第94話 勇者ユミコと再会する
神々の仮死の秘法を、ひとの身でありながら使ったユミコは、あとひと月もせずに寿命が尽きる。
つまりあと30日以内。
これは毎日更新のこの作品で、あと30話でユミコが死ぬと言う意味ではない。
そこんとこ、誤解しないように。
つか、この内容で百話越えるとは、思わなかった。
俺とルギア様は、ユミコが居る神殿の奥へと向かう。
神殿を抜けて、屋外に出る。
そこには巨大な精霊ルギア様の像が立っていた。
そのルギア様の像の足元に、ユミコは居た。
ユミコは水晶に包まれている。
これは凍れる時の秘術の影響。
神帝のほこらからユミコを連れ去る時、ルギア様がかけたものだ。
俺はルギア様に視線を向ける。
ルギア様はこくりとうなずく。
ルギア様はユミコの水晶の前に進み出て、右手をかざす。
徐々にユミコを包む水晶が消えていく。
「ユミコ!」
水晶と言う支えを失ったユミコは、前のめりに倒れてくる。
俺は思わず駆け出し、ユミコを受け止める。
ユミコは気を失ったままだ。
だが、ユミコの脈動ははっきりと感じる。
「ルギア様、ユミコは」
俺はルギア様に視線を向けるが、ルギア様を中心に視界がボヤける。
「勇者ユウタよ、後の事は頼みます。
ユミコの事、そして竜王の事を。」
ルギア様の声が、俺の脳内に直接響く。
「ま、待ってください、まだ聞きたい事が!」
ルギア様の姿は消え、俺とユミコは眩しい光りに包まれる。
そう、白羊宮殿からルギア神殿へとテレポーションした時のように。
「く」
俺は目を閉じて、ユミコをしっかりと抱きしめる。
この光りの中で、ユミコとはぐれないように。
やがて光りは収まり、俺は固く閉じた目を開ける。
この場所に俺は、見覚えがあった。
神帝のほこらの近くの森だ。
俺たちは帰ってきたんだ、サーイターマルドに。
「ユウタ?」
俺の腕の中で、ユミコが気づく。
「ユミコ!」
俺は思わずユミコを抱きしめる。
「ちょ、ちょっとユウタ。痛いわ。離してよ。」
ユミコのその頼みは、今の俺には聞き入れられない。
だって今の俺の顔を、見られたくなかったから。
「ユウタ、泣いてるの?」
「ち、違わい、そんなんじゃ、ないやい。」
ユミコの腕力なら、俺を引き剥がす事も可能だった。
しかしユミコは、俺に抱きしめさせてくれた。
俺の涙も収まり、俺はユミコから離れる。
この時、俺は久しぶりにユミコの顔を見た。
「ただいま、ユウタ。」
ユミコはにっこりほほえむ。
「おかえり、ユミコ。」
ああ俺は、この笑顔を守りたかったんだ。




