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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第4章 悲劇の寸法線
84/162

4-4 幼女と野獣

ーー前回のあらすじーー


 駄菓子屋に到着した森の住人たちは泥酔しているエリスとくじらんを発見し、その一方で惨めにも鎖に繋がれているはずのキヌタニがどこにも居ないことに気がついた。


 そして建物の外に目をやれば、普段よりもさらに惨めな格好で雨に打たれながらカニ歩きをしている彼が居たではないか……。


 被告人キヌタニを解放しようとしたエリスの弁護人よしだくんは激怒し、とうとう駄菓子屋の見張り制度を廃止すると宣言したのだ!!



 そして駄菓子屋には送り主の分からない手紙が届いていたようで、内容はこの森を襲撃するという意味不明なものであった。


 その手紙には印刷された文字が書かれていたのだが、原始的な生活をしているこの森に印刷機などあるわけもなく、『森の外から持ち込まれた物』と不用意な発言をしたフジモンは、この悪戯の犯人と疑われて名医の肩書きも空しく拘束されてしまった。


 そのついでにエリスも拘束されてしまったが……縛られて喜んでいるかもしれないのは想像に難くない話であった……。



 脅迫状って作者のイメージだと新聞や雑誌の文字を切り抜いて作るイメージなのですが、今でもそんな原始的な作り方をしているのでしょうか?


 昔読んでいた児童書の『ぼくは王さま』シリーズでは、確か王さまが脅迫状を作る時に真っ暗な部屋で文字を書いて筆跡がバレないようにした記憶があります。


 実際に作者も目を瞑って書いてみました……。

いや、意外と筆跡は変わらないような……??


読者の皆さんも本編に行く前に脅迫状を真っ暗な部屋で書いてみてください!









 さあ、その脅迫状は誰に宛てたものですか?

それは今あなたが恨んでいる人です!!

「ねえ、結構進むのね……一体どこまで私を連れていくつもりなの?」





もう一時間くらいはこうやって馬の上で揺られてるわ。




 雨はまだ止まない……とっさのことで傘やレインコートなんて要らないって思ったけど、今日は思ってたよりも肌寒いからちょっと体に堪えるわ。




 このお馬さん、森の中では全力で走ってたみたいだけど森の外に飛び出した瞬間、足場が悪いからかノロノロと歩き始めたのよ。


……って言っても私が歩くよりは断然早いんだけども。






「乗れと言われた気はしたけども……私ったらどうして突然あなたの背に乗って、森の外まで行こうなんて思ったのかしらね……?」



私がそんな独り言を零すけど彼、いや彼女?……は私に目もくれずひたすらに前を見て先へ進む。


きっとこの馬の外見に魅了されたんだわ……。






今頃みんなはどうしているかしら?



 さすがに慌てて私のことを探しに来たりはしないと思うけど、もしここから歩きで帰れって言われたら……。



 体感で10km、進む方向もさっきからちょくちょく変わってる中で無事に森へ戻れる保証があるとは思えないわ……。





「用が済んだらちゃんと私のこと、森に返してよね?……うわっ!?」




私がそう言うとその馬は突然立ち止まり、歯を剥き出しにして正面に威嚇した!





「ど、どうしたの!?……えっ!?!?」




私の、いや私と一頭の目の前に見えたものは……。





「や、やめてよ…………おじさん……。」




「ハアハア……!オンナ!!オンナダ……!!」



 手足に傷を負い、木の根にもたれてぐったりとしている女の子に四つん這いで泥だらけ、しかも全裸の男が今にも襲いかかろうとしている光景だった!




「その子から離れろっ!!」



とにかく止めようと思って、私はとっさにその汚ならしい男の足元に数発威嚇射撃をした!



 本当はすぐにでも撃ち殺したかったけど、馬の背に乗ってて手元が安定しなかったから誤射しないためにも仕方ない……。






「ウオッ!?マタオンナダ!!!」



えっ、ちょっ!?!?



そいつは私の方を見ると急にこちらめがけて飛びかかってきた!!




「いやああっ!!近寄らないでーっ!!!!」




私は本能的に機関銃をその男めがけてぶっ放した!





「ウガッ!?オ、オマエナニスル……!?」



 肩と脇腹に弾が命中したらしく、男はシダの覆い茂る地面の上に転がる。

その隙に私は馬から降りて女の子に駆け寄った!!




「大丈夫!?怪我してるみたいだけどどうしたの?」




「ううっ……動けないの……助けて……。」




その子は力なく私に抱きついてきた。




 何と言うか、可愛い妹みたい……。

その子の背中に馬が顔を擦り付けてくる。



 馬の反応からして、もしかしなくても飼い主ってこの子なのかしら?

随分と小さなご主人だけど……。





「……オマエ、ユルサン!オマエラ……ゼッタイオソウ!」




ってそんな推測は後!!




地面に転がってた男が何とか起き上がろうとしている!




「な、何てしぶといの!?と、とりあえず逃げるわよ!!」



私は女の子を抱えたまま馬に飛び乗った!




「お願い!とにかく今は逃げて!!」




私の焦りが通じたのか馬は180°方向転換して、もと来た道をさっきの倍速で引き返し始めた。





「さすがに馬の移動速度にはあいつも付いてこr……、」


「オレ、オマエラ、オイツク!ツカマエル!!ウガアアッー!!!」




嘘でしょ!?



あいつ、いくら足場が悪くてフルスピードじゃないからって馬の足の速さに付いて来てる!!!





「いい加減諦めなさい!!」




私は女の子を抱っこした状態で機関銃を後ろに撃つ!


でも体勢が不安定で手元もかなり揺れるから命中しなくて牽制くらいにしかなってくれない!





「……私の撃つ位置が見切られてる!?」



私の狙いは良くないけど、それ以上にあいつが弾を避けているように見えるわ!?





「オマエ、ウツ、ウマイ!ダガ、オレ、ウタレナイ!!」



 男はじりじりと私たちとの距離を詰めてくる!!

このままじゃ追い付かれちゃう!!




早く、早く森へたどり着かないと!!






「怖いよ……おねえちゃん。」



胸元からそんな弱々しい声が聞こえてくる。





そうだ、今は私しかこの子を守れない……。



だったら……。





「ねえ、馬に跨って手綱を掴める?」



「う、うん……。」




私は彼女を自分の体から降ろすと馬に跨らせて、うつ伏せになるように手綱を掴ませた。




「この子を連れて私たちの森まで逃げて!頼んだわよ!!……いい?絶対に振り落とされちゃダメだからね!!」



「え?おねえちゃん、何するの……?」




私は一人と一頭にそれだけ言うと馬から飛び降りた!


馬はさらにスピードを上げて密林の奥へと消えていった。




「私が相手よ!この変態!!」




 私は機関銃を男に向けて威嚇する!!

今すぐ無数の弾丸で蜂の巣にしてやるんだから!!!



「オマエ、バカ!!ウマニノル、ニゲラレタカモ!オリル、オマエ、シヌ!!!」



男はそれだけ言うと私に飛びかかってきた!




見えたっ!



私はその飛びかかりを真横に飛び退いて避け、奴の背骨目掛けて機関銃を撃ち放った!!






「アマイ!オソイ!!ヨワイ!!!」





!!!



嘘でしょ……背後を取った今の射撃で、避けられた!?




 ヤムチャならともかく、あのすばしっこいシンタローですらかわせないあの弾を……!?

どうにも背後からの攻撃を完全に読まれてしまっていたようね……。




「私は弱くない!!あんたなんかに負けるもんですか!!!」




 お前みたいな野生人には負けないわ!!

私は今まで以上に集中してあいつに狙いを定める!



ダダッ!ダダダッ!という音とともに周囲の木の葉がざわめく。


 さらに雨足は強まり、視界が遮られる。

奴の動く音も雨音にかき消されてすごく戦いづらくなってきたわ……!



「ソノタマ、オソイ!オレ、カワセル!!」




何を言ってるの!?



機関銃の弾が遅いですって!?



私はあの男の動きを予測しながらさらに銃撃を続ける!




だけど、私の放った弾は虚空へと飛んでいくだけ……。





………………。




いや、違う……。




これは、私の動きが見切られてるんじゃない!



あいつは明らかに私が発砲してから動き始めてる!!!




 ま、まさか本当に弾の軌道を見てかわしてるって言うの!?

だとしたら……私に勝ち目はないってこと……!?





「アソビ、オワリ!!オマエ、オソワレル!!!」




どれくらいの時間が経ってどれだけ発砲したかはよく分からない。



きっと痺れを切らしたんだわ、奴はそう叫ぶと今までの倍速で私に襲いかかってきた!





や、やばいっ!!



私は左方向のステップで何とか男の飛びかかりをかわす!






「ソノヨケカタ、ダメダ!!」





えっ……?



奴は私のすぐ後ろで木の幹を蹴り、私を捕まえようとしていた。





ああ、無理だわ!!



この距離じゃもう逃げられない……!!




でも今捕まったら……。






嫌だ……。





そんなの絶対に……!!!







「負けてたまるかーっ!!」



私は機関銃を撃つのではなく、奴に向けて振りかぶった!!





「ウガッー……!?グブッ!?!?」



銃身が運良くあいつの首にヒットして男は離れたところに吹っ飛ばされる!







「ヤ、ヤルナ……モウ、オワリ、オモッタ……!!」



男は首を押さえながらまだ起き上がってくる!




正直もうこれ以上は戦っても勝てる気がしない……。





「ハアハア……いい加減諦めなさいよ!!」



私は男に向かって再び機関銃を構える。





「アキラメル……?ソレ、オマエ!!」



 私がとどめを刺そうと撃った弾は全部避けられて、さっきよりもさらにスピードを上げて男は私に突っ込んできた!!




「きゃああああっ!?!?」



何とか奴の飛びかかりをかわせたと思ったら、男の右手はがっしりと私の右肩を掴んでいた。




「ツカマエ……グゴッ!?」


「捕まるもんですかーっ!!!」




私は残る体力を振り絞って男の脳天に機関銃を振り下ろす!!






「ググッ……オマエ、ナメテタ……ケッコウ、ツヨイ……。」




男は頭から血を流しながらも這って私に近づこうとしてくる……!






いや、私の得意な銃撃じゃなくて、悪あがき的なぶん殴り攻撃しか当たってないけどね……。





 まあいいわ、時間は十分に稼いだもん!

とにかく今はこいつから離れましょう!




私は馬が走っていった方向へと歩き出した……。









「マ、マテ……オレ、マダヤレル……!グオオッッッーー!!!」



後ろからそんな雄叫びが聞こえてきたと思ったら、奴はフラフラと私の後を追いかけてくる!





「そ、そんな!!あんた不死身なの!?」




私は大雨が降っている足場の悪い密林の中を必死で逃げていく。



 男はもう体力がギリギリなのかさっきみたいな猛スピードでは追ってこないけど、かと言って普通に逃げて撒けるほどは遅くない……。




「どれだけ往生際が悪いのよっ……、ハアハアッ……!」



 振り返って銃撃したらその隙を突かれて飛び掛かられそうだし、とにかくあいつが観念するまではこうやって走らないと……!!






「オンナ……ヒサ……シブリ、ニガサ、ナイ……!」




何ですって!!私をどうする気!?




気持ち悪い……!!!






「あんたなんかに捕まってたまるもんですかっ……!!!」





絶対に帰るんだから!!



みんなが待ってる100エーカーの森にね!!!!





「シンデモ……ツカ……マエル!マテ……!!!」




最悪な理由だけど、男も私と同じくらい必死なんだわ……!!



背後から聞こえる奴の声を聞きながら、そのことを私は感じ取った。





だとしてもお前には負けない……!!!







逃げる方向だけはずれないように必死でただひたすらに進んでいく!





これほど命懸けで機関銃を撃ったことなんて今までなかったわ……!!


動きながら撃つのにこれほどの体力が要るだなんて……。





「もう……諦めてよ……!!」



男の荒い息はまだ背後から聞こえてくる!





「ヤダ……アキ……ラメ、ナイ……!!」




どうして……そこまで、しつこいのよ……!?



とにかくもう息が苦しい……!





助けて……!




もう無理だわ……。




ヤムチャ、シンタロー、よしだくん、くじらん、エリス、チッダールタ……。



フジモンと、キヌタニは……役に立たないわね。




どれだけ進んでも見慣れた光景は見えてこない……。




寒くて手足がかじかんできたわ……。




もう限界で何だか視界がぼやけてきた……。





ここで……終わりなのかしら。






「ニゲル……オソイ……!ン……??」




……私の横を何かが駆け抜けたような気がした。








「ナンダ!?……ウガッ!?!?……ガ……ガッ!?!?」



チラッと後ろを振り向くと、男が仰向けになってひっくり返っていた。






「あれ?wwもしかして俺たち、何か蹴飛ばしちゃった?wwタッキー、一体何に当たったんだ?ww」




聞き覚えのある声……これって!!




「おっと、ミーシャがいるじゃん!wwお前こんな所まで来てたの!?wもしかしてタッキーに連れて来られたとか?www」




シンタロー!……とさっきの馬!?



一体どういうことなのよ!?!?




それに……。




「シンタロー!!女の子!女の子が馬に乗ってなかった!?」



「ああ、くーちゃんのことか?w安心しろよ、フジモンが怪我の手当てをしてヤムチャがちゃんと接待してくれてるぞwww」




タッキー?





くーちゃん???






全然話が見えないんだけどっ……!!





「オマエラ……ユルサン!ゼッタイ!!ゼッタイ、ユルサン!!!」




そんな話をしてたら、男は殺意を剥き出しにした目付きで私たちを睨んできた!




「あっ!wwwもしかして俺たちこの人を跳ね飛ばしたのか!?wwどうもすみませんでした!wって、何でミーシャと一緒に居るんだ?もしかして知り合いとか?www」




「こんな汚ならしいおっさんが知り合いなわけないでしょ!!て言うかそいつは……!!!」


「オマエ、コロスー!!!」





男は馬に乗っているシンタロー目掛けて襲いかかってきた!!



「うえっ!?なな、何だぁ!?!?www」




シンタローはその衝撃で馬の上から転げ落ちて、男はシンタローの喉笛に噛みつこうとしてくる!!







「隙ありー!!」



 私は男の首を目掛けてありったけの弾をぶちまけようとした!!

短い銃声が私と揉み合いになっている二人の間に響く。







「うぎゃっ!?!?!?」





 でも残っていた弾は一発だけ、しかもその弾はとっさに動いた男の盾にされたシンタローの肩を直撃した!!




「オレ、オマエ、ミテル!!ナメルナ!!!」



「ぐっ……なら、これは見えてるか?ww」



 シンタローはズボンのポケットに隠し持っていたらしいボーニングナイフを取り出して、男の腹に突き刺した!!




「ウギャアアッ!?グォ……!」



男はシンタローから離れてうずくまり、ガタガタと体を震わせている。



「シンタロー!!ごめんなさい……。」



「そ、そんなことよりもだ!こいつは何なんだ!?www」




シンタローは手強かった野生人を珍しく驚いた目で見ている。



でもいつも通り笑顔だからこんな状況なのに何だか安心してしまうの。








「オレ、シナ……ナイ、オマエラ、シヌ……!!」



 ちょっと……冗談はよしなさいよ!

男はまた起き上がって私たちに近づいてくる!!




「おいおい……あいつはゾンビなの?wwと、とりあえず馬に乗れ!森に戻るぞ!!ww」




「わ、分かった!!」




私たちは慌てて馬に飛び乗った。




「よーしタッキー!!森へ向けてレッツゴーだ!!ww」




手綱を掴んだ私の後ろでシンタローが元気よく叫ぶと、馬は密林の中を走り抜け始めた!








「……はあーー、突然襲いかかられた時はマジで驚いたぜwww」



シンタローは安堵の溜め息をつく。





「それで……色々聞きたいことはあるんだけど、どうして私のいる場所が分かったのよ?」


「ああ、別に分かってた訳じゃないぞwこのタッキーが俺をミーシャの居た場所まで連れてってくれたんだwww」



「タッキーってこの馬のこと、で合ってる??」


「そうだぞwくーちゃんを乗せて森に来たと思ったら俺に『一緒に来い』ってテレパシー?みたいな感じで語りかけてきてなwってか、それすら知らなかったのか?ww」






シンタローは私のことバカにしたように言うけど……。





「仕方ないじゃない!そんなこと聞いてる場合じゃなかったの!本当にさっきまで殺されかけてたのよ、こっちは!!」



「確かにあのおっさん、かなりヤバそうなオーラが出てたもんなwwだったらくーちゃんの名前もまだ聞いてないわけだな?ww」




「くーちゃん……馬に乗ってた女の子?」


「察しがいいなwまーー、俺もあんまり話を聞かないままで森を出たからまだ詳しいことは全然知らないし、くーちゃんのことは本人から喋ってもらうとしてだ……俺の方からも聞きたいことがあるんだけどな!」





え……?



何だかいつもと口調が違うわ……。




もしかしてシンタロー……怒ってない?




ちょっと怖くて顔が見れないわ……。





「ミーシャ……何で勝手に森の外へ行ったんだ?どうして誰にも相談しなかった??」






シンタロー……それは……!


タッキーが『自分に乗れ』って言ってるんだと本能的に感じて……。





……ううん、反論なんてしない。




「ごめんなさい……確かに自分勝手すぎたわ……。ちょっと先走っちゃった……。」



「一つのことに集中すると周りが見えなくなるのはお前の悪い癖だぞ?……みんな心配し……いや、そんなに心配してなかったなwww」





そうね、私の悪い癖……は???




「ちょっと待って?心配してない???」


「まあ、ミーシャがそう簡単に殺られたりするなんて考えられないしなwwみんなお前を信用してるんだよw」




「信用……いい響きだわ。」




私もヤムチャやシンタローのこと、信じてるわよ。



私がピンチになったら助けに来てくれるって分かってるから……。





「でも正直、俺からしたらミーシャは猪突猛進すぎて危なっかしいような気もするなwww」


「ちょとつ……?なんですって?」



「あっ!!……ああ、知らないなら別に分からなくてもいいぞwww」




もう何よそれ!




すっきりしないわね……。





「それからあのおっさん、一体何者なんだ?wミーシャの知り合いじゃないのか……。」



「むしろどうして知り合いだと思ったのかが聞きたいところだけど……私が見たのはくーちゃんがあいつに襲われそうになっていたところだけ、一体どこから来たのか、何者なのか、さっぱりよ!!」



「それにしても随分と恐ろしい身のこなしだったよなwヤムチャ並みじゃないのか?」




「全くよ……明らかに発砲してから私の弾を避けてたし……まさか機関銃を鈍器オンリーとして使う日が来るとはね……。」


「えっ!?w機関銃の弾を発砲後に避ける?www本当にヤムチャみたいだなww」





シンタローは笑ってるけど笑い事じゃないわよ!!!




「さすがにあいつももう息絶えた頃じゃないかしら……て言うかそうじゃなきゃまた追い付かれたりして……いや、考えたくもないわ!」



「まあ、生きててもさすがに撒けただろw今は森に帰って少し休もうぜ……正直休んでる場合じゃなさそうなんだけどなw」





休んでる場合じゃない?



どういうことかしら?









そんな話をしてからしばらくすると突然パッと視界が開けた。




 左側には駄菓子屋、右側の少し離れたところには廃寺とエリスの家……。

見慣れたいつもの風景よ……気づけば雨はもう止んでいた。





100エーカーの森に、戻ってきたんだわ……。






「おかえり、ミーシャ。」




後ろからシンタローがそう告げた。







「うん……ただいま。」





私たちはタッキーから降りた。










「何か今、馬の足音が聞こえたような気がしたんだが……?」


「本当かい!?もしかしてシンタロー君が帰ってきたのかな?」




駄菓子屋から声がして、人が出てきた。






「シンタロー……と、ミーシャ!!……無事だったんだな!!本当によかった……おかえり!」




「よしだくん……ただいま!!」





あれ……?



前がよく見えない……。




視界が滲んで……。





そうか、私……泣いてるんだ。







安心して気が緩んじゃった……。







「ミーシャ……俺は、何も見ていないぞ。お前が今ここで何をしようとも、俺は見てないし聞いてないからな。」





よしだくん……!!気なんて遣わないでよ!




そんなことされたらっ……!!






「ほら、ミーシャw俺は忘れん坊だから今お前が何をしてもすぐに忘れちゃうぞーwww……我慢するなよ、話なんて聞かなくてもミーシャが命賭けでくーちゃんを守ったことくらい分かってるぞ?」





シンタローまでっ……!!








はぁ……分かったわよ、もう我慢しないもん……。









「怖かった……怖かったっ!……あいつに弾を避けられ続けて……勝てないって……殺されちゃうかもって思ったのっ……!!捕まりたくないって……死にたくないって……シンタロー……助けに来てくれて……ありがとっ……うっ……うわああああああんっ!!!!」





私はシンタローの胸に顔を引っ付けて服に涙をこれでもかと染み込ませる。




「お、おお??……よ、よく頑張ったなミーシャ!w」





シンタローの顔が見れないけど……見なくてもこれだけは分かる。








こっちは死ぬかもしれないほど大変だったのに照れてんじゃないわよ……バカぁっ!!!




 そして私は何度洗濯してもシンタローの服がもう着れなくなるんじゃないかってほどに、涙と鼻水を染み込ませ続けた……。

 密林にはこんな恐ろしい野生人が住んでいるんですね……。

読者の皆さんも冒険に行かれる際はお気をつけて……!!


 焼肉弁当を持っていくと野生人捕りの罠として使えるかもしれません。

草食動物も肉を与えれば平気で食べるそうなので人間なら間違いなく釣られるでしょう!(安直)



 これでミーシャの家出騒動は解決となりました。

家出から帰ってくる時は、どのような顔をして何て言えばいいのか分からないですよね……。


 いつも通りでいることが周りも一番周りも安心するのではないでしょうか?

その周りの人たちに安心してほしいかは別問題ですが……。



 さて、次回はある意味で衝撃的な内容となっております……。

覚悟を決めてから読んでください……!!

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