第八話 バンス戦開始!
屋敷はすぐそばだとアミラは言っていたが
それでは兵士に見つかる為、迂回して裏から攻める作戦とのこと
そこは険しい山、岩山を登り落石の危険もある中歩き続ける
「なぁ、アミラ?作戦はあるのか?バンスを殺す」
ハイクは作戦があるのかが気がかりであった
「ずっと考えていたの、なぜバンスは私たちの目の前に現れずにニーレだけを前線に立たせていたかを」
アミラはこの険しい道にも息切れせずに言葉を発する
「はぁ...はぁ....そんなん俺が強いし、娘のアミラも裏切ったからビビってんじゃねぇのか?」
ハイクは息切れをしながら答える
「たしかにそのことを私も想定してみた。けど相手はヌメル領時代にクーデターをして政権をもぎ取った人よ。クーデターをする側の気持ちなんてすべてバレてるってことよ。あまり楽観視できないわ」
アミラの発言にハイクは唾を飲み込む
「....そっか....そんな奴が敵なのか...」
ハイクはそう呟きながら山道を登る
アミラはツタをかきわけながら歩く
「そうだ、ハイクはどこから来たの?」
「俺は遠くの国から来た。日本というんだがな」
ハイクはどうせ伝わらないとわかっているから適当に返答した
「日本...?どの辺にある国なの?どんなところ?」
アミラは興味本位で聞いてくる
「どんな国?まず能力者とかいうチートはいないが飯はうまい、物作りは世界に負けない品質、自動車産業が盛ん、あぁ!あと島国だ!70年前に戦争で負けてからいろいろ経済大国になった、今はコロナというウイルスが流行りちょっとだけ大変。そんくらいか?」
ハイクは自国紹介に慣れておらず思い出しながら話した
「いい国なのね。でもそんな経済強くて戦争に負けていた国あったかしら?自動車ってなんだろう...私も勉強不足ね...でもどこかで聞いたことあるような....」
アミラは必死に世界地図を思い出し考えていたが日本という国は見つからずに自分の不完全さを改めて理解した。
「ま、あとで教えるわ」
ハイクは余裕があるときに教えようかな程度に考えていた。
そんな会話をしている最中
ハイクとアミラのいる山道のもっと上の方から声が聞こえた
「ゔぁぁぁぁぁ!!!!」
その声は近くなりやがてハイクの目の前へ現れる
その声の主は山から飛び降りてきていたのだ
「ちょちょっちょ!!」
ハイクは焦り
アミラを後ろから押した
飛び降りてきた者は男で兵士なのだろう。防具を身にまとっていた。
そして左胸周りがかすかに黄色に光っていた
男の兵士とハイクは目が1秒ほど目があった
どこか悲しげな顔をしており、ハイクの印象に残った。
ドガァァン!!!
次の瞬間、男は爆発しハイクも巻き添えを食らった。
運よくアミラは爆発には巻き込まれなかった。
ハイクは酷いやけどを負ったが腕を顔に覆い立っていた
腕をおろし
「なんなんだ?自爆特攻か?」
と言うと
「バンスにこの位置がバレているみたい」
アミラは冷静に答えた
周囲の草木は燃えており拡大していく
「乾燥しているから少しの火でも簡単にあたりを燃やし尽くすわ。」
「どうするよ!消すか?」
「そんなのに時間をさいていてはバンスの思うつぼだわ!早く屋敷に向かいましょ」
「いや、その必要は無いようだな」
ハイクは山の上に目を向けいつもとは違う雰囲気をしていた
アミラがハイクの目線の先を見ていると
崖の上に燃え盛る炎の奥にバンスが立っていた
バンスは火の粉をよけ20代のような体力と見た目をしていた。
ハイクは本当にアミラの父なのかと疑うくらいに若いのだ
「まさか、あのバンスがここに来るなんて...」
アミラは驚いた顔をしたが、一瞬で眉間にしわを寄せ真剣な表情に変わった
(バンスが若い?ということはバンスの能力で作った人の形をした粘土爆弾なのかも.....)
「まさかさっきの特攻で死なないとはな、この国に能力者はいらない」
バンスはそう言い自分の指を簡単に引きちぎりハイクの足元で燃えていた炎に投下した。
次の瞬間ハイクの足元は爆発し、ハイクは吹き飛ばされた
ハイクがそのまま山から落下していくのをアミラは見た
アミラとバンスは山で一体一の構図となった
「ねぇお父さん、このまま私に領主の立場を譲る気はない?」
「ない。まさかアミラがこの俺にクーデターを仕掛けるとは...あそこまで可愛がってやったというのに」
くすっと笑いながらバンスは言う
「ほとんど会話もしたことないのになによ!」
「いけ」
そうバンスが片手を前にし放った後、後ろから一人の兵士が木から飛び出してきた
兵士はバンスを横切り崖から飛び降りた。
その先にいたアミラに突撃してきた
ドガァァン!!!!
「ックソ!かわしたか...爆発させるタイミングを間違えたか....」
バンスは兵士はアミラの真隣の位置で爆発させたが、アミラが咄嗟に後ろに下がったため爆発を免れた
しかしアミラは後ろに下がったときに足を滑らせ山から転落してしまった
バンスはアミラを見失ってしまう結果となった
「アミラめ...どこに行きやがった」
バンスはそう呟いた
アミラは転落したが髪の毛を木の枝に巻き付け無傷であった。
「ハイクはどこいったの...バンスには私じゃ勝てないな...あれは」
独り言を言った後、枝に巻き付けていた髪をほどきッヒョイ!と下に飛び降りた
ハイクは転落した先で倒れていた
「いたたたたた....いって...勢いよく落ちたせいで体の骨が全体的に骨折してやがる...ま、治るまで待つか....」
ハイクは全身骨折が治るまで仰向けになり空を見ていた。
「あぁ...親父と弟元気してんのかなぁ...」
そう黄昏ていた....
「ッグハハァ!!!!」
ッバキィ!!と骨が余計に折れる音が響く
「あ、ごめん」
とアミラの笑いながら言う声がハイクに聞こえる
そう仰向けになっていたハイクの腹にアミラが落ちてきたのだ
当然ハイクは悶絶した
「いってぇ!!!」
アミラはハイクの腹の上からどく
「ちょっと、そんなに痛そうにしないでくれる!私が悪いみたいじゃん!」
アミラは口を膨らませ言う
「お、お前がどう見てもわるいだろーーーー!!!いったーーー!!」
ハイクは叫びながら仰向けでジタバタする
「あれ?骨折治った?」
ジタバタしている自分に気づき
もう全身の骨がもとに戻ったことを理解しハイクは立ち上がった
「アミラこれって」
とハイクは横を指さし言った
指先にあったのはまさかの屋敷であった
「そうよ、さっきあの険しい道のりを歩いていたのも屋敷の裏側に回る為だったの」
アミラは屋敷を見ながらつぶやく
「じゃ、入ってバンスの本体を見つけるわよ」
と言いアミラは屋敷の窓を割って侵入する
「あれ?さっき山いたのがバンスなんだろ?偽物だったということなんか?」
キョトンとしながらハイクはアミラに続いて窓から侵入する
「さっきのバンスは若すぎる、それにさっき火の粉をよけていたから確実に偽物よ。これは予想だけどね」
「アミラもおやっさんの能力をよくわかってないのか?」
「だってほとんど話したことないもの...でもニーレと戦っているときにバンスは現れなかった...クーデター対策されているのは確実よ」
アミラは屋敷の一室一室扉を開けていった
アミラの予想は外れたのか、いっさいバンスの本体は見つからなかった
「本体がない...ということはさっきのバンスが本体なのかな...だとしたら私が知らない能力がバンスにあったってことなのかな...」
そうアミラはつぶやく
「ま、いいわ!このお屋敷から機密文章とメイドさんを外に出すわよ!手伝ってハイク」
「わかった」
そういいアミラの後をハイクも歩く
屋敷の中の廊下は赤いカーペットが敷いており壁には豪華な装飾がところどころある
「わぉ!いいお酒ね...度数もバッチリ!何かあった時のために飲んで貯めとくわ」
アミラは廊下にあったタンスの中からお酒を取り出し一升瓶まるまる飲み干した
飲み干した後、廊下の窓を開けて開けたところに一升瓶をたたきつけた
「よいっしょ!」
バァリリィィン!!!
という瓶の割れる音が響く
「ビックリしたな...な、なにしてんだ?」
「武器にもなるから一応」
「な、なるほどね....でも急にされるとビックリしちゃうから....」
「驚きすぎだよ」
とアミラは笑いながら返し屋敷の玄関まで歩いた
「あれ?アミラ?出るのか?なんか持ち出すんじゃなかった?」
ハイクはアミラが玄関から出ようとしているのに疑問を持ちそう問いかけた
「さっき瓶を割っているとき、すでにバンスが外にいた。兵士を配置して完全に囲まれる形でよ」
「それって兵糧攻めっていうやつか...」
ハイクは一瞬で今のこの状況を飲み込んだ
「あと、ハイク...兵士は殺していいのよ?ここで覚悟を決められる?」
アミラはハイクにそう説く
「殺しか...まぁできるっちゃできるけど...なんというかな...心が痛む...」
どこか神妙な面持ちで答えるハイク
「殺さなきゃ死ぬのよ?」
「俺、自殺志願者なんだが....」
「そう、死に対して恐れない人は戦闘においてどんな敵よりも脅威なものよ。頼もしいわ」
「ま、わかった...覚悟決めた!これは人のためなんだもんな!」
「うん、そうよ。じゃあこの扉を開けてバンスと敵兵のいる屋敷のお庭に出るわよ。いい?」
「な、最後にいいか?」
「なに?」
「あいつは一般人をいつでも爆発させられるんだろ?」
「そうね。そうやって誰も逆らえないようにしているから」
「もし俺のヘマで関係のない一般人が爆発して死んだらどうすればいい?」
「その人の死が無駄にならないようにバンスを討ち取るほかない....じゃ、いくわよ」
そうアミラは言いながら玄関の扉を開ける
庭には兵士がポツンぽつんと立っており、アミラとハイクを見ている
.........
ニーレ「おい、俺もうでばんないのか?」
ハイク「あったりまえだろ!二度と出てくるな!!!」
ニーレ「(まじか.....)」




