12月25日朝A 【彼女】
ぬくぬくした布団の中とは対照的に、顔に触れる部屋の空気はひんやりしている。
冬の布団はどうしてこうも抜け出せないのか。
微睡んだままベッドで寝返りを打つ。
次第にはっきりしてくる頭に、小さな違和感を感じた。何かいつもと違うような。
俺はゆっくり目を開けた。
「……っ!!??」
あまりの衝撃に、俺は声にならない声を上げた。
目の前に、見知らぬ女の子の顔があるのだ。俺と同じくらいの年の女の子が、すうすうと穏やかな寝息を立てて幸せそうに眠っている。
誰だ。こんな子見たことないぞ。えっと、昨夜はバイトから帰って一人でビールを呑んで寝たはずだ。いったい何が起きたんだ? この子は何者で、どこから入ってきた? なんでここで寝てるんだ?
寝起きの頭で必死に思考を巡らせるが、現状に対する納得できる説明は一向に思い付かない。
「ん……」
彼女の瞼がぴくぴくと震える。目が覚めたようだ。身動きが取れずに俺が見守る中、彼女は目を開けてこちらを見た。
「おはよー」
「え、ちょっ、わあっ」
とろんとした寝ぼけ眼で彼女は俺に腕を伸ばして抱きついてきた。布団から出た素肌の肩が寒そうだ。というか、彼女は服を着ていないじゃないか!
「あの、誰ですか!?」
俺は彼女から逃げるように慌ててベッドから飛び下り距離を取る。いつもと変わらないシングルの小さなベッドだ。確かにここは俺の部屋に間違いないが、彼女の存在だけが異質だった。
「んー? わたしはあなたの彼女だよ」
彼女がきょとんとした顔でベッドから無造作に身を起こすと、重力に負けた布団が彼女の胸まで露わにした。
「わーっ! と、とりあえず体は隠してもらえますか!?」
目のやり場に困って後ろを向く。良かった、俺はスウェットを着ている。いや、それよりも、彼女が俺の「彼女」だって? そんなわけはない。こんな可愛い女の子見たことないぞ。目が覚めたら裸の女の子がいて、わたしはあなたの彼女ですなんて、これは夢か。俺はまだ夢を見ているのか。夢じゃないなら泥棒? ストーカー? 危険人物か。うーん、これだけ可愛かったらストーカーでもいいかも。顔は好みだし、胸も……。いやいや、そんなこと考えている場合じゃない。
「ふふ、わたしの所にもサンタさん来たんだね。目を開けたらあなたがいたんだもん。素敵なプレゼントだなあ」
毛布を体に巻いた彼女がニコニコ笑いながら言う。
そうだ、今日はクリスマス。昨夜サンタクロース見習いの少年がプレゼントをくれると言っていた。
俺が寝る前に呟いた、欲しい物は――。
『可愛い彼女が欲しい』
毛布から出た彼女の左足には、枕元に吊るしたはずの赤い毛糸の靴下が履かれていた。
テーマ:裸靴下




