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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第4章 悲劇の寸法線
85/162

4-5 ヤムチャの本性

ーー前回のあらすじーー


 森から飛び出したミーシャに待ち受けていたものは、妹のようなどこか守りたくなるオーラを放つ女の子と、とてつもない身体能力を持った全裸の野生人であった……!


 ミーシャは女の子を守るため、馬から飛び降りて一人で野生人を討伐することを決意し、一進一退の死闘を繰り広げた!!


 最終的に機関銃を鈍器として使った彼女は野生人を瀕死に追い込んだが、それでも彼は執拗にミーシャのことを追いかけ回した。


 体力も尽きかけて、もはやここまでと思った彼女の前に現れたのは自分が乗って来た馬、タッキーとシンタローであった!!


一人と一頭の活躍により、家出少女のミーシャは無事に100エーカーの森から帰還した……。



 『少女』とは5-14歳くらいまでを指すらしいので厳密には『家出少女』ではありませんね。

『青年』って実は女性にも使える言葉らしいです!


 なので、ミーシャは『家出青年』になりますでしょうか……。

とりあえず、豆知識でした……。


 読者の皆さんは『少年』と聞くと何歳くらいまでのイメージですか?

「心が少年なら何歳でも!!」って言うと素敵に聞こえますが、それは精神年齢が14歳くらいってことでよろしいか??(違)


 何にせよ、子供っぽいイメージを与えかねないので、それを忘れないようにメモしてから本編へ進んでくださいね??

「どうだ、少しは落ち着いたか?www」




「う、うん……もう、大丈夫よ……。」



ミーシャはシンタローの胸から顔を離した。



そんな二人を見ていた俺、よしだくんは少し昔のことを思い出していた。





あんなことが起きる前のミーシャは……優しかったのはもちろん、人前で泣くことも度々あった。




そう、あんなことが起きるまでは……。





「おーい!!人の泣き声みたいなのが聞こえたけど何かあったのかい!?」



ロープでぐるぐる巻きにされて芋虫みたいになっているフジモンが駄菓子屋から転がり出てきた。




「うえっ!?フジモン!?!?いつから居たのよ!?って、私は泣いてなんかいないわ!!」


「あーーっ!!ミーシャ君!?いつの間に帰ってきたんだい!心配したんだよ!?」




フジモンは叫びながら、そのまま俺たちの方にゴロゴロと転がって近づいてきた。




「そ、それは悪かったわ……って何でフジモンはそんな目に遭ってるのよ?」


「フジモンは脅迫状を持ち込んだかもしれない容疑者のうちの一人だからなwww」



「????キョウハクジョウ???」




ミーシャは何のことだかさっぱりという顔をしている。




「それはそうとミーシャ君、目が真っ赤だよ!森の中を歩いている時にゴミが目に入ったんじゃないのかい!?どれ、僕が診てあげy……、」


「別にいいわよっ!!」



 ドスッ!!という音が俺たちの周囲に響く。

これはミーシャがフジモンの腹に蹴りを入れた音だ……。



ちょっと理不尽だが……まあしょうがないか。




「ぐえっ!?み、ミーシャ君!め、名医の僕になんてことをするんだい!!」


「あんたの余計な診察なんて要らないわよ!……それよりもくーちゃん、だったかしら?あの子は平気なの?」



「ああ、くーちゃんなら僕の完璧な治療を受けて、エリス君の家で少し前からヤムチャ君と色々なお話をしているみたいだね!」



「『二人きりにしてくれ』って言われたからその通りにしているんだが……一体何の話をしているんだろうな??」




何か企んでるということはなさそうだが……ヤムチャの意図が俺にもよく分からないんだ。




「ふーん、じゃあみんなでエリスの家に行きましょうか。」




「いや、ミーシャww今よしだくんが話してたこと聞いてた?wwww」


「だって私やシンタローなんてまだロクに話も出来てないのよ?助けてあげたんだからそのくらいの権利はあるでしょ。」



「……ま、それもそうだな!www行こうぜタッキーw」






二人はタッキーを連れてエリスの家へと向かってしまった。



これは……止めても無駄だな。





「あっ、ちょっ……!二人とも!!僕も連れてってくれたまえっ!!」



「いや、フジモン……お前は一応容疑者なんだからな……駄菓子屋で待機しておけよ?」



「そ、そんな……!」



俺はフジモンを駄菓子屋の中まで転がしてから急いで二人の後を追った。









「んで、エリスの家に着いたなwいつ見てもやべえ形してるよww」


「設計者にそう言われるんじゃこの家も気の毒ね……。」




 実際のところ、家とは思えない形をしてるしこんな設計をされたらこの家も哀れなものだが、これでも中はちゃんとしてるんだ。


やっぱりシンタローはある意味天才なんだろうな……。





「じゃあ早速お邪魔しまーす!って言いたいところだけど……二人きりにしろって言われてるし、このままズカズカと入ったら怒られるかもしれないわね。」


「確かになwじゃあ窓からちょっとだけ覗いてみるかww」





俺たち三人は家の裏に回って窓から中の様子を伺った。







…………。







………………。








ん、ちょっと待て?





あれは……ヤムチャだよな……?






「えーと……ヤムチャ、一体どうしたっていうのよ……?」


「ヤムチャがあの格好www絶対おかしいd……、」



「「(シーーッ!!声が大きいっ!!)」」





 俺とミーシャは慌ててシンタローの口を塞いだ!

おいおい、お前はバレないように覗く気があるのか!?



ちなみにヤムチャがどんな格好をしているかと言うと……。







 恐らく駄菓子屋にあったのであろう新品の青いスーツに身を包み、ヘアワックスで前髪を上げ、黄色のアイコンタクトをして口には一輪の赤いバラを咥えていた。



そして長テーブルを挟んでくーちゃんと二人、向かい合って座っている。




「ま、まあ……ヤムチャはそのままじゃ結構見た目も怖いし、くーちゃんを怖がらせないためのコスプレだろう?」



俺はあまり納得いかないが……とりあえずはそう思うことにして口に出した。




「そういえばさっきはよく見てなかったけど……くーちゃんもちょっと変わった服着てるわね。」



「そうだな……少なくともここらへんの国の子じゃなさそうだが……。」





 くーちゃんは普通の洋服じゃなくてイスラム圏の人が着てそうな長い布をグルグルと巻いたような服を身に纏っているが、それともまたちょっと違う気がする……。



少なくとも俺が見たことのある類の服ではなさそうだ。





「ん?どうしたタッキー?どこか痛いのか?ww」




 シンタローがそう言うので俺もタッキーの方を向くと、彼は……いや彼女かもしれないが……、タッキーは耳を後ろに反らして牙を向いていた。


何やら怒っているようにも見受けられるな。



「大丈夫よタッキー、ヤムチャはそんな悪さするような奴じゃないわ。でもこれじゃあ何を話してるのか聞こえないわね、ちょっとだけ窓を開けましょうか。」




ミーシャは中で話している二人から気がつかれないようにこっそりと窓を開けた。



 この窓は内側から鍵がかけられたはずなのだが、そこはさすがいい加減な家主エリス、鍵なんてかけてないようだな……。




 さて、どんな会話が聞こえてくるやら……とは言っても、どうせいつもの『どこから来た?』とか『何しに来た?』とかそんな真面目な会話しか聞こえてこないだろうがな。






「……それで、ご趣味は?」




「うーん、編み物……かな?」






ん???





「え、何のための質問??www」



「も、もう少し聞いてみましょ?」



「そそ、そうだな……。」








「……じゃあ、好きな食べ物は?」




「あ、アップルパイは、だいすきだよ……。」







えっと、だな……。






「好きな食べ物……?wそんな質問したことあったか?www」



「も、もしかしたら、これも、必要な質問なのかもしれないだろ……!?」




ほら、緊張をほぐすための関係ない質問なんじゃないのか?




きっとそうなんだろ?ヤムチャ???







「では、好きな男性のタイプは?」




「えっ、好きなおとこのこ……?かっこよくて、ちから持ちで、足のはやい人……とか??」








「いや、絶対違うでしょwww」



「ちょっとあのヤムチャ、何をしようとしてるのよ!?」




ミーシャは我慢出来ずに家の玄関の方へと走って行った。





「カッコよくて、力持ちで、足の速い人……ほう、それはまさしく俺……!?」


「ヤーーームーーーチャーーー!?」



 勢いよくドカン!という音を立ててドアを開けたミーシャは、格好つけていたヤムチャにすぐさま詰め寄る!!




「みみ、ミーシャ!?!?お前、ミーシャだよな!?帰って来てたのか!!」



「うん、ついさっき帰ってきたとこよ。……そ・れ・で????これは一体全体何をしてるところなのかしら???」


「あっ!!!さっきのおねえちゃん!!!」




くーちゃんは足を引きずってミーシャに近づく。



「くーちゃん……よかった。」




ミーシャも間近でくーちゃんの顔を見て安心したようだ。




「で、ヤムチャは結局何をしていたんだ?」


「全然事情聴取とは関係なさそうな質問ばっかしてたしなwww」




頃合いだと思って俺たち二人も窓から家の中へと乗り込んだ。




「シンタローとよしだくん!?お前らまでいたのかよ!!」






「ちょっと前からの話は聞かせてもらったわよ。……改めてヤムチャ、あなたは何をしようとしているわけ?」




ミーシャに詰め寄られてヤムチャの顔からダラダラと汗が垂れる。




……残念だが、何か企んでいたことは間違いなさそうだな。




「お、お前ら、勘違いしてないか!?お、俺はただくーちゃんとお見合……いやいやいや!事情を少し聞いてただけだぞ!!!」




えっ、今……お見合いって言わなかったか……。





いや、いくら何でも……俺の気のせいだろ。





何せ10歳くらい年が離れてそうだしな。




本当にお見合いをしていたとしたらさすがに犯罪だろ……。





「ねえ、おねえちゃん……このおじさん(・・・・)がさっきからおかしなことばっかり聞いてきて怖いよ……。」




くーちゃんはヤムチャのことを指差しながらミーシャにひっつく。






「お、お、お……お、じ、さ、ん……?」





うーん……今のは聞き間違いじゃない……確かにくーちゃんはおじさんって言ってたな。



 ヤムチャはバラを咥えて白目を剥いたまま仁王立ちになっている。

まあ、ヤムチャの年でもおじさん扱いはさすがにショックだよな……。






「ふーん……。こんな幼い子を怖がらせて……しかもさっきお見合いって言いかけてたわよね?ごまかそうとしても私の耳は騙されないわよ!最低だわ!!このロリコンヤムチャ!!」




ミーシャは弾の入ってない機関銃でヤムチャのことをバシバシと叩く!




「はっ……!!や、やめろ!!お、お見合いってのは言葉の文だぞ!べべ、別にそんなふ、深い意味じゃねえ!!ただ、お、俺はくーちゃんとし、親睦を深めようと……!!!」



「それ別に二人きりじゃなくてもよくね?www」


「しかもくーちゃんは怖がってて親睦を深めるどころじゃないしな……あ。」





何か物音がすると思ったらタッキーが玄関から全速力で家の中に特攻してきた!!




「い、いや、そんな……あ?なんだあ??」



タッキーはスピードを緩めることなくヤムチャの方へ突っ込んでいく!






「おいっ……ぶぐあっ!!!!」



そしてヤムチャを全力で蹴り飛ばしてタッキーは停止した!



あいつの咥えていたバラの花びらが部屋中に舞い散っている。





 そして家の壁に勢いよく叩きつけられたヤムチャは何とか立ち上がった。

無残にも新品のスーツはボロボロに破けている。





「グルルルルル……。」




 と、そんなメンタルも肉体も瀕死なヤムチャの前に、牙も敵意も剥き出しにしているタッキーが立ちはだかった!!




「タッキー!!よかった!無事だったんだね……!!」




くーちゃんはタッキーの頭を撫でる。






「ヤムチャ……お前の味方はここには居ないようだが?」




俺たちもタッキーとくーちゃんの両サイドに集まる。







「ぐっ……ここまでかっ!!俺は……くーちゃんと付き合いたかっただけなのによっ!!!」



ヤムチャは膝をついて家の床をガンガンと拳で叩いている。






……おい。



たった今、非常に衝撃的な告白をされてしまったんだが……。






「えっ……わ、私……こんなおじさんイヤだよ……!」




くーちゃんは怯えて涙目になり、ミーシャにきつく抱きつく。





「ヤムチャwwお前よくそんなイカれたことを真顔で言えるなwwwって、えっ!?ヤムチャってマジなロリコンだったの!?!?wwww」



「ヤムチャ……見損なったわよ。」





 ミーシャはそれだけ言うと出所が不明の鉄条網でヤムチャをぐるぐる巻きにし始めた!

キヌタニの時とは違って容赦なしだ、もちろん俺たちも手伝うぞ!!





「うがあああっーー!!!痛い!!痛いじゃねえかー!!!頼む!!ほどいてくれー!!!」



ヤムチャは泣き叫んで許しを乞う。






「いや、あなたを許す要素が見つからないんだけど??」




「おねえちゃん……私、このおじさんともう会いたくないよ……。」


「くーちゃんもこう言ってるし、このまま洞窟の滝壺にでも投げ込んでくるとしますか。」




ミーシャは真顔でヤムチャに絶対零度の視線を浴びせる。






「じょじょじょ、冗談だよな!?な??な!?!?!?お、おい、よしだくん、シンタロー!!助けてくれー!!!」



ヤムチャは泣きながら俺たちの方を見る。




「……悪いが、さすがに今回は同情の余地無しだな。」


「死刑にするのはあれだけど、せめてしばらくはこの状態で居てもらわないとなwww」




俺たちもサクッとヤムチャを見捨てた。





「うおおおおおぉぉぉい!!!!俺にこのまんまでいろってか!?冗談じゃn……ゴブッ!!」



ミーシャは持っていた非常用バッグから懐中電灯を取り出してヤムチャの口に突っ込んだ!!




「そのやかましい口は塞いでおくわね。あ、それからその視線、何かウザいから目隠しも、っと。」



 さらに包帯をヤムチャの目の辺りに巻いて目隠しをした。

これじゃあもうヤムチャは手足どころか目も口も出ないな!!






「あ、そうそうwさっきチラッと言いかけた脅迫状のことで話し合わなきゃいけない気がするなw」


「そ、そういえばそんなこと言ってたわね……。何なのよそれ?」




「まあ、実物を見てもらった方が早いだろうな。……じゃあ俺はフジモンとキヌタニを駄菓子屋から回収して来るとしよう。みんなは先に集会所へ向かっててくれ、エリスとスタークはそこにぶちこまれているはずだからな。」



「分かったわ。じゃあくーちゃんはタッキーに乗って、私とシンタローでこの変態ロリコンヤムチャを運ぶとしますか。」


「オッケーwwヤムチャ、重そうだな……wとりあえず首を掴んで引きずっていくかww」



「それでいくわよ!「よいしょっーとっ!!w」」




二人は思いっきりヤムチャの首を引っ張った!





「ふぎゅぃあーーー!?!?!?ごごごっー!?!?!?」




ヤムチャは口を塞がれたまま声にならない悲鳴をあげる。




まあヤムチャ……せいぜい首がもげないように頑張ってくれ!





俺は一足先にエリスの家を後にした。

 自分が小学生だったときは(15年位前)モテる男子の最低条件は足が速いことでした。

あくまで最低条件なので……フゥー(-。-)y-゜゜゜


 今はどうなんでしょうね、最近の子はませてるからな……。

SNSのフォロワー数とかでモテたりするんでしょうか??(就活かな?)



ロリコンなんてダメですよ。


うん、ダメですよ。


ロリコン見かけたら110番って、町内会のポスターにも貼ってありました!(大嘘)


 読者の皆さんもロリコンを見かけたら積極的に通報しましょう。

普通の人との見分け方ですか?


特にありません、頑張って見分けてください。。。。


 さてさてロリコンのヤムチャはこれからどうなってしまうのか?

本当に滝壺へと突き落とされてしまうのか!?!?



 そしてエリスは……めっちゃ家に不法侵入されてますが……。

彼女は戸締りすらしないそうで……(´Д`)ハァ…。


 暑い日は窓を開け放ちたくなりますが、閉め忘れには十分注意しましょう!!

それこそ蚊やカブトムシに不法侵入されますからね!!

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