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危ない魔法使い  作者: 一之瀬 椛
四章
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16、思い込み激しく(side.S)


普段なら隣に座ることを許して下さるのに、ずっと立ったまま。

なぜ、王太后様(おかあさま)は怒っているのかわかりません。


自分達のやったこと?


お父様も何のことかわかっていないようです。

お兄様のことで呼ばれたと思ったのですが、違うのでしょうか?

お兄様が目覚められて、(わたくし)たちには何も非はないと言って下さったから、あの部屋から出してもらえたのでは?


王太后様(おかあさま)がこんなにも怒っているのを見たことがありません。

だから、(わたくし)もお父様も困惑しているのです。


「何のことでしょうか?」


恐る恐るお父様が聞いて下さいました。

ですが、それが更に王太后様(おかあさま)を怒らせてしまったようで……。

テーブルを強く叩きます。


「本物に、解らぬのなら貴様らはその程度ということだ。いや、理解出来ていれば、これ程愚かではなかろう。公爵は過ぎた立場だった様だな」


王太后様(おかあさま)!?


「いったいどうしてしまわれたのですか!?」


あんなにも優しい方だったのに……なんだか怖い。


「どうして?それは此方の台詞だ。何故、言い付けを守らなかった?」

「え?」

「本当に解らぬ程に使えない頭の様だな。……貴様に渡した秘薬、一度の使用量は一滴と言った筈だ」

「そ、それは量が多い方が効果があるかと……ですから」

「黙れ!使用量は何があっても守れと言った!ミオンを殺すところだったのだぞ!!」


え、なぜ……?

薬は良い物のはずです。

量なんて……。

それを飲んで害されるはず、ありませんのに。


「貴様らの所為でミオンにも薬の存在がバレた。それを盛っていたのが誰かもな。命を優先する為に取り込んだ魔力(くすり)も抜かれて、効果も消えた。……因って、国王陛下の命を脅かした貴様らを処罰せねばならない」


……うそ。

命を、優先……?

お兄様の命を脅かした?

(わたくし)がそんなことするわけないのに……。

薬が抜かれて、効果が全部消えてしまった?

悪い魔女にまた洗脳された状態に戻ってしまった、ということですか?

だから、だから……(わたくし)たちを()()悪者にするのですね。


王太后様(おかあさま)まで、悪い魔女に洗脳されてしまったのかもしれません。




この後も酷く罵られました。

家は降格……「侯爵さえ身に過ぎた位だな」と言われ、伯爵まで落とされました。

お父様にも領地で隠居するように、と。

伯爵位は幼い弟が継ぐことになりました。

(わたくし)にも「王の命を危険に晒す女を王妃にはしない」と言い、北の端にある修道院に行くように命じます。

お兄様の命令だと言われたのです。

そんなの、嘘です。

お兄様が(わたくし)にそんなことを言うはずないのですから。

お兄様に会って話をしたら、きっと、命を取り下げて下さると思って、会いたいとお願いしたのにそれも叶いませんでした。


家族とも引き離され、“扉”も使わず、悪路を長い長い時間を掛けて……粗末な馬車で修道院に向かうことになりました。


きっと……。

きっと、いつか、お兄様は目を覚まされます。

その時、(わたくし)はお兄様の力に……。


悪い魔女なんかに、負けません……!









【危ない魔法使い】






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