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5. 地球の現状

皆さん。

コロナウィルスなんかに負けずに、みんなで力を合わせて頑張りましょう。

 

 大悟はメールを開いた。

 リリスから送られてきたメールには、こう書かれていた。


『どうもぉー、女神リリスちゃんでぇーす。

 ちゃんと転生できましたかぁ? まぁー私が失敗するわけもないんですけどね。ふふん』

 

(文字にすると余計バカそうに見えるな。)


『それでですね、今の地球の現状なんですけどぉ。

 どこから来たのか? どこで生まれたのか? 全く何も分からない危険な寄生虫が突如として現れ、地球全体に広まっちゃったみたいなの。

 それによって今地球は人類滅亡危機みたいなぁー。

 ヤバいよねぇー。(笑)』


(はっ? 人類滅亡危機?

 何笑っとんねん。)


『その寄生虫の感染方法は傷口からの感染。

 つまり噛まれたり、引っ掻けられたらアウトって事。

 今地球の無感染者は、元の人口の1%も残っていないわ。

 ちなみに感染すると、寄生虫に脳を完全に乗っ取られて殆どの機能が停止しちゃうんだって、簡単に言うと死んじゃうってことね。

 死んだ後の感染者は、脳に栄養を与えるためだけに動くゾンビみたいになっちゃうのよ。

 栄養を得る事、つまり食事ね。

 襲ってくるわヨォー! 食べられちゃうわヨォー! 怖いわねぇー。(笑)

 ちなみに寄生虫が入り込んで死ぬまでの時間は数分ね。

 後は……なんかあったようなぁ……忘れちゃった、テヘ』


(殺す! 髪の毛全部抜いてから殺す。)


『そんな訳で今地球は最大の危機を迎えていまぁーす。

 でも心配しないで、ちゃんと対策は考えておいたわ。

 このメールを読んでるって事は分かっているだろうけど、そう! 貴方は異世界にいた時の力がそのまま使えるようになっているのです。さすが私!

 勿論それだけじゃないわよ。まずは貴方の体ね。

 ホントだったら17年経過して貴方の体は40歳の体。

 でも、私が貴方の体を保存してあげてたから貴方の体は23歳の時のままなのよ。

 有り難いでしょう。ふふふん、さすが私!

 あとはコレね――女神の実――。

 これの説明は面倒いので自分で説明欄開けて読んで下さぁーい』


 ……。

 鼻息を荒くし、体を震わせる大悟。


『そんなわけで、この地球で貴方はチート者になっちゃいましたぁー! イェーイ。

 人類を救うも良し、新しい世界を生み出すも良し、好きにやっちゃって下さい。

 地球の神にも許可貰ってるんでぇー。

 なんかこの有様見てたら鬱病発症しちゃったみたいで「好きにして」って言ってましたぁー。

 では、面倒くさくなってきたのでまた会う日までぇーバイバーイ』


「ふ、ふ、ふざけんなぁー! 俺の、俺のゲームはどうなるんだぁー。」


 そう言って大悟は、ステータスオープンで呼び出した画面に思いっきり頭突きをした。

 しかし、この空中に浮いているステータス画面は破壊不可能。

 大悟はそのまま仰向けに倒れこんだ。

 目の先には雲一つない晴天。

 そんな空をジッと見つめ、大悟は徐々に冷静さを取り戻していった。


 その後、冷静さを取り戻した大悟は今度どうするか考え始めていた。


(とりあえずステータスチェックとこの世界の現状確認だな。)


「ステータスオープン。」


 ボン!

 ステータス画面が目の前に現れる。


(……ふむ、ステータスはホントそのままだな。

 それと女神の実だっけ? これか。

 えぇーと何々、『女神の実 : 実の状態では効果なし。実を開花することによってサポートスキル『英知の華』が発動し、第二の脳として貴方をサポートする。』

 ほうほう、それは欲しいなぁー。

 ただどうやって育てるんだ? 書いてないぞ。

 適当な仕事しやがってあのやろう。

 まぁーいい、その内分かるだろう。それより今は現状確認だ。)


「オープンMAP」


 ステータス画面がmap画面へと変わる。


(……ふむ、ここは? 群馬県か。

 お、温泉が近いじゃないか。

 よし、目的地は温泉に決定。)


 目的地を決めた大悟は山を降り、mapを頼りに温泉地へと向かった。



 山を降りて1時間ほど歩いたところだった。

 大悟は噂の感染者を視界に入れる。


「あれは人か? いや、アレがメールに書いてあった感染者だな。

 うげぇー、まんまゾンビじゃん」


 感染者の体は所々腐食しており、服はボロボロであった。


「周りに他の感染者はいない。

 それならアイツで色々実験させてもらうとしよう。」


 そう言って大悟は、索敵魔法で動物を探した。

 

 いた! これは猪だな。


光拘束(こうこうそく)

 大悟は魔法で猪を拘束した。


 拘束魔法で猪を捕獲した大悟は、さらに防御魔法『コーティング』を猪に付与した。

 防御魔法『コーティング』は防御魔法の一種。

 生物や物を薄い膜で覆うことにより、敵の攻撃から身を守る事ができる魔法である。

 膜に魔力を込めれば込めるほど防御力が上がり、大悟の使うコーティングはドラゴンのブレスでも簡単に防いでしまうほどだった。


 ちなみに結界とコーティングの違いは、

 結界:障壁を四方八方に作り出し対象を包む。結界外からの攻撃や侵入を防ぐ。範囲は広い。ただし、結界の移動はできない。

 コーティング:対象を直接包み込むため範囲は対象物。一人、一物が対象。建物にコーティングした場合、建物への攻撃を防ぐことはできるが建物内への侵入を防ぐことはできない。対象と同化するため移動は自由に行える。


「準備OKだな!」


 大悟は、コーティングした猪を感染者に向かって投げた。すると感染者は猪に気付き、猪に向かって襲い掛かってきた。

 猪は為す術もなく感染者に捕まり、噛み付かれてしまう。

 しかし、感染者の歯は猪の皮膚に届くことはなかった。


 何度も噛みつこうとする感染者。ちょっと余裕が出てきたのか、ジッとして動かない猪。


(……シュールだ。)


「ふむ、問題なさそうだな。

 とりあえずコーティングさえしておけば、噛まれても問題なさそうだ。

 しかしゾンビっぽかったから、鈍いのかなって思ったけど、かなり俊敏だな。

 昔、映画で見た走るゾンビ系かぁー。

 普通の人が集団で襲われたら一溜りもないな。」


 人類がこの寄生虫に対処しきれなかった要因の1つが、この感染スピードであった。


「さて、それじゃ最後に倒してみるか。

 たぶん頭を切り落とすか、潰せば大丈夫だろう。」


 そう言うと大悟は錬金術を用いてハンドガンを作り出した。

 大悟は錬金術を好み、異世界にいた時は魔法より錬金術を使う事が多かった。


(おっと、このまま撃つと音で感染者に気づかれる可能性があるな。サイレンサー(消音器)を付けとくか。)


 サイレンサーを付けた大悟は感染者の頭目掛けて弾を撃った。

 パシュっ、パン。


 感染者の頭部に見事弾が当たり、頭は跡形もなく消し飛んだ。

 ハンドガンから出た弾は魔力弾であり、通常の弾とは比べ物にならないほどの威力を持っていた。

 

 ツンツン、ツンツン

 動かなくなった死体を枝で突く。


「よし、死んでるな。

 って元から死んでるけど」


 その後、猪に掛けていた魔法を解き森へ帰した。

 感染者と出会い、色々と確認できた事に大悟は満足感を得つつ、再び温泉地に向かって歩きだした。

 


「はぁー、極楽極楽」

 あれから数分歩いたところで温泉を見つけた大悟は、索敵魔法を使い感染者がいないことを確認した。

 ここが安全だと分かると大悟は大急ぎで服を脱ぎ、体を洗い、温泉に飛び込んだ。


「ぷはぁー、きもてぃー、最高だー」

 大悟は温泉に浸かり、空を見上げながらこの後のことを考えていた。


(……この後は拠点だな。いい場所が見つかればいいんだけど。

 そんで見つけたら家作って居住地の確保。

 まぁー錬金術使えば何とかなるだろ。

 リリスも好きにやれって言ってたし。

 それと、生きてる奴見つけて話を聞かないとな。

 信用できそうな奴、都合よくそのへんに落ちてないかなぁー。)

 

 そんなことを考えながら時は過ぎていく。

 

「よし! ……後1時間ほど浸かってから行動しよう」


 1時間後そこには、フニャフニャになった大悟の姿があった。







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