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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第4章 悲劇の寸法線
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0-7 吹雪がもたらした出会い(過去編第二話)

ーー前回のあらすじーー


 シンタローはずっと機会を窺っていた。

自分の中でのフジモンに対する疑いを晴らそうとしていたのだ。


しかし、その願いは叶わなかった……。


 フジモンが実はポンコツの演技をしているのではないかという疑いは確信に変わってしまった!!

そんな中、ミーシャが乱入してきてフジモンをこの世から消し去ろうとしたのだ!!


だが……その試みはチッダールタによって阻止され、暴走したミーシャは闇夜に消えてしまった。


 気持ちの行き場がなくなった森の住人たちはチッダールタやフジモンにこの森で過去に起きた悲劇を打ち明けることにしたのだ……。



 気持ちの行き場がないというのは本当に辛いものです。

誰かに打ち明けなくても紙に書くだけでもかなり楽になると思います。


誰もいない場所で悪口を叫ぶのもいいですね。


作者はそれをやったら悪口を言った相手がすぐ真後ろに居たことがあります……。


この小説の愚痴を言うのもいいですが、作者が貴方の後ろに居ないことは確認した方がいいですよ?

あれは……三年前の冬、吹雪の酷い夜だったな。



ドアや窓のガラスがカタカタと揺れて、電気も点いたり消えたりと繰り返していた。





「ふっ……我の右腕がざわつくな。今夜は何か起きるかもしれん!!」




 俺はいつものようにみんなで夕食を食べて、よしだくんとヤムチャと一緒に風呂に入って、後はポケベルをいじりながら眠くなるのを待つだけだった。




 あっ、この頃の俺は思春期、いやただの中二病なんだが……それからまだ抜け出せなくてな、そこはあんまり気にするなよ?





 まあとにもかくにも俺はその夜、吹雪の音がうるさいのもあって寝ることが出来ずにこれから起きるかもしれない異変に備えて夜更かしをしていたんだ。



……と言っても、やっていたことなんてただのイメージトレーニング程度だったけどな。




「それにしても混沌を感じさせるとてつもない吹雪だな!!クロセルの機嫌でも悪いのか!?」



半ば興奮気味に叫んでいた俺だったが、そんな時間は長く続かなかった。


突然、玄関のドアがそれまでとは違う激しい揺れ方を始めたんだ。




「なっ!?サタンの使いでもやって来たのか!?おのれっ、我が返り討ちにしてくれよう!!」




俺はよしだくんが作った、スライムの充填された水鉄砲を手にとって構えた。




「はっはっはーー!!我に歯向かおうなどと5000兆年早いぞー!!」




俺はそう高らかに笑いながらドアを勢いよく開けた。







「う……うa……、」


「ぎゃあああっ!?ななな、何なんだー!?!?わわ、我をだだ、誰だと思ってるんだー!!」





 そんな俺の目の前に現れたのは、身体中が真っ赤に腫れてボロ布に身を纏い、今にも息絶えそうなおっさんだった。


俺は彼を幽霊かゾンビの類いだと勘違いしてスライムを大量にぶっ放した!





「うっ…………なん…………か……あ、あっ……た……かい……。」




でもそのおっさんはスライムとは関係なく、そのまま力尽きてぶっ倒れちゃったんだよな。




「お、お前は……!?一体何者、いやいや、生き物なのか!?」




「な、なん…………でもいい………………た……べ……も……の…………。」





これが俺と、ジョージの出会いだった。











「にしたって……こんな薄着、いや服じゃねえけどよ……ひでえ吹雪の中で一体何をしていたって言うんだ?スライムにもまみれてるしよ……。」





 この頃には既によしだくんの発明によって、ポケベルで通話が出来るようになっていたから電話してヤムチャに来てもらったんだ。


凍傷が酷いから応急処置が必要で、広い風呂のあるヤムチャの家に連れて行ったってわけだ。



それから二人で湯船に浸かりながらジョージの体を温めていた。




「どうせサタンが我に向けた刺客に決まっていよう。……ん?これは、奴らの拠点を聞き出す良い機会ではないか?よし!早速尋問だ!!」


「おいおい、今尋問なんてしたらこのおっさん絶対に死んじまうぞ……。」




桶でジョージに拷問しようとした俺をヤムチャが止めた。




「いくら下っ端とは言えどもサタンの手下、そう簡単に死ぬことなどあるまい!!」



「あーー分かった分かった(棒)。だがまあ、良からぬことを企んでこの森に来た可能性は否定できねえな、後で軽く拘束させてもらうか。」


「ふっ、我に楯突いたこと、後悔するがいい!」






サイズが合わないヤムチャの服を着せられたジョージは三時間くらい経って目を覚ました。




「うぁ……こ、ここは……??」


「気がついたみてえだな。……どうだ、どこか痛てえとかはないか??」




ヤムチャがそう聞いた瞬間、ジョージのお腹がグギュルギュルル~と盛大に鳴ったらしい。




「……痛いというより空腹で死にそうなんだ……何か食べさせてくれないか?」



「こりゃまた随分いい音を立てやがって……おいシンタロー、起きろ!!」




ヤムチャは爆睡していたらしい俺の頭をひっぱたいた。



「zzz~……我に楯突こうなど……はっ!?何だ!?悪魔軍の襲撃か!?」


「寝ぼけてんじゃねえ、俺は集会所から非常食を取ってくる。その間はお前がおっさんのことを見張ってろ、くれぐれも手荒な真似はするんじゃねえぞ?」



ヤムチャはそれだけ言うと吹雪の止まない真っ暗な屋外へ出て行った。





「お、俺としたことが……目が覚めて早々食べ物の催促なんて、悪いことしたな。それで……君たちが俺のことを助けてくれたのか?お礼を言わせ……!?!?」



ジョージは起き上がろうとしてベッドに自分の体がくくりつけられていることに気づいたらしい。




「ククク……甘いなっ!自分が助かったとでも思っていたか!!貴様にはこれから地獄のような拷問漬けの毎日を送ってもらう!!まあ、奴らの拠点をさっさと吐いてしまえば解放を考えてやらんこともないがな!!」




「や、奴ら……?君は一体何を……??」


「とぼけても無駄だぞ?貴様、外見はちゃんと人間を装っているが、体から吹き出る魔物のオーラは隠しきれていないからな!!」




俺は包帯の巻かれた右腕をポカーンとしているジョージに向かって突き出した。





「え……????ま、魔物……?どういうことだ??」


「見苦しい抵抗は止めるがいい!さあ、懺悔の言葉でも述べるんだな!」


「は?はあっ……???何か見えちゃいけないものでも見えてるのか!?」



ジョージは俺が何か悪いものに憑りつかれているんじゃないかと疑うような目でこちらを見てきた。



「ククク……そうかそうか……!そこまで見えてはならぬ世界に逝きたいのか!?それならば喜んで我が粛清してやろう!食らえホーリー……ぶぐはっ!?!?」




そこまで言うと俺は何かに突き飛ばされて家の壁に激突した。



「ハァハァ……どうせこんな馬鹿げたことをしてやがるだろうなと思ったから、全力で走って来て正解だったぜ……!!」



ヤムチャは息を切らしながら、干し肉を大量に抱えていつの間にか戻ってきていた。



 家を出てから僅か一分弱……外は猛吹雪だったのにあいつは全く雪を被ってなかった。

どれほどのスピードで走ってきたんだと考えると本当に恐ろしい奴だよな。



「待たせたな、あいつに何かされてねえか?」



「待つほど時間も経ってないけどな……。いきなり食べ物の要求なんてして申し訳ない。彼は悪魔がどうとか、呪文を唱えようとしていたが……もしかして俺と同じ類いの人間なのか?」




ジョージは唐突に意味深な発言をしてきた。




「同じ類い……?おっさん、そりゃどういうことだ?」



ヤムチャがそう聞くと、ジョージの腹は再び盛大な音を立てて食べ物を要求してきた。



「ああ、まずは何か食べた方が良さそうだな……。素性が分からねえから体を拘束させてもらったんだ、悪いな。今、片手だけ解いてやる。」



 ヤムチャがロープを緩めた瞬間、ジョージの右手は音よりも速く干し肉へと伸び、光よりも速く干し肉を口へと運んだ。



「ふっ……そこまで肉に飢えていたのか。はっ!?ま、ま、まさか貴様、人喰いの……グゴッ!?」



俺の口にも秒速300mで干し肉がぶちこまれた。



「お前もそれを食ってちょっと黙ってろや。……俺も腹が減ったな!」



そうして暫し黙々と三人で干し肉を食べる時間が続いた。







「ふう、久々に腹が満たされたな。ありがとう、本当に助かったよ。それで、さっきは何か聞こうとしていたけど……?」



ジョージは干し肉の破片で口の周りを汚した状態でヤムチャに聞いた。



「ああ、色々気になることは他にもあるがよ、さっき言ってたこの中二病と『同じ類い』ってのは何なんだ?」


「ああ、そうだな……見てもらった方が早いだろう。……出よ!!」



ジョージが一呼吸置いてそう叫ぶと彼の右手が蒼白の炎に包まれた!



「ななな、なあっ!?てて、てめえっ!ここで何しやがるつもりだ!?!?」




「ムシャムシャ……え……ブフゥァー!?!?ききき、貴様!?やや、やはり悪魔の……!?」



 ヤムチャも、未だに干し肉を噛み締めていた俺もこの瞬間はめちゃくちゃ驚いた。

当時の俺だってまさか本当にそんなことが出来るなんて考えたこともなかったからな。




「ははは、何かしようなんて思っちゃいないさ!……とまあこの通り、俺は超能力と言うか、魔術と呼ぶべきか……そんなものが使えるんだ。」



ジョージは笑いながら平然とそんなことを話した。



「ややヤムチャ!こいつを放置しておくのは危険だぞ!!間違いなく奴はサタンと……ムグッ。」


「お、おーーそーだな(汗)。まあ、すごく気にはなるが話が進まねえからこのことは一旦置いとくぞ。……じゃあ本題だ。どこの誰で、何のためにどうやってここへ来た?」




ヤムチャは俺に新しい干し肉を与えて黙らせると真顔に戻ってそう質問した。



「あ、この話は置いとくのかよ……?そういえば自己紹介がまだだったな。俺の名前はジョージって言うんだ。今は放浪者になっててな……もう二年半くらいはこうやって密林の中でサバイバル生活をしてるんだ。」



「ほ、放浪だあ……?一体何をやらかしたってんだ?」



ヤムチャの眼光は少し鋭くなった。


まあ、当時からならず者がちょくちょく流れ着いていたから当然の反応だな。




(1.5-16話で既にそれは説明済みだ。エリスとボールが死者の奈落を覗いて、酷い目に遭った時のことだな。)



「そうだな……信用していた仲間に突然裏切られたってところか。それで今までいた場所にいられなくなったんだ。」


「裏切りか……それは辛かったな。」



「ほう、悪魔界でも裏切りなどあるのだ……モグモグ。」



俺は再び干し肉によってヤムチャに黙らされた。





「何となく分かってはいたんだ。彼とはいずれ対立すると思っていたからな……。あ、個人的な話なんかしてすまない。」



「いや、全然構わねえよ。こう言っちゃ悪りいが、よく二年半もこんな密林の中で生き延びることが出来たな……。」



「もちろん何度か命の危機は経験したさ。この生活が始まって二ヶ月くらい経った頃、俺は猪の群れに目をつけられてリンチされてな。牙で全身をどつかれまくってもうダメだって思った。その時、奇跡が起きたんだ……。」


「何があったんだ?」




「俺の周囲に暴風が発生したかと思えば猪たちは深い切り傷を負ってみんな死んでいた……神様が守ってくれたんだと当時は思ったよ、でもそれは違った。」


「貴様は神様じゃなくて悪魔だもんな、神の加護なんて到底得れまい!!」



手元の干し肉が無くなったのか、ヤムチャは俺を黙らすことが出来なかった。




「確かに人道に背くことも沢山やってきたし……神様に見捨てられたというのは正しいかもな。」


「だとしたらその暴風は何だったんだよ?」



「その出来事から一週間くらい経ったある日、俺は木の幹に足を引っ掛けて転びそうになったんだが、とっさに『止まれ!』って念じたんだ。そうしたらだな……体が浮いたんだ。……はっ!!」



ジョージはそこまで話すと、彼が縛り付けられているベッドを宙に浮かせた。



「おおっ!?!?ここ、こりゃあ……驚いたな。これも魔術ってわけか……。」



ヤムチャは驚きのあまり一周回って呆然としていた。



「ふん、宙に浮いたくらいで魔術だなんて大袈裟な!!我にかかればそのくらい蟻を踏み潰すようなものだ!!」



 俺はそばにあった椅子の上に乗ると出来るだけ高くジャンプし、両腕を振り回して何とかその場で静止しようと頑張った。


だが当然、俺は重力に負けて床に叩きつけられた。




「ぐっ……な、なに!一度くらい失敗することだってあろう!猿も木から落ちる、我も地面に落ちる、そういうことだ!!やあっ!!」



俺は諦めずに……いや、ムキになってもう一度椅子から飛び降りた。




「おっ???……おお!!出来たではないか!!」



そしてあり得ないことに俺の体もフワフワと宙に浮いたじゃないか!



「見たか!我が悪魔の手下などに負けるはずがなかろう!!」



何故こんなことが出来たのかも分かっていない俺はひたすらにはしゃいでいた。




「悪いな、俺が魔術をかけられる対象は一つじゃないみたいなんだ。それでどうだ、無重力を味わっている気分は?」


「え……な、な、なあっ!?!?ち、違うぞ!こ、こ、これは我が自分で……!!」


「ほおーー、そうかいそうかい。」




ジョージが右手を動かすと、俺の体もフワフワと移動して家の中央にある暖炉の目の前まで来た。



「それじゃお前をこれから暖炉の中に突っ込むぞ。もし自力で浮いてなかったら火の中にまっ逆さまだけどな!」



「ええ!?ああ、ちょ、ちょっと待ってくれ!!」


「あーーー手が滑った~ww」




 ジョージは無慈悲にも俺にかけていた魔術で、そう……本当に無慈悲だろ?

彼の魔術の支配下に置かれていた俺は無情にも燃え盛る炎の中に特攻した。





「熱い熱いーっ……あれ?」



不思議なことに次の瞬間、俺は火の消えた薪の上でびしょ濡れになっていた。




「はっはっは!!!いやーーとてもいいリアクションだったぞ?ww」


「ガハハハ!!!全くだぜ!シンタローの慌てる姿ってのはいつ見ても滑稽だからな!!」




「え……え……あ、ああ……。」



 俺は何があったのか分からないまま唖然として薪の上に座り込んでいた。

どうやら浮遊の術を切ると同時に水流を召喚していたらしい。




「って、おいおい!!暖炉の火が消えちまったじゃねえか!!こんな猛吹雪の夜に暖炉がないのは命取りだぞ!?」



 ヤムチャは慌てて暖炉に駆け寄ると、俺の首を掴んで暖炉から放り投げ、そばにあったマッチで火を点けようとした。



「ダメだ……薪が湿ってて使い物にならねえや。」


「何だ、火くらい俺が点けてやるさ!下がっててくれ。」



ジョージがそう言ってヤムチャは言う通りに暖炉から離れた。



「いくぜ……おらっ!!!」



 ボン!!という音がして周りが急に眩しくなった!!

そして目が明るさに慣れてくると、暖炉の中から炎が噴き出しているのが見えた。



「すげえな!!……ちょっと火力が強すぎるけどよ。にしたって便利な魔術だな!これさえあればサバイバルでも困ることなんて無かったんじゃないのかよ?」


「実はだな、魔術にも欠点があるんだよ。それはだな……。」



ジョージのお腹がまたしても大きな音を立てた。




「体力の消費が激しいんだ……。」



「あーー……干し肉、追加で持ってくるか?」



「出来れば……欲しいな。」


「よし、シンタロー行ってこい!!」



突然名前を呼ばれた俺はビックリした。



「なっ!?わ、我に行けというのか!?こ、こんな吹雪の中、外に出ろなどと正気か!?はっ……ま、まさか……ヤムチャも既にこの悪魔にブレインジャッk……、」


「やかましい奴だな!さっさと行ってこいや!!」



俺はヤムチャに極寒の屋外へと投げ飛ばされた。




「ガタガタ……お、おのれっ!ぜ、絶対に復讐してやるからなー!!」



俺はびしょ濡れのまま外に出たせいで翌日に風邪を引いた。









そして翌朝のこと……。



森の住人たちがヤムチャの家に勢揃いした。





「ぶえっくしょん!!!!」



風邪を引いた俺はベッドに拘束されているジョージの隣で横になっていた。



「彼がそのジョージか……一見すると普通のおっさんみたいだが。」


「zzzzzzz~……。」



よしだくんは腹が立つほど気持ちよさそうに爆睡しているジョージの顔を見つめていた。



「て言うか私たちを呼び出したんならこのおじさん、起きてるもんだと思ってたわ。」



ミーシャはため息をついた。



「と言うかシンタローはどうしてそんな酷い風邪を引いてるの……?」



 こう控えめに発言したのはキヌタニ、あいつはエリスがここに来る前と全然変わってないな。

臆病さはもっと際立っていたかもしれないが。




「こ、これはだな、ヤムチャをブレインジャックした、たっ、ぎえっくしょえっ!!!」



「何が言いたいのかよく分からないけど……すごいくしゃみだね。」




「まあ、シンタローの風邪は偶然起きた事故だ。で、ジョージだが昨夜は死にかけだったからな……無理矢理起こすのはちょいと気が引けるんだ。」




ヤムチャはジョージの肩を叩こうとしたが直前で止めた。



「そ、その通りだ!!寝てる方が始末も簡単だろ!?今すぐに我が、がっ、がえっじぇいっ!!」


「……さっきからのそれ、くしゃみ……なのよね?」



ミーシャが俺のことを変な目で見てきた。




「……ん、何かさっきから、でかいくしゃみが……。」


「おっ、寝かせておいた方がいいとか言ってたシンタローが起こしてしまうとはな。……どうだ、少し話せそうか?」




目を開いたジョージによしだくんは話しかけた。




「ああ、問題ないぞ。……にしても何だか大人数だな。」


「お前が来たことをみんなにも知らせたからな……ふぁーあ……。」



一晩中ジョージを見張っていたヤムチャはかなり眠そうだった。



「そうだったのか……集合しているところ悪いが、俺はそろそろここを発とうと思っているんだ。夜のうちから決めていたことだけどもな。」



これには事情も分かっていない三人も驚いていたな。




「えっ!?昨晩は死にかけだったって聞いてるけど……。」


「まあ吹雪は止んで晴れてはいるが、外はかなり雪も積もってるぞ?」


「僕だったら雪の密林なんて半日も生き抜けないよ……。」



キヌタニの発言はよく分からなかったが、ミーシャとよしだくんはジョージを止めようとした。




「一晩休ませてもらったら大分回復したさ。それにあんまり得体の知れないおっさんが長居しても迷惑だろうからな。」



「ぐうっ……しょ、正直に言え!わ、我に粛清されるのが怖くて……てっ、てっくしょいっ!!」


「……まあ、シンタロー君もこう言っていることだしとっとと退散することにするよ。」



ジョージは笑いながらそう言った。





「……放浪しているって言ってたが、行く宛はあるのかよ?」



ヤムチャが真顔でこう聞いた。



「行く宛なんて必要ない。俺の歩いて行く方向が進むべき道だからな。」



「そうかい……なら止めねえよ。」



ヤムチャはそのままジョージを縛り付けていたロープをほどいた。




「本当に世話になったな、ありがとう。」



ジョージは起きて、力強く立ち上がると俺たちの方を見ることなく、歩いて家の外に出て行った。





「ヤムチャ……いいのか??」


「今までも一人で生き抜いてきたんだ。そんな心配することもねえだろ。」



四人はどこか余裕を感じさせる彼の背中を見送っていた。




「へっ、へーーっくしょーーい!!!!」

 夜中に突然知らない人が家に来て食べ物を要求してきたらどうしますか?

普通なら警察を呼ぶでしょうか?さすがにちょっと怖いですよね。


 作者のお勧めはまず、食べられそうで食べられない物を渡すことです。

生のカタツムリとか、ミカンの皮とかですね。


 それを迷いなく口に運んだなら本当に飢えてそうなのでまともな物をあげましょう。

そうでなければ金属バットで殴って追い返しましょう!!



 密林なのに雪が降るのかって??

だってここは100エーカーの森ですよ?


 混沌が噴き出るこの地ならジャガイモや医者が降ってきてもおかしくありません!!

女の子??そんなものが降ってくるわけないでしょ!!

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