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幸せの宿る場所  作者: 坪原 衣音


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プロローグ

ガタンタタン、ガタンタン、ガタンタタン、タタンタン、、、、。

電車が揺れている。

いつまで乗っているのだろうと思うほど、長い時間、揺られている気がする。

朝から、新幹線に乗り、乗り換えて、さらに乗り換えた。

時間はあるけど、お金はない。

だから、出来るだけ、安く行ける電車を選んだ。

新幹線も、各駅停車のこだまに乗り、乗り換えた在来線も、特急料金の要らない電車を選んで乗った。

分かっていたことだけれど、とにかく時間がかかる。

今回は旅行では無い。

だから、駅弁も諦め、コンビニでおにぎりやお菓子を買って乗り込んだものの、することも無いので、あっという間に無くなった。

最初は、景色を見ながら、電車に揺られていたけれど、だんだんそれも、飽きてくる。

スマホでSNSを眺めていると、なんだか自分の今置かれている状況に、焦燥感を覚え、気が滅入って来た。

昼寝するにも、限度がある。

それでも目的地には、行かなければならない。

ふぅ〜とため息を吐き、また外に目をやった。

朝から見ていた景色とは、随分変わった。

見回すと高層ビルしか無く、空が窓枠にはめられたら様に見えていた大都会から、途中の地方都市、ベッドタウンや田園風景を抜け、今では、木々の緑が眩しい。

都落ち感は、否めない。

都会が好きとか、そんなことを思ったこともなかったけれど、まさか自分がこんなに田舎、それも山奥に住むことになるとは、想像もしていなかった。

しかも、25と言う若さで。

電車がトンネルに入ると、ガラスに自分の姿が映し出される。

都会で、キラキラした服で身を纏い、ピカピカの靴を履き、ハイブランドの鞄を携えて、バッチリメイクにしっかりと整えた髪の自分とは、似ても似つかぬ誰かが、自分の目に映る。

それが、今の自分なんだと、思い知った時、また愕然とした気分に落ち込んだ。

今通っているトンネルが、永遠に続くんじゃないか、真っ暗なトンネルを、自分一人で歩いている、そんな気分だった。


そんな冴えない事を、クドクド考えている内に、目的地に着いた。

山間の小さな駅だった。

小さいと思っている駅だけれど、この辺りでは、特急電車も止まる主要な駅で、周りに小さな旅館もある。

少し行くと、昔の宿場町があり、今は観光地になっている、その最寄りの駅でもある。

とは言え、夕暮れも近付く秋の15時半、降りる人もまばらだ。

駅の改札を抜け、目の前にあるバスのロータリー。

ここからバスに乗って、更に山を上らねばならない。

目的地を探し、時刻表を確認すると…15時45分が最終。

しかも自分が行きたいと思っていた最終目的地よりも、手前までしかバスは行かないことになっている。

普段、バスや電車の時刻なんて気にしたことがなかった。

大抵、遅くとも15分も待てば、次のバスや電車がやって来る。

だから、新幹線でもない乗り物の時刻を調べておく、と言う事を、すっかり忘れていた。

とりあえず、ここに居ても仕方ないと思い、バスに乗り、行けるとこまで行ってから、歩くことにしよう。

そう思い、最終のバスに乗った。

どんなとこに行くのか…足取りは、どんどん重く、今の自分の心のようだった。

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