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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第3章 闇鍋注意報!!!!
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3-7 住人たちの生活調査 後編

 駄菓子屋でキヌタニの見張りをしていたフジモン、そこで直面したのは森の住人たちの崩壊しきった食習慣であった……。


 毎日のように駄菓子屋で御飯代わりにアイスを食べる彼らを見たフジモンは我慢ならずキヌ……店主と共に商品のバリエーションを改良しようと試みた。


 だが、次々と明らかになる店主の経営センスの無さに彼は呆れかえるばかりであった……。

こんな調子で彼は住人たちの食生活を改善できるのか?



 とりあえず、寝ながら食べるのだけは止めた方がいいです。

本当に消化に悪いし、起きた時に喉が痛くなりますから。


 読者の皆さんもお昼にアイスを食べますか?

暑い時にはおやつではなくお昼に食べるのが意外とお勧めです。


 世の中の人たちはちゃんとした食事をしている中で私はアイスを……!

これほどの背徳感もなかなかないのですよ!!

14:30



 僕もお腹が減ったし何か食べるとしようかな?

床に落ちてる中から食べられそうな売り物を探してみよう。





「おっ、モンブランがあるじゃないか!ちなみに値段は……?」



パッケージには手書きで『540円』と書かれている。






あれ……?



僕はドイツで生活したことなんてないから今まで違和感を感じなかったけどさ……、




「円って……ドイツの通貨じゃないよね……?そりゃ、みんな払ってくれないわけだよ。どうしてユーロにしないんだい?」



そう言う僕も円の持ち合わせなんてないさ。




……まあ、ユーロもないんだけどね。




だとしてもここの店主はちょっと頭が悪すぎると思わないかい!?




「駄菓子屋は昔から日本円で取引してたから……。それでも昔は……みんなお金を払ってくれてたんだよ……。でも今は、誰もお金を持ってなくて……。」




その頭の悪い店主が質問に答える。




「今は?それはどういうことなんだい??」




「そんなの……部外者には言わないよ。」




部外者……確かに部外者なんだけれども……。





また謎が増えてしまったね。



 なぜ駄菓子屋ではユーロを使ってこなかったのか。

そしてその理由を部外者には教えてくれないわけは……?




 考えてもすぐに答えが出るものでもなさそうだね。

むしろ今はどんなことでも情報を聞き出す方が先かな。




 って、この言い方だと何かスパイみたいじゃないか……。

みんなのことをもっとよく知るって意味だよ??





「そういえば店主って本来はどこに住んでるんだい?この森には君の家がないような気がするけど……。」




「どこって……ここだけど?」






えっ??どういうことだい??



店の隅っこの床にでも寝ているとでも???




「まあ確かに駄菓子屋には屋根はあ……いや、飛ばされて無くなってしまったのかい。もうこれじゃあ建物の外と何も変わらないじゃあないか?」




「そんなこと言われたって……ここには元々、駄菓子屋とは別に僕の生活スペースがあったんだよ?……店の少し奥にある引き戸、開けてごらん……。」



 引き戸?ああ、確かにボロボロの引き戸があるね。

僕はその引き戸を開けてみた。






…………?







ここは……何だい??






 床は確かに駄菓子屋の物と同じだ。

そして屋根もこの前飛ばされてしまったと聞いているからそれは分かるんだ。




 だけど……そもそもここには壁すらほとんどないから外から丸見えじゃないか!

他にある物と言えば、どういうわけか真っ二つにされたちゃぶ台と八つ裂きになって壊れた冷蔵庫だけ……。





こんな屋外同然の場所で彼は生活していたとでも……?




「えっと……生活スペースってここのことじゃないよね?」




「いや、そこだよ……。でも屋根だってちゃんとあったし、フジモンが来る三日前までは壁と家具だってあったんだよ?」





僕が来る三日前まで?




一体何があったって言うんだい?





「それにしては随分と酷く壊されたじゃないか。ミサイルでもぶちこまれたのかい?」



「えっと……どうして分かったの……?そうだよ……誰にやられたのかよく分からなかったけど、ロケットランチャーがそこに向かって発射されてこの様だよ……。」


(↑意味が分からんって人は2-6話をチェックするといいらしいよ!)




え。





本当に???






我が家にロケットランチャーを撃ち込まれるなんてあまりに嫌われすぎじゃないかい!?





「かなり衝撃的な事実だったけど……謎が一つ解けてすっきりしたよ、ああ、お腹が減ったね!」



さて、このモンブランをタダで頂くとしようか!




「今の話を聞いて、よくそんなことが言えるね……。どうして僕ばっかりこんな目に……。」





 店主は悲しそうに下を向いているけど……このモンブラン、随分と美味しいじゃないか、そんなことはどうでも良くなってしまったよ!!







15:30




ヤムチャ君とよしだくんが来た時にはまた殺人事件でも起きたのかと思ったよ。



「えっ!?ふふ、二人とも!?ち、血まみれじゃないか!?い、一体誰に殺られたんだ?いや、殺った方かい!?」




「おいおいフジモン、まずは落ち着くんだ。そして聞いて驚け、今晩はぼたん鍋ができるぞ!」


「実はな、畑を荒らしてた猪どもを一網打尽にすることに成功したんだ!そんでその猪の下処理だけ先に集会所でやっちまったからこんなに血だらけってだけだぞ!!」



 そ、それって報告会で言っていた害獣のことかな?

じゃあ害獣退治は上手くいったのかい?



「そ、そうか……誰かが殺されたとかじゃないんだね、よかった……。それで、その猪はどのくらい捕まえたんだい?」




「下処理をしながら数えたら28匹だったぞ。だがな……一匹だけ俺も見たことねえような大物でな!全員でたらふく食っても大量に余りそうだぞ!!」


「残った分はいつも干し肉にするんだ。非常食として結構優秀だったりするからな。」




 28匹!?そりゃ大豊作だね!!

それにしてもヤムチャ君が見たことないような大物ってどんなのだろう……?



二人はアイスとジュースを手に取っておやつタイムに入る。




って、君たちもアイスかい!?




……と、もうそれは一旦置いといて。




「ぼたん鍋か……えっと、ぼたん鍋って何のことだい?」



さっきよしだくんが『ぼたん鍋』って言ってたけどそんな料理は初耳さ。



「えっ、フジモン知らないの……?ぼたん鍋はこの森でずっと食べられてる、猪の肉がたくさん入った鍋のことだよ……?」



店主が急に口を挟んできた。






 いや、この森の伝統食のことなんて僕が知ってるわけないじゃないか……。

少しは考えてから物を言ってくれないかな……?




「そうか、ぼたん鍋って一般的な料理じゃねえのか?そりゃすまんかったな。だがメチャクチャ旨いから期待しててくれよ?」



「俺もこの森に来るまでは食べたことがなかったな。猪の肉を鍋に入れてしまうなんて考え付かなかったけども食べてみたら案外絶品だからな!」



二人とも随分テンションが上がってるから本当に美味しいんだろうね!




「そういえば、そのぼたん鍋って他に何の具が入ってるんだい?」


「鍋って聞くと他にキノコとか野菜とか入っているものだと思うだろ?俺もそう思ってたんだが……。」




「ぼたん鍋は昔から肉オンリーなんだ。その時は肉だけで腹を一杯にしようってことで他の具材は使わねえんだ。」




「ぼたん鍋をやると、すぐに胸焼けがするんだよね……。」




肉だけ……?




鍋なのに肉だけなんて……、









やっぱり栄養が偏りすぎだよ!!




これは……僕のテコ入れが必要なようだね!








「今日一日、駄菓子屋の様子を見ていて思ったよ、君たち!食生活が酷すぎる!!」



僕は少し口調を強くしてビシッと目の前を指差した。





「そこで今夜の鍋は僕に作らせてくれないか??」




そこまで言ってメガネをずり上げると駄菓子屋には沈黙が流れた。







「あーー……フジモン?急にどうした、ミーシャに憧れて料理でもしたくなったか?」


「そもそも、フジモンって料理できるのか?」





「いや、料理はしたことがないね!!」


「「却下だーー!!!」」



……あれ?今二人とも却下って言った気がするんだけど……。





「いいかフジモン!そんな軽々しく料理をしようとか言うんじゃねえ!!料理を失敗するとだな、まず罪悪感に駆られる!!美味しくなるはずだった食材を悲惨なことにしてしまったっていう罪悪感だ!!続いてそのひでえ味の料理を食わなきゃならねえ苦痛に襲われる!そんで食った後もやべえ後味に苦しんで、悲しい気持ちで家に帰って、寝るまでその後味が残るんだ!」





 ヤムチャ君!?いきなりどうしたんだい!

彼は僕の肩をぐっと掴んで一息でそこまで言い切った。



「ヤムチャはさすがに言い過ぎだが………経験がないなら俺もフジモンが料理をすることには反対だ。確かに失敗したときの罪悪感はしんどいものがある。」





よしだくんまで……!?



一体二人とも過去に何があったって言うんだい!?



「ヤムチャやよしだくんが作ったものなんて……もう味を思い出すだけでも、嫌になるよ……。」



店主までそんなことを言い出すし……。



それほど二人の料理の腕前は酷いのだろうか……。





「んまあ、料理はミーシャに任せときゃ旨いもんが食えるってもんだ……昔はそんなこともなかったけどよ……。」



「ミーシャの料理なら不味いことなんてなかったと思うけどな?俺が来る前は酷かったのか?」


「いや、三年くらい前まではまだあいつも料理は大して上手じゃなかったぞ……?」


「そうだったか??ヤムチャは舌がグルメすぎるんじゃないか??」


「いや、よしだくんがバカ舌なだけだと思うがな……。」






 二人の間には何か思い違いがあるようだね……。

何にせよあれだけ言われたら料理するのは止めた方が良さそうだ……。






「そういやフジモン、キヌタニはちゃんと大人しくしてたか?」


「ああ、ずっと店のあそこ、隅っこでしゃがみこんでいたよ。」



「そうか、何もなくてよかったぜ。じゃあキヌタニ、駄菓子屋はもう店じまいにしろ。営業時間中にずっと見張りで人を割くのはあまりに非効率だからな。ちゃんと朝までに仕出しをしておけよ!フジモンは俺たちと一緒に猪の解体を手伝ってくれや。料理をしたことがなくてもそのくらいなら俺たちが教えれば出来るはずだからな。」



「了解、ぼたん鍋楽しみだね!」





本当に楽しみさ!



 あ、そういえば店主の名前……キヌタニ君だったね。

名前が出てようやく思い出したよ……。





「やっぱり僕は……駄菓子屋に繋がれたままなの……?」



確かにキヌタニ君は駄菓子屋から出られないのか……まあそんなことは気にしなくていいね!





さあ、日記を書くのは終わり!



 動物の解剖、もとい解体なら名医の腕が鳴るね!

ちょっと二人を驚かしてくるよ!







           ーーscene3  フジモンの駄菓子屋日記ーー

                                 END

 海外では日本円など役に立ちません。

しっかりと現地の通貨を持ち歩きましょう!


 ですがもしキヌタニの駄菓子屋に行く際は日本円を持ち歩いた方が良いようです。

……いや、お代を払わなくていいのでやっぱり関係ありませんね。



 肉だけの鍋は果たしてそれを『鍋』と呼んでいいものなのでしょうか……?

森の住人たちがそう呼んでいるのならいいのかもしれませんが。


 結局はただの茹でた肉じゃないですか。

だったら『茹でた猪肉』でいいじゃないですか!!(ダサそう)



結局フジモンはキヌタニの名前を覚えないまま……。


はいここで問題です!!


 このscene3でフジモンは何回キヌタニの名前を間違えたor分からなかったというシーンがあったでしょうか??


 答えは……私も知りません。

キヌタニには興味ないので。



 次回はエリスが主役です!

幽閉された彼女の生活はどのようなものなのか……?

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