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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第4章 悲劇の寸法線
89/162

4-9 不信、亀裂、暴走

ーー前回のあらすじーー


 容疑者であるフジモン、エリス、スタークの三人はそれぞれ自らが犯人でないことを主張したが、無罪放免となる者はいなかった。


 フジモンの話には一同が概ね矛盾が無いと信じている中でただ一人、ミーシャだけはくーちゃんを疑われた恨みからか頑なに犯人扱いを続けていた。


 エリスは100エーカーの森に来たいきさつを白状するも、ここに辿り着いた瞬間の記憶が無かったためにあまり信用が得られなかった。


 スタークは何も話さず、暴言を吐くばかりだったので即有罪になるかと思いきや、何か考えのあるチッダールタによって引き取られることになった……。



 本来宇宙飛行士として宇宙に行くには、訓練が二年ほど必要なようですがフジモンはそれを受けずに……ヒエッ!

やっぱり宇宙へ行くならそれなりの覚悟と準備が要るんですね。


 でも数分滞在するだけの宇宙旅行ならそこまで大した訓練は要らないようです。

それでも莫大な費用が掛かるようなので……数千万!?


そう考えるとフジモンは命の危機と引き換えにすごい体験をしたと言えるでしょう……。


 読者の皆さんは宇宙で何をしてみたいですか?

何をしようとも地球とは違った体験になりそうですよね!


 作者は宇宙で20mシャトルランをしてみたいです!!

お前なんかには負けんぞという読者の方は本編へお進みください!!

 この季節になるともう秋の夜長を鳴き徹す虫の声も聞こえなくなってしまうな。

こんばんは、もういい加減ナレーションにも慣れたよしだくんだ。



 俺は今、何をしているかと言うと……風呂場で手を背中で縛られたフジモンの髪を洗っている。

野郎二人が狭い風呂場で密集してる場面なんて出して申し訳ないがまあ、仕方ないだろう?



「人に頭を洗ってもらうなんて何だか落ち着かないな……。」


「まあ、これも少しの間だけだ。無罪が確定するまでは我慢してくれ。」




「ははは……よしだくん、申し訳ない。」



フジモンは突然深刻そうな口調で俺に謝ってきた。



「ん?頭を洗うくらい何ともないさ、気にするな?」



「いや、そうじゃないよ。昼間のことさ、僕は……君に最低なことを言ってしまった。」


「ああ、『科学者として失格』か?まあ、タイムスリップだのタイムマシンだの、そんなものは実際に開発していることを見たり聞いたりしてなければ夢物語にしか思えないだろうからな。俺だって昔はそんなもの現実的ではないと思っていたさ。」




「でも可能性はゼロじゃない。それはつまり、あり得ない話ではない……僕も分かっていたんだ。そうである以上、強制的にその可能性を排除してはいけないこともね。」



「本当にくーちゃんがタイムスリップしたかなんて分からないさ。それにレアケースを全部考えていたらキリがない。考え方は人それぞれ違うが……お前の一番あり得そうな説を推すというのが間違っているとは思ってないぞ。」




 タイムスリップ説なんて中々簡単に信じられないさ。

フジモンほど頭がよければ尚更だ。




でも、次にフジモンの口から出た言葉は俺が予想しなかったものだった。





「本当はあの時……もしかしたらくーちゃんは本当にタイムスリップしたんじゃないかって思ってたんだ。だけど……僕は一度『タイムスリップなんてありえない』って言ってしまったね。前言撤回することを……僕の医者としてのプライドが邪魔した。」




そうか、だからあれほどタイムスリップを頑なに否定してたんだな。



「別にお前が一度間違ったことを言ったってここじゃ誰も責めないさ。そんなプライドなんて捨ててしまえ!!」



俺は敢えて強い口調でこう言ってみた!


普通に言ってもまたプライドがどうたらこうたらでとやかくと反論されそうだからな。




「うんっ!?よ、よしだくん急に声が大きくなったけど!?!?……そうだね、僕もこんなどうしようもないもの、さっさと捨ててしまいたいさ。でもね、医者という仕事をしていると、何故か邪魔なプライドが体に染み付いてしまってね……。だから、また僕が同じような過ちを繰り返そうとしたら……今と同じように叱って僕のプライドをぶっ壊してくれないかな?」



フジモン……安心したぞ。



昼間の孤高なエリートじゃない、いつものお前じゃないか。




「任せろ、どれだけお前が医者のプライドを掲げようとも俺が何度だって叩き壊してやるさ!」


「ははっ、頼もしいな。じゃあよしだくんを信用して僕は自分の道を貫くとしようかな!!」


「いや、昼間は随分と骨が折れたんだぞ……。っと、手が止まってたな、すまない。」





ただ、信用されるっていうのはやっぱり悪くないものだ。


俺は洗髪の続きをする。




「……お前がここに来た経緯を聞いて俺は、自分の過去にお前を重ねてたんだ。ああ、聞いて欲しい話っていうのはこれのことだ。」



「過去のよしだくん、かい?」



「俺はここに来るまではとある研究所で働いていてな。そこでは神童と呼ばれていたんだ。」




別に自慢で言うんじゃない。


フジモンにはありのままを伝えたいんだ。



「だが、他の研究者からは煙たがられてな。嫌がらせもされたし、結果的には身の安全を第一に考えて研究所から出ていくことになった。」



「なるほど、その類いまれなる才能ゆえに、ってことか。」


「だからお前の話を聞いた時、とても他人事だとは思えなかったんだ。」



フジモンは俺に背を向けたまま、どこか感傷に浸っているようだった。




「そうか……僕らは似た者同士だったんだな。不思議なものだね、在るべき場所を追われてこの地に辿り着いた……。」


「そう言われると確かにそうだな、運命的だ……。」



「うんうん……はっ!!そ、そういう恋愛的な意味じゃないよ!!」




ん??どういうことだ??



「あっ、また手が止まってたな、悪い悪い。」



「えっ、あっ、ああ……き、気にしないでくれたまえ……。」



フジモンはあたふためいているがどうしてだろうな??











「おお、随分と長いこと風呂に入ってたなww男二人で何してたわけ??www」



俺たちが風呂から上がると、シンタローが俺のベッドの上に寝転がってアイスを食べていた。


 恐らくキヌタニの目を盗んで駄菓子屋からこっそり持って来たんだろうが……シーツを汚さないでくれよ?



「その言い方は誤解を招きそうだからやめてくれ……それで、お前はここに何をしに来たんだ?」



「おいおい、そんな怪しい奴を見る目はよせってww……俺さあ、フジモンに一つ確認したいことがあるんだよな。」



そこまで言うとシンタローはベッドから起き上がり顔から笑顔を消した。





……???



シンタローがこんな顔をするなんて……??






「おいフジモン、本性を表せ!」



シンタローは唐突に腕の自由が効かないフジモンの胸ぐらを掴んで床に押し倒した!!




「がっ!?シンタロー君……!?!?」




「なっ……!?……!!シンタロー、やめないか!!」



 俺はシンタローのとった行動が衝撃的すぎて一瞬思考が固まったが、状況を理解してすぐに二人を引き剥がそうとした!




「あっ……は、ははは……これがお前の裏の姿、とでも言うべきか?いつものキョドった態度はどこへ行ったよ?今までのポンコツぶりは全部演技だったのか??」




「……!!お前まさかっ!!」



「シンタロー君、違うんだっ……!」





シンタロー……フジモンを疑ってるのか!?



確かに昼間のこいつはいつもと人が変わったようになってはいたが……。




「勘弁してくれよ……まさか本当にいつものお前を演じ忘れるなんてな!!」



「!!!!!!……フジモン?……嘘だよな!?」




シンタローの言っている意味が俺にも分かってしまった……!





嘘だと言ってくれ……今までの笑顔も、昼間の会話も、さっきの話も全部演技だって言うのか!?






「……見つけた。」




その時、玄関のドアが開いて誰かが入ってきた。





「ミーシャ!?……くーちゃんとエリスはどうした?」



「二人とも寝てるわ、エリスは縛ったままだから安心して。……それで、これは一体?」



一人で俺の家を訪ねてきたミーシャはどこか思いつめたような顔をしていた。






「俺は……お前を信じたいからこんな真似をしたんだ!!きっといつもみたいに大慌てでじたばたするんだろうなって……そう思ったのによ!!」



「ぐっ……!一旦落ち着くんだ……。」


「どうして……どうしてだよ!?」






ミーシャはいつもと違うシンタローの様子を見て何かを悟ったらしい。



「ふーーん……何やら私にとって有利な状況になってるみたいね。」




有利な状況?


お前は一体何を言ってるんだ?




「ミーシャ君……シンタロー君を止めてくれないか?」



 そう言うフジモンはロープで腕の動きを封じられているから抵抗のしようがないが、口調からはそもそも抵抗しようという意思すら感じられない。



「はいはい。シンタロー、もう十分だわ。……後は私に任せなさい!!」



ミーシャはシンタローを蹴り飛ばして退かすと、機関銃をフジモンの頭に突きつけた!!






「ミーシャ君……本気なのかい……??」


「私はあんたのことなんか一度たりとも信じたことはない。みんながどう言おうと私は今ここであんたを始末する!!」




「とりあえず一度、落ち着いて話を聞いてくれないかな……。」


「悪いけどもうこれ以上、あんたの聞き苦しい弁解なんて必要ないわ……まあ、最後に言い残すことがあれば聞いてやってもいいけど。」



「ミーシャ!さすがに今すぐ殺すなんてやりすぎだ!!未来のキヌタニを手にかけた犯人が分かってないのを忘れたのか!」




「うっさい……今殺らないと、手遅れになるかもしれないじゃない!!」




 俺は止めようとしたが、迷いを断ち切ろうとしているように首を振るミーシャは怒鳴り返してくるだけだった。



まずい……このままじゃ本当にフジモンは……!!





「ミーシャおねえちゃん……なにしてるの……?」



 突然、玄関の方から小さな声が聞こえてきた。

そこには見てはいけないものを見てしまったという表情をしたくーちゃんがこちらを覗いていた。




「く、くーちゃん!?どうしてここに……。」



「おねえちゃんがおうちから出ていく音がしたから、気になってついてきちゃったの……。」




 ミーシャも見られてはいけないものを見られてしまったという顔をしているが、機関銃だけは決して下ろさない。


くーちゃんを前にしても一切引く姿勢を見せないってことは……彼女は間違いなく本気だ。



「そう……シンタロー、くーちゃんを私の家まで送り届けてくれる?私は……やらなきゃいけないことがある。」




「…………。」



 ミーシャは真顔でフジモンの方に向き直る。

一方でフジモンも怯えた様子は一切無く、ミーシャの顔をずっと見つめている。




「悪いが……それは出来ないな。」



シンタローは機関銃の銃身を掴み、力づくで下ろさせた。



「俺はこいつをボコボコにぶん殴ってやりたい。そして、何を企んでいるのか全て吐かせてやる。それから殺すか否かは決めればいいだろ。」




シンタローは有無を言わさない顔をしてミーシャを凝視する。




ああそうだ、シンタローの言う通りだな。




「何で……、」


「なあ、一旦冷静になれよ?」



俺も機関銃の根本を押さえ……、



「何で!!何でなの!!!また……間に合わなくなっちゃう!!!」


「うおっ!?」


「くぎゃっ!?」



ミーシャは俺の手を払い除け、シンタローを突き飛ばしてフジモンの額に再び銃口を向けた。




「私はっ!!もう同じ間違いはしないからっ!!」



くっ、間に合うか!?


俺は銃の引き金を引こうとするミーシャを止めようと手を伸ばした!






ダダダダダ!!!





俺の手は届かなかった。





そして機関銃から無数の弾が外界へと放たれた。





そんな……。








「ミーシャ君……どうして?」






彼女の足元には……、




無数の薬莢……いや、弾丸が転がっていた……。





「危ない危ない……何とかなったようだな。」





 そんな声のした玄関の方に視線を移すと、その場にへたれこんでいるくーちゃんと、真っ黒な光を放つイルミネーションを纏った服のチッダールタがいた。



 機関銃から放たれた弾は銃口から飛び出した瞬間に運動エネルギーを失って、その場で自由落下していったんだ。






……誰も、何も喋らない。




何を言うべきか分からないんだ。





「おい、クソジジイ!!訳の分かんねえ尋問の後は急に外へ連れ出して何のつもりなんだよ!!」



ちょっと待て!この声は……!?




「やれやれ……こんなシリアスな状況だというのにお前という奴は本当に空気が読めないのだな。これだからスタークは。」


「ああ!?空気に何か書かれてるってのか!?だったら今ここで朗読しやがれ!!」



「あ……またスターク怒ってる……。頭おかしいの?」



くーちゃん……スターク相手にすごいことを言うな……。




って、そうじゃない!!




「チッダールタ!!何故スタークをこんな所に連れてきたんだ!?こいつは超危険人物なんだぞ!」


「あんだと!?善良な一般市民に向かって何て口を聞きやがる!!!」


「お前はどうせ『善良な一般市民』の意味など分かってないのだろう?これだからスタークは。」





「何よ……何なのよ……?」



そんないさかいの中で、ミーシャの機関銃を持つ手が震え始めた。



「何でみんな私の邪魔ばっかりするの!!?また、またあんなことが起きたら、私はっ……!!」



ミーシャは機関銃を投げ出すと走り出し、そのまま夜の森へと消えていった。





「おねえちゃん!?あっ……。」



 くーちゃんはミーシャのことを追おうとしたが、あいつの足が早すぎてすぐに姿が見えなくなってしまったらしい。




「み……ミーシャ君……??」



 呆然としているフジモンは命拾いして安堵したような、それでいて突然のミーシャの行動に困惑したような表情をしている。






「……ミーシャ、俺だって同じ気持ちだ。あんな過ちはもう、ごめんだ。」



シンタローがポツリと呟く。




……俺だって同じことを考えていた。



あんな悲劇は……絶対にもう起こしてはいけない。





「お前たち……もしかしてフジモンを疑っているのかな?」



俺たちの様子を見て察したらしいチッダールタが俺たちに問いかけてきた。




「仙人……お前は今までのやり取りを聞いてなかったからな……。お察しの通り俺たちから見てフジモンはかなり怪しい。」



シンタローが力強くフジモンの顔を見つめながら言う。



「疑うにしろ疑わないにしろ、ミーシャのように即始末するのは良策ではないよな。だが、私はそもそもフジモンを疑うべきではないと思う。ああ、すまない……実はかなり前から盗み聞きをしていたんだ。」


「ったくよ!外に出てからずっと口が開けられなくしやがっ……!!!」




 チッダールタが指を振るとスタークの口は塞がってしまった。

多分これも神通力だろうな。



……と言うか、盗み聞きだと??




「チッダールタ、聞いてたって一体いつから……?」


「大体フジモンとよしだくんが風呂から出てきたくらいだな。何か嫌な予感がしたんだ……。だからその後に何があったのかは全て聞かせてもらったぞ。」




そんな早くからいたのか!?


しかも嫌な予感って……キヌタニがエリスを殺そうとしたときと同じだな……。




「おじいちゃん、フジモンおじちゃんをうたがっちゃダメってどういうことなの?」




「うむ、いい質問だ。シンタローはフジモンの態度が昼間のように、いつもと違ったからという理由で疑ってかかったんだろう。だが人が出すオーラの見える私から言わせてもらえば、フジモンは体質的な問題で非常に超集中状態(ゾーン)に入りやすいだけのように感じてな。」




「……ぞーん?おじいちゃん、なんなのそれ?」


「俺もそんなの聞いたことないな、説明してくれよ。」



くーちゃんとシンタローは首を捻る。



俺はゾーンと言われると『領域』の意味を連想するが、恐らくそれとは別物だろう。



「そうか……そう言われると思い当たる節がいくつもあるよ。僕は、毎回そのゾーンに入っていたんだね……。」



フジモン、お前は一人で納得しないでくれ……。




「みんなは分かっていないようだから解説すると、ゾーンと言うのは一つの物事に普段とは比べ物にならないほど集中することだ。」



「なるほどな、つまり冷静なときのフジモンはそのゾーンってやつに入っていたのか?」



シンタローはあまり中身のない頭で一生懸命考えているみたいだ。




「そういうことになる。フジモンが難しい手術をいくつも成功させてきたのだって、ゾーンに入って自分自身の実力を100%出せていたからではないかな?」



「確かにスタークの手術を成功させた時のフジモンは動きに一切の無駄もなかったし、メスを持ってからは助手をしていた俺やくじらんの方に視線を一度たりとも向けなかったな……。」



「でもよ、だとしたら昼間のフジモンはどうしてゾーンに入っていたんだ?」




シンタローはチッダールタを疑うような目で見ている。




「今日の昼間は……自分が持つ医者としてのプライドを守るために必死だった。脳味噌がフル回転しているのを感じたよ……。」




フジモンは俯き加減で、それでもしっかりとした口調でそう声に出した。




「医者としてのプライド??どういうことだ?」



「それはね、一度断言したことを訂正するなんてとても恥ずかしくて出来なかったんだ……。」



「……そんなもんなのか?まあ、確かによしだくんの主張にすごい勢いで反論していたしな。」




シンタローは多少フジモンの言うことを信じているようだ。



「さっきシンタロー君が僕を床に押し倒した時には少なからず命の危険を感じて、それですごく思考がクリアになったんだ。」



「だからあんなに冷静だったのか……。」




なるほどな、絶対にとは言えないだろうがそれだと確かに納得がいく。




「そして下手に抵抗しなかったのはそれが適切な行動ではないと思ったからなのだろう?」



「チッダールタの言う通りさ。そして昼間によしだくんとの言い合いで僕が折れたのも、これ以上の議論は意味がないと思ったからだよ。」




と、そこで俺は一つ疑問が浮かんだ。




「でもフジモン、お前ここに来た時にパラシュートのバランスを崩してものすごいパニックになっていたよな?」



「あれかい……あれはその直前まで地球に帰ろうとゾーンに入ってたみたいで……気が抜けていたようなんだ。助かったと思った矢先にあれだったからね……。」



そうだったのか……。



俺の中でフジモンに対する疑いが晴れた。



「いちいち言い訳をされた気分だったが……仙人もこう言ってるし今は信じるか……。」



シンタローも一応は説得に応じた形になった。






「はぁはぁはぁっ……銃声が聞こえたけど何があったのー!?……って、ミーシャがいない!?」



「ムグフグェッー!?」




さっきの銃声を聞いたのか、くじらんがヤムチャを引きずってやって来た。



 ヤムチャは昼間と同じ状態に加えて、耳栓までされているから自分の周りがどうなっているのか全く理解出来なさそうだ。



「ミーシャおねえちゃん……どっかに走って行っちゃったの……。」



「あっ、くーちゃん!!どっかってどこに行っちゃったの!?」



いや、分からないからどっかって言ったんだろ……。



「まあ、さっきまでちょっと問題が発生してはいたが一応解決した。……ミーシャの方はまだ分からないがな。」


「!?シンタロー……何か怖いよ?」



くじらんは笑っていないシンタローを見てすごく違和感を感じたようだ。




「そういえば……ミーシャ君の言っていた『あんなこと』って一体何なんだい?」



気になって当然の質問をフジモンはしてきた。






「そうだな……二年前、この森で起きたあの出来事のこと。シンタロー、くじらん……みんなに話しておかないか?」



俺は二人にこう提案した。



 みんなに知っておいて欲しいというより俺は、そしてきっとシンタローとくじらんもこの気持ちの行き場がないんだ。


みんなに吐き出したい、それが本音だ。



「……あんまり他人に言いふらすことじゃないと思うけど……シンタローはどう思う?」



「俺は……そうだな……。」




 シンタローは一旦口を閉ざした。

明らかに迷っている表情だ。






「……ジョージは俺のことを許してくれているのかよ……?」



そして天井を見上げて独り言を呟いた。




「にーちゃん……。」



くーちゃんもシンタローの辛そうな心の内を感じ取ったらしい。




「シンタロー、私はお前のことを仲間だと思っている。仲間なら苦しみも分かち合うべき、だろ?」



チッダールタは指を振ると、シンタローの首回りが暖かい色の煙に包まれた。



「仙人……お前は不思議だな。俺たちに今まで色々としてくれてよ。……そうだな、お前が言うんなら打ち明けるとしよう。」





こうしてシンタローは過去にこの森で起きた悲しい事件の経緯を話し始めた……。

 無重力と言うのは黒のイメージ何ですが……。

黒い光って存在しないようです……。


 黒というのは光が吸収されている状態なので、光が無い=黒と言うことです!(??)

それなのにチッダールタは黒い光というものを創り出しているのでやっぱり恐ろしいですね。


 額に銃を突きつけられて冷静でいられる人間はそんなに居ないのではないのでしょうか。

やはりフジモンはとても脳の使い方が上手いのかもしれないですね。


ただ……目の前で乱射されたら音がとてもうるさそうだと思うのは作者だけでしょうか?



 読者の皆さんが意外と冷静でいられたなと思ったのはどんな時ですか?

空き巣と出くわした時?トラックに轢かれそうになった時??


 この小説を読んでいる時は皆さん冷静でいられましたか?

冷静にはさせたくないのですが、次回は多分落ち着いて読めると思います。


あ、よしだくんの過去編の時と同じで中二病のシンタローが出てくるのでお楽しみに!!


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