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危ない魔法使い  作者: 一之瀬 椛
四章
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1、愚かな無邪気さ(side.S)


魔女退治が行われてから一月が経ちました。

王宮では一時は騒がしくなりましたが、今は落ち着いています。


残念ながら、魔女ディアーナには逃げられてしまったらしいです。

ブランシュ家の後継を操って、彼の力を使って逃げたと思われます。優れた騎士と聞きますから。

彼にはディアーナの兄と思わせているので一番近くにいた為に、洗脳の力も強く働いていたに違いありません。可哀想に……。


先に洗脳が解かれたブランシュ家の当主が率いる騎士団と我がミュロス公爵家の騎士団で魔女の捜索及び退治、そしてブランシュ家の後継の救出に出ています。

見つかるのも時間の問題ですね。

魔女を逃がした不甲斐ないブランシュ家の騎士団だけではなく、今回はミュロス公爵家の騎士団が出向くのですから。


肝心なのは、ミオンお兄様のことです。

予定していた日にディアーナが王都に戻らなかったことで、酷く苛立っておられました。

自ら迎えに行こうとするのをお父様達が必死に止めました。最終的には魔道具を使って眠らせることになってしまいましたが、お兄様の安全が第一です。

せっかく、悪い魔女と離したのに危ないところでした。

またいつお兄様を狙ってくるかわかりませんから、精鋭の騎士や魔法使い達を配置しています。

そして、魔女の洗脳を解く為に眠っている間に(わたくし)の光の力を注ぎました。悔しいですが、魔女の力の方が強く洗脳は解けませんでした。

王太后様(おかあさま)とも話し、体内から悪い力を除去出来る様に魔法薬を用意してもらいました。ブランシュ家の当主もその薬で洗脳を解いたというので、お兄様も元の優しいお兄様に戻ります。(わたくし)も洗脳を解く為の魔法薬を作る協力をしましたから。


洗脳されたままでは薬を飲んでは頂けないかもしれなかったので、お茶に少量ずつ混ぜて飲んで頂きました。そうしたら、少しずつお兄様の(わたくし)への対応がだんだん以前の様な穏やかなものに。


だから、今は(わたくし)がお茶を淹れて直接お持ちしています。

お兄様はお茶を飲み終えてから、笑顔を向けて下さいました。


「いつもありがとう、美味しかったよ」

「ふふ、また淹れますね」


もっと一緒にいたいですが、お仕事の邪魔になりますから、空になったカップを持って下がります。

またゆっくりと一緒に過ごす時間が欲しいです。

それを伝えると時間を作って下さると言って下さったので楽しみに(わたくし)もお兄様の為に頑張ります。


お兄様の執務室を出た後は外に控えていた者にカップを手渡し、王太后様(おかあさま)の元に向かいました。

今日もしっかり薬を口にされたことをご報告に行くのです。

王太后様(おかあさま)が一番気を揉んでおられましたからね。体調を崩された王太后様(おかあさま)の具合もご報告をする度に良くなっていきます。

最近ではお兄様も見舞うというので王太后様(おかあさま)も本当に嬉しそうで、(わたくし)も嬉しくなってしまいます。

お兄様のことを楽しくお話しして、帰りました。


早く心配事が無くなれば良いです。

また魔女が現れても(わたくし)が傍にいますから、もう洗脳などさせませんよ。

まだディアーナを気にする様子を見せることもあるので先になりますが、お兄様は優しい方なので仕方がないかもしれません。

もっと解けてから、後々ディアーナが悪い魔女であったとお兄様にも話し、国中にも知らせます。その時、王妃候補選びにも不正があったことも明らかにして、公正な判断で選ばれるべきだった(わたくし)をお兄様の新たな婚約者にしたことも発表します。

そして、魔女(ディアーナ)に付け入らせない為に、本来なら(わたくし)が十六才になってから式を上げるべきところ、発表して間をおかずに婚姻もすることになっています。

元々、式の準備はしていましたから、後は(わたくし)の為のドレスを用意出来たら、すぐに式を挙げるのです。魔女(ディアーナ)との式用に準備していたもので式を挙げるのは不本意ですが、仕方ありません。

お兄様の隣に立つ為のドレスにアクセサリー……本当は、王都で一番と言われる腕の良いカーティスやネヴィルに頼みたかったのですが、少し前から店を閉めているのです。

魔女(ディアーナ)の被害者かもしれませんね。魔女(ディアーナ)が独占して作らせていましたから。

あれだけの腕を持っていながら、名誉ある公爵家の依頼をあっさり断り、片田舎の貧しい領主の娘の依頼を取ることが可笑しかったのです。

彼らも助けなければならないでしょうね。

捜して、洗脳を解いて、としていたら式には間に合わないので今回は仕方がないですが、助けた後にはもう一度依頼して差し上げます。


それからも毎日お兄様にお茶を差し入れています。

お仕事中でも手を止めて迎えて下さるようになりました。少しの間なら、一緒にお庭を散歩して下さることも。エスコートも当然して下さいます。

ただ、残念なのは二人きりになれないことです。

(わたくし)の侍女や護衛は空気を読んで下がるというのに、王宮の敷地内でもお兄様の護衛のノワール家の後継の女は傍から離れません。

王宮の敷地内なのだから魔法でも守られていますし、四六時中傍にいる必要はないはずなのに……空気を読んで頂きたいです。

もしかしたら、お兄様に良からぬ想いを抱いているのでしょうか。それで(わたくし)に意地悪を?お兄様ほど素敵な方の傍にずっといるのですから、そういう気持ちを抱いても可笑しくはないですが不愉快ですね。


ノワール家もエマの子孫と聞いているので、ノワール家も早くどうにかしなければ。









【危ない魔法使い】






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