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鷹山と莅戸善政との別れ   鷹山52歳~

別れの話がが続きます。


ここから治憲の呼称は『鷹山』又は『大殿』となります

養父重定公が身罷みまかったため、治憲が大殿となる。

『大殿となるからには、藩政からは身を引き隠居いたそうか』と藩の財政状況も明るい兆しが見え始めたことから、藩政を治広に委ねることを考える。


また、『隠居するからには、隠居名を決めねばならんな』と考え

『そう言えば、兄秋月種茂公は秋月鶴山を隠居名としたそうだ』と高鍋藩の兄を想う。

ふと庭先から目を凝らせば、白鷹山が見えた。


『兄が鶴であれば、私は鷹となろう。米沢にもゆかりの名ゆえ、今後は鷹山ようざんを名乗る』と決めた。ここに、「上杉鷹山」の名が生まれ出た。

そしてこれまで月代さかやきにしていた頭髪を、総髪として隠居したことを示すことにした。


『前世の記憶があるから、月代さかやきは少し抵抗があったんだよな~。典型的な「ちょんまげ」スタイルだし。その点総髪なら前世の髪型にも近いし、抵抗は少ない』と伸びてきた前髪を触った。




しかし、鷹山が隠居の挨拶に治広を訪れると、「何卒これまで通り米沢藩の藩政に係わってくだされ」と嘆願される。

「借財の返済に目処が立ったとはいえ、まだまだ道のりはこれからにございますれば、大殿様の力添えをこれまで通りお願いいたします」と治広が頼み込んでくる。


『昨年、山形藩で起こった村山一揆に怯えておるか・・・』とその心情を読み取る。

『あの一揆では、我が藩からも藩兵を出陣させる事態となったからのう』と治広が鷹山を頼りにしたことも頷ける話ではある。


藩主として情けない限りではあるが、捨ておくわけにもいかず、これまで通り藩政に係ることを約束し鷹山は藩主邸を後にした。




※※※※



その日、鷹山は莅戸善政の見舞いに莅戸邸を訪れていた。

「善政よ、加減はどうじゃ?」

「大殿様、情けない限りではございますが・・・もはや丸木橋を渡る気力がございません」とかすれた声で鷹山に謝る。


「これからは、私の代わりに政以まさのりをお使いくだされ」と隣に控える我が子に目を向け

「お屋形様、大殿様の補佐として、恥ずかしくないものと自負しております」と紹介する。


「何を弱気な。政以の登用はもちろんじゃが、善政よ・・・且方も早く身体を治して私を手伝ってくれよ」と声を掛け屋敷を後にした。




「大殿様、父善政が死去いたしました・・・」

政以から報告を受けたのは、それからしばらくしてのことだった。




莅戸善政は、竹俣当綱と共に米沢藩の改革を支えた第一人者であった。

しかも、竹俣当綱とは違い中級武士の出身でありながら、家老まで上り詰めた実力者だった。


その知らせを受けた鷹山は

一度は隠居した善政を藩政に引き戻した時の事を思い出す。

『藩士から慕われた男であった。皆から請われ、上書を見て涙を流していたのが昨日の事の様に感じる』



『思えば、私が上杉家に来てからずっと、善政には世話になりっぱなしであった』と初めて上杉家に来た時から今までの思いが来去する。




『当綱、平洲先生に続き善政まで天に登ってしまったか・・・』と天を仰ぎ


≪白波を耐え踏み終えし丸木橋 辿り着きたる地に咲く太華≫ 注)筆者の勝手な創作です



と下手な一首を詠んでみたが、これは心に仕舞っておくことにした。





莅戸善政は準主役の扱いだったので、彼の死去には思うところもあり、下手くそな一首を添えてみましたが…説明が必要な時点でダメダメでした。


注)莅戸善政は号を太華としているので、正しくは莅戸(太華)善政となります。

ここまで、太華の号を出さなかったので、ここで使ってみました。

大→太に変更しました

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