表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/31

お前が城へ行くのだ

「ジューン、そこに座りなさい」

お父さまに促され、マリー()の横に座る。ええ、もう何、怖いんだけど!

「お父さま、あ、あの・・」

「ジューン、この間、国王の一人息子(皇太子)が結婚したのは覚えているな?」

「覚えております。セルリアン家(公爵家A)から、メアリーさまがお輿入れされたのですよね」

「そうだ。そして、半年が経ったので、そろそろ第二妃の選定が行われる」

半年前に盛大な式があって、私たちも貴族として参列した。

我が国は、公爵家が2つあり、その公爵家から代ごとに第一妃を出すことになっている。

それは絶対で、その代わり、子供は第一妃は産まない。

完全なる政略結婚でどうしても産みたい場合は産んでもいいけどそれは公爵家で責任を持って育て、政治的な立場には置かないと言明されている。(この場合、種も王家じゃないところかた調達するんですって。え、意味不明。)とにかく、第一妃は国王と共に立つ、戦友のような立場なのだそうだ。

なので必然的に第二妃が子供を産むために登場するわけだけど。

これまたややこしくて、第二妃が生んだ子供は公には第一妃が産んだってことになって政治的側面の教育は第一妃が担うそうだ。そして第二妃の実家が外戚として力を振えることはなく、無駄な派閥争いなんかも起こらないって言われている。もし第二妃が産めなかった場合は、第三妃が迎えられる。流石にお輿入れの前に審査が(どんな審査やねん)入るせいか、第二妃がほぼ産んでいて第三妃までは滅多にないらしい。

「もうですか、早いんですのね」

「今から選定しても少なくとも半年は掛かるからな、それでだ。ジューン。ミディアム家(我が家)にも第二妃の打診が来たのだ」

・・・。へー。マリー()が行くのかな、かわいそうに。(大変そう)

マリー()ならきっと勤め上げてくれると思いますわ」

「・・・ジューンよ、候補はお前だよ」

・・・え?

「え?」

「そもそもジューンは領の仕事をマリー()から引き継ぎ、領を安定運用、繁栄させることができるのか?そして自分で伴侶を調達できるのか?」

これが実父のセリフだろうか。グッと詰まった私・・。

確かにマリー()はよくできた子でお父さまの仕事を小さいころから手伝い、何なら隣の領の中堅貴族の次男坊と早々に婚約まで結んでいる。

「お姉さま、大丈夫です。そもそも第二妃になるまでに色々関門があるそうですし。決まるもどうもまだ確定したわけではないと思いますよ。それになんだかその選定も面白そうじゃないですか。」

確かにタイミングが合わなければこんな面白いことに巡り合うなんてない。

「わかりました、お父さま、選定を受けます。」

お母さまはずっと真っ青な顔をして黙っている。

「お母さま、大丈夫ですか」

「ジューン、ああ、かわいいジューン、お願いだから目立たず、騒がず、通行人Aみたいな感じで粗相せず帰ってきてね、お母さまはいやよ、家族全員首と胴が離れるのは・・・」

「お母さま・・・!ひどい」

いや、これもお母さまなりの励まし・・・いや、本音であろう。この人は良いにつけ悪いにつけ、お姫様なのだ。私はオオボケの部分だけは母似、それ以外は父似で、マリー()は儚いお母さまの(なり)をして中身はしっかり者のお父さまにそっくりなのだ。

「とにかく、選定の内容に関してはかん口令が敷かれており全くわからない。とはいえ、何も準備をしないわけにはいかない。ジューン、とにかく、粗相がないようにだけしてくれ」

謎の励まし?命令を受け、私は書斎を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ