62話 ブラジル領小マゼラン星雲
見つけてくれてありがとうございます
Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました
パプアニューギニア騒動は戦闘とは認められなかったものの、捕虜多数な上多数の艦船を失わせ、公国の経済に大打撃を与えた事が評価され、10日にも及ぶ特別休暇が出た。
余談になってしまうが、公国に最大のダメージを与えたのは日本宇宙軍だ。
惑星イザナミに40艦隊を送り込み、占領を狙いに行き、その全ての艦船が日本宇宙戦艦が先端に取り付けたブラックホールに飲み込まれたのだそうだ。
乗組員は全て緊急脱出テレポーターの判定で無事だったそうだが、改めて日本宇宙軍の規格外の戦力ぶりが判明した。
公国があちこちで変な戦いをしているのは、実のところ惑星イザナミの奪取が初期の狙いようであると思われる。
ちょっと聞いた事が無い数の艦船が送り込まれて、そして全滅している。
それでも実力主義の公国はあっという間に戦力だけなら回復し、未だに世界に戦争をけしかけているのだから質が悪い。
ブラジル領小マゼラン星雲はあまりに広大であった為、宇宙軍に力を入れていたブラジルでも、公国からの合計122艦隊による飽和攻撃にはさすがに敗北を喫したそうだ。
結局国家連邦政府宇宙軍1~5艦隊、多国籍軍までもが集まって、地球から小マゼラン星雲までの各所で戦闘が始まったのだが、ジュルベーズ・ルルーの艦隊だけ向きを変え、小マゼラン星雲に向かい、そこで食料や生産施設、テレポーターの破壊工作に勤しんだのだ。
逃がしてしまった軍が悪いのか?無防備にしてしまったブラジル宇宙軍が悪いのか?
答えは否だろう。強いて悪者を上げるとするならば、こんな膨大な艦隊を送った公国であり、こんな非情な作戦を眉一つ動かさずに実行したルルーが悪いのだろう。
生命は何も奪っていない。ただ有ったものを破壊し尽くしながら侵攻しているだけなのだ。農産コロニーにはどこから仕入れたのかカドミウムを大量に散布し、食料になりそうなものはどくだみの葉っぱすら残さなかった。そんな中人の命を取らなかったのは、単に巻き返しを遅くする効果と、なぶり殺しの意味しかない。
このジュルベーズ艦隊の行った人に優しくない行動の後始末に向かうべく、第6艦隊は休暇3日目に全体ブリーフィングを急遽敢行。休暇を次回回しにしてでも今すぐ救援に向かうべきだと全会一致で可決。乗りこみを開始した。
ブラジル出身のサントスや他の16人が皆に深々と感謝する脇を、次々テレポーターで艦隊に向かう。元々民間人しかいない艦隊だ。このような人災、自然災害救助や補給、輸送の為に集められた筈の者たちだ。この動きに何も問題はない。
「まーったく。笹本君が悪いんだぞ。みんなワーカーホリックになっちまったじゃないか」
笹本より先に席についていたウルシュラが歯を見せながら陽気に声をかける。ウルシュラの笑顔は魅力的ではあるが下品だ。
「10日も休んだら身体にキノコが生えてしまうよ」
笹本の答えに笑い出したのは、船団長のナオミ・フィッシュバーンだ。
「ハハハ。私はもっと飲んでいたかったがな。新婚旅行もお預けになったよ。ハハ。構わんぞ。救いに行こうじゃないか、なあケンジ。ハハハハ」
ナオミは例のDJフレデリックことフレデリック・ケイジと結婚し、笹本もその挙式に呼ばれていた。オーストラリア有限会社のド田舎の教会で式を挙げ、教会の敷地で何故か芋煮で乾杯し、ワインを何本も開け、小鳥遊高雄君が歌ったアカペラの結婚式ソングに涙を零して感謝し、左手の薬指に填めた小さな結婚指輪を見つめ、フレデリックに腕を絡めながら「これが私の宝物だ。ハハ」なんて言っていた。
何故か動いているハイライト映像は各員の慌しい様子を投影している。
「1864個だ。日本人がそう言ってるんだから間違いないだろ」
「どうしてこんな数すぐに分かるんだ?」
「トイレットペーパー積んだよな?災害時は意外と重要だぞ」
「アルミホイルとラップも充分あるな。よしと」
「震災経験組はやっぱ用意が違うな。助かるよ」
「でも今回はそれが役に立つかどうかは分からないよ。これは人災だからね」
「機関室出力充分。司令長官、いつでも行けます」
「今回は急ぐのでワープ多用にて急行します。良いですね司令長官」
「今回の航行に金銭的心配は要りません。やりましょう司令長官」
司令長官と言っているのは元グェン提督の事だ。今回提督も役職が上がり、複数艦隊を取りまとめる役職『司令長官』を拝領している。今後登場するオデッサ第7艦隊が共に行動する事になる。
「うむ。機関始動。適度な距離が取れた段階でワープ多用。最速での航行を目指そう」
グェン司令長官兼提督の一声で艦隊が始動する。
「各務原さん、今回予算は良いのかい?」
笹本が不安げに問いかける。そう言えば当初各務原若葉は口癖のように予算と福利厚生の話をしていたが、近頃はその話を聞いていない。
「はい参謀長。今回予算は気にしていません。一つは緊急性が高い事。そしてもう一つは……」
「スターク元提督がバンバン稼いでくれているから。だろ?ワカバ」
「はい。ウルシュラ少将の仰る通りです。ありがたいですね」
どうやら話によるとスタークは国家連邦政府に再就職し、本来得意であった先物取引と株式投資で国家連邦政府に多額の金銭を供給しながら投薬治療で糖尿病治療にも励んでいるそうだ。
「まさに金庫番です」
各務原の賞賛にウルシュラが悔し紛れに対応した。
「ホントに金策上手いよね。悔しいけどそこは私の負けだよ」
農機具の改造で収益を上げていたウルシュラもここは敗北を認めた。
「スタークさん、最近若々しくなってきました。なんとも斬新です」
ブタブタ言っていた叢雲もスタークを認める論調だ。
今回の航行ではワープをエンジンが焼けない程度に使う事となり、瞬時に外に見える恒星が入れ替わっていく。通常ならワープ自体に費用が掛かるのだが、今回それを言っている場合ではないのは本音だろう。
「フセイン航海長、今回敵味方の交戦地を迂回しなければならないのですがその辺は大丈夫なのですか?」
笹本が聞いてみると単純な答えがフセイン・ゼルコウトから帰ってくる。
「お任せください参謀長。哨戒機の1機も寄り付かないくせに速いルートを用意します」
アルジェリア宇宙開発事業団から出向してきたフセインが答える。正直な所航行について専門的に学んでいない他の面々は口出しのしようも無い。
笹本もなのだが、フセインの言う事とルート採りを信用する以外にはない。とにかくも急がなければならない。ブラジルは小マゼラン星雲に6000近くのコロニーを送り込み、今や1億近くの住民が居るのだ。支援物資や再生資材を充分に搭載した第6艦隊は小マゼラン星雲に向かうのだ。
読んでくれてありがとうございます
もし良かったらブックマーク、評価、いいね、感想、レビューなど頂けましたら嬉しいです
ブックマーク多数いただきました。本当にありがとうございます
只今連載中
犢端高校勇者部活動記録 https://ncode.syosetu.com/n0115ie/
爆笑!元朝秘史
https://ncode.syosetu.com/n3161if/
完結作品
素人集団!!国家連邦政府宇宙軍第6艦隊奮闘記
https://ncode.syosetu.com/n7603hp/
ココチュのフェイクニュース
https://ncode.syosetu.com/n7689id/
各種短編
伯爵閣下がホラ話で領地を盛り上げてみるようですので発表します
https://ncode.syosetu.com/n0773gs/
精霊だらけインタビュー
https://ncode.syosetu.com/n9175hv
SS 家元になろうよ
https://ncode.syosetu.com/n4840hw/
なども書いております。宜しかったら見て行ってください
Twitterやってます。@kokochu539です。
大したことはしていませんが、フォロバは確実です。お気軽にどうぞ




