心強い味方
案内された部屋に入るとワンコちゃんがレトロな文机を挟んで座布団に正座していた。
「よく来たな。ソンナとマコちゃんは下がっていいぞ。」
助かったとばかりに即退出するソンナさん。一体どっちが雇用主なんだ。
「お前…なんと言ったかな。」
小柄な身なりの癖に尊大な態度なのだが、なぜか従わせる圧力がある。ワンコ「さん」だなこりゃ…
「名前なんかどうでもいいか。お前どうやってその男に取り憑いた?」
その言葉を聞いたとき思わず涙が出そうになった。やっと私の現状を理解してくれる人が現れたのだと。
「悪霊ならぶちのめすけど。どうなんだ。」
あ、だめだ。この人も怖い。
とりあえず先程ソンナさんたちにした説明を繰り返す。
「ふーん。にわかには信じられねえけど…」
じゃあなんで取り憑いてるなどと言ったのだ。
「私は相手の魂が何となく分かるんだよ。中年のおっさんにしては変な感じがしてな。」
さすが神職に仕えるものというところか。その割にはソンナさんは全く察してくれなかったが。
「まあ何かの縁だ。私も手伝ってやるよ。とりあえずそのゲームに詳しい奴をあたるか。」
これは心強い味方ができたのではないか。ちんちくりんとは言え特殊な能力を持った少女だ。今後、あのゲームを調べるのに力になってくれそうだ。
「じゃあ話は終わりな。あ、あと私成人してるからな。ちんちくりんとか思ってたらぶっ飛ばすぞ。」
ナチュラルに心を読んでくる。化け物め。あ、いえ化け物様め。
「お話終わりましたでしょうか…」
ソンナさんが恐る恐る扉を開けて入ってきた。
「ああ、もういいぞ。ソンナお前ゲーム好きだよな。このおっさんにゲーム仲間紹介してやれ。あと私にもさっきのゲームを教えろ。」
なぜと言いたげなソンナさん。
「嫌なのか?」
壊れたバブルヘッドの人形のように首を全力で横に振るソンナさん。
「滅相もございません!すぐに動きます!」
完全に主従関係が出来上がっているな。
「えっと~すぐに紹介できそうなのは…あ、あの子とかいいな!」
ワンコさんのおかげでソンナさんから情報を聞き出せそうだ。
「こっちで事情を話しとくから夜にでも連絡してあげてください。」
と連絡先を渡された。
ふむ…名前は…三嶋 春か。