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危ない魔法使い  作者: 一之瀬 椛
三章
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幕間、獣の《みらい》


獣は、捕食者ではない。


しかし、狩りを楽しむ。

獲物が必死に逃げて、逃げて、逃げ惑うのを追い詰めるのが好き。

時に、反撃もしてくるのが面白い。


「どうせ逃げ切れないのにぃ、愚かだよねぇ~」


実際に追い立てているのは自分ではないが、想像通りの狩りが繰り広げられていることが可笑しくて笑っていた。

けれど、()()()()()()()()()()は邪魔だと思った。追っている駒の方が弱いから。

現在(いま)は、逃げ切ってしまうかもしれない。

自分自身が追っている訳ではないので、それでも構わないが……もう少し追い詰めてやりたかった。

手負いにして、じわじわいたぶってやるのも良い。


と思ったところで、ふと思い出す。


『空腹を知らないお前には必要の無いことだ』


かつて、獲物を弄んだ時に言われた言葉。

狩りは遊びではなく、生命(いのち)の一つの形なのだと。

お前には必要無いのだと。


獣は、まだその意味を理解し切れていなかった。

理解する前に、教えてもらう前に、それを言った、()()()はいなくなった。……否、()()()()

「師」と仰ぎ、焦がれ、慕っていた。

もっと多くの時間を共に過ごし、もっと多くのことを教えてもらう筈だった。


だから、取り戻す。


()はぁ、いつでもヤれるからぁ、()()()を奪った“アイツ”を先に見つけないとぉ……」


逃げられ続けている、憎い憎い相手。

そして、もう一人……。


「……かくれんぼが得意な魔導の主さんもねぇ」


()は簡単に入り込めたのが、現在(いま)は余計な力が働いて王宮に自由に出入り出来ないでいる。

捜しているどちらかが……或いはどちらもか、邪魔しているのだろう。

王宮(あそこ)にしかないものがあり、必要な時もいずれ来る。

その時が来る前に、どちらも片付けておかなければならない。


くつくつと零れ、声を上げて笑い出す。

何が可笑しいのかも解らない獣は、ただ()()()との(みらい)を見る。









【危ない魔法使い】






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