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最終話  そして未来へ

ある藩にて・・・

「姫様、お着物を新たに仕立てましょうか?」と家老の男が問う。

「そうね。では新しい着物は米沢織で仕立ててね」

「左様でございますね。やはり日本一の織物と言えば米沢織にございますれば・・・」

と、日本全国で米沢織のブームが訪れていた。






「お屋形様、米沢織の収益だけで年4万5千両を優に超え、遂に藩の借財は全て完済致しました」

それを聞いた斉定は満足そうに頷き、仏壇に手を合わせた。


『鷹山公が藩主となられた時に20万両あった借財が遂に完済できました。莅戸善政殿が計画した16年計画の倍の月日がかかりましたが、これもひとえに鷹山公のお力にございます。しかも借財の完済だけでなく、今年は5000両を備蓄できました』と仏前に報告をおこなう。




『養父治広公に《為せばなる・・・》とお言葉を掛けられましたが、正に言動一致、率先垂範のお人であった』と古希の宴での鷹山の言葉を思い出す。


『1500両であった仕切り料を最後まで209両で通されたばかりか、その209両から桑の苗木を手配し、医学書を寄贈され、最後まで御自身の為には1両もお使いになろうとはしなかった』とその生きざまに胸を打つ。


『古希の祝いの翌年に、残念ながらお豊の方様が身罷みかまわれ、後を追うように鷹山公も旅立たれたが・・・の世にて、お豊の方と幸姫よしひめ様に叱られておらぬかのう』とほくそ笑む。


斉定は、お豊の方が今際いまわきわ

の世にて、幸姫様と女同士で思い出話に花を咲かせます故、しばらくはこちらに渡るのは控えてくださりませ・・・』と言い残したのを聞いており、お豊の方を追う様に旅立った鷹山に向けた手向けの言葉であった。


そんな斉定に幕府より知らせが入る。

鷹山公から斉定まで3代に渡っての善政を表彰するとのことであった。


その知らせを受け、更に良きまつりごとを目行わねば・・・と心に誓う斉定であった。


※鷹山の没10年後に、天保の大飢饉が発生する。

この時も、斉定の適切な対応と鷹山公が残した《備籾倉》《かてもの》《農地拡大》《伍什組合》により米沢藩の餓死者は一人もでなかった。




斉定は鷹山が築き上げた米沢藩に思いを寄せる。

『米沢織により、農家や藩士の家では現金収入が増え、藩内で飢えているものは一人もおりません』


『この度、飯豊山の穴堰も完成し、益々発展すると思われます』


『赤子が産まれた家や老人がいる家には補助金が出され、間引きなどの悪習はなくなりました』


と、鷹山がもたらした恩恵を思う。


『今の米沢藩には、《棒杭の商い》と言うものがございます。商品を棒に吊るしておけば、金を籠に入れて持ち帰る商売ですが、このような商売が成立するのも全ては鷹山公の御心が領民のすべてに行きわたった御蔭にございます』と鷹山が米沢藩に残した足跡を心に刻む。




斉定は鷹山公の功績に敬意を表し、鷹山公を上杉謙信公と同じ菩提に弔うことにした。







白鷹山から1羽の鷹が飛び立ち空を舞っていた。

その鷹は米沢藩を見守るように、弧を描いて米沢の空を飛び続けていた。



その姿は『米沢の我が子を幸せに出来たであろうか?』と確認するかの様であった。




その答えは、やがて歴史が証明する…





1960年、第35代アメリカ合衆国の大統領に選ばれたジョン・F・ケネディは就任の記者会見を受けていた。

日本の記者から「貴方が最も尊敬する日本の政治家は誰ですか?」と問われると、彼はその名を告げた。






「ヨーザン。 ヨーザン ウエスギ…」





拙い文章を最後まで読んで頂きありがとうございました。


フィクションとは言いながら、史実をベースにしているため変に話を盛れず、また毎日更新にしたため、話に広がりを欠いたと反省しきりですが…上杉鷹山公の功績を知ってもらえる機会となれば幸いです。


ありがとうございました。


書きたかった四国巡礼をモチーフにした話の導入部分を短編にまとめてみました。

よければ、こちらもよろしくお願いします。

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/2720056/


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