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第0話  TS転生!

 作者の別作品『Unholy Kingdom』が超絶に中途半端な所で止まっていて大変申し訳無いとは思いますが一旦こちらの新シリーズ『じょとボク!』に力を入れて連載をやって行きたいと思います。こちらはひたすらライトかつコメディ、バトル、エロスに重点を置いた作品となっています。どれくらいエロいかって戦闘の度に敗者が全裸に剥かれます(w。良かったらお付き合い下さい。


2/23(火):ハルの家族設定が「姉」「ハル」「妹」のところを「長女」「次女」「ハル」に変更しました。ハル君「間っ子」から「末っ子」にランクダウンです。主人公の家族構成を今更変更とか正直自分でも無いと思います。これからこんな事が無いよう気を付けます。どうかよろしければ今後ともお付き合いください。


「お願いします! どうかボクと…お付き合いして下さい!」


 夕日に染まる某所の公立高校。その屋上にて、一人の男子高校生が一世一代の勝負を仕掛けていた。

 少年の名前は夢宮陽ゆめみやはる。今年で二年生になる彼は母親の血を濃く受け継いだのか女子受けするプリティフェイス。更に彼は二人の姉を持つ三人兄弟の末っ子であり、姉二人から沢山の愛(弄られたりパシられたり)を受け取ったおかげで、空気を読む事は勿論、料理を含めた家事全般もそつなくこなす能力も持っている。女装すれば(勿論させられた事もある)男の娘の出来上がりだ。「いつ嫁に行っても平気ね♪」とは家事を仕込んだ実の母親の弁だ。


 ちなみにはるは頭も悪くないし、周囲に気配りが出来る良い子でもある。弱点らしい弱点と言えば運動が少々苦手な事と、性格的に少々腹黒いところがある、くらいのものだ。

 だがそれが陽のコンプレックスだった。

 そう。『男らしくない』。この一言に尽きる。

 背は低め。運動神経も微妙。筋肉が付かない。

(もっと男らしくなりたい! モテたい!)

 と、いつも陽は思っていた。確かに女の子の友達は結構居る。だがそれはあくまで「友達」だ。遊び相手だ。異性として見られているわけではない。それが歯痒かった。

 クラスメートの男子にその事を話すと、「は!? ふざけんな! お前十分勝ち組だろ! 文句を言う前に俺に可愛い子の一人や二人紹介しろ!」と言われたので試しに友達の女の子を一人引き合わせてみた事があった。



 その二人は意気投合して結ばれた。



 一週間もしたらその二人からそれぞれのろけ話も聞かされるようになった。「幸せにね」「良かったね」なんて言いながら心の中では「爆発しろ♪」と呪っていた。


 そんな夢宮陽が、自身の男気を掛けて、精一杯の勇気を振り絞って、『告白』をしているのだ。

 相手はクラスの中でも人気の相原詩音あいはらしのん。ショートヘアで活発そうなイメージとは反対に、優しくて気が利くいい子だ。リーダーシップも持っていて、学園祭や体育祭の時などは実行委員もびっくりの手腕をもって会議を進行、クラスメート達を引っ張っていった。

 かっこよくて、優しくて、親しみやすい。そんな相原詩音に、多くの男子生徒がそうするように、はるも当然のように彼女に恋心を抱いた。


 そして決行したわけである。

 一世一代の、大告白を! 

 玉砕!? 身の程を知れ!? 諦めろ!?

 そんな事はしった事か、と。滾る思いを胸に乗せ、いざ行かん!




「ごめんなさい!!」




 はい撤収~。

 結果は1ラウンド5秒KOでした。

 それでもショックに打ちのめされながらも、なんとかはるは口を開く。


「どうして、なの?」

「だってハル君……男らしくないんだもん!」


 ぐさっ! ハートに矢が刺さる。


「チビなんだもん!」


 ぐさぐさっ! 矢、二本追加でーす。


「何より、筋肉がついてないんだもん!!」


 ぐさぐさぐさぐさぐさぐさっ!! ハートの形をしていたはるの心は矢が沢山刺さり過ぎてウニのようになってしまった。

 心に文字通りの傷を負った陽はガクリ、と膝を付いてしまう。


「ごめんねハル君。ハル君とは、恋人同士じゃなくて、ずっと友達同士・・・・でいたいの!」


 ずどーん!!! ウニみたいになったハートをバリスタから投擲された大矢が粉砕した。


「やっぱり、恋人にするなら、男らしく筋肉がついた人じゃないと、腹筋の割れた男子じゃないと!!」


 相原詩音は瞳をお星さまのようにキラキラさせながら言う。そして頬を赤く染めながらうっとりとするのだ。それはまさしく恋する乙女の顔である。


 その時だ。ばあん、と屋上の扉が開かれ、闖入者が現れる。




「相原詩音んんんんんっっっっっ!!!

 好きだあああああああぁぁぁっっっ!!!

 俺と付き合ってくれええええぇぇぇっっっ!!!」




 突如現れた道着姿のスポーツ刈りをした男子は叫んだ。「こいつは本当に人間の子なのか、ひょっとしたらゴリラの子供じゃないのか」と思う程デカい図体からは、その体の大きさにふさわしい大音量が発せられる。グラウンドで部活動に精を出していた生徒達が何事かと屋上を見上げた。


「貴方は! まさか柔道部の次期エースと称される噂の太田滝雄おおたたきお君!」

「そうだ! 俺は太田滝雄だ! 俺はお前欲しいいいぃぃぃっっっ!!!」

「……キュン♪」

「返事を聞かせてくれぇえぇぇぇっっっ!!!」

「……はい。……喜んで♪」

「詩音んんっっ!!」

「滝雄君!」


「ひしっ♪」「ひしっ♪」


 重なり合うゴリラビッチのシルエット。

 それに学校中の生徒が祝福した。

「どうかお幸せに!」なんて声がそこら中から聞こえる。

 完全に背景と化したはるは、なんとか体と心に鞭打って屋上から離脱した。その背中はさながら敵地アウェイから逃亡する敗残兵のようにみすぼらしく、哀愁を漂わせた。

 ぎい、と屋上への扉を閉める。重い扉越しにも屋上から祝福の声が聞こえてきて、はるはげんなりとする。




「――――――――――――――――――――――――なにこの茶番」




 呟いた声は、誰の耳にも届かない。



 ***



 死んだ魚のような目をしながらボク、夢宮陽ゆめみやはるは下校する。ど田舎に分類されるようなこの町にはコンビニだって数件しかない。ぼんやりと歩いているとバスに乗り遅れてしまったので、2時間使って帰宅することになってしまった。 


「何やってるんだろ、ボク」


 舗装された山道を歩きながら誰にともなく呟いた。はぁ、ともう何度目になるか分からない溜息を洩らす。一緒に幸せも漏れたかもしれないけど構うもんか。どうせボクには、これっぽっちの幸運なんて残っていないだろう。

 ……でも、せめて。


「……うん。やっぱり、自分が好きだった人には、幸せになって欲しいかな」


 相原詩音さん。ボクの初恋の人。ちょっとビッチぽかったような気がするけど、気にしない。うん。もうこれで終わりにしよう。これですっきりけじめをつけよう。自分の心に。


 立ち止まり、ふと暗くなった空を見上げる。

 



 ――星が、流れた。




「……あ」


 願い事を三回は、難しいかな……早口言葉に自信があるけど。

 なんて思っていると更に星が流れる。それも一回、二回、三回四回五回六回――沢山!


「今日、流星群が流れる日だったんだ」


 遠くの夜空では、まるで雨のように流星が流れていた。

 まるであの二人の新たな門出を祝いようで、とてもロマンチックだ。

 

「これなら願い事、叶うかな…」


 パンッパンッ。と神頼みでもないのに拍手を二つ。


 相原さんの笑顔が過る。郷田君の暑苦しい顔がだらしなく歪んだ。

 アンバランスな組み合わせだけど、二人は好き合っている。きっと上手くいくだろう。


 せめてボクにもその応援をさせて欲しい。


「どうか二人が末永く……」

 

 息をゆっくり吸いて、吐いて、もう一度吸って、

 星に祈った。




「爆発しますように」




 ――――――――――――――あれ? 間違えた?


「まいっか、どうでもー。どうせボク振られたしー。負け犬だしー。人生=彼女居ない歴だしー」


 どうやら簡単にけじめを付ける事は出来ないらしかった。

 まあ、子供だし。人間だし、いきなり納得なんて出来るわけないし。

 いいよ、いいよ、しばらく腐ってるよ。ふん。

 腐っていると心の奥底に押し込めていたイライラが溢れだしてきた。


 再び僕は流星降り注ぐ夜に向けて大声を、呪いを放つ!


「リア柔はー!!」


 あれ? 今、なんか大きく光った?


「みんなみんなーっ!!! 爆発しろおおおぉぉぉっっっ!!!」




 直後、飛来した流星の一つが、ボクの体を爆発四散させたのだった。




 ***


 

「『人を呪わば穴二つ』、とはよくもまー言ったものよねー」



 女の子の声にボクは意識を覚醒させた。まるで女性声優「喜田村由香利」さんのようなあけすけで、でもどこか優しい声色だった。

 

「や。気が付いたー?」


 知らない天井――いや違う天井が無い。

 真っ白な空間に、ボクと女の子だけがいた。

 その子は深い紫色の長い髪と、金色の瞳を持っていた。格好は麦わら帽子とワンピース……素朴な格好だけど似合っていると思った。


「ありがとー♪ でも声に出してくれるともっと嬉しいかな~」

「えっ!? ええっ!? 今、ボクの心、読んだんですか!?」

「だって私神様だしー♪ ここ精神世界だしー♪」


 あ、語尾伸ばすの、ちょっとウザいかも。


「だから聞こえてるよー?」


 がいんっ!


 なんて音がしたかと思うと視界で星が散った。


「~~~~~~っっ!! っ! っっ!」


 悶絶しながら辺りを見渡すとすぐそばに金ダライが落ちていた――ってタライ!?


「ごめんなさいはー?」

「……ごめんなさい」

「ふむふむ。素直でよろしー」

「で、あの、神様? 本当に神様なんですよね?」

 

 心を読んだり、何も無い空間からいきなりタライを召喚したりするんだから、そりゃ神様なのだろうけど、聞かずにはいられなかった。


「分かってるんじゃん。そ。私は神様、女神【リリウム】。こことは違う異世界【リリアレス】の神様なの」


「…異世界…」


 にわかには信じられない話だけど。今既に十分信じられない事になっているからね。あれ? そういえばボクって結局どうなったんだろう?


「え? 今更そこ? ハル君もう死んだよ? 気付いてるんじゃないの? 流星の直撃弾を食らって爆発四散だよー? これがほんとの流れ弾ってね。流星・・なだけに!! あははははっ!!」




 気まずい静寂が、白い空間を支配した。




 ――――――――――――――――がいんっ!!


「くあぁぁぁぁ……っ!」


 例によって突然振って来たタライに悶絶するボク。


「せめて笑うか突っ込むかどっちかにしなさいよ!! このアンポンタン!」

「理不尽過ぎますよ!」

「何が理不尽よ。折角好意で私の世界に転生させてあげようかと思ってるのに」

「……転生?」

「そ。転生」

「最近ラノベやらネット小説とかで流行ってるあの転生ですか?」

「そうそれ」

「え、マジですかっ」

「うん。マジマジ」

 

 勢いよくボクは立ち上がった!


「チートはありますか!?」


「おお! あるともさ!」



「彼女は作れますか!?」



「楽勝楽勝!」




「は、ははは、ハーレムも作れますかっ!!?」




「ばっちり完備だとも!!」




「ボクにも春がキタああぁぁぁぁっっっ!!! ――――ハルだけに!」


 がいんっ、がいんっ、がががががいんっ!!


 タライの連続攻撃だ!! ハルは悶絶した!!


「つまんない。0点」

「理不尽だぁっ」


 大量の金ダライを押しのけて立ち上がりながら叫んだ。


「いいじゃないこれくらい。今からチーレム転生するんだから。ちょっとした余興みたいなものねー」


 確かに、すでにボクはこの女神【リリウム】様にチーレムを約束されている。この程度の事でいちいち取り乱す事もないだろう。


「ありがとうございます【リリウム】様!」

「うんうん。じゃあ早速転生する?」

「お願いします!」

「よしきた~。じゃいっくよ~」

「え? あの、ふと思ったんですけど」

「何? あー。どんなチートがあるのかって?」

「はい! レベルが最初から999からスタートからとか! 筋力とか特定のステータスがカンストしてるとか! 世界の法則を無視した特殊能力を持っているとか! 死なないとか! 女の子を洗脳する力を持ってるとか! 筋力が最初からカンストしてるとか! 色々あるじゃないですか!」

「あはは! 筋力って二回言ったー! 未練タラタラね~♪」

「だってボク筋肉無いせいで振られたんですよ!? 人生やり直せるならSTRきんにくにステータスガン振りしますよ!? 腹直筋と上腕二頭筋をムッキムキにしますよ!! というわけで転生後はマッチョマン希望です!」


「ごめんそれムリ♪」

「え!? なんでですか!?」

「それは、向こうに付いてからのおったのしみ~♪ じゃあ~ね~♪」


 視界が白く埋め尽くされていく。

 意識がぼやけていく。

 夢宮陽という存在が分解されていく。

 


 ――あ。そうそう言い忘れてた。

 転生した直後からチートは発動してるから、有効に使ってね♪ それじゃいってらっしゃ~い♪――


 女神様の言葉を最後にボクの意識は白く塗りつぶされた。



 ***



 木々のざわめきが聞こえた。

 五月の午後のような暖かい風が吹くと、ガサガサと心地良い葉擦れの音を奏でる。すぐ近くに水の流れる音も聞こえた。


 ボクは緑豊かな森の中で目を覚ました。

 うっすらと開いた瞳に木漏れ日が刺さり、眩しさに再び目を閉じる。ん~、と声を上げながら柔らかい草の上で体を起こし、ぼんやりと辺りを見渡した。

 高い広葉樹林。絨毯のように敷き詰められた短い草。樹木に生っている果実も、大地から生えている花も、見た事のないものばかりだ。


 ぱんぱん、と自分の頬を叩いて目を覚ます。


 再び、ん~、と言いながら寝起きの伸びをする。

 あれ? なんだか声がい? 気のせいかな?

 いや、それはともかく、だ。


「あ~。どうしよ」


 ほんとに異世界に来てしまったっぽい。

 しかも赤ちゃんから再スタートするのではなく体と記憶を維持したままでの再スタートかな。


「しかし、やけに声が高い」


 鈴を転がしたような、女の子みたいな声になっていた。

 まあ、声変わりする前はこんな高い声も出せたけどさ。

 いやいや、そんな事は今はどうでもいい。異世界に来たなら来たと何か確証が欲しいし、こんな大自然のど真ん中ってきっとモンスターとかに襲われてロクな事にならないって。早く腰を落ち着けられる所に移動しないと。


 歩き出す。水音がする方向へと歩いていくと小川を発見。幅3メートル程。よーく目を凝らすと小魚が泳いでいるのが見えた。


 ついでにその水面に女の子の顔も映っていた。


「? え?」


 まじまじと水面に映ったその顔を見る。

 やや垂れ目童顔だけど、可愛らしい女の子の顔だ。

 試しにあっかんべーをしてみると水面に映る女の子もあっかんべーをする。ちょっと可愛い。てへぺろしてみる。悪戯がばれてしまったお転婆お嬢様みたいな顔だった。ウィンクしてみたり。おお、小悪魔系女子だ。じゃあ次は――


 ってな感じで水面に向けて色んな顔を試す。


 普通にピースして笑顔。

 泣き真似。

 しょんぼり顔。

 あっちょんぷりけつ。

 アイドル風横ピース。

 サムズアップ。

 おこ顏。

 流し目。

 アヘ顔Wピース。


 一通り試してみて今更ながらのように呟いた。


「これ、もしかしなくてもボクの顔?」


 水面に映る、狐に摘ままれたような顔をしていた女の子が、ボクの言葉に合わせて口を動かす。


「ははは。まっさかー」


 一旦後ろを振り返り――水面を再び覗き込む!


 二度見しても変わらない。水面には女の子の顔が写っていた。首を回した動きについてくるように優しい、桃の色をした長い髪がなびいた。同時に甘い、女の子らしい匂いが香る。


「うん。うんうん。無い無い。それは無いって。見・間・ち・が・い♪」


 と乾いた笑いを浮かべてから、瞳を閉じる。




 ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男ボクは男!!!!!

 筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望筋肉希望!!!!!




「割れた腹筋カモン!!」


 再び目を開けた。川面を覗き込む。


 三度見したというのに結果は変わらない。

 ロングピンク髪の愛くるしい女の子が、水面に映っていた。


 ……女の子に、なってる? いや、もうそうとしか考えられない。


「いや、ちょっと待って。それじゃもしかしなくても……」


 股倉にそっと手を這わせた。そこに有る筈のおいなりさんが――――無い。あるのはパンツのすべすべ感と恐ろしいほどのぷに感のみである。


 ――オーウ。グッバイ、マイサン。


 そして胸に手を伸ばす。まるでマシュマロのような柔らかさと弾力を持った感触が手のひらに、


「ボヨンボヨン、だと!?」


 HALLOW!! OPPAI!!


 なんてことだろう。完璧に女体化している。

 ……マイサンが無くなったのは寂しいけど。しかし。

 ふと、視線を真下に向ける。


 TA☆NI☆MAがそこにあった。アニメならムーディーなBGMと共に、画面にピンク色のフィルターを掛けて『OH~~』と外人女性のバックグラウンドヴォイスが流れる事請け合いである。


「女の子の体イエス! おっぱいイエス! セルフ谷間鑑賞とか元男でよかったね! ひゃっほう!」


 と、可愛らしい女の子の声で喜ぶのはボク本人であるが、その時ふと、女神様の言葉を思い出してしまった。


『ごめんそれムリ♪』


 何がムリって、転生後はマッチョマン希望! っていうボクの言葉に対する返答だ。さっきまでの浮かれた気分はどこへやら、自分でも顔が蒼くなっているのが分かる。


 自分の右手で、左手上腕に触れてみた。

 ふにふに、と抱きしめたくなるような、心地よい弾力を感じた。


 次にお腹を服越しに撫でてみた。

 ちょっと見栄を張ってお腹に力を込めてみる。

 ――ふにふに。

 柔らかかった。


 おお神よ! なんという事を! なんと女々しい体を授けてくれたのだ!


 女の子の体はね。筋肉が付きにくいの。ほら、赤ちゃん産んだりするのに筋肉に覆われた硬い体では大変だから、女の体は男に比べて柔らかく筋肉が付き難くなっている。

 筋肉が付き難くなっているのだ! つまり!



「ボクの上腕二頭筋と腹直筋があああぁぁぁっっっ!!!!」



 

 女神が与えた余りにも残酷な運命に、ボクは涙するしかなかった。



 何書いてんだろう俺。まあ、始終こんなイカれたテンションじゃないです。一話だけですので、多分。そうなので。良かったらお付き合い下さい。

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