4-6 くーちゃんの正体
ーー前回のあらすじーー
100エーカーの森へと戻って来たミーシャはくーちゃんとお話をするべく、シンタローとよしだくんと一緒にヤムチャの事情聴取会場となっていたであろうエリスの家で様子を窺っていた。
だが、そこで彼らが見たものはくーちゃんとお見合いをしている、余所行きの格好をしたヤムチャであった……。
鳥肌が立つような彼の行動を問い詰めると、何とヤムチャは自分がくーちゃんと交際しようとしていたことを白状してしまったではないか!!
そんな彼は森の住人たちによって身柄を拘束され、死刑の危機に瀕しているのであった……。
もっと昔ならくーちゃんくらいの年でもお見合いすることがあったでしょうに。
ヤムチャは生まれてくる時代を間違えましたね!
読者の皆さんは他の時代に生まれたかったと思うことはありますか?
人間関係や主従関係、文化や食生活……どの時代も一長一短だと思います。
作者は集団の中で上下関係が生まれるのが弥生時代あたりなのでそれよりも前だったらいつでもいいですね、ただしエアコンは欲しいところ……。(縄文時代に無いだろ)
縄文時代のエアコン然り、いつの時代も人間は矛盾を抱えて生きているのですね!!
読者の皆さんは理想の時代に思いを馳せて本編を読んでください。
今回はこの話が少しだけ関係がある内容となっております!!
さてさて、ようやく全員が集会所に集まったぞwww
随分とこの森も賑やかになったな……。
六年前はミーシャ、ヤムチャ、俺、くじらん、キヌタニの五人だけだったのによww
よしだくんが来て、不本意だが……スタークが居候を始めて、エリスが乱入してきて、仙人が現れて、フジモンが降ってきて、そしてくーちゃんがやって来た……。
……うーん、集会所も全員集合するとキツキツだなw
てかさあ、今の状況って半端なくカオスなんだけどwww
「なあシンタロー、こんな状態で話し合いなんて出来るのか……?」
よしだくんも集会所の現在の有り様を見て言う。
「ちょっと誰かあー!!このロープほどきなさいよー!!!」
「僕のロープも外してくれたまえ!!君たちは名医に向かってなんてことをするんだい!?」
「…………。」
「ふぐぉっ……ぐあぐあっー!!!」
「えっと……いまいち状況が分からないんだけどさ……。でもとりあえず俺が分かってることは、このままじゃ話し合いにならないってことかな?」
酒の酔いが醒めたらしいくじらんも拘束されている四人を見て不思議そうな顔をしているなww
まあ、脅迫状のことも今までのいきさつも寝てたせいで知らないから無理もないかwww
「ねえおねえちゃん……ここ、何かおかしな人たちばっかりだけど大丈夫……?」
ミーシャの膝の上に座っているくーちゃんも戸惑いを隠せないみたいだなww
こんな奴らがこんなにいたらびっくりして当然だよwwww
「平気よくーちゃん、確かに変人しかいないけどヤムチャとスタークって奴を除けば基本的には無害な奴らばっかだから。」
いやミーシャwwそれ、お前もだからな??
つか、この中で一番お前にぴったりな言葉だよwww
……いや、普段から機関銃ぶっ放してるヤバい奴だったかww
もちろんこんなこと、口に出来ないけどな……ハチの巣にされちゃうwww
ちなみにタッキーは二人の後ろで番人みたいにどっしり構えているぞw
「おい、お前らガヤガヤうるさいぞ!!!www」
俺が大声でそう叫ぶと、とりあえずはみんな黙ったなw
「それじゃあよしだくん、後は任せたwww」
「はあ!?そこまでやって俺に押し付けるのかよ……。」
まあ、俺は取りまとめ役みたいなの向いてないだろうし?
よしだくんの方がこういうの得意そうだろうから、別にいいだろwww
「そ、それじゃあ……話し合いを始めたいところだがその前に一つ、くーちゃんに改めて自己紹介をしてもらいたいな。」
「あ、確かに。私もまだ全然くーちゃんのこと知らないし。」
「……!!!えっ!?ミーシャの上に乗ってる君、誰なの……!?!?」
いやちょっと待てくじらん!www
くーちゃんの存在に気づくのがこのタイミングなの?遅くないか??www
やっぱりまだ酔っ払ってる???www
「そ、それも説明するとして、と、とりあえず……くーちゃん、自己紹介を頼む。」
「そうね……とりあえず本名と年齢と、どこから来たかくらいでいいわよ。」
「うん、えっと……私の名前はクロトジントって言います。年はこの前11になりました。それから……フランク王国から来たんだけど……。」
くーちゃんはそこまで言うと一旦口を閉ざしてしまった。
何か言いたくないことでもあるのかもなw
「ん?くーちゃん……君、フランク王国って言った?」
突然フジモンが口を挟んできたw
フランク王国ってどこなんだろうな?ww
フジモンはそこが何か気になるみたい?www
「うん……そうだけd……、」
「えええええーーーーーーっ↑↓↑↓↑↓!?!?!?!?」
うるさいーっ!!www
フジモンは集会所が破裂するんじゃないかと心配になるレベルの大声で突然叫んだ!
「びっ、ビックリさせるんじゃないわよ……!一体何に驚いたっていうの……?」
そう怒るミーシャを始めみんな耳を押さえてる状況、何だかウケるなww
「も、申し訳ない……いや、くーちゃん?別に君がどこから来てようとも、責める人はいないから本当のことを言ってくれないかな?」
フジモンは優しい口調でくーちゃんに問いかける。
「フジモンはくーちゃんが嘘をついてるって言うの!?」
先陣切ってフジモンに反論したのはくじらん……ミーシャだと思ったんだがなww
「私……嘘なんてついてないよ?」
それに続いてくーちゃんも反論したなw
「そ、その……君たちはくーちゃんの話を聞いておかしいとは思わなかったのかい……?」
その反論に対してフジモンは戸惑った様子で俺たちにこう返してきた。
「おかしいってどういうことだ?ww」
「フジモン、俺たちに分かるように説明してくれないか?」
俺とよしだくんもフジモンに攻撃するぞ!w
「えー……君たち、教養が無さすぎないかい?フランク王国は亡国さ、もう存在しない国だよ。」
ん?さらっと今すごい衝撃的なことを聞いた気がするw
フジモンは一体何を言ってるんだ?www
フジモンの言ってることだと、くーちゃんは滅んだ国から来たってこと?www
「ちょっとフジモン!!ふざけたこと抜かしてんじゃないわよ!くーちゃんの来た国が滅んでるですって!?言っていいことと悪いことがあるでしょ!このポンコツヤブ医者がっ!!」
ミーシャはとんでもない剣幕でフジモンにぶちギレて機関銃をフジモン目掛けてぶん投げた!!
「むぐふっー!!!」
でもフジモンじゃなくてヤムチャの脳天に命中したけどなwww
何はともあれ機関銃が弾切れで助かったぜ!
そうじゃなきゃ乱射されてまた集会所を修理する羽目になるからな!!!www
「いやミーシャ……ちょっと待ってくれ。昔、研究所で博士がたまに歴史とか文学のことも教えてくれたことがあるんだが……確かにフランク王国はかなりの昔に存在した国だったはすだ……。」
「そう言われれば何だか私も高校の歴史の授業で習った気がするわー。」
あれ?
よしだくんとエリスが何か言い出したけど……www
どっちの言ってることが正しいの?www
「えっ……おじいちゃんのつくった国ってなくなっちゃうの……?」
くーちゃんは悲しそうな顔をしている。
「おじいちゃん……?そうか、思い出したよ。くーちゃん、君のお父さんの名前は?」
「えっ、クロタールだけど……。」
「矛盾、してない……そしてその服装か……疑ってすまないねくーちゃん……だけど僕は君の言うことがとてもじゃないけど信じられないんだ……。」
フジモンは深く考え込んでるみたいだなwww
「さっきから何なのよ!!フジモン、あんたいい加減にしないとこの森から追い出すわよ!!」
そしてミーシャの怒りはまだまだ収まらないな、このままだとフジモンのこと殺しちゃいそうwww
「お、落ち着きたまえミーシャ君!くーちゃんの言うことを信じるならば彼女は間違いなくフランク王国を建国したクロヴィス1世の孫だ!!だが彼は1500年くらい前に生きていた人間なんだよ?なら彼女はどうしてここにいるというんだい?」
「せ、1500年前ですって……!?よしだくん、エリス……本当なの?」
そのフジモンの言葉を聞いてミーシャは怒りを抑えて二人の方を見た。
「詳しいことまでは覚えてないが……クロヴィス1世は確かに1000年以上前の人物だったはずだ。」
「んー、何か相当前っていうのは私も覚えてるわ。」
二人ともあんまり自信無さそうだけど三人もそんなこと言う奴がいるんじゃ無視はできないなw
「わ、私……本当のことしか言ってないよ。」
くーちゃんは今にも泣きそうだな……w
誰かフォローしてやれよwww
「ふむ……私はくーちゃんが嘘をついているとは思ってないぞ。だが、脅迫状の件との関連も疑うべきだと考えればだ。どうやってここに来たか、それを聞きたいところだな。」
あっ、そういえば仙人も居たのか……。
さっきからずっと静かだったから存在に気がつかなかったぞww
「そういえばそれを聞いてないなwくーちゃん、話してくれないか?ww」
「う、うん……分かった。あのね……私、パパに城を追い出されたの……。」
!?!?
その場にいた全員が驚いたリアクションを示した。
さすがにこれは俺もビックリしちゃったぞw
「新しいママが来るから……『お前はいらない』って……『荷物まとめて出ていけ!!』って、言われたの……。」
くーちゃんの目からボロボロと涙が零れる。
「何だと……酷い親だ!会うことが出来るならぶん殴ってやりたい!!」
よしだくんは怒ったような口調でそう言う。
「それでタッキーといっしょにいろんな町を歩き回ってたら、どろぼうみたいな人たちに『その馬と荷物を寄越せ!』って怒鳴られながら追いかけられて……弓矢でうたれてケガもして……逃げながら神様においのりしたの。『私を助けてくれる人に会わせて』って……。」
「よしよし……怖かったね、もう大丈夫よ。私が守ってあげる!」
ミーシャがくーちゃんの頭を撫でる。
この二人、姉妹だって言われても全然違和感を感じないのは俺だけか?ww
「それでおいのりしたら……体がフワッって浮いて……気がついたらあの森にいたの……。」
「そう、なんだ……タッキーは何か知らない?」
ねえ、ミーシャ?www
タッキーは人間の言葉話せないだろってwww
まあ、理解はしてるみたいで首を横に振ってるけどな……マジかよwww
「タッキーも知らないみたい……。」
首を振る=「いいえ」って言うのは人間と一緒なのねww
「今のくーちゃんの話を聞く限り、私の予想だが彼女はタイムスリップをしたのではないかな?」
その仙人の言葉を合図にして集会所には沈黙が流れ始めた。
まあ、その状態が三分は続いたなww
「えっと……仙人?面白いこと言うね……。」
最初に口を開いたのはくじらんで……、
「タイムスリップって夢物語じゃないのぉ?」
そしてエリスがそれに続いて……、
「全くだよ!チッダールタ、もう少し真剣に考えてくれたまえ!君はタイムスリップなんてものを信じているのかい!?」
フジモンがさらに加勢した!
「私は真剣に考えて言っているんだ。なら三人はくーちゃんが嘘をついていると言うのかな?」
「僕は……残念だけどそう思う。それしか考えられないからね。そして脅迫状とも何かしら関係があるんじゃないかと踏んでいるよ。」
フジモン……今日のお前は何だか無慈悲だなww
「でもさ、キヌタニは……殺されちゃった方の未来から来たって言うキヌタニはそれこそタイムスリップをしてきたんじゃないのかな?」
くじらん!?www
お前っていつもは抜けてる癖にこういう唐突なタイミングですごくまともなこと言うよな!!ww
「確かにそうよ!!あれは間違いなく、私たちの知っているキヌタニで……、」
「未来から来たって自分で言っているだけで本人だという証拠はあったのかい?それだけで信じるのはちょっと……いや、かなり浅はかじゃないかな?」
「な、な……何ですって!!」
ミーシャはかなり怒ってるみたいだけど手元に機関銃はないし、怒りのあまり言葉が出て来なくなっちゃったみたいだなwww
まあ、外見がそっくりなだけで本物のキヌタニかどうかなんて俺にも分からないしなww
だからここは反論せずに黙っておくぜw★
「フジモン……実は俺が昔研究所にいた時、親代わりの博士の知り合いがタイムスリップに関する研究をしてたらしいんだ。理論的にはもうかなり突き詰めたところまで進んでいたと話を聞いたことがある。今はどうなっているか分からないが……俺は全然あり得ない話じゃないと思うぞ?」
「かなり突き詰めところって言うのは完璧ではないよね?もしかしたら致命的な欠陥が見つかるかもしれないよ?」
フジモンはメガネをずり上げる……今のフジモン、何だかめちゃくちゃ頭良さそうなオーラが出てるぞ!?www
「まあ、欠陥が絶対に無いだろうとは俺も言えないが……それでも実際に物体をごく近い未来に転送したりする実験も上手く行っていたようなんだ。」
「なるほど……じゃあタイムマシンが実際に作れるとして、1500年前にその技術はあったのかな?」
さらにフジモンは食い下がる……!
さっきから何か……タイムスリップの説を頑なに否定するなww
「もちろんそんな技術はなかったと思う。だが、様々な条件が重なって偶発的にタイムスリップが起きたという可能性は否定できないだろ?くーちゃんのタイムスリップは意図的に起こされたものではなく、ごく低確率で起きた事故だと俺は思うな。」
よしだくんもめっちゃ頭良さそうだなww
二人だけどこか別の次元に生きてるみたいだぜ!www
「フジモン、さっきからずっと違和感を感じるのだが……お前は何故そこまでタイムスリップの説を全否定するんだ?今のお前はすごく冷静に見えてむしろ冷静さを欠いているように思えるな。」
仙人も俺と同じことを思ってたみたいだぞw
……いやごめん嘘です、そこまでは深読みはしてなかったww
「それは私も思ったわ……。私だってタイムスリップを信じる訳じゃないけど、くーちゃんが嘘をついているというより……タイムスリップはありえないからくーちゃんの言うことに矛盾があるっていう理論にしがみついてるわよね?」
あーあwww
こんなおバカそうなエリスにまで言われてんじゃんwww
「頑なに否定する?むしろ君たちはそんな非科学的で現実離れしたごく僅かな可能性すらあるか分からないようなものをどうして信じようとするんだい?特によしだくん、君は頭の良い発明家なんだよね?何かを発明する時に成功率が100億分の1の方法に賭けて開発を試みたりするのかい?……少し冷静になりたまえ、くーちゃんが嘘をついていると考えるのが最も現実的だろう?」
フジモンは長々と、そして淡々とまくし立ててから再びメガネをずり上げた。
もういつものオドオドしたポンコツな医者の雰囲気じゃない。
表情もオーラも、冷徹なエリートのそれだな……。
「ひっ……!!」
フジモンの強烈な言葉とオーラにくーちゃんは怯えてミーシャにしがみつく。
正直、今のフジモンは例えようのない恐怖を人に与えるようなオーラを纏っている感じがする……上手くは説明できないけどww
「そうだな、確かに理論上ではくーちゃんが嘘をついているというのが最も現実的だろう……理論上ではな?」
よしだくんはじっとフジモンの顔を見つめる。
「だが、くーちゃんが嘘をついてないと言っているんだ。だとしたら、タイムスリップが起きた確率は100億分の1なんかじゃない。……1分の1だろ?」
よしだくんはくーちゃんに向かって優しく笑いかける。
それに対してくーちゃんも笑顔で返す。
「分からないな……彼女がそう言ってるから?だからそのくーちゃんが嘘をついてるかもしれないって言ってるのさ。誰かの非科学的な主張を確率論に組み込むだなんて馬鹿げてると思わないのかい?こんなこと言うのはどうかと思うけど……君は科学者として失格だと僕は思うね!」
でもフジモンは反論を止めないなww
いや、言いたいことはちょっとだけ分かるんだけども……ちょっとだけなwwww
「科学者失格か……もしかしたらこの森で生活するうちに研究に対する適性を失ったかもしれないな、ハハハハ!」
……え、急によしだくんは笑い出してどうしたの?www
「俺はな、この森で五年間ずっと、バカ達の非科学的で非現実的なありえないバカを極めた行動をこの目で腐るほど見てきたんだ。……それで思うんだよ、確率論なんてここじゃ全然当てにならない!ってな!!!」
「…………。」
うーん、バカって俺たちのことだよな?www
ちょっと傷ついたぞwww
声高らかにそう言うよしだくんとは正反対にフジモンは『こいつは一体何を言ってるんだ?』って顔してよしだくんを見ている。
「……はあ、そうかい。どうやら僕たちは分かり合えないみたいだね。タイムスリップが起こりうると思うなら好きに考えればいいさ。まあ、これで後々取り返しのつかないことになっても僕の知ったことじゃないけどね!」
フジモンはため息をついて寝転がったら天井の方を向いちゃったよ、ありゃ完全に拗ねたなwwww
議論をする時は相手の意見を全否定するのを避けましょう。
フジモンがそんなことをするから、言葉のドッジボール大会が集会所で行われてしまったわけです。
フジモンも冷静なエリートの振る舞いが出来たんですね……。
もしかしたら今後も彼の新しい一面が見れるかもしれません!!
でもヤムチャみたいな性癖の解放は止めて頂きたいものです。
くーちゃんが望んだ『助けてくれる人』はミーシャで良かったのでしょうか?
もっと他の時代の他の場所にいい人がいると思うのですが……。
ですが彼女が望んだ時代と場所は100エーカーの森だったのでしょう。
もしかしてくーちゃんもとてつもない変人だったりして……!?
そうであるのか否かは次回以降で明かされるのかも……??
読者の皆さんはくーちゃんに潜む変人のポテンシャルを想像しながら次回を待っててくださいね!