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12話 アミラ領始動

バンス領クーデターから1か月後....

アミラはバンス時代の屋敷が火事によって消失してしまったため、バンス時代の倉庫を政治機関兼アミラ、ハイク、ソラの住処として使うことにした。


「おっはよだぜ~!!!」


「ちょっと!ユウ!服着なさい!」


「おじさんと遊んでくる~」


「ちょっと!服!あとおじさんとあそばない!」


.......


ハイクはすやすやと寝ていたのになにやら屋敷の中が騒がしい


(ちょ、もう...なに....うるさいな.....)


ハイクは心の中でそう言った



「なぁ?ほんまになんでバンスおじは死んだの?」


「女神さまに食べられたのよ!」


「ホンマー?」


「ほんと!」



アミラ領ではそんな日常が始まっていた


そして....

とある地では太鼓の音がリズミカルに鳴り響く


ドンドンッドン!ドンッドン!

ッダッダッダッダ

と足りこむ音も聞こえる


「オラオラオラ!!!」


「いけぇーー!!」


「うぉぉぉぉぉ!!!!」

領民は槍を携え、東の野蛮民族を制圧していたのである

その先頭にはハイクもいる


ハイクは死にかけで倒れている野蛮民族を見て、何かを思い軽く蹴った

ッバシ!  ハイクは野蛮人に目を見る


(野蛮人といっても肌の色は俺らと同じ、しかし衣装はほぼ全裸)

なんて考えていた


そのまま


「おい!あっちに族長の家があるらしいぞ!いくぞ!みんな!!!!」

ハイクはそう叫び走り出す....それを村人も追随する


野蛮民族の家の前にハイクが来ると、族長は身を出した


「おめぇら……この(せぇ)地さ足ぇ踏み入れたべ?

ここぁ神さまの領分だ。

そんな真似してっと、神罰くだっぞ。 」

族長は訛りの強い感じで会話を切り出す


「なんでもいいから投降してくれないか?」

ハイクはだるそうに言う


「そだな事してたまっか!! 」

と族長は叫び斧で殴り掛かりハイクの頭に命中させた


「.....そんなんじゃ死なないよ」

ハイクは右上の頭蓋骨かた右目をやられるほどの深さで斧が刺さっていたが

平気でピンピンとしていた


「あぁ……神さまよ……

どうか、この(おどこ)にバチをお(あた)えくだせぇ…… 」

と両手を合わせ膝から崩れ落ちる族長


(これでいいのか...?俺のしている事って完全に侵略行為だよな。

この世界が正常だったら俺、絞首刑に晒されるな.....ま、楽に死ねるからいっか)

ハイクは自分の行為をそうかみ砕いた。


.......


(あれ?絞首刑でも俺死ねなくね?)

と顔に斧が刺さっている自分を思い出しながら気づくハイクであった....



そもそもなぜアミラ領が東の野蛮人を攻撃するかに至ったかというと、アミラ領政が始まる数か月前から、アミラ領の東側の海の向こうにある島の野蛮人による襲撃が頻発していた。


「困ったわ...」と旧倉庫、現屋敷で悩むアミラ


「どしたんだ?」とハイクも問う


「人口統計を各村の役人に依頼してとってみたのよ!でも!人口が3612人しかいないの!」

とアミラは言う


「なーんだ、3千人もいるじゃないか」

と適当に返事をするハイクに


「半年前までは5000人以上いたのよ...こんなに減ったのもバンスと戦った時の戦死とバンスが途中領民を爆発させていったのが原因よ....あと、最近頻発している東の野蛮人による拉致や襲撃ね」とまじめな表情で言うアミラ


「野蛮人ねぇ~....」

ハイクはそう呟き座り込んだ


「ハイク、次、もしも領民が襲撃にあったらそれを大義名分に東の野蛮民族の島に侵攻します。できる?」アミラは前々から考えていたことを口にする


「あぁできるが...」とハイクも了承


「ありがとう。野蛮民族もうちの領地の統治下にはいってほしかったの」

アミラは書類を眺めながらそう言う


アミラは直ちに第一騎士であるハイクと領兵を野蛮民族の住んでいる島へ派遣させた。

加えて領内の治安兵を東の海岸村に多めの割合に配置させるなどの措置もとっていた。


ついに族長を連れ出し、アミラ領の中心部に連れてくることに成功した。


クーデター成功から野蛮民族征伐までの1か月間

アミラ領のアミラ領主は困難な状況に立ち向かっていた。


飢餓状態にあった者、女性や、子供、老人などの非生産者側の者、極限貧困層の領民はバンスの爆発によって8割ほどが殺された。

そのため食糧難はバンス時代ほどではなくなった。


また、バンスの恐怖から一気に解放された一部の若者は悪行に走り治安も悪化していた。

アミラはバンス領時代の生き残り兵士の一部を警察組織的なものに改編し取り締まりにも力を入れた。

領民の一部には領主というものに疑念を抱いている層がいる。

そういった権力への否定的感情をなくそうとアミラは自ら村を歩き領民の治療、幼い子へ文字の読み書きなどの簡単な教育、畑仕事を手伝うなど、領主が積極的に領民の問題に立ち向かっている姿を見せた。


税制制度もバンス時代の負の遺産としてグチャグチャとなっていたので簡略化、簡素化に乗りだした。


領民の処女権を買う制度はもはや領主が女性となったため廃止


毎年不定期に来る領民皆徴税も領民を混乱させると廃止


月曜、水曜、金曜の農作業者への賃金無配当制度廃止


建設税の廃止で復興促進にも乗り出す


結婚、葬儀、死亡税を廃止

などいくつもの分野での徴税を取りやめた。

これは領民活動の活発化推進と経済発展を視野に入れた改革だ


しかし、廃止する税制が多すぎた余りアミラ領は財政難が深刻なものとなっていた。

屋敷の中に隠されていた金銀財宝はバンスとの戦いで屋敷が大火事となり消失。

そのため、アミラは当初、自分が領主となった際使おうと考えていた財源がなくなってしまっていたのだ。


そんな中、野蛮人征服後に野蛮人の文化物とアミラ領内の物で交易し、その分の税で賄おうともアミラは秘かに考えている。


また野蛮人の人口はアミラの予想では1,000人は超えている。

なかなかの規模間 を持っている野蛮人だが飢餓状態の者を見たことがない。

それがなぜなのかを調べるものアミラは今回、野蛮人征服に舵を切った要因でもある。

ハイクという能力者、武力を手に入れ対策される前にという焦りもあったのだろう。


その後、族長とアミラは旧倉庫、現屋敷で面会をする


「私こそ、この領地を預かるアミラ・ヌメルです。

 今回のご判断、深く感謝いたします。

 あなた方が武を収めたことで、我々の間に無用な血が流れずに済みました。

 この結果は、両者にとって確かに利益となるでしょう。

 感謝のしるしとして、我が領地の特産品を贈ります。どうぞ受け取ってください。」

アミラは族長に対して海沿いでとれる魚を渡した。


「……これは受け取るべ。

だども——おめぇら、本当にウチの部族を()す気はねぇんだな? 」


「えぇ、当然、あなたの部下たちも含め民族浄化など考えておりません。」


「なら安心だべ……よかった。

……なぁ、ここでちっと葉巻(はまき)ふかしてもええか?」


「はまき??」

アミラは首を傾げキョトンとする。


「んだ? 葉巻知らねぇんか?

一本やるべ、吸ってみれ。」

といい族長は手に持っていた葉巻をアミラに手渡す


「おぉぉい!女にヤニ吸わせんなって!!」

ハイクは叫びアミラと族長の会話に割り込む。


「どうしたのよ、そんなに大きな声出して」

アミラは不思議そうにハイクを見る


「そんなものアミラの性格に合わん!もっとかっこよくてストリート系女かギャル女にしか似合わないんだよ!!ヤニなんて!」


「一回くらいいいじゃない。族長さん、一回吸わして」

と言いアミラは葉巻を口元にもっていき、族長が部屋の明かりであった火を葉巻に近づけさせ、火をつける


「いきなり肺まで吸うでねぇぞ。

まずは口ん中さ含ませて……

そっから、すぅ~っと肺さ入れんだ。」

族長は吸い方をアミラに教える


「ふぅ....」

とアミラは葉巻を吸い口から吐き出す

「これの何が楽しいの?」

と続けてアミラは話す


「なんぼか吸ってりゃ、気持ちもスーッと落ち着いてくっし、

疲れも取れてくんだわ。」

族長は落ち着いて言う


「そう、それじゃこれ一本吸ってみるわ。それで話変わるけど、ここからが本題。」

アミラが話題を切り出す


「……んでよ、本題っちゅうのは何だべ?」


「あなた方は普段何を食べて過ごしているの?」


「食いもんのこと聞かれてもなぁ……

小せぇ獲物狩ったり、サンケマみてぇなデッカい獣追ったり、

あとはデガイモ育てて喰ってるべ。」


「...デガイモ?」

アミラはピンときたように問う


「おめぇら、デガイモ知らねぇのか?

あれはな、うちみてぇな寒ぃ土地でもぐんぐん育つんだ。

年に四度も収穫できる、ありがてぇ作物よ。」


「そうデガイモ種はいくつかもらえるかしら?」


「種ぐれぇなら、なんぼでも分けてやるけどよ……

デガイモ、ぶっちゃけあんま旨ぇもんじゃねぇぞ?

だからオラらも肉食いてぇ時は獲物狩りに行くんだわ」


「ありがとう。味は気にしないわ。」

アミラお礼のあと、吸い終わった葉巻を机の上に置き


「それと、この葉巻というものを我が領地の領民に売ってくれるかしら?了承してくれるならあなたをもとの場所に戻しこれ以上征服しないわ。でもこれからは我が領地の一員としてあなた方にも生活してもらうわ。我が領の掟と、相応の税を納めてもらうことになるわ。それでも受け入れてくれる? 」


「わしらの(かみ)()さ、

人間ごときがこしらえた“法律(ほうりつ)”なんぞ持ち込んだら——

(てん)さまは怒り狂ってしまうべ。

……そだごど、できるわけねぇ。」


「そう、まだ理解していないわけだね。我が領地の第一騎士の力を。あなた方は神によって滅ぼされるのが先か、我が第一騎士によって滅ぼされるのが先か...今一度考えなさい」

アミラは族長に圧をかける


ハイクはその会話聞き顔の表情を変えず

(族長さん!それ以上変なこと言うのやめて!どうなっても俺は知らないからな...)

と目を見開き地面を眺めながら心の中で祈る


「わがった……。

だどもな、そんな法律なんぞ入れたら、

おめぇら自身が痛ぇ目みっこと、忘れんなよ。」


族長も心の中では

(……ダメだ。

もうこの領主の言い分、呑まねぇとまた攻め込まれる。

そしたら族長としてのオラの立場も()せちまう……。

それどころか、民族そのものの命運に関わってまう……。)

そういった恐怖心があった。


「うん!ありがと!それじゃ、これからもよろしくね。我が領地の一員として!」

アミラは表情をけろっと変え優しい顔に戻した。



アミラ領はトウカ連邦の極東側にある島の領地であり、元の面積459.16 km²に加え野蛮民族の住む島の面積311.59 km²が加わり総面積770.75 km²の領地となった。


アミラ領の島と旧野蛮民族の島の間の海の距離は5kmと比較的近い

そのため侵略後からさっそく交易も始まった


野蛮人の葉巻アミラ領の布などお互いの持っていないものをアミラ領の金貨を通じて行われた。


野蛮人がアミラ領の屋敷を出た後。


「今日はありがとう、ハイク」

アミラは屋敷のドアを閉めながらハイクに言う


「これで今日の仕事も終わりかー...やっぱ俺、一般人相手には最強なんだな」

両腕で伸びをしながら今日の仕事を終えたことに安堵するハイク


「終わりじゃないわよ」

アミラはハイクの伸びが終わったタイミングで言う


「え、うそでしょ....」

猫背になりダルそうになるハイク


「今から政治犯を解放しに行くのだけど、でも彼らも能力者なので護衛をお願い!」

アミラは両手を合わせお願いする


「そんな危ないやつらなら解放しなくてもいいのに...」


「バンス時代に与えた刑期が今日で満了なのよ」


「伸ばせよ!刑期くらい領主の権限かなんかで!」


「正直言うと、今の我が領地は人手不足なのよ。だから彼らにも協力してほしいっていうのもある。もちろん攻撃的だったりしたら刑期伸ばすけどね!」


「刑期伸ばすのは賛成派なのかよ...てか人手ぶそくなんか?」


「領地の長である領主の私と、領地の防衛の長である騎士がハイクただ一人。もし私が死んだりハイクが戦闘不能になったときに変わりがいないことは我が領地は存続できなくなるほどの不安定さを秘めているの」


「別に民間登用で補えばいいだろ...今から育てれればなんとかなるぞ、これ。わざわざそんな危ないやつらに任せなくとも」


「今は強固な領主制を保つべきだと思うの。政治犯で囚われている一人は私の甥なの。もう一人も親族ではないもののバンス領で第三騎士を務め、なにより私が幼少期からお世話になってきた人なの」


「よく俺を領地の騎士にしたな...てか甥ってことはお前兄弟いるのかよ...あとバンス時代の第三騎士とか解放しちゃ一番だめだろ!」


「ごちゃごちゃいっていないでいくわよ」

アミラはハイクに催促し屋敷の扉を開けた



トボトボとアミラに続き歩くハイク


やがて洞窟に入っていく

アミラの手にあるトーチだけが光っている


「おい、その政治犯っていうやつは牢屋にいるんじゃないのか?なんで洞窟なんだよ」

ハイクの声が洞窟の中で響く


「こんな領地の資源で彼らを捕えれる建物が作れるわけがないでしょ。この奥にいるのよ」


「ほんとに貧乏なんだなこの領地...」


歩いているうちにアミラが足を止め顔を壁に向ける


「久しぶり、ルオとドーゲル」

アミラの目線の先には檻の中にいる2人の男がいた


アミラの呼びかけにおじさんの方は

「アミラ...立派になったな」


若造のほうは

「.....」

と無言でいた

ハイク「な、アミラ...あのメイドのユウってやつってさ...おじさんと遊んでんのか?」


アミラ「らしいわね」


ハイク「....まじか」

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