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第六話 ハイクとアミラの共闘!

「なぁ、アミラ、作戦はあるのか?」


「毒薬に賭ける。それだけ」


「わかった。俺がなんとかしてあいつに注入できるように羽交い絞めにする。そこをアミラは狙うんだ」


「わかった」


ハイクとアミラはニーレに聞かれないくらいの声量で作戦を伝えあい、ハイクは一回かがみこみ、立ち上がり一歩前へ進んだ。


「何か言い残すことはないか?」とニーレはハイクに問う。


ハイクは驚いた表情でニーレの後ろ側を指さし、「おい……あれがバンスってやつなのか?」と震えた声で言う。


「は、バンス様がこんなところにくるか」と半信半疑で後ろを振り返る。

その瞬間、ハイクは地を強く蹴り、ニーレの方向へ突っ込んだ。


「貴様!」ニーレは突進してくるハイクに振り返った。


ハイクは先ほどかがんだ時に握りしめた地面の砂を、ニーレの目を目掛け投げつけた。


「な、なに!?」ニーレは急展開に動揺を隠せない。


次の瞬間、右足の血の部分からあの白いドラゴンがハイクを見ながら頭を出していた。 その一瞬で、ハイクはニーレの右足を蹴り上げた。 ニーレは右足のすねの部分は顔の目の前にある状態になり、白いドラゴンは勢いよく出てきたため、ニーレの顔を直撃した。


ニーレが仰向けに倒れこんだ隙を狙い、上から覆いかぶさり、「今だ!!毒薬を刺せ!!」とハイクはアミラに叫ぶ。


「ありがとう!!!」と言い、アミラは髪の毛をニーレ目掛け物凄い勢いで伸ばした。 髪の毛の先端にある針がニーレに猛スピードで近づく。


「やめろぉぉぉぉ!!!!」と激しいトーンで叫ぶニーレ。

次の瞬間、地面と面していた背中からドラゴンが複数体出てきた。そのドラゴンは地面に顔を当て、ニーレとハイクを宙に浮かせ、ニーレの支えとなった。


「今度は上ね!」とアミラは言い、髪の毛のニーレのいる上へ軌道を変えようとしたが、高さが高すぎて時間がかかる。


「いや!」と何かを思いつき、「ハイク!今すぐ下に降りて、下のドラゴンを動かないように捕まえて!!」とハイクへ指示を出す。


「おっけーー!!」と言い、ハイクはニーレの顔面を一発殴りつけ、地面に落ちた。 急いで立ち上がり、一匹のドラゴンを抱きしめるように捕まえ、「アミラ!捕まえたぞ!!」


次の瞬間、ハイクの真横を髪の毛は通過し、ドラゴンに針を刺した。


「ドラゴンでいいのか?」とハイクはアミラに聞く。


「いいの!見てて!」とアミラは答えた。 ドラゴンに刺された部分は徐々に紫となり、クダを伝わりニーレに向かっていった。


「そういうことか!!」とハイクは納得した。

アミラはニーレのドラゴンとニーレ本体がクダを介して接続されていることに目をつけていた。アミラの予想は的中し、ドラゴンのクダを伝って猛スピードで毒素は浸食していった。


ガガガァと物音を立てて動こうとするドラゴンを抑えつけるハイク。「動くな!って!」と言い、より強くドラゴンを締め付ける。


「っクソ!!もういい!!」とニーレが叫んだ次の瞬間。


白いドラゴンたちは灰色となり、一斉にクダがちぎれた。毒素も、ちぎれたクダの先端から漏れ出していた。 ニーレは落下してきたが、右手の手のひらからドラゴンを出し、木を噛ませて、地面直撃を避けるように落下軌道を変え着地した。 ドラゴンに噛ませた部分の木が折れてコロンと落下する。


「うそ……自らドラゴンを捨てるなんて……誤算にもほどがある!!」とアミラは自らの選択を悔いていた。


ニーレはドラゴンを手のひらに戻し、ハイクに向かい「ここまで追い詰められるとはな」そう発言をしている最中に、ハイクはニーレに突撃し、殴り掛かった。 が、しかし、すぐに背中から出てきた十体程度のドラゴンがハイクの行く手を阻む。


ハイクを噛み殺そうと、一気にドラゴンたちはハイクを襲いにかかる。


ッダン!グシャッ!!ッダンッガギ!ッドン!!


ハイクは殴り、蹴りなどで戦うが、ドラゴンに悪戦苦闘を強いられる。


ハイクとニーレの戦闘を見ながら、アミラは眉間にしわを寄せ、「どうしよう……これで私も戦力外だわ……でも、何かしなきゃ!」と思考を巡らせる。


しかしアミラが戦闘を見ている間に、ニーレのドラゴンはハイクの腹に突撃し、ハイクを村の民家へ激突させた。 民家は一部壁が崩れ、ハイクは民家の中に押し込まれてしまった。


「グハァ!!?」とハイクは民家の中で腹をドラゴンに噛まれ悶えている。


「っクソ!!この!!」と言い、ドラゴンを肘で仕留める。


しかしニーレは、ハイクの入った民家へ向かい足を一歩また一歩と歩き始めた。もはやアミラに目も向けずにだ。 ニーレにとってアミラを警戒する必要性もないのだろう。ニーレはすでに感づいていた。アミラは麻酔薬と毒薬を使い果たしたことをだ。


ハイクはふと隣を見ると、民家の住人であろう人がいた。 しかしお酒に酔っているのだろう、ハイクを見ると、「おぉ!大英雄ムラヤマ様じゃないか~!へへぇぇぇ……ッウゥ」と、しゃっくりを交えながら話しており、ハイクを謎の英雄と見間違えていた。


「おい!酔っ払い!この家から出てくれ!危ないぞ!」とハイクは酔っ払いに呼びかけるが、聞く耳を持たない。


「ったく!この酔っ払いを殺すわけにもいかねぇ!でも見殺しにでもしねぇと勝てねぇよ!こんなの!」と、内側からいつ崩れてもおかしくない民家を見てハイクはつぶやいた。


酔っ払いを担いで一旦外に置くか……など考えながら酔っ払いを見る。 天井から物凄い音が聞こえた。


バギィキキキ!!


ドラゴンが天井を破り、民家に侵入してきた。


「見殺しにするしかねぇ!!ここにいては俺もまずい!」と崩れそうな民家から出ようとした瞬間。

酔っ払いの足元にあった一升瓶が目に入った。 ハイクはその一升瓶をすかさず手に取り、民家の崩れた壁に向かい、思いっきり投げた。


グジャァ!!


投げた次の瞬間、前へ振り出した右手はドラゴンに噛み千切られたが、一升瓶はニーレを越えアミラのもとに降りかかってくる。


「な、なにこれ!!」とあわあわしながら一升瓶をキャッチする。


「これは……お酒……??って!テキーラじゃないの!アルコール度数五十パーセントはあるんじゃ……」と一升瓶を見ながらつぶやく。

っは!?とアミラは目を見開き、ひらめいた。


次の瞬間、アミラはテキーラの一気飲みを始める。ゴクゴクと音を立てながら。


「何を投げたんだ」とニーレはアミラの方を見ながらハイクへ尋ねる。


「この家が崩れるから最後に備品をプレゼントしたってとこだよ」とハイクは血だらけになりながら答える。


「貴様を殺してもアミラは次に始末するがな」と言いハイクに目線を向け、背中からドラゴンを複数体出した。


「もう終わりだな」とニーレの落ち着いたトーンの言葉とともに、ドラゴンが一斉に襲い掛かってくる。


ゥガブ!!


天井を突き破り出てきたドラゴンに、ハイクは体を噛まれ固定された。 そのまま複数体のドラゴンは、民家のあらゆる所から中にいるハイク目掛け襲い掛かる。


バギィ!!ギギギッギ!!ガジャン!!


民家はドラゴンの強硬な侵入により崩れ始める。


「すまん!酔っ払い!!」と苦しそうにハイクは言った。


ガララララ!!!ガッシャーーン!!!!!!


次の瞬間、猛烈な轟音とともに民家は崩れた。 崩れた民家の中、壁の木材の破片が酔っ払いに刺さっている。他の木材にも血が付着しており、チョロロロロォォと割れた一升瓶からお酒が漏れ出す音も聞こえる。


ゴロコロコォ……


崩れた木材の中からハイクが出てきた。ドラゴンに腹を噛まれた状態で持ち上げられるように。 他にも崩れた民家の木材の中から複数体のドラゴンが顔を出し、ハイクへ一斉に目線を向けていた。今にでも襲い掛かる目つきでだ。


プスッ!!!


そんな中、ニーレのうなじにアミラの針が刺さる。


「なんだ!?」アミラの謎の行動に驚くニーレ。


(アミラは既に麻痺、毒、どちらも使い果たしたはずだ……なのになぜ今ここで俺に針を刺した?)ニーレはアミラを見ながら考える。


「はぁ!?そういうことか!!!!!」とニーレは顔を真っ赤にし叫ぶ。


「アミラめ!まず貴様を殺す!!」と叫び、背中から生えてるクダが物凄い勢いで伸びる。

が、ハイクに噛みついているドラゴンは上空に伸びる。


「な、なんでだぁぁぁ……」と酔っ払い始めるニーレ。


そう、ハイクが投げた一升瓶を飲んだアミラは、その強力なアルコールをニーレに注入したのだ。ニーレはテキーラの度数に抗えず、自分のドラゴンの操作さえままならない状態のようだ。


そのドラゴンの操作ができないせいか、ハイクはみるみる上空へ連れていかれるが、「今だ!!!!」とハイクは叫び、手刀でドラゴンを切り裂き、上空から落下し始めた。


ハイクは落下中にニーレに狙いを定め、先ほど壊れた民家の木材を両手で握った。 ニーレは上空から落下してくるハイクを見ることなく、アミラを殺そうとにらみつけていた。


「死ねぇぇ!!」とハイクは叫ぶ。


ッグシャアッ!!!!!!!!


そのグロく、しかし皆には安心感を与える音とともに、ニーレは倒れこんだ。 ハイクは落下しながら、ニーレの右肩を木材で渾身の突き刺した。木材は右肩から腹にかけて貫通しており、背中から出ていたドラゴンは地面に落ち、ピクリとも動かなかった。


ハイクは腹から大量の血を出し、顔中汗だくになりながら、「はぁ……はぁ……はぁ……アミラ……これはきっつぃーーよ……」と息を切らしながら言った。


「ほ、本当に勝てるんだ……ありがとう!!グッジョブよ!お酒を私に渡すとは!」とアミラはニーレの死体を見ながら口角を上げ答える。


「あぁ……だが、この戦いに全く関係のない酔っ払いのおっさんは死んだけどな……」と、崩れた民家から出る腕を見ながらハイクはつぶやく。


「……」アミラは言葉が出なかった。

だが、その悲しむ表情はハイクにも感じ取られた。 ハイクが崩れた民家を見ていると、一人の少女とお母さんが民家を見て佇んでいた。


少女は民家を指さし、「……お母さん?これ……お父さん死んじゃったの?なんでうちがなくなってるの?」とお母さんに聞いていた。


ハイクはとっさに「ヤバい」となった。


「あなた……なんで……」と言い、崩れ落ち泣き始めるお母さん。


「あ、あの……すみません……守り切れなくて」と、ハイクは黙ってみているわけにもいかず、親子のもとに駆け寄り声をかけた。


「あなたたちがうちの主人を殺したのですか?」と、泣きながらも歯を食いしばり、母はハイクに問う。


「殺したっちゅうか……巻き込んでしまったていうか……」ともじもじしながら、言葉を選び話すハイク。


母親はしゃがみながらも、ハイクを物凄い眼光で睨みつける。

「絶対に許さない!!うちの主人をよくも!!」と言い、ハイクに殴り掛かる。


「おいおい!やめてくれよ!仕方ないだろ!俺だって好き好んで人を殺さんて!」と、殴られながらもハイクはお母さんに言った。


力の差は歴然、母親の殴りなど痛くもないが、ハイクはこの母親の気持ちを考えると複雑になった。


「おいおい!!何があったっていうんだ!」「待て!酒豪の旦那の家、崩れてねぇか!?」「まさかあの男が殺したんか?」と、周囲には村人が集まってきた。


「いや!俺が殺したわけじゃ!」と必死に村人に弁明するハイク。


しかし母親がハイクに対し物凄いヘイト向けているため、村人はハイクがここの旦那を殺したと思っている。


「おい!そろそろやめてくんねぇかな?仕方ねぇっつてんだろ!!」と短気のハイクは母親にキレる。


しかしそれを見た村人は、さらにハイクへヘイトを向ける。 アミラはその状況を見ていたが、何もしなかった。


「まずいことになったわ……」とつぶやくのみ。


ハイク「よし!やっぱおれはこの世界で最強だ!」

アミラ「そうなの?」

ハイク「そうだろ!だってあの凶悪なニーレとかいうやつに圧勝したんだ!!」

アミラ「圧勝って……ハイク君ね、随分と死にかけてたじゃない!」

ハイク「ちょっと本気出してなかっただけだし!」

アミラ「なにその小学生のゲームで負けたときの言い訳集みたいなの!!」

ハイク「この世界にも小学生っていう概念あるんだな……」

アミラ「ないわよ!!(笑)今はメタ発言オッケーなとき!」

ハイク「なんだそりゃ(笑)」

アミラ「それじゃ!次回予告!!『ハイクついにバンス戦!』がんばれー」

ハイク「よし!バンスとかいうやつも蹴散らして見せるぜ!!」

アミラ「あんまりフラグ的なこと言わないでよ……次回が怖いわ」

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