止まった学園
帝宮学園。読み方はていきゅう、男女が半々ずつの一般的な学校だがそう思ってはいけない。
まず一つ。この学校は所謂お金持ちのお坊ちゃんお嬢ちゃんたちが通う学校だ、保育園から大学院が敷地内にあるこの国では結構珍しいんじゃないかい?
そんなことはどうでもいい。本題に入ろうか、実はこの学校には秘密があってな。この校舎綺麗だろ?そう思うだろう?…何が言いたいのかって?この写真とこの写真同じ場所で撮ったんだ。当たり前だろうって思うだろう?だがこの写真、撮った時間が違うんだ、ほらこの写真の裏、日にちと年が書いてあるだろう、これが本当ならこの写真は60年前に撮られたことになる、で、こっちの写真は俺の自慢の一眼レフで撮った。一昨日だ一昨日、…え?ありえない、って…?ところがありえるんだよなぁこれが。この写真は校庭の写真だったが、ほかにもあるんだぞ、中庭、音楽室、一棟の階段、少しずれてるが同じ場所だ。……帝宮学園には大きな秘密がある。校庭の校舎の60年前の落書きが色あせることなくあり、隣のクスノキに相合傘が彫ってあるのも、中庭の真ん中にある木が写真を見る限りあまり成長していない、というかそのままなのも、すべて帝宮学園を取り巻く秘密がそうさせているんだ。今年帝宮はあの闘いにようやく出場するようだ、こちら側運営としては出場校には嘘偽りなく話してもらって気持ちよく出場してもらいたいっていうか……なんだよその顔は、……そうさ、確かにこれは建前。本音なんて言えないさ、君にはね。なんとなく察してるとは思うけど今は口に出さないでくれよ、頼むから。
第1話
はじめてだ
そう思ったのは簡単なことで、僕はあの人にいろんなところに送り込まれているけど、まさか入学式の日に潜入開始の合図がでるとは…あの人に任せてはじめてだ。
満開の桜も、入学式の看板も、その前に立って笑顔で友達と写真を撮っている生徒も、そして、…それを少し楽しんでいる自分も、いろんな事がはじめてで、かなり緊張してる。
そんな自分の心と向き合いながら僕はこれから始まる学園生活の第一歩を踏んだ。もちろん、この帝宮学園の正門をね。
「……であるからして、この帝宮学園は成り立つのであります。ですから…」
あの後すぐに入学式の会場、帝宮学園の校舎の中にあるホールで行った。広く、他の高校とははるかに違うということが、まぁ初めの校舎の見た目やあの人の話である程度知っていたが、あらためて理解した。
「えー…私が1年D組の担当である坂口達です」
いつの間にか校長の話は終わっていたようだ。しかも今は各クラスの担任が挨拶している、…もう最後のクラスだ。
「ねぇねぇ」
ん?
と思いキョロキョロと辺りを見渡した。誰かに話しかけられたような…
「待って、あんまり動かないで、先生に見つかったら叱られちゃう」
そう言われはっとした。確かに怒られてしまう、危なかった。この学園で命令を実行する為にはあまり目立たないようにとあの人に釘を刺されてたんだ。こんな入学式なんて1年の全生徒がいる場所でそんなことになったら『入学式の日に先生に怒られた馬鹿な奴』なんて印象付けられてしまう…
「…叱られることに怯えている君がなんで今僕を呼んだんだい?」
そう前を向きながら言った。おそらく真後ろにいろう相手に問う。
「君も何かおかしいってきづいたんだろ?」
そう言われ考える、おかしい?おかしいって何が?
「思わなかった?少し肩が揺れたからそう思ったんだけど…」
こいつ…
「思ってない。大体なんで肩が揺れたぐらいで君が言うおかしいってきづいたことになるんだ」
相手は少し言いづらそうに言った。
「あのね、この学園変なんだ」
変…、そういえばあの人言ってたなこの学園のことを変だと。僕の使命はまた別だが、確か命令を受けた時ちょっとした雑談で…なんだったか、そうだ意味不明なことを言っていた、時が…
「時が止まったような」
そう相手に言われ、わかりやすく動揺してしまった。さっき言われた通りに肩を揺らしてしまった。
「それって…」
どういうことなんだと続けるつもりだった。だがそれを制止させたのは…
「私が帝宮学園生徒会長を務めさせていただいている、3年A組の都琴 菊乃です。」
その声が聞こえた時、ゾクッとした。一瞬殺気がした。それも前から10列目の右から13番目の僕がいるこの場所ピンポイントに……。
「新入生の皆様に素晴らしい学園生活を送れるように願っています。以上です」
彼女が喋っている間、まるで時が止まったかのようにあたりは静まり返っていた。終わった後も同様で舞台の袖に彼女が去るまで続いた。
「で?」
「え?」
1年B組。出席番号13番。久野 涼太、仮名だが今回はこれが名前だ、前にも色々名前を持ったことがあったが一度、クラスメイトが呼んだ名前を勘違いをして返事してしまった。あの時は焦った、大事にならずにすんで…ってそんなことはどうでもいい、今問題なのは…
「なんで君が僕の後ろなんだ」
そう、数分前に終わった入学式で僕に話しかけてきた真後ろの彼、教室はガヤガヤしてうるさいっていうのにこいつが後ろか、
「だって、僕は1年B組で出席番号14番の佐倉 悠人だから…君の後ろにいるんだよ」
だからそういうことじゃないんだよ
「…で、佐倉くん?さっきの話なんだけど」
佐倉くんの笑顔が急に不安な顔になりうつむいた。
「変だって思われるかもしれないけど、僕は桜の散る瞬間が好きなんだ」
変だな。
「それで、帝宮学園の敷地内にある桜を見てたんだ」
これは…
「えっと…?その話と何か関係あるの?」
全然話が読めない、佐倉くんが桜の散る瞬間を見てたことがなぜ時が止まるなんてことになるんだ?
「だから、その桜数分見てたんだ、でね、なんか寒気っていうかぞくっとしたというか、なんていうんだろう」
佐倉くんの話を聞いてさっきの生徒会長を思い出した。
「殺気、みたいな…?」
「さっき…うーん、わからないな、まぁとりあえずそんな感じで、……桜の花びらが止まったんだ」
「は?」
桜の花びらが止まった?
「どういうことだ?」
佐倉くんは頷き、こう続けた。
「止まったていうか、一瞬、ほんの一瞬花びらが地面に落ちる前に…止まったんだ。」
「だから、時が止まったって言ったのか。」
ありえなくはない。あの人の話を信じれば…
60年前から時が止まったような帝宮学園。もしそれをあれがやっているのだとしたら、もっと信ぴょう性がますが…
「あの…」
僕達が喋っている最中、前の扉あたりから声がかかった。
「ん?何」
声が聞こえた方を見るとと黒髪で肩の上あたりまである小さな三つ編みが特徴的な少し幼げな少女が立っていた。
「あなた、気をつけて」
「え?僕?」
少女は佐倉くんを指差し、悲しげな表情で言った。
「あなたは、あの子を止めに来てくれたの?」
この少女の言っているあの子と言うのはもしかして僕が探しているあれのことを指しているのだろうか、そう思わせるほど少女の纏う雰囲気がなんだか異様な感じがしてしょうがなかった。その時
「うわぁっっ!?」
いきなり佐倉くんが叫んだ、と同時に椅子から転げ落ちた。
「佐倉くん!どうし…た、」
そう言って佐倉くんの方を勢いよく向くとき、教室を見た。
「どうなってるんだ……こんなことって、」
さっきだ、ついさっき、10分ぐらい前に入学式が終わった、それは事実…!
「なんで、…夕方なんだ……?」
赤い空、その中飛んでいく不気味な程多いカラスの数。
「どういうこと!?さっきまで皆席に座って、喋ったり本読んだりしてたのに……誰もいない!!」
バッとあの少女がいた方を向く
「しまった…!」
そこには誰もいなかった、前の扉に走り出し扉を開け左右を見渡す、右は行き止まり、だったら左だ!
「佐倉くん!行くぞ!」
「うえ?!」
そう言って左に走り出した。後ろからパタパタと走る音がする、ついてきているみたいだ、
なんてこった、今まで都琴 菊乃がこの学園で起こっている不思議な現象を引き起こしている張本人だとばかり思っていた、だがあの三つ編みの女がそうだという可能性が出てきた。そう思いながら走っていると後ろから音がしないことに気づく。
「佐倉くんついてきてる?!」
走りながら問いかける、はあはあと息が上がってきた
「はぁ、はあ、佐倉くんっ!聞こえてる!?」
あれ、ちょっと待て
膝に手をあて、走るのをやめた。はあはあいいながら考えた。あれ?階段を目指して走ってたのになんで…
「は、あ…なんで廊下をいつまでも走ってんだ?」
嫌な感じがした、振り返ってはいけないと思っていても振り返れなければいけないと思い、少しづつゆっくりと振り返る、そこは、行き止まり。左手には自分が走り出したはずの場所、此処から階段の方に走ったはず、なのに
「今回のあれは1匹だけじゃないのか?」
あれの能力は1つだけ、時を止めるのならただそれだけの存在、学園の間取りを変えるなんて…
「あれ…?」
佐倉くんは………………?
赤い空と烏をバックに佇む少女。短い三つ編みを風になびかせ眉間にしわを寄せ呟いた
「だから、忠告したのに。」
そう言って下唇を噛んだことを知る者はいない。
to be continue…
此処まで読んでくださりありがとうございます。
これから長々と続く予定ですのでよろしければ続編の方もよろしくお願いします。
此処からはちょっとした余談で、実は友達にこうこうこういうような話を書こうとしてるんだ、と言ったら、「厨二病乙」と真顔で言われ何気に傷つきました。いや傷ついたねっ!!
いや、すみません。というわけでこれから厨二病乙な話になっていくと思いますがお付き合いお願いします。




