第76話 勇者ケイと再会する
ついに城塞都市チチブにたどり着いた俺だが、ルギア神殿の場所が分からない。
辺りを見渡しても、それらしき建物は見当たらない。
俺は街の人に聞いてみるが、誰も俺の望む答えを喋らない。
「やっぱり、ユウタ君だよね。」
俺を呼ぶ声に、俺は振り返る。
大きなサングラスに、大きめの帽子。
誰?
そんな顔隠してちゃ、誰だか分からん。
胸の膨らみから、女性だと分かる。
この声に聞き覚えはあるのだが、うーん、誰だろ。
「私よ、私。」
その女性は、サングラスをずらし、帽子を少し上にあげる。
青髪のショートヘア。
「あ、」
確かイワツキの村で、俺とユミコ争奪戦を戦った、シリウスシスターズの、えと、ほら、あれ。
ダメだ。俺に性的攻撃をしたユアとマインは覚えているが、この人の名前が出てこない。
「もう、ケイだよ。
なに?私よりユアかマインと、再会したかった?」
ケイと名乗る女性は、俺がそのふたりの名前しか覚えていない事を、見透かす。
「いやいや、そのふたりって、俺を殺さない?」
「あはは、絶対殺すと思うよ。」
「そんなおっかない事、言わないで下さいよ。
って、今は一緒じゃないの?」
「うん、今は訳あって、別行動。
ユウタ君も、ユミコさんとは別行動なの?」
ケイの言葉に、俺は思わず涙が出てきた。
「ちょ、ちょっと、急にどうしたのよ。」
そんな俺を、ケイが気づかう。
このチチブに来て、初めてちゃんと会話が成立している。
それがこんなに嬉しい事だとは、俺も思わなかった。
「ケイさん、実は、」
俺はケイに、これまでの経緯を話した。
神帝のほこらで、精霊ルギアに会った事。
ユミコが連れ去られてしまった事。
そして、今日中にルギア神殿にたどり着かないと、ユミコが死ぬ事。
「なるほどね、クマガイユミコ。
同姓同名かと思ったら、まさか本人だったとはね。」
俺の話しで、ケイは何か、合点がいったようだ。
「え、どう言う事?」
「実はね、私たちはある調査のため、この次元に来たの。」
「この次元?」
何だそれは?
まるで、別の次元があって、そんな異世界から来たような言い草じゃないか。
「ユウタ君の今の話しで、だいぶ確証が持てたよ。ありがとう。」
ケイはにっこりほほえんで、礼を言う。
「えー、俺にも分かる様に、ちゃんと説明して下さいよ。」
自分だけ納得するケイに、俺は納得いかない。
「あは、これは機密事項だからね。詳しくは言えないのよ。」
ほんと、勘弁してほしい。
今思いついた事を、ペラペラ書けるかっての。
ちょっとはまとめる時間くれっての。
なるほど。そう言う事なら、俺も押し黙るしかない。
「それより、急がなくていいの?ルギア神殿。」
「あ。でも俺、場所が分からなくて。誰に聞いても、教えてくれなくて。」
「それなら、私が案内してあげるわよ、ルギア神殿。」




