとしたゲームをしよう☆」

「ゲーム、って?」

「私がキミの事をマッサージしてあげるから、召還時間の限界まで耐え切って☆ 耐え切れたらキミの勝ち☆ 私はそのまま大人しく帰ってあげる☆」

「え? 耐えるって…? 具体的にはどう…?」

「うん? 今から割と本気でマッサージしつつレベルドレインするから。キミが【オー】した時点で私の勝ち☆ まあ後二分くらいかな?【オー】せずに我慢して、って事☆」


 視界の上端に『125』とタイムリミットらしき数字が表れ、カウントダウンしていく。これ、ブルトゥームの召還限界時間か。


「えっ!? レベル吸われるの!? 折角141まで上がったのに!?」

「あ。もし一回でも【オー】したらレベル1になるまでレベルドレインした挙句に【気絶】するまで気持ち良くしてあげるから☆ そうなったらこのバトル、そこの吸血鬼の勝ちだね☆」

「っ!?」


 それだけはアカン!

 ヴェタルが勝ったら今までの苦労が水の泡だ!

 ここは何とか我慢しないといけない!


「うん?【気絶】するまで気持ち良く?」


 ボクは何か引っかかり、思わずデカイワームをワームを凝視した。

 今もあのグロテスクな触手の内側で、ヴェタルは3体のロリトゥームに嬲られているのだろう。『究極ゥッッッ!!!! オーバーッ・ハートオォッッッ!!!!』のアナウンスが一定間隔でずっと聞こえてくる。


 ――いやいや! おかしいやろ!?


「ヴェタル、何回も【オー】しているのに何で【気絶】しないんです!?」


 ボクがキスして【オー】したせいでアイセさんは【気絶】して【戦闘不能】になっちゃったんだ。何回も強烈な【オー】しているヴェタルは、とっくに【気絶】してボクの勝ちになっている筈だよね!?


「あーそれ私がおクスリを打ってぇ、【絶倫】状態にさせたから~☆ Hな事をしてもぉ、【オー】してもSP・MP減らなくなるしぃ、【気絶】もしないよぉ☆」

「は? ――はぁっ!?」


 思わず上空の電光掲示板を見る。

 ――ほんとだヴェタルのAPは0のままだけど、SPMPのゲージは満タン。あ、でもレベルめっちゃ減ってる。今ヴェタルのレベル、114しかないやんけ。


「ってな訳でぇ~☆ 覚悟ぉ☆」

「ちょ、待っ、ふへぇっ!?」


 心の準備をする前にボクの体を馬鹿でかい花弁の上に下ろされる。

 肉厚の花弁は花、というよりも弾力を持った板のような感触で、その上にSUPPONPONのままうつ伏せに寝かされる。

 足をブルトゥーム本体に向け、顔はバトルフィールドの外側を向く形だ。


「ちょ、この体勢っ」

 

 OPPAIは見えないけど、ASOKOとぷりぷりOSIRIがブルトゥームに丸見えやんけっ!?


「いーやーだー! 恥ずかしいぃ!!」

「わがままだなぁ。じゃあはい。特別サービス」

「むぐぅっ!?」


 また触手が口に突っ込まれたあ!


 ぶぴゅりっ!!


 うげぇ!! また何か出されたぁ!!? またしても飲み込んでしまったやんけぇ!!

 ――ってあれ? これ、オレンジジュース? ポーションと同じ味だ。


『5』と緑色の回復表示。同時にボクの衣装が修復され、【アーマー・ブレイク】状態――つまりは下着姿になった。


 あ、ボクが駄々こねたから回復させてくれたんだ。


「これなら恥ずかしくないでしょぉ?」  

「えぇ、まあ……」


 恥ずかしく、ないかな? ――うん? ほんとに? 散々Hな目に遭ったせいで感覚麻痺してない? ボクこれから酷い事される気がするんだけど?


「……やっぱりヤダぁ!!」

「はいはーい☆ 暴れないでねぇ☆ 気持ちよくしてあげるからぁ☆」


 暴れて脱出しようかと思った瞬間花弁からも細い触手が生え出し、あっという間にボクの両手足を大の字に縛り付けた。

 うわ、本体に近いせいか、甘い香り――【ラプチャーズ・アロマ】だっけ? あれの匂いがとっても濃い。めちゃめちゃ甘ったるい香りで、胸やけしそうだ。


「それじゃぁ始めるよぉ☆」


 ずるるぅ、と音を立ててブルトゥームをロリ化させたミニトゥームが三体出現する。


「サ。力抜いテ?」

「なぁんにモ、怖く無いヨ☆」

「一緒に気持ちよくなロ?」

「ひっ…!?」


 無茶言うなや!? ただただ怖いわ!


 エヘヘウフフと半笑いしながら三体の魔物はボクに近づき――

 そして! 三体のロリトゥームは同時にボクの体に取り付いた!


「――お客さーン。相当凝ってますネー」


 その小さく、愛くるしい手で肩を力強く揉まれる!


「ふいっ?!」


 痛気持ちいい感触に、思わず声が出てしまう。 


「うわ、カッチカチ☆」

「おはっ!?」


 今度はふくらはぎを。


「体かたーい☆」

「おぅふっ」


 今度は腰を!


 ボクの凝り固まった肉体を的確に揉み込み、刺激していく!

 

 これは…! まさか…! もしかしなくとも!

 

 本 物 の マ ッ サ ー ジ だと!?


「ふおっ…!? おぉぉっふ…!」


 僅かな痛みとそれを遥かに上回る、肉体をほぐされる気持ち良さ。

 マッサージ特有の快感に、思わず間抜けな声をあげてしまう。


 ほああぁぁ…! お上手ぅっ♪ 思わずリラックスしちゃうわぁ~♪


 甘いアロマとアップルミント香るケフィアに包まれて、半裸になりながら半裸のロリっ子モンスターにせっせとマッサージをしてもらう。


 これはもしや、理想のシチュエーションなのではなかろうか♪


 特にHな事をされる訳でもない。ガチのマッサージやし。

 体から疲れと凝りと一緒に、緊張や警戒心もほぐれていくようだった。


「ふゃぁぁ…っ♪ 気持ち良きぃ…♪」


【闇歩きの洞窟】からずっと緊張しっぱなし、動きっぱなし、戦いっぱなしだったから、肉体的にも精神的にも疲労が溜まっていたんだと思う。

 それを今こうやって極上のマッサージで解消されているのだ。ちょっと気をヌイてもイイじゃない♪


「はーイ☆ ひっくり返すヨー☆」


 体を拘束していた触手が一時的に緩む。

 なすがまま、ボクの体は仰向けにひっくり返され、再び拘束される。

 

 眼前に、ロリトゥームの顔があった。


 高学年の小学生か、中学生くらい? くりっくりのお目目にぷにぷにのほっぺ。それにとんがり耳。幼さの割にはOPPAIもしっかりあって――現実世界の紳士達ヘンタイが大興奮する事間違いなしだろう。


 いや。普通に可愛い。下半身が花だったり、肌の色が緑色だったりする以外は完璧な美少女。無害なモンスターだったら思わずハグしてしまうかも。


 そんなロリトゥームが自然な動作でボクに顔を寄せ――


「――ちゅ♪」


 脱力しきったボクに、キスをした。


 ――あ。舌、あったかい。ちゃんと体温ある。


「ちゅっ♪ ちゅぅ♪ ちゅるっ♪」

「んっ♪? んんっ…!♪ んちゅぅ…っ」


 しまった、と思った時にはもう遅い。

 仰向けになったボクの顔が両手で固定され、貪るようなキスをされる。

 抵抗しよう、と思ったけど、マッサージで体と一緒に心までほぐされたみたい。全然力が入らない。


 ロリ魔物娘にキスをされる。

 それだけなら、むしろ嬉しい事かもしれないけど――

 体から力が――アイセさんから貰ったレベルが吸われていくのを感じる!

 

 あと、気持ち良くて、すっごいドキドキする!


 視界の左下に表示されているAP・SP・MP・HPの四つのゲージ。

 その内の一番下のピンク色のゲージ――HP(ハートポイント)ゲージが『0』から少しずつ上昇していく。

 このがゲージが最大値まで溜まった時、ボクは【オーバー・ハート】、【オー】してしまう。

 そうなったらボクはブルトゥームとのゲームに負けてしまう。

 きっと今のヴェタルのように、これでもと言うほどガチの○○をされて――【気絶】してしまう程の激しい【オーバー・ハート】をさせられてしまうのだろう。

 が、我慢だ! 兎に角我慢するしかない!


「さア、本気出しちゃおうかナ☆」

「んんぅ~っ!?」


 下腹部をにちっちゃな掌を押し付けられ、ブルルッ! と骨盤を強く揺らされる。敏感な所には触れていない。


「ここモ、念入りにネ☆」

「んんんっ…!」


 骨盤の側面をトントンと軽く叩かれる。ぶるぶると下腹部に、お臍に、振動を送られる。

 何やこれ。くすぐったいような気持ちいいような。

 でも、下腹部が――体の芯がちょっとずつ温かくなっていくような感じ。


「ちゅっ♪ ちゅぅ~~――ちゅぽんっ♪ はイ☆ 深呼吸しテェ☆」

「ぷはぁっ! はあっ! はぁっ…!」


 キスで塞がれていた口が解放され、酸素を求めて喘ぐ。


「こうたーイ☆ 次私がキスするノぉ☆」 


 ロリトゥームがローテーションし、位置を入れ替える。

 うぐぅ、好き勝手にしてからにぃ。


「もっかいうつ伏せネ~☆」


 クルン、あっという間にうつ伏せにさせられてしまう。

 体から力が抜けてる。

 ぬるま湯に浸っているような――心地よい気怠さを感じた。


「はイ☆ きース☆ ちゅっ♪」

「んちゅっ…ちゅっ……うむぅ…っ」


 顔をがっしりとホールドされ、顔だけ横を向いた体勢でキスをされる。


「ぶるるるるルゥっ☆」

「んんっ…!?」

 

 二人掛かりでOSIRIの奥の、左右の骨をぐりぐり、ブルブルされる。

 骨盤が揺らされ、一緒に体の芯――女の子の一番大切な部分が揺すられているのを感じた。


 何、このマッサージ。エッチな所、全然触られて無いのに――何か、体の芯が熱くなってくる…っ。


 視界内に移るHPゲージが、どんどん上昇していく!


「はイ☆ ご苦労様☆ 深呼吸しテ?」

「ぷあっ」


 キスから再度開放。大きく息を吸い込み――ゆっくりと吐く。


「…っ、ううんっ…!」


 下腹部から溢れ出す熱が全身に回るような錯覚を感じ、思わず声が出た。

 

 なんか、色っぽい声だった。


 嘘……ボク、ひょっとして……Hな気持ちになってる? こんな、良く分からないマッサージでっ?


 マズい。HPの上昇が止まらない! 何だか、体がムズムズする!

 いや、正直に言うと――めっちゃムラムラしてる!

 女の子の一番大事な所が、燃えるように熱い!

 このままじゃ、絶対【オー】しちゃう!


「はーイ☆ もっかイ上向いテ☆」


 為す術もなく再び仰向けに転がされる。


「クスクス☆ 出来上がってきたねぇ☆ サキュバスちゃんってば、さっきの吸血鬼と同じ顔に、なっちゃってるゾ~☆」


 うぅ、恥ずかしい…! 自分でも顔が真っ赤になってるのが分かる。

 こんな、マッサージされてるだけなのにぃ、何でぇ!?

 ボクがサキュバスだから、簡単にHな気分になっちゃうのぉ!?


「さあ、もうちょっと☆ だよ☆ 耐えられるかなぁ☆」


 そうだ。残り時間! あと――43秒! もうちょっとだ!


「こうたーイ☆」


 ロリトゥームが位置を入れ替える。空に浮かぶ月が隠れ、幼い顔立ちをした花のモンスターが視界一杯に広がった。


「ちゅっ♪」

「&ぶるぶルぅ~☆」

「んんんんっ!?」


 お臍を、腰の外側を、ぶるぶると揺すられると声にならない声が出た。


 これ、アカンやつぅっ…♪


 体の芯が――女の子の大事な所が、喜んでるっ♪♪


 アカァンっ♪ HPが、満タンまでぇ♪ 溜まってまうやんっ♪


 視界内、右下のステータス異常表示ゾーンに【発情】とか【ムラムラ】とか【下着を変えようNE!】とか【燻り】とか【腰砕け】とか【刻淫移植】とか!

 色々いかがわしいステータス異常が表記され始める。


 アカンっ、アカンアカンアカン♪ HPがっ、もうっ、満タンにっ。


「――はイ☆ またうつ伏せネ☆」

「ぷはぁっ♪ はぁ♪ はぁ…んっ♪」


 ギリギリのところでキスから解放される。

 甘ったるいアロマと一緒に、夜風で冷たくなった空気を吸い込むと――ほんの少しだけ冷静さを取り戻せた。

 でも――だからこそ確信する。


 このターンで、ボクは確実に【オー】してしまう、と。


 けれど、あと、15秒で、タイムリミット。

 このターンを凌げば、ボクの勝ちでもある。

 絶対耐えないと駄目だ!


「ふあぁっ♪ らめぇ♪ やめてよぉ…♪ もう無理だよぉ♪」


 でも、ボクの口から出たのは、まるで媚びるような、蕩けた声。

 うう、情けないよぉ♪ ボクが【オー】したら、負けなのにぃ♪

 体はもう全力で負けてるよぉ♪


「はああぁ☆ いいわぁ~^ サキュバスちゃんもやっとラプってくれたわねぇ☆ でももっと、もっとラプチャーしなきゃだーめ☆ 倫理も常識も全部捨て去って、とろっとろに蕩けちゃうのよ☆」

「とどメ~☆ ちゅっ♪」

「ぐりぐりぶるるるるルっ☆」


 あっ♪ あっあっあっ♪ だめぇ♪ お腹ぁ♪ 蕩けて♪

 ドキドキがぁ♪ 止まらないよぉ♪


 もうだめええぇぇ♪ 【オー】しちゃうぅ♪


「――ん? あれぇ? 何こいつ? こんなヤツいたんだぁ?」


 ボクが【オー】する直前、ブルトゥームが何かに気付いたようだった。


「――この子って――――あ、噂のサムライガールね☆ ――あれ? でもレベル1? 100越えって聞いたからレベルドレインしようかなっておもったけど、雑魚じゃ~ん☆ ゴミじゃ~ん☆ いらない☆ ぽいっと☆」


 ――――僅かな静寂の後。


 どさり、と何かが落下する音が聞こえた。

 ロリトゥームに視界を塞がれているから誰が、何をしたのかを確認する事は出来ない。


 けど、何が行われているのか。すぐに理解した。


 頭に、冷水でも掛けられたような気分だった。


 ――――そして、ブルトゥームの召還リミットが『0』になる。


 ごごごごごごっ!

 再び大地が鳴動する。巨大な地震が、シュタットを襲う。


「……あーりゃりゃ。ざーんねん☆ キミの勝ちだよサキュバスちゃん☆」


 名残惜し気に三体のロリトゥームがボクから離れていく。

 同時にボクを花弁に拘束していた触手も離れ、晴れて自由の身となった。


「よく我慢出来たねぇ? 私はてっきり【オー】して、そのままラプチャー道へと堕ちてくれるものかと思ったのに」


 ボクはブルトゥームには構わず、さっき音がした方向へと走り出す。

 花弁からジャンプし翼を使って目的地へと急行。


「むぎゃっ」


 するけど体に力が入らず、べしゃり、と無様に落下してしまう。


 その先に、気を失ったままのアイセさんがいた。

 ボクが外套を着せていたお陰で、あられもない姿にはなっていないけど――誰かさんに乱暴に投げられたせいで頭に大きなタンコブが出来ていた。


 そう。誰かさんが乱暴に投げ捨てたせいだ。

 ――さっきまでの淫靡な熱が消え去り、代わりにふつふつと怒りが湧いてくる。


 地面にはブルトゥームを中心に、再び巨大な召還陣が出現しており、音を立てながら巨大な妖花が埋没していく。


「まあ、久しぶりの地上は楽しかったよ☆ サキュバスちゃん、良かったらまた呼んでね☆ おねーさん☆ 頑張っちゃうから☆」


 ブルトゥームの言葉に応えるように振り向いた。


「次、会う時は、」

「うん?」


 そして思いっ切り、ブルトゥームを睨みつけた。


「次会う時は、貴方を倒す時です」


 ありったけの憎しみと決意を込めて言った。


「……あらまぁ……」


 ブルトゥームはキョトンとした顔をしていたけど――



「それはそれは――楽しみねぇっ…!」



 子供が見たら泣き出しそうになるような、凄絶な笑みを浮かべた。


「ねぇ? キミの名前、教えて?」 


 悪夢にうなされるような激コワな表情もすぐに引っ込み、いつもの何を考えているのか分からない、無邪気な笑顔を浮かべる。


「……ハルです」

「ハルちゃんかぁ。可愛い名前☆ 覚えとくねぇ☆」

「……そりゃどうも」

「今回はキミの勝ちだよ☆ ハルちゃん☆ でも覚えておいてね? キミが喧嘩を売った相手はねーぇ、【禁獣】って呼ばれるちょーコワイ存在なの☆ でも、私は懐がふかーいから許しちゃう☆」


 それは、こいつがヤヴァイ存在なのは直観的に分かる。

 そして多分、ボク達が想像する以上に危うい存在だという事も。


「でもねでもね? 舐められっぱなしじゃ【禁獣】としてのメンツも立たないでしょ? だからね? キミにこっそりプレゼントをしておいたよ☆ ちょっとエゲツナイ奴をね☆」

「え"?」

「まあそんな訳だから☆ 取り敢えず今回はこれでお暇するね~☆ このピュアwブラッドw は好きにしていいよー☆」


 ワーム触手からぺっ、と何かが吐き出される。

 べちゃっ! と肉塊としかいいようの無い物体が地面に転がった。

 よく分からない物体と化してるけど――これ、多分ヴェタルだよね!?

 ひええぇぇぇっ!?


「あと久しぶりの地上だからハッスルしちゃったけど――こんなに沢山の目撃者がいるのはちょっとマズいんだよねぇ。だ☆か☆ら――【オブリビオン・ライト】!」


 ピッカアアアァァァッッ!!


「にゃあっ!?」


 何じゃ!? 目が眩むような閃光が!?


 ってあれ? 急に力が――意識が薄れていく…っ。立ってられないっ。


 ――それじゃあ今度こそサヨナラだね☆ 次に会う時を楽しみにしてるよ☆ ハルちゃん☆ まあ、案外すぐに会えるかもしれないけどね☆――


 ブルトゥームの声が遠い。

 揺れる地面が、まるで夢のように感じる。



 ――意識が、遠のく――



 ――バトルフィイイイイイニッシュゥッ! ウィナァァーッ、ハールちゃぁぁぁんっ!! ――


 

 意識が完全に落ちる直前、女神様のアナウンスを聞いた気がした。



 色々出し尽くしました。

 え? 何がって? ナニですよ。

 もしエッチ成分薄いと感じた方がいらっしゃったら――どうかご容赦下さい。

 ガチでエッチ描写書くと運営様にご迷惑が掛かりますので……

 いや、今回もギリギリセーフ? むしろギリギリアウト?

 ――――――むしろ、セウト?

 ひょっとしたら運営様のお叱りを受けて、予告無くKENZENシーンを変更する可能性もありますのでそれもご容赦ください。


 兎も角これにて第一章は終わり。次のお話はエピローグとなります。

 次回投稿は11/23(月)AM8:00の予定です。


 尚、今回オマケコーナーはありません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まず、物語構成が良いと思います。 スペースを開けたりだとか、開けない所は開けなく、開ける所は開ける、と、とても見やすいと思いました。 また、良ければですが番外編を作って頂ければと思います。…
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