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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第3章 闇鍋注意報!!!!
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3-5 フジモンの日記

ーー前回のあらすじーー


 何の生産性もない日々を過ごしていたスタークを訪ねてきたのは、彼の前で遂に姿を見せたチッダールタであった。


 彼はお見舞いだと言って彼にバリバリ君を渡して去ろうとしたが、スタークはとても低い怒りの沸点を越えてしまったらしく、チッダールタを追いかけ始めた。


 フジモンとキヌタニのいる駄菓子屋、続いてよしだくんとヤムチャのいる集会所に立ち寄り、再び廃寺に戻って来たチッダールタは彼にこう告げた。


 『私はお前の保護者』だと……その意味を飲み込めないスタークは底知れぬ自己嫌悪に落ちて行ったのであった……。



 自分のことが嫌な時……それはもう普段のスタークのように『天上天下唯我独尊』の意識を持つしかないでしょう。

そのことで他人からどう見られるかは別問題ですが……。


 作者はいつでも『天上天下唯我独尊』なので、スタークよりもメンタルが強いと思ってます。

だから友達がいないのかあwww


 読者の皆さんはそんなスタイルを貫けますか?

その覚悟が無いとスタークにはなれませんよ??

9/2



今日は今までの人生の中で間違いなく一番衝撃的な日だった。




 脱出ポットに異常が起きた時はもうダメなんだろうなと思った。

でもまだ死にたくない、そう願った……そして思い切って外に飛び出したんだ!



 たどり着く場所は太平洋のど真ん中か、それともエベレストの頂上か……。

そんな場所に降り立ったらまず生きて帰れなかっただろう。



 でも見えてきたのは巨大な密林だった……。

心配だったのは集落らしきものがほぼ見当たらなかったこと……。



 僕は唯一視界に入った集落目掛けて着陸を試みた!

僕は助かるんだと……そう思った。



 そしたらどうしたことか?

助かりそうだと安堵したのもつかの間、地上から銃撃に遭ったじゃないか!



まさかあんな若い女の子がこっちに機関銃をぶっ放してくるなんてね……。

 


 でも不時着した場所には集落があって、しかもここの住人にはドイツ語も通じた。

とてもフレンドリーな人たちだ!



最初こそ突然のことで彼らも動揺していたようだが、事情を説明すると暖かく接してくれた。



夜なんて住人総出で歓迎会まで開いてくれたんだ!!


(ちょっとハチャメチャだったけどね……。)



一時は命の危機に瀕した僕だけど、こんな顛末を迎えるなんてとても運が良いと思ったね。





 そして……まさか今までの医者人生の中で一番の大手術をすることになったなんてね。

何としても彼を救いたい、その気持ちが神様にも通じたのかもしれない。



 とても大変な手術だったはずなのにたった二時間で成功に終わってしまったんだ!!

本来なら最新の設備があっても三日三晩かかっても終わらないような大手術だったのに!



 周りには自分が名医だと言い張って……いや、事実なんだけどさ!

でも、それだけ豪語しててもスターク君は救えないって心のどこかでは思ってた。




あれは……まさしく奇跡だった!!!




ここでの生活は不便そうで心配なこともたくさんあるけど何だか楽しみさ!!









ん?




はっ!!!




や、やや、やあ君たち!!




僕の名前はフジモン、29才独身、銀河一の名医さ!



 ……いや、銀河一は言い過ぎかな。

世界一に訂正しておくよ!



 今は自分が書いた日記を読み返していたところさ!

ここ一週間の出来事をまとめてあるから君たちも読むかい?






9/3



朝から不幸な事件が起きてしまった……。




 この村に住んでいる一人のキヌタニ君が殺害されてしまっていた……。

いや、正確には『未来から来た』と自分で言っていたキヌタニ君らしいんだけど……。


僕は医者として彼の死因を詳しく調べる任務をヤムチャ君から与えられた。




 午後からはこの森の復興をみんなで始めて、何やら洞窟のような場所から荷物を運び出していたけれど、正直みんなあまり集中できていないようだった……。

 


 それからこの時代のキヌタニ君はその事件を捜査するのに邪魔だからと、ドアのないトイレの中に押し込まれ、入り口に角材を打ち付けられて監禁されていたんだけど大丈夫かな……?






9/4



昨日の出来事を引きずっているのかみんなやはり表情がちょっと暗い。



 僕はよしだくんと村の中に生えていた低木を植え直す作業をしていたけど、彼もまた口数が一昨日よりも少なかった気がする。



 晩御飯の時にはミーシャ君が『全然手がかりが掴めないわ……。』、チッダールタは『正直これはお手上げな気がするな。』とぼやいていた。



 僕の方も空いてる時間にキヌタニ君の検死を進めているが、これと言って犯人が特定できそうな手がかりまでは見つかりそうにないな……。






9/5



村のリーダーであるヤムチャ君はこのままじゃいけないと思ったらしい。



「お前ら!!ショックな出来事があったのは分かる!!だがいつまでもくよくよしてるんじゃねえ!!こんなんじゃ天国のキヌタニにだって笑われちまうだろ?いつもの俺たちみたいに元気良く行こうや!!」



ヤムチャがみんなに喝を入れたんだ。




 そしたらみんな……すぐさまエネルギーに満ちた表情に変わっていったよ!

よしだくんも植林作業の時に『復興、やってやるさ!夜はもうすぐ完成しそうなアレを作りきってしまおうかな!!』なんて吠えてたよ!



 晩御飯を食べる時のみんなのテンションも、僕がここに来た日のようにアゲアゲ……?とでも若者は言うのかい?



 彼はこの村に欠かせない存在……そう考えると尊敬せずにはいられなかったさ、僕には真似できないなあ……。






9/6



 昨日までと同じように植林作業をよしだくんと始めようとしたら頭に大きなたんこぶをつけ、タキシードでもメイド服でもないごくごく普通の服を着たシンタロー君がやって来たんだ。



 何やら魂……体の中身?が今までエリス君と入れ替わっていたみたいけど、それが無事に元に戻って洞窟から出ることを許されたらしい。



 それで今日からシンタロー君も復興作業をするそうなんだが、まずはよしだくんの家を直そうということで彼と話し合いがしたかったようだ。



この村が復興をしなきゃいけなくなったのも僕が乗っていた脱出ポットが降ってきたせいだ……。



 なら僕も負けてられないじゃないか!!

今日はいつもより倍の低木を植えたよ!!






9/7



 ……なんて昨日調子に乗っていたら腰の調子が悪くなってしまった。

もうここ何日かずっと同じ作業をしているから仕方ないのかもしれないね。

よしだくんもそこまでではないけど、少し腰がしんどくなってきたみたいだ。




 晩御飯の後、ヤムチャ君にそのことを言ったら『何だよフジモン、もう年か?ガハハハハ!!!』なんてバカにしながら腰に湿布を貼ってくれた。



……やれやれ、若いっていいなあ。






9/8



今日も腰痛が酷くて少し植林作業が疎かになっちゃったけど体が動かない分、頭は活性化するね。





ふっと疑問が浮かんだんだ。


 ここの村は他の集落との交流ってあるのかな?

周りを深い森で囲まれているから他の集落まで移動するのは大変そうだけど……。




それだけじゃない。



 ここに住んでいるのはみんな僕より一回り年が下の人間だけ……。

彼らの親とかはいないのだろうか?



 もしかして彼らは家出でもしてきたのか……いや、だとしてもこんな深い森の奥までどうやって来たのか納得いく説明が出来ない。





 全く分からない……だけどそれってこれから謎を解明することが出来るかもしれないってことだから、何だかワクワクするよ!








 さて、僕がこの村……いや、ここの住人たちは100エーカーの森と呼んでるみたいだけど……ここに不時着してからもう一週間が経った。



 今はみんなで晩御飯を食べる集会所に居候しているんだ。

元々はエリス君が住んでいたみたいだけど、しばらくは洞窟から帰ってこないらしいので気にせず泊まってくれって言われているよ。




じゃあ今日もまた日記をつけていこうかな。









 ここにまつわる謎は相変わらず分からないことだらけ、でもここの住人たちがどういう人たちなのかは少しずつ分かってきた。






 面白い人たちなんだけど、とりあえずみんな……すぐ暴力沙汰に持っていくよね。

それはある意味エネルギッシュなことの裏返しなんだろうけど……。



そして並外れた運動神経……僕が今までいた世界の常識が全く通用しないなんて驚きさ!



他にも謎の多いこの森だけど、僕の中が一番不思議だと思っているのはこの駄菓子屋の存在だ。





 一体いつからあるのかとみんなに尋ねれば『自分たちが生まれるずっと前から』、ここの売り物はどこから仕入れてるのと聞けば『そんなこと自分たちは知らない、てかどうでもいい!』



ここの出身である彼らですらそのあたりのことは全然知らないみたいなんだ。



………仕方がないから店主に聞いてみよう。





「……そんなの誰にも教えたことないよ。絶対に秘密だからね……。」



そんな弱々しい声が駄菓子屋の隅からひっそりと聞こえてきた。



この声の主は駄菓子屋の店主……あれ?名前、なんだっけ?




「ごめん、君の名前ってなんだっけ?」



「名前って……キヌタニだよ?フジモン……今のでもうこの質問、今日だけで三回目なんだけど、そろそろ覚えて欲しいって言うか……そこまで僕に関心がないの?」




あっ、そういえば自分で書いた日記にもキヌタニ君の名前を書いていたっけ……。



「いやいや、とんでもない!!この駄菓子屋にまつわる謎には興味津々さ!!!……まあ、どうでもいいことはすぐ忘れちゃったりする性分なんだけどね!」




「え?じゃあ……やっぱり僕のことはどうでもいいんじゃん……。」


「ど、どうしたんだい、とてもネガティブな感じだけど……?キヌタニ君は随分と暗いなあ、もっと前を向いて生きたらどうだい!」




 言い方は悪いんだけど……怪物揃いなこの森にも、普通の人間より運動神経も知能も圧倒的にない人物だって存在するものだね。


キヌタニ君は些細なことでもすぐに臆してしまうし、みんなからの扱いもすごく雑だ。





 でもそんな彼の経営する駄菓子屋によって彼らの生活は支えられてるんじゃないかって、駄菓子屋が営業している時の話をちょっとだけみんなから聞いてるだけでもそんな気がするんだ。



それってどこか矛盾していて面白い関係だよね!!




 ちなみにそのキヌタニ君はこの一週間、ずっとトイレに閉じ込められて食事も出来ず、水も飲ませてもらえなかったらしいのでやむを得ずトイレに溜められていた水を無理矢理飲んで生き永らえていたそうだ。



 僕がこの森に来た翌日の記憶だと、彼は元々痩せていた気がするけど、しばらく何も食べていなかったせいで病気なのかと疑うほどガリガリになっていたのでさっき軽く診察してあげたんだ。



 そしたら栄養面では大きな問題がなさそうだったけども、身体中が傷とアザだらけで……事情を聞いたらエリス君に暴力を振るわれ続けていたそうじゃないか……。




 痴情のもつれ……と言うやつなのだろうか?

キヌタニ君とエリス君じゃどうにも釣り合わないような気がするけど……。





 それから気になることと言えば、彼は今日トイレの中から解放されたかと思ったら、ヤムチャ君の手によって鎖を巻かれて壁に繋がれてしまうじゃないか!

どうしてなのか聞いてもそこは教えてくれないし……。




 まあ、あんまりデリケートな個人の事情は医者であっても聞くべきじゃないだろうから、傷の手当てだけをしてこれ以上は首を突っ込まないことにしたよ。

 災害時の水の確保はトイレで……と聞いたことがある人もいるかもしれません。

誤解しないで欲しいのですがトイレの「タンク」には綺麗な水があるということです!!

最近はタンクレストイレも多いので確保できないことも多いのですが……。


間違ってもキヌタニのように便器の水は飲まないでください!!!!!



 ……医者と言う大義名分を振りかざして何でもかんでも聞くことが許されるわけもありません。

そもそも『銀河一の○○』などと自称する人間を信用してはいけませんよ。


 宇宙一の芸術家と名乗っているシンタローも同罪です!!

彼の作った家具なんてどうせポンコツだ!!


 ほら、このベッドなんてダイブしたらすぐに壊れそうだぞ!

ピョーン!!あーー!すごく気持ちが良くて……zzzzz



zzzzzz……(では次回まで寝てますので誰か投稿お願いします!)

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