表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/47

お豊の方との語らい 治憲20歳 ~

区切りの10話目です。

応援ありがとうございます。

祝言を終え、奥座敷で傍らに座るお豊の方に話しかけた。

「豊殿。倹約令を出しておる故、粗末な式となり申し訳ない」と頭を下げると、「おやめくだされ、治憲様」とお豊の方が慌てる。「どうぞ、豊とお呼びくださりませ。我が藩の貧しき状況は、私めも聞き及んでおります故、お気遣いは無用にございます」と豊が答える。


「私は今宵上杉家の血筋を守るため、豊を側室とした。即ち、子を成さねばならぬのだが、一方で我が藩の農村では産まれた赤子あかごあやめ間引いておる。何としても、この間引きだけはやめさせねばならん」と豊の目を見据えて告げる。


「何と、そのようなむごいことが・・・。その悪習をやめさせられるのは治憲様を置いて他にはございません。古来より、子は宝と申します。産まれ来る我が子をうとましく思う親などおりません。

私からもお願いいたします。何卒、子供たちが健やかに育つ藩としてくだされ」と目に涙を浮かべながら治憲の目を見つめ返す。


「だが、そのためには先ず食べ物の確保が第一になる。こちらについては、開墾や雑穀の種付けなどで徐々に改善されていくであろう」と告げ、「後は、ある程度の現金収入が必要じゃ」と続ける。「そして、何よりも重要なのが、女子(おなご)に仕事を与えることだ」と告げる。「女子も家計を支えることになれば、女子の間引きはなくなる」と豊に語りかける。


「仕事にございますか?女子の身では農作業はなかなか大変かと」と豊が言う。

「なので、家でも出来る内職のようなものじゃ。豊よ、何か良い知恵はないか?」と相談する。

「内職と言えば、江戸では傘貼りを聞きますが、米沢藩では出来ませんか?」と豊が自信なさげにつぶやいた。


そのお豊のつぶやきを聞いた時、一つのアイデアを思いつく。

「豊、それじゃ」と手を叩く。

「え?傘貼りを致しますか?」と豊が問うと、「ふふふ、傘貼りではないが、考え方はそのようなものじゃ。豊よ、その折にはそなたにも手伝ってもらうぞ」と笑いかける。



『私に傘貼りができるかしら?』と不安げな豊がこちらを見つめていた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ