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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第4章 悲劇の寸法線
97/162

0-14 かくれんぼの終わり

ーー前回のあらすじーー


 暴走が止まったミーシャはどういうわけか電池が切れたように昏睡してしまった……。

全く目を覚ます気配がないのでジョージはシンタローを実験台にとある試みを行った。


 シンタローが朝、目覚めるとそこは異世界だった!?

そして隣には何故かジョージも居て……?


 どうやらそこはシンタロー自身の内面を表した空間だったらしい。

異世界に連れて来られたわけではなく、ジョージがシンタローの世界に入り込んで来ただけだった。


 そこではシンタローも破壊光線を放つことが出来て、彼にとっては理想郷だったのだろうがヤムチャのお迎えによって強制的に現実世界へと連れ戻されたのであった……。



 このプラットフォームでこんなことを言うと炎上しそうですが、作者はあまり異世界ファンタジーが好きではないのです。


 異世界が舞台になっているからではなく、弱者が転生して下剋上を繰り広げるのがイラッと来ると言うか……。(他意はないので異世界物の作者の方に喧嘩を売っているわけではないです!)


 異世界系ではないですがディ〇ニーのト〇とジ〇リーは見てて本当にイライラします……。

どうしてネズミが猫をいじめていいのか理解不能です。


 それから、イソップ物語の『三匹の子豚』は教養としてはいい話ですが、豚がオオカミを倒している結末が普通に腹立たしい……。


 強者がひたすら弱者をいじめる話とかなら面白そうなのですが、需要はありますか??

と言うか、そういう作品があったら普通に興味あるので是非教えてください!

ミーシャはヤムチャの家のベッドで昼間と全く同じ姿勢で眠り続けていた。



「シンタロー……来たか。」



 そのそばにはジョージもよしだくんもいた。

二人ともどこか緊張している様子だった。



「シンタロー、見ての通りだ。……覚悟を決めろ。」



 俺が見た、西陽の当たるミーシャの寝顔はどこか助けを求めているような表情にも見えた。



「覚悟などとっくに決まっているぞ!……ジョージ、早く行こうではないか!!」


「怖いもの知らずである意味助かるよ。……じゃあシンタロー、ミーシャちゃんの隣で横になってくれ。」


「うん?わ、分かったぞ。」



 普通に恥ずかしいことのはずだったが当時の俺は何も考えず、普通にミーシャの寝ていたベッドに潜った。



「よし、じゃあ……出来るだけ頭を空っぽにするんだ、何も考えないようにしてくれ。」



 俺は言われるがままに目を開けたまま寝るような感覚でぼーっとし始めた。

すると、自分がどういう体勢でいるのか分からなくなるような感覚に襲われた。



『聞こえるかシンタロー、今はお前の心に直接話しかけているんだ。俺とお前は感覚を共有している。お前の感じているものは俺にも分かるし俺の考えていることもお前には手に取るように分かるはずだ。さて……ミーシャの精神面に飛び込む覚悟が出来たら彼女の手を握るんだ。』



 俺自身には不安なんて一切無かったがあのとき感じた胸騒ぎというか緊張はきっとジョージのものだったんだろうな。

俺は震えた手でミーシャの少し冷え性気味な手を握った。



「(ミーシャ……我が今迎えに行ってやるぞ!)」



そう念じるとジョージの声が伝わってきた。



『よし、シンタロー!!飛び込むぞ!!』



 少しずつ視界が揺らぎ始めた。

意識が何かに吸い込まれていくようだった。



「シンタロー、頼んだぞ!!」



遠くからよしだくんの声が聞こえてきてすぐに俺の視界は真っ暗になった。









「くっ……ここは??」



次に目覚めた時、俺は熱い岩肌の上で倒れていた。



『シンタロー、気がついたか?ここがミーシャちゃんの精神の内側だが……これは酷いな。』



 そんなジョージの声が頭に響いていて俺の意識ははっきりとしてきた。

俺は起き上がってミーシャの世界を見渡した。



「……ここは……。」



地面の至るところから溶岩が吹き出し、赤い空に太陽が3つも浮かび、遠くでは落雷が止まなかった。



『シンタロー……気を付けろ、さっきも説明したけど体に傷を負うと自分の魂がダメージを受けるからな。俺とお前は感覚を共有しているからある程度までの傷は俺が肩代わりできる。』


「そんな心配は無用だ!我なら無傷でミーシャを見つけて帰れるからな!!ハハハ!!……本当にこんなところにミーシャが……。」



 無事に帰れる自信はあったが目前に広がっていた光景は地獄そのもので、これがミーシャの今の人格だと思うと少し怖くなった。

ジョージはずっと心配そうにしていたから余計にそう感じたのかもな。



『シンタロー……絶対に無理はするな。ミーシャちゃんだってお前が犠牲になることを心から望んでるわけがないだろう?』


「も、もちろん分かっているぞ!……だがこんな状況で本当にミーシャと話なんてできるのか……?」



感覚を共有していたから当たり前なのだが俺の中で生まれた不安はジョージに筒抜けだった。


『まあ、心から拒絶されている相手の話なんて聞かないだろうな。……でもそれは本当にお前がミーシャちゃんに、って場合だ。俺は……そんなに長い時間をお前たちと過ごしたわけじゃない。それでもシンタローが迎えに来てくれたらミーシャちゃんは喜ぶっていうのは分かるぞ。』



俺はゆっくりと、ジョージに言われた言葉を噛み砕いて、反芻して、そして飲み込んだ。



「やれやれ……悪魔に励まされるとは我ながら情けない……。いいかジョージ?我は必ずあのひねくれた幼馴染みを連れて帰るぞ!足を引っ張ったら後で粛清だ!!」


『おう、臨むところよ!絶対に連れて帰ろうじゃないか!』



こうして俺は、いや、俺とジョージは地獄のような空間を進み始めた。








『ああ、そういえば。』



15分ほど進み続けてジョージが話しかけてきた。



『小さい頃にミーシャちゃんをよく怒らせたとかヤムチャが言ってたけど一体何をしてたんだ?』


「ああ……まあ、色々あるが……例えばよくあったのは、二人でかくれんぼをしていて俺が絶対に見つからなさそうな場所に隠れたんだ。そうしたら5時間経ってもあいつは俺を見つけられなくてそれで拗ねてしまったりとかだな。」


『5時間って……一体どこに隠れてたんだ?』


「まあ、自分の家の屋根の上とか、他所の家のベッドの下とかだな。」


『いや、シンタローらしいけど……。そりゃ見つからないわけだ……。』


「それで夕方にササッとミーシャの前に姿を現すと、『もうシンタローとはかくれんぼしないもん!!』って帰っていってしまってな……。そうなると、3日くらいは口を聞いてくれなくなっていたぞ。まあ、昔とあまり変わらんな。」


『そ、そうか……かくれんぼってそれなりに昔のことだろ?最近だと他にはどういう怒らせ方をしたんだ?』


「もう少し今の時代に近いとだな……やっぱりあれだな!……いや、やっぱり言わんぞ。」



これをジョージにバラすのは何だか癪だと思ったときにはもう手遅れだった。



『あーー、スカートめくりか。シンタローもそんなことしてたのか、なるほどねー。』



 俺の考えていることが筒抜けになっていたせいでジョージにはあっさりと見抜かれてしまい、ニヤついているような声で返事をされた。

そんなニヤニヤしているジョージの表情を想像するだけで何だか腹が立ったな………。



「ち、違うぞ!それは誤解だ!!あ、あれは、スカートに虫がついててだな……!」


『夏だけじゃなく、冬でもやってたんだろ?』


「それはっ!スカートに雪が!!」


『じゃあ、秋は?』


「落ち葉だ!!落ち葉がついてたのだっ!!」


『なら、春は?』


「はな……花びらだっ!!!」


『え?この森に花なんて……咲いてないよな??www』


「…………。」



 俺は完全に遊ばれていた。

そしてこれ以上は無駄だと思って俺は反論するのをやめた。



『でも考えてみれば……ミーシャちゃんがスカート履いてるところなんて見たことないな。』



俺は出来るだけ頭を空っぽにして早足で進んだ。



『シンタロー?からかったりしないから言ってみ??お前がすぐにスカートをめくってたからミーシャちゃんはいつもズボンを掃いてるんだろ???』


「き、記憶にないぞ!気がつけばミーシャはスカートを履かなくなったのだ!!」



 何故ミーシャがスカートを履かないのかなんて正直考えたことなどなかったからこそ、この質問に俺は動揺した。

しかもジョージときたらこんな状況でもそんなことを興味津々に聞こうとしている魂胆が丸見えでこのままだと俺の秘密が全てバレてしまいそうで心底やばいと思った、人生で5本の指には入るな……。



「しっ、しかしジョージ、この世界のミーシャは一体どこにいるのだ??こんな物騒でただっ広いところを探していては永遠に見つからんぞ!」



俺は慌てて話題を変えた。



『確かにそうだ……ミーシャちゃんがいる気配が全くない……。もしかしたら普通に探しても見つからないかもな。シンタロー、どうにかしてミーシャちゃんをおびき寄せたりできないか?』


「ど、どうにかして……?わ、我にどうしろと言うのだ!?」


『そんなの……お前が一番知ってるんじゃないのか??』


「ほえ???我が……。」



 あまりにも頼りないジョージの返事に俺は困惑してしまった。

昔のミーシャならともかくこの時代の彼女をどうやって誘い出すのか、俺にもさすがに分からなかった。


食べ物で釣られるかとも一瞬考えたが、さすがにそれでのこのこと出てくるとは思えなかったからな。


困った俺は限りなく限界に近い大声で叫んだ。



「かくれんぼおーわり!!おにはこうさんしまーーす!!!」


『えっ????し、シンタロー……??』



 反響した自分の声が聞こえなくなったと思うと突然、目の前に見慣れた光景が具現化された。

地獄のような風景は一瞬で掻き消えて、俺のいた場所は100エーカーの森に差し替わった。



『こ、これは……!!!ここに……ミーシャちゃんが!?』


「ああ、貴様は分からんと思うがここは10年くらい前のミーシャの家だ。そして……」



その家の扉が開いた。



「やったーー!!はじめてシンタローにかくれんぼでかったよ!」



 幼い女の子が家の中から出てきた。

考えなくても分かった、というか知っていた。


彼女は7.8歳頃のミーシャだ。



『これは……ミーシャちゃん、なのか……。』



ジョージも俺の考えていることを読んで理解しようとした。



「フッ……よもや我が負けてしまうとはな!なかなかやるではないか!」



とりあえず俺は目の前にいる小さなミーシャに話を合わせた。



『シンタロー……恐らくなんだが、あれが今のミーシャちゃん自身の精神だ。幼い頃の自分自身の皮を被っているみたいだが……。』


「!!!(つまりこのミーシャを連れて帰れば……?)」


『ああ、それで平気なはずだけど……。』


「??……シンタロー、どうしたの??」



黙ったままの俺を見てミーシャは不思議そうな顔をしていた。



「あ、いや……何でもないぞ!……そ、そうだ、これから我と駄菓子屋に行かぬか?」



 俺はミーシャの手を取ろうとした。

しかし彼女は慌ててその手を引っ込めた。



「おそとは……いやなの。こわいからね、おうちのなかがいいの……。」



そしてさらに後ずさりした。



「ねえ、シンタローも一緒におうちのなかであそぼ??」



ミーシャがそう言った途端、頭痛がするくらい激しくジョージの焦燥が伝わってきた!



『シンタロー!!絶対に家の中に入っちゃダメだ!!!ここから出られなくなるかもしれない!』


「(どういうことだ??)」


『おそらく、ミーシャちゃんにとって家の中=この世界、そして、家の外=現実の世界、ってことだ。ここではミーシャちゃんが世界の基準だ。家の中にお前と永遠にいたいと思われればお前はそれに従わざるを得ない。だからこの場で説得するしかないんだ!!』



 その言葉の意味をちゃんと理解したわけじゃなかったがジョージの思考が危機感で満たされていたので相当マズいことになるのだろうということだけは分かった。



「……(やってみるぞ)。ミーシャ、怖くても我がついているぞ。だから、少し外に出てみようではないか?」



俺がそう言うとミーシャは何故かものすごく悲しそうな表情になった。



「いっしょならこわくない、かも……。で、でも……シンタロー、あたしのことおいてどっかにいっちゃうじゃん!!」


「っ!?ど、どういうことだ!?!?」


「かくれんぼしてても、いっつもあたしはシンタローのことみつけられないもん!ずっと、ひとりになってたから……うっ、あっ、わーん!!!」



 堪えきれずにミーシャは大泣きしてしまった。

俺は、そんな彼女を見て過去の自分自身を思い返していた。




「(いつも一緒にいた気がするが……よくよく考えれば、我はこいつを置いて突っ走ってばかりだったのかもしれん。きっと……こうやって我の見えないところでいつも泣いていたんだろうな……。)ミーシャ、我は……いつもお前を振り回してばかりだったな……。本当にすまなかった。だが……、それでも懲りることなく付き合ってくれたこと、感謝するぞ。」




俺は手を差しのべた。

 当たり前のようにミーシャを置き去りにしてきたせいで、それが当然だなんておかしいということに全然気がつかなかったことをとにかく後悔した。



「今度は我が振り回される番だ、地獄へでも煉獄へでも付き合ってやるぞ!さあ、未知なる世界へと足を踏み出そうではないか!!」


「ぐすっ……ぜ、ぜったいに……ひとりにしない?」


「ああ、もちろんだ!だから安心したまえ!」


「じゃ、じゃあ……すかーとめくりもしない??」



ミーシャはもう泣き止んで怪しむ目付きで俺のことを見ていた。



「なっ!?す、すかー……!」


『シンタロー……?ここまで来て何をためらってるんだよ……。』



呆れているようにも笑っているようにも聞こえてきたジョージの声によって俺は我に帰った。



「はっ!!!し、しない!!絶対しないから!!」



俺は慌てすぎてつい、いつもの口調すら忘れていた。



「ほんとーかな……??でも……しんじるよ!!」



ミーシャは俺の胸に飛び込んできた。



「それじゃあ……まずはシンタローのいきたいところにつれてって!!」



そう言われて、はっとしたんだ。




【シンタローのいきたいところならどこでもいいよ!!】




「(いつもそう言ってくれた幼馴染みを我は……。)」


『シンタロー……今までしてもらったことを今度はお前がしてやればいいじゃないか。後悔するなんてお前らしくないぞ?』


「……ハハハ、では参るとしよう!行くぞ!!」



俺がそう叫ぶと視界が揺らぎ出した。



『じゃあ、現実に帰ったらまずはどこへ行くんだ?』


「(そんなの決まってるではないか、……我はミーシャの後ろに付いていくだけだ。)」


『……そうか、女の子との約束はちゃんと守れよ?』







ーーー約束だからね、シンタロー?ーーー




意識が無くなる直前に聞こえた声は間違いなくこの時代のミーシャのものだった。











 次に目を覚ました時には眠っているミーシャの隣にいた。

握っていた彼女の手はいつもより暖かった。



「……ん。我は……戻ってきたのか。」


「シンタロー!!ミーシャは……?どうなった!?」



俺が目を覚ますとヤムチャが間髪入れずに俺の顔を覗きこんできた。



「うっ…………うーーん…………?」


「!!!!ミーシャ!?」



続いてミーシャが瞼を開くと今度はよしだくんが彼女の顔を覗きこんだ。



「……あれ?……わ、私は……。っ……!!と、トイレっ!!」



 丸一日以上眠り続けていた彼女の膀胱はきっともう限界だっただろうな。

ミーシャはベッドから飛び降りようとした。



「うっ!?……えっ!?ちょっ、ちょっ!!なな、なんで私はシンタローと手を握ってるの!?て、ていうかっ!何で私の隣で寝てるのよーーっ!?!?」



混乱しまくりのミーシャは俺のことを7.8回蹴り飛ばして俺の手を振りほどいた。



「えっ、な、何でヤムチャの家に……って、トイレーー!!」



ミーシャはそのまま音速でトイレに吸い込まれていった。





「いてて……だ、誰のお陰で戻ってこれたと思っているのだ……!?お、恩を仇で返すとはこのことだっ!!」



俺は半分キレながらベッドから出た。




「シンタロー……よくやってくれたな!!!」



よしだくんは立ち上がった俺を抱き締めた。



「てめえならやると思ってたぞ?だがな……お礼くらいは言わせろや……ありがとう。」



ヤムチャはさらによしだくんごと俺を抱き締めた。



「ううっ……く、苦しいぞ……。わ、我がこんな簡単な任務を仕損じることなどあるわけなかろう。」


「いやーー、シンタロー?普通にお前はすごいと思うぞ?あれは他の人間には出来っこないからな……。」


「ふん、貴様もご苦労だったな!あ、ジョージ……その、ひとつ聞かせろ。」



俺は気になった質問をジョージにぶつけてみた……二人には聞こえないようにヒソヒソ声でな。



「ん?なんだよ??」


「その……ミーシャにあの世界で起きたことの記憶は残ってるのか?」


「あーー……どうだろうな?お前が会話していたのはミーシャちゃん自身に他ならないから覚えてるだろうけど……。でも過去の姿をしていたからもしかすると今の彼女自身の記憶としては残らないかもしれないし……。こればっかりは本人に聞いてみないと……。」



最後に聞こえたミーシャの声のことは言う気にはなれなかった。



「なんだ……随分とハッキリしない答えではないか。……まあ、ミーシャが帰還したんだ、ここは大目に見てやろう!」


「おいおい二人だけで何の話をしてやがんだ?」


「ふん、勇者と悪魔だけの秘密だ!我は疲れ果てたから休息とするぞ!!」



 外は既に真っ暗だったがキヌタニに夜食ミッドナイト・デザートを調達させるのを忘れていた俺は駄菓子屋(中継基地)に行こうとした。





「ああっ!?」



が、玄関のドアを開けたところでヤムチャがすっとんきょうな声を上げた。



「ん……!?ヤムチャ、急にどうしたのだ??」


「い、いやなあ……ちょっと今、ものすごく重大な疑問が頭に浮かんじまってな……。」



そうするとヤムチャはジョージの方に向き直った。




「おい、ジョージ。」


「ん?なんだよ、そんな突然改まって……?」


「お前は昨日、バズーカの砲弾からシンタローを守るために障壁を使ったよな?」


「えっ??あ、ああ……そうだけど?それがどうかしたのか?」


「だとしたらよ、なんでミーシャがピストルを乱射した時に障壁を使わなかったんだ?」


「えっ??………………。」



ヤムチャに疑問をぶつけられてジョージはしばらく考え込んでいた。



「確かに……俺は何であの時障壁を使わなかったんだ……??」



ジョージの額からは汗が滴り落ちていた。




「そもそもあの時、お前が被弾してなければこんな騒動にはならなかったんじゃ……。」



よしだくんもジョージの顔を凝視しながらそんな発言をした。



「ふむ……つまりはあれだな!この一連の騒動の原因はジョージ、貴様だ!!」



俺が高らかにそう宣言した瞬間、よしだくんとヤムチャの目に殺気が走った!



「えっ、ちょっ、いや……なんでだよー!!!」


「あんだけ魔術乱用しやがって、肝心なときに役に立たねーんじゃねーか!!!」


「ジョージ!お前、見損なったぞ!!」



二人はジョージをボコボコにし始めた!





「ふん……やはり奴は愉快な悪魔だな……。」



俺はその乱闘を横目にヤムチャの家を後にした。


その後、俺が駄菓子屋でキヌタニをこき使ったのは言うまでもない。









次の日……




「やっぱりね、私は数撃ちゃ当たるタイプだと思うのよ!」



 俺とジョージ、ヤムチャ、そしてミーシャは以前スナイパーライフルの狙撃練習をした場所に来ていた。

そしてミーシャは今現在、相棒として使っている機関銃を手にしていた。



「それ、俺の提案なんだけどな……。まあいいや、ここならどれだけ銃弾ぶっ放しても平気だから思いっきりやっちゃいなよ。」








 ミーシャはもういつも通りで、この日は駄菓子屋に来るとアイス売り場をスルーしてまずは武器売り場を物色した。



「ミーシャちゃん……まだ懲りてないんだな。」


「まあ好きにさせておけばよい、貴様の障壁さえあれば何の問題もなかろう。」


「そ、そこは他力本願なのかよ……。」



俺とジョージはやや遠目にそんな彼女の様子を見守っていた。



「ねえねえ?二人ともちょっとこっちに来てくれない?」



ミーシャは俺たちに声をかけてきた。



「なんだミーシャ?貴様の銃弾の的の役ならお断りだぞ?まあ、当たらんと思うがな!!」


「な、何ですって!?頑張れば当たるもん!……多分。」


「それで、俺たちに何か用があるんだろ?」


「そうなのよ、あのね……私ってどんな銃が向いてると思う?」



 ミーシャは輝いた目でこちらを見てきた。

そんな彼女を前にして、俺とジョージは困ったように顔を見合わせた。



「銃という路線からは外れないのね……。うーん、そうだな?ミーシャちゃんはズボラだから一発に全てを賭けるような射撃は向いてないんじゃないかな?」


「全弾撃ち尽くしても一発たりとも当たらんかもしれん!……痛い、痛いぞ!!」



ミーシャは怒ってそばにあった弾薬を片っ端から投げつけてきた。



「1発当たるかもしれないじゃない!!……それじゃあ、たくさん撃てるやつがいいわね!」


「あーー……じゃあ機関銃だな!!早速だけど練習に行くか?」


「もちろん!!早く行くわよ!」



ミーシャは機関銃だけ持って駄菓子屋から飛び出していった。





「えっ??ミーシャ!?そ、その機関銃、結構高いんだよ!?ちゃんと代金払ってね!?」



 勢いよく走り出ていったミーシャの腕に抱えられているものを見て、レジの横に座っていたキヌタニは驚いて叫んだが彼女が引き返してくることはなかった。



「ミーシャは弾薬も持ってないのにどうやって練習するつもりなんだ!!全く、我がついていってやらねばいかんな!!!」



俺は弾薬の入った箱を抱えた。



「そうだな、ミーシャちゃんには誰かさんがついてないとな……。さて、じゃあヤムチャにも電話して来てもらうか。」



ジョージはポケベルでヤムチャと通話しながら俺と共に駄菓子屋を後にした。





「えっ??弾薬も安くないんだけど!?シンタローも一体どこに行くの!?ていうかみんなの持ってるよくわからない機械、僕も欲しいなあ……。」




その後、密林にて……



「いや!!だからって何で我が的になるのだ!!」



俺は手足をロープで縛られ、大木に磔にされていた。



「人間相手ならもしかしたら命中力が上がるかもしれないわ!」


「いや、貴様は何をしようとノーコンのままだ!!……いやそもそも!人間相手に命中力が上がるなんてどういう理屈だ!!!」


「誰がノーコンですって!!こうなったら何が何でも蜂の巣にしちゃうんだから!!」


「や、やめるのだ……やめろぉー!!」



ダダダダダ!!という銃声と俺の悲鳴が混ざりあって空に響いた。





「……あれ?痛くないぞ……?」



銃声が止んで、俺は瞑っていた目をゆっくり開けた。



「シンタロー?さすがに障壁は用意しておいたさ。お前が被弾しても困るからな。」



俺の目の前でジョージがニタニタと笑っていた。



「しかしよ、見事に弾の軌道がバラけまくってるじゃねえか……7.80発くらい撃ってシンタローには2発しか当たってねえぞ。」



 ヤムチャがそう言ったのであたりを見渡すと、至るところに銃弾がめり込んでいてむしろ被弾してない場所を探す方が難しいくらいだった。



「で、でも、2発当たったもん!!」



ミーシャは頬を膨らませてそう主張した。



「まあ、急所に当たれば動物は1発でも仕留められるしな。いいんじゃないのか?」


「いいわけなかろう!!これでは動物を狩るのか我らを狩るのか分からんぞ!」



ジョージに拘束を解かれながら俺は叫んだ。



「んまあ、ミーシャより前に出たら命がいくつあっても足りねえのには同意するぜ……。」



ヤムチャも困ったようにそう言った。



「でもこれで私も狩りに出られるわね!!じゃあ早速『殺る』としますか!!」



ミーシャは自分達の近くに獲物がいないか辺りを探り始めた。



「んまあ……俺らはミーシャより前に出ねえよう気を付けるしかねえな……。」


「せいぜい気を付けるとしようぜ?」



二人も慎重にミーシャの後についていった。


「全く……一人であのまま行かせたら迷子になるオチしか見えんぞ!……我がいる限りそんなことは絶対にありえんがな!!」


俺は大量の弾薬とともにどこまでもついていく覚悟でミーシャの背中を追った。

 余談ですがミーシャはかくれんぼの鬼だけでなく、隠れるのも下手らしいです。

草むらで地面にへばりついてたり、壁に張り付いて同化しようとしたり……。


 作者がかくれんぼで個人的に好きだったのは、鬼が「もーいーかい?」って言ったときに耳元で「まぁだだよ♥」って囁くことでした(隠れろよ!)


 それから見つける側のセンスは絶望的になかったので、いつも人が入れない隙間や机の下とかを探してました。

何で掃除用具入れをいつも確認しなかったのか今では不思議です。



 読者の皆さんはかくれんぼをする時、どこに隠れてましたか?

学校だったら教卓の中、ゴミ箱の中、それとも……職員室とか?


 一番ヤバいなと思ったのは女子のスカートの中に隠れようとした奴ですね!!

初代ポケ〇ンのオープニングでもそんなことはしてないでしょう……。


 では、次回を読むまでいい塩梅に隠れててくださいね。

気まぐれで作者が探しに行くかもしれません!


見つかったらスクワット500回です!!

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