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危ない魔法使い  作者: 一之瀬 椛
一章
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9、求める“応え”


改めて、男を見た。


装飾は少ないが、裾に一重に入った金の花の刺繍には覚えがある。

私の知る、大魔導主の着ていたローブと同じ。

背格好も似ている気がする。

声は……あんなゴロツキと似た口調ではなかったから、この人だとは言い切れないけれど、可能性は高い。

顔を知っていれば、そうだと言えるが、残念ながら知らない。


話し掛けただけで殴っては来ないわよね?


「あ、あの……!」


まずはなんて言うべきか。

いきなり、協力して下さい!では信用が……。


「……なんだ、お前は」


此方を向いた。

聞かなければ、あれが本当に有ったことなのか。

只の夢ではないのか。

まずは貴方が私を知っているか。

知っていたら、あれを知るかもしれない。

私達は、まだ逢ったこともなかったのだから。


「…………私を、知っていますか?」


貴方は、知っているの?

真っ直ぐに、男を見た。


「……それを聞いて、どんな答えが欲しい?」

「え?」


思いもよらない答えに、何も答えられない。

どんな、答えが欲しい?

決まっている。知っているなら何故知っているのか、知らないなら知らないで話して協力を……。


「どう答えたとしても、お前が求める()()は一つだろう」


………………


……そう、だ。

彼からの協力。

私が欲しいものはそれ。


「他は後からどうとでもなる。お前が求めるものを言え」

「……協力、して」


こんな簡潔で良い?

もっと言うべきでは……。

そう思う私を、この俺は否定する。

私の手から林檎を取り、愛おしげに口付け一つしてから懐に仕舞い……。


「御意に、お姫様」


臣下が主に忠誠を示す様に、片膝を着き頭を垂れる。






()は、私の魔法使いになった。


当代の、最も偉大で……危ない魔法使いが。




林檎一つで……?









【危ない魔法使い】






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