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6. 拠点完成 新たな仲間


 火照った体を冷まし温泉を出た大悟は、錬金術でバイクを精製していた。


 形はビックスクーター。

 内部には機関銃、誘導ミサイルが搭載されており、フロント部分には風よけの透明ウインドスクリーンが設置されている。

 このウインドスクリーンには、熱感知システムやカーナビゲーションシステムが搭載され、映像として前方に映し出される。


 このバイクを使い、拠点を探す。

 現在考えているのは、埼玉県。

 もちろん東京や神奈川、千葉、茨城も候補として考えていたが、最終的には埼玉を選んだ。


 最初は都内に拠点を構えるのが最適と考えていたが、安全面のことを考えるとどうしても拠点とする事が出来なかった。

 だが、東京には沢山の情報や資料が集まっており、到底見逃すことは出来なかった。

 そのため本拠点を埼玉にし、臨時の仮拠点を都内に設置しておこうと考えていた。

 それと、埼玉に拠点を置くことで移動面での利便性が高まるだろうと。

 東北方面、関西方面、どちらもいずれは向かうことになるだろうし、どちらにも比較的行動しやすく東京に近い場所として埼玉を選んだ。

 

(まぁーいざとなれば拠点を増やしたり、本拠点を移動させたりすればいいだろう。

 土地は使いたい放題だろうし。)


「さて、それでは行きますか!」

 大悟はバイクに跨るとエンジンをかけ出発した。


 もちろん、このバイクのエネルギーとなっているのは魔力。

 大悟の魔力が尽きない限りは半永久的に走れるのだ。


 1時間ほど走り、埼玉県に入った事をカーナビで確認した大悟は拠点確保の為、索敵魔法を使って感染者が少ないところを探し回っていた。


(それにしても、やっぱり東京に近づくに連れ感染者が増えてってる感じがするな。

 埼玉も予想より多いし、場合によっては神奈川、千葉、茨城も考慮に入れたほうがいいのかもな。)


 そんな心配をしている大悟であったが、一日中探し回った甲斐もあり、拠点としては悪くない場所を見つけることが出来た。


 そこは辺り一面田んぼが広がり、見通しが良く、このバイクを使えば2、30分ほどで都内に行ける場所だった。

 そして、辺りには感染者の気配が一切感じなかった。


「よし、このへんに家と囲いを作るか」

 バイクを降りた大悟は錬金術を用いて家を造り始める。

 魔力を練り、徐々に建築物を造り上げていく。


「ここをこうして、アレがこっちでこっちがアレで、いや、コレがそっちでアレがこっちか?……うん、こんなもんだろ」


 試行錯誤しながらも、大悟は二階建ての家を短時間で造りあげてしまった。


「さて次は囲いだな。ついでに警報装置も付けとくか」

 大悟は先程と同じように錬金術を使い、囲いと警報装置を短時間で取り付けていく。


「完成ぇー! 」

 結局、10分も経たない内に拠点を作り上げてしまった。


 家は木造建築の二階建て。

 キッチンにトイレ、バスルーム付きの5LDK。

 火や水は魔力タンクから出た魔力を火や水に変換し、蛇口やコンロから出している。

 クーラーなどの電化製品は魔法式が組み込まれており、魔力を流すことによってイメージ通りの効果を発揮する。

 実はバイクも同じ作り。


 そして、囲いには雷系の魔法が付与されており、触れた者を感電させることができる。

 警報装置は家の出入り口と、囲いの一回り外に設置されている。


「ふぅー」

 本拠点設置を終え、大悟はリビングのソファーに座って考え事をしていた。


(なんとか拠点は完成したけど、結局ここって俺の魔力ありきなんだよなぁ。

 もし仲間が出来ても俺が定期的に魔力タンクに補充しないといけないから、めんどくさいなぁ。

 他に誰か魔力を扱える奴がいればいいんだけど……。)


 大悟は天井を見つめ、少し考えていたが突然何かを思いつき、「ポン」っと手を叩いた。


「よし、あれを試してみるか! 

 異世界で読んだ本にもできるって書いてあったし。」 

 不敵な笑みを浮かべる大悟。



 何かを思いついた大悟は外に出て魔力を練り始めていた。

 練り上げられた魔力は神々しい光を放ち出し、魔法陣が浮かび上がる。


 ピカー!!!


 次の瞬間その魔法陣から人らしき影が現れた。


「ん、ここは……一体? 」

 そこには、髭を蓄えた小さいおじさんが立っていた。


(おぉー、ホントに成功した。

 やってみるもんだな。

 そうなると、あの本に書かれていた事はマジっぽいな。)


「よ、久しぶりドノ」

 大悟は、小さなおじさんに向かって軽く手を挙げる。

 

 大悟に気づいたおじさんは、大悟に近づき大悟の肩をバンバンと叩いた。


「おぉ、大悟ではないか。

 久しいのぉーってそれよりもここは一体どこなのだ? 」

 おじさんは、辺りをキョロキョロと見回していた。


 彼の名前はドノ。種族はドワーフ。

 異世界にいた時、大悟を主人とし『誓いの契約』を結んだ男。


 『誓いの契約』とは主従関係を明確にする契約。

 結ぶことにより、2つの効果が生まれる。

 1つ目は、召喚魔法を使っていつでも相手を呼び寄せることが出来る。

 2つ目は、脳内通信により、離れていても自由に会話をする事ができる。(ただし、遠く離れすぎると通信ができなくなることがある。)


「ちょっと待っててよドノ。

 アイツ等も呼び寄せるから」


 ピカー!

 ピカー!

 ピカー! ……。

 大悟は召喚魔法を使い、次々と異世界人を召喚していった。


 最終的に大悟が召喚魔法で呼び出したのは全部で6人。

 ドワーフ3兄弟のドノ(男)、ドリ(男)、ドク(男)。

 そしてエルフ族のティーノ(女)、クリア(女)、オリオ(男)である。


「じゃあ皆、説明するから集まって」


 大悟は今の状況を全て説明した。

 ドワーフとエルフは大悟の言葉を静かに聞いていた。


「そんなわけで、ここには君たちが知らない技術や科学が沢山ある。

 俺を手伝ってくれるなら好きなだけその情報を差し上げよう。もちろん断ってもらっても構わない。

 責任持って元の世界に送り返すから」


 異世界で読んだ本には『誓いの契約』により、別世界に召喚した者を元の世界に送り返すことは可能であると記されていた。

 ただし、その場合『誓いの契約』は破棄され、もう2度と呼び出すことは出来なくなる。


 暫く沈黙が続いたが突然ドノが笑い出し、それに続くように全員が笑い始めた。


「ガッハッハッハ! 

 面白いではないか。

 ワシ等が知らぬ技術! 胸が躍るわい」


「私達もいいわよ。

 聞いたこともない知識! あぁ〜興奮するわ。

 丁度あの国にも飽きてきたところだったし。」


 大悟がいた異世界では、エルフとドワーフは生産系の職。

 つまり、物作りや研究の分野にとても優れている部族だった。


「「それでワシ等(私達)は何をすればいいの?」」

 彼らは興奮した目でコチラを見つめてきた。


(ドノ達には、やっぱりこっちの技術をマスターしてもらいたいな。

 ただ、俺じゃ教えられるほどの知識は持ってないしなぁ。

 ……よし! )


「ドノ達には、こちらの技術を学んで活用していってほしい。

 ただ俺じゃ教えられないし、資料や教材も持ってないから、持ってくるまではここで待機してて。

 俺がそれらを取ってくるまでは、この拠点を好きに使ってくれてていいから。

 ここにある機材や家電は君等の魔力でも動くように設定しとくよ。」


「分かったわ。

 それで食料はどうすればいいの? こっちの山には私達が食べられる山菜とかあるのかしら? 」

 エルフ族のティーノが質問をしてきた。


「いや、基本的に俺が戻るまでは、この家から出ないでほしい。

 何があるか分からないし。

 食料は俺の異空間収納の中に沢山入ってるから、それを置いていくよ。」


「分かったわ。」


(あ、そう言えばこの家5部屋しかないや)


「ドノちょっといい?」


「なんだ?」


「家の強化と改築をお願いしてもいい? 

 考えてみたら5部屋しか作ってなかったらさぁ。

 1人1部屋ほしいでしょ? 好きに作って構わないから。」


「そんなことか、構わんぞ。ビックリするような家にしてやるわい」

 ドノは不敵な笑みを浮かべる。


「お、お手柔らかに」

 ヤバいこと言っちゃったかなと、少し後悔する大悟であった。



 その日は、キッチン、トイレ、お風呂、家電の使い方を教え、夜はみんなで軽くパーティーを開いてその後、就寝した。


 次の日の朝、大悟は準備を終えバイクに跨っていた。


「それじゃ家の事お願いね。

 何かあったら脳内通信で連絡して」


「了解した。」


 大悟はバイクを発進させ東京に向けて走り出した。


(欲しい本がまだ残ってるといいんだけど。)


 ブオォーン!





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