朝のおにぎり③
バッグには、銀紙に包まれたおにぎりが2つと、
長細いタッパーに入った汁物、小さいタッパーには漬物が入っていた。
保温バッグに入れてくれていたおかげで、まだ温かい。
涼音は銀紙に包まれた、おにぎりを一つ掴み、剥いていく。
中からは、赤、緑、白、黒のカラフルなおにぎりが顔を出した。
よく見ると、白はシラス、赤は梅干しだ。そして、黒胡麻の黒。緑は何だろう。
一口、頬張った。
大葉だ。
シラスの塩見と、大葉の香りが口の中いっぱいに広がった。
梅干しの酸味も効いていて、サッパリしていて、食欲をそそる。
そして、黒胡麻のプチプチが良いアクセントになって、楽しい。
もう一口、もう一口、と食べていて、ふと目に止まったのは、長い筒のタッパーに入った汁物だった。
おにぎりを置き、蓋を開けと、出汁の香りがふわっとした。
一口啜ると、優しい野菜の甘さと、豚肉の旨味、味噌のコクが、いっぱい詰まった豚汁だった。
身体中に染み渡り、冷えていた身体を温めてくれる。
こうどれも美味しいと、小さいタッパーも気になる。
開けると、黒い棒状のものと椎茸の佃煮、それから赤い兜の漬物が入っていた。
どちらも箸休めにピッタリだ。
豚汁と、シラスと梅のおにぎりを、半分位食べたところで、もう一つのおにぎりも開けてみた。
見た目は、至って普通のおにぎりだ。
真っ白のお米が、キラキラと輝いている。
パクッと一口頬張ると、程良い塩加減の塩結びだった。お米の粒がしっかりしていて、しかもモチモチ。塩味のお陰で、お米の甘さが際立っている。
これはお米が美味しいんだな。
味の付いたおにぎりも良いけれど、シンプルな塩結びも良い。甲乙付け難いとは、正にこの事を言うのだろう。
あっという間に、全て平らげてしまった。
ふぅ〜、っと息を吐き、手を合わせ、
『ごちそうさまでした。』
と、1人の部屋で、呟いた。
一人で寂しいと思う事が多かったけれど、今この瞬間は、とても幸福感に包まれていた。




