ある朝目覚めると…
ある朝、ジュリア・ジュリエッタがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一人の中年男性になっているのを発見した。
「あれ…?」
朝、目覚めると見知らぬ部屋で私は目覚めた。昨日は自分の部屋で寝たはずなのに…
しかし昨日は夜更かしをしすぎた。女子中学生の中で流行っているオンラインゲームに夢中になりすぎたのだ。
寝ぼけ眼でハッキリとしない思考を覚醒させるために頭に手をやると、そこにはあるはずのものがなかった。
いや、正確には薄いながらにもあったのだが。
慌てて飛び起きると鏡を探して前に立った。
「は?」
余りの事に言葉を失う。
肩まで伸びた自慢のブロンドヘアーも、コバルトブルーの涼やかな瞳も年齢のわりに肉付きの良い胸もそこにはなく、頼りない毛髪量の黒い短髪、どろんとしたヘドロのような黒い瞳、明らかに運動不足な細い身体がそこにはあった。
そして何より…どうみても「彼」は東洋人の中年男性であった。
一体何の冗談か、あるいは夢なのか。
信じられない事実を受け入れられず呆然としていると部屋の扉の前から声がした。
「あんた、マコちゃんが待ってるわよ。」
やや年配の女性の声だ。この男の母親であろうか。
いや、「この男」ではない。先程から鏡の中で私が脳内で描いた動きをしている中年男性が私に現実を押し付けてくる。
「このおっさんが私…?」
か細い声でようやく絞り出た言葉とともに威勢よく扉が開かれた。
「ほらほら!今日は一緒に神社にお参りに行く予定だったでしょ!」
開かれたドアには年のころは大学生くらいであろうか。きれいな黒髪を後ろで束ねた女の子が立っていた。