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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第3章 闇鍋注意報!!!!
74/162

3-4 追いかけっこ

ーー前回のあらすじーー


 よしだくんの作った害獣除けのトラップは効果絶大……のように思えた。

だがしかし、猪たちを率いるヌシには全く効果が無かった!!


 そこでヤムチャは自らの手で害獣を始末するべくヌシと決戦を繰り広げた……!

その勝負の決まり手は……よしだくんの開発した最終兵器だった。


 決戦中に乱入して来たシンタローの背中に背負われていたもの……それはよしだくんの作った食事に使えるドライヤーであった。


 開発経緯を聞いたヤムチャは改めてよしだくんの真面目さに感心して……うっかり彼のことを『弟』と言いかけたのだ。


そのことによしだくんはもうとっくに気がついていた。



ドライヤーの冷風って使いますか?


 何やら熱風で髪を乾かした後に冷風で冷ましてあげると良いらしいのですが、作者はドライヤーを使わないので本当に要らない知識ですwww


 『ちゃんと乾かしなよ』って時々言われますが、ドライヤーを使うくらいなら髪をしっかり短くして、ドライヤーが不要な状態にする方を私は採用しています。


短髪とすね毛を剃った時の解放感はクセになるので、男性の読者諸君にはお勧めしておきます!

あ?




おい、何だよこれ??



まさか……ナレーションをしろとかほざくつもりはねえよな!?





この俺が誰だか分かってて言ってるのか?



スターク様だぞ、スターク様!!!








「調子はどうだ、もうほぼ包帯も取れて後は抜糸だけか。とんでもない自己治癒力だな、これだからスタークは。」




 はあ!?こんなイラついてる時に話しかけてくんじゃねえよ!

しかもこのボケてるような声、さすがの俺には正体が一瞬で分かっちまったがな!




「おい!!てめえはいい加減に俺様に姿を見せやが……れ。」






あのなあ……フジモンって言ったか?




 あっっっっの、デブ医者!

俺にどんなひでえ治療しやがったんだ!!



おかげでイルミネーション付きのギラギラな服を着たヨボヨボなジジイの幻覚が見えやがるぞ!?





「どうした?……ああ、そうか。お前が私の姿を見るのは初めてだったな。」



「はあ!?幻覚が喋って……!?ふざけんな!幻覚の癖に生意気なんだよ!!」




癪だが俺はわざわざボロボロの体で立ち上がって、その幻覚に掴みかかってやった。



「おっと、そんな簡単に間合いを詰めさせてもらえると思うなよ?それから私は幻覚なんかではない、ただのおじいちゃんだぞ。」



おい!確かに今の間合いなら胸ぐらに手が届いたはずなんだよ!!



だがどうだ!?奴の姿は一瞬で3mも後ろに動いてるじゃねえか!?!?




「こんな素早い動き出来るジジイがただのおじいちゃんだあ!?バカ言ってんじゃねえぞ!やっぱこれは幻覚だな!……おい!だから声だけじゃなくて姿を見せろっつてんだよ!!てめえのせいで幻覚まで見ちまったじゃねえか!!!!」




腹いせでそのジジイの幻覚に向かって、無様に転がってる小石をぶん投げてやった。



奴は……石を避けたと言うよりか、石が飛んできたらパッと消えちまった……!



と思いきや、俺の真後ろに……ああ!?




「甘いな、だから今までずっと言ってきただろう。そんな攻撃が当たらないことくらい学習しろ。」




何でこのクソジジイがいるんだよ!?



しかも俺様の高貴な背中に気安く触れてきやがった!!




おまけに次の瞬間……、




「ああああーーっ!?!?」





ぐっ……マジで痛え……、つか眩しっ!!!




 よく分かんねえけど……急に体が前に吹っ飛ばされて、廃寺の外まで勢いよく転がり出ちまったらしいな……何故この俺が……!?





「くおいっ……!!!や、病み上がりだぞ!……いや!!入院中だ、そんな病人に何しやがるっ……!!!いや、そもそも俺はスターク様だぞ……!!!!」




「バカを言うな、どうせもう見た目通りにほぼ全快してるんだろう?ああ、ちなみに私はお見舞いに来てやっただけだ。そこのバリバリ君でも食ってあと一日くらいは安静にしておけ、これだからスタークは。」



ああ……俺の右手に握られてる冷てえの……これが奴の言ってるバリバリ君……、




じゃねえだろー!!!






……おい、どういうことだ!?




あのジジイ……マジで幻覚じゃねえってのかよ!?!?





あーーークソが!


ここ三時間くらいで一番イライラしやがる!!



こりゃ奴が幻覚なのかそうじゃねえのか、確かめねえと気が済まねえな!!!




……バリバリガリガリ!!



 俺は光の速さでバリバリ君を食い尽くすと残ったハズレの棒を、俺に背を向けてフワフワとのんびり遠ざかる奴の心臓目掛けてぶん投げた!




……だが、あいつは振り返ることすらなく、ハズレの棒を綺麗に避けやがった!




「そんな殺気丸出しの攻撃が当たると思ってたわけではあるまいな?……だとしたらダチョウ以下の知能だが。」




ああーーーー!!!!!


あいつ……もう許さねえ!!



 こうなったら幻覚だろうとなんだろうとだ!あいつの両手両足をもぎ取るためなら、地獄の底まででも追い回してやらあ!!!




「待てやコラ!!俺がすぐそっちに行って酷い目に遭わせてやるよ!!動いたら殺すからな!!」



……って、あいつ!待てってっつてんだろ!!何で逃げんだよ!?!?



「殺すと言われてどうして止まると思ったのか、これだからスタークは。」







そんなことをほざく奴を追い回していたら駄菓子屋に逃げ込みやがったみてえだな。



へっ、バカ野郎!駄菓子屋は出入り口がそこしかねーんだよ!袋のネズミが!!!



 ……って、少し前にどっかのアホがあの建物の裏側に大穴ぶち開けてたな……所詮は森の住人、余計なことしやがってよ!!



だがとりあえず、俺は駄菓子屋の中に入ってあのジジイがいるかどうか確認してやった。





「チッダールタ、小腹でも減ったのかい?……って、スターク君!?まだ出歩いちゃダメじゃないか!!早く廃寺に戻って安静にしてるんだ!」



てて、てめえ!!フジモンじゃねえか!!



 昨日まではミーシャがここでよく分からねえことをしてたが、今日はてめえが店番みてえなことをやりやがって、医者の分際で調子乗ってんのか!?





「あっ……スターク……お前、アイス代800万……。」



 ……ってすぐ横を見れば、売り場の隅っこには腰を鎖まみれにされてしゃがみこんでる、気持ち悪い印象しか受けねえキヌタニも実はいたじゃねえか……。



そんな薄い存在感で店主だなんて笑わせるぜ!!



つか、どうして腰に鎖なんて巻かれてんだ?逃げないように、とかか?


まるでペットだな!!



「うるせえんだよ!躾のなってねえペットだな!!代わりに俺様がしつけてやる!ワンワン吠えてねえで黙ってお座りしてやがれ!!」



「ひいっ……!?ゆ、許して……!!」




ふん!相変わらず手応えのねえゴミだな!




武器も何も持ってねえのに、ちょっと脅したら頭抱えてその場で震えてやがる!!



いや、これは俺様のオーラが凄いってことだろうな!!





で……お次はてめえだ!



「おい、このデブ医者!!……いや、ヤブ医者!!……違う、デブヤブ医者!!お前、俺に何をしやがった!?おかげで変な幻覚が見えるようになっちまったじゃねえかよ!!今もあそこで穴空きラムネをピーピーさせて、イルミネーションをギラギラ光らせた自己顕示欲にまみれてる頭のおかしいジジイの姿が見えてんだ!!この責任、どう取ってくれるんだよ!?」



俺はデブヤブ医者の胸ぐらを掴みあげると、一息でそこまで言い切ってやった!




「ちょっ!そ、そんな乱暴な真似は止めるんだ……!!と、と言うかそもそも幻覚って何のことだい……!?君の言う、ラムネをピーピーさせているチッダールタなら確かに僕らの前に存在しているよ?ほら、あそこに……。」




「ああ!?!?あんなイルミネーションでギラギラな服なんざ着てるジジイ、現実に居てたまるかよ!!つかいつまで寝ぼけてんだ、そんなに眠いなら俺が永眠させてやろうか!?!?」



バカも休み休み言いやがれ!




それとも何だって言うんだ!


てめえも幻覚が見えてんのか!?




「ピーピー……フジモンも言っているだろう。私は実在するおじいちゃんだ。さて、ラムネも手に入ったことだし私はそろそろおいとまするとしよう。」




なっ!?あいつ、駄菓子屋から涼しい顔して出て行きやがった!!




「おい、待てよ!!……待ちやがれー!!」



俺はゴミカス医者のフジモンなんて放り出して奴の背中を全力で追いかけた。








あのジジイ、俺の追跡スピードでもなかなか捕まらねえ……!



グルグルと森の中を逃げ回って、今度は集会所に入りやがった!



だが残念だったな!!


集会所は本当に出入り口が一つしかねえ!



今度こそ袋のネズミだ!!





「おいクソジジイ!!!とっとと観念しやがれ!」



俺は勢いよく集会所のドアを開けてやった。






……だが、ドアの向こうにいたのは一人じゃなかった!!!





「珍しいじゃないか、こんな時間から集会所に来るなんて……?……っ!?スターク……お前どういうつもりだ?お前にここへ来る権利があると思ってるのか?」


「全くだぜ、この包丁で首から上を消し飛ばされたくなけりゃ、三秒以内に大人しく集会所から出ていきやがれ!!!」



何でヤムチャとよしだくんがここで猪の死骸相手に解剖ごっこなんてやってやがんだ?



あれだな、とうとうサイコパスの血が騒ぎ出したってとこか!!




「あ!?こっちだって来たくて来てる訳じゃねえんだよ!!!幻覚だから雑魚なてめえらは見えてねえようだが、それは俺の知ったことじゃねえんだ!さっさとそのクソジジイの身柄をこっちに引き渡……お前はバカかー!?」



 何であのジジイはいつの間にかエプロンして、『俺はずっとここに居たぞ』って顔で猪の解体ショーやってんだよ!!

イカれた真似も大概にしやがれ!!



それともあれか?


動物の死骸を見たら解剖せずにはいられない病気なのかよ!?




「んなこと知るか!死ねー!!」



 人の話を聞かねえヤムチャとか言う脳筋がこっちに間合いを詰めてきて、持っていた中華包丁を振りかざしてきやがった!



ふん!まさかこの俺にそんな攻撃が通用するなんて思っていねえだろうな?


こんなもん、俺にかかりゃ指一本で受け止められ……、




「ふぐうおおおおっ!!!???……があっ……!」



な、何だ……!?



 急に体が集会所の外まで吹っ飛ばされて……!?

つか、とにかく胸が痛えぞ!!!




「どうせ自分ならヤムチャの攻撃だって片手で受け止められるとでも思っていたんだろうな。だが実際はお前が肉片になっていただけだぞ、これだからスタークは。まあ、お前を突き飛ばすことくらい食いかけのラムネ一つで十分だな。」




何が片手だあ?


指一本だよ!


そもそも肉片になんかならねえしな!!



いや待て!食いかけのラムネ一つってどういう意味だ!?



 俺様の胸に白い粉みてえなのが付いてるけどよ!!

まさかてめえの口に入ってたラムネじゃねえだろうな!?




「結局お前が私を捕まえるのなんて5000兆年早いと言うことだ。せいぜい諦めることだな、これだからスタークは。」




あっ!どこ行きやがる!!



待てよおい!



よくも汚ねえ食いかけのラムネなんか投げつけてきやがったな!!




つか、何でエプロンしたまま逃げるんだよ!!




「まだ逃げる気かよ!往生際が悪いって言葉知ってるか!?大人しく降伏すりゃ一思いに殺ってやったのによ、もう容赦しねえからな!!この世に生まれたことを後悔させながら殺してやる!」




だが、あのラムネ……もしかして本当に幻覚じゃねえってのか!?


あんなジジイが実在するんなら、本当にこの世も終わりだな!!





「おいおい、何なんだありゃ……?どうしてスタークが仙人を追いかけてんだ?」


「さあな?まあ、相手はスタークだ。関わらない方がいいだろうな。」








くっ……しばらく体を動かせなかったせいで息が……すぐ切れちまう……!!



足も痛すぎてもう限界だぜ……どうなってんだ、この使えねえ足はよ……!!




「ハアハア……結局ここに戻ってくんのかよ!めんどくせえジジイだな!!」




絶対にここで捕まえてやる!


そんで両手両足だけじゃなく、五臓六腑まで全部引きちぎってやるぜ!!




「……おい!!これ以上俺から逃げようなんて……ハアハア……思うなよ!てめえは、俺一人によって、包囲されてんだよ……!」



「お前一人の包囲網からなんて目を瞑ってでも避けられるな、これだからスタークは。しかしだ、見た目通りに随分と体調も良くなっていたようじゃないか。大人しく寝てろなどとは言ってみたが、いい運動になっただろう?」




あ……?



それどういう意味だってんだよ!?




「てめえ、何がしてえんだよ?俺様にビビってる訳じゃねえようだな。……なのにずっと俺から逃げ続けてよ!」




「ふむ……確かに鈍いお前には分からないだろうな。私はお前の保護者のつもりだ。」





は……?



このジジイ、『保護者』の意味を分かって言ってやがるのか?




「おいジジイ……てめえ頭大丈夫か?まあ大丈夫じゃねえよな、どうせもうボケてんだろ。」


「確かに私は見た目相応に年は取っているが、ボケているわけではないぞ。まだまだ若い衆には負けてないさ。」



 いや、もうその台詞が年寄りくせえ!!

ボケてるやつの『ボケてない』ほど信用できねえものもこの世の中に中々ねえぞ!?




「だったら『保護者』ってどういう意味だ!説明しやがれ!!」





「全く……今日だって無理矢理にでもお前を外へ連れ出したのは気晴らしのためだぞ。少しは体を動かした方がいいかと思ってな。今までだって姿こそ見せなかったが、お前が間違ったことを言ったら横槍を入れて諭してたし、間違ったことをしようものなら躾をしていただろう?」




もしかして……あれのことじゃねえだろうな?



 暴言を吐きまくったり、火の海に投げ込まれたり……あんなの保護者のやることじゃねえよ!

ただの虐待じゃねえか!!!




「とにかく今日は疲れただろう、後はゆっくりと寝てるがいい。……普通の人間と同じように生きたいのなら普通の人間の生活を真似るところから始めろ。お前は普通の人間なんだ、そのくらい簡単なはずだ。」





は……?



一体てめえは何をほざいて……!




「あ、エプロンをしたままだったじゃないか、集会所へ返しに行かないとな。……ではさらばだ。」



「待て!まだ話は終わってね……いででっ!!」




身体中が悲鳴をあげてやがる……。あのデブヤブ医者が……この程度の治療しかできねえのか!



もうあのジジイを追いかけるほどの体力が俺には残ってねえみてえだ……。






…………。




……………………。




何だよ……………………。




何なんだよあのジジイは!!!




俺が普通の人間だ!?




てめえは俺のことを何も分かっちゃいねえ!!




何で俺が今こんな場所でこんな目に遭ってると思ってんだ!!!




俺は普通の人間じゃねえ!!!




全部そのせいなんだよ!!!




好きでこんな人間に生まれてきたわけでもねえ!




本当は普通の人間に生まれたかった!!




普通の人間じゃねえから普通の人間の生活なんて分からねえ!!




保護者なんて名乗るなら教えてくれ!!




俺はどうしたらいいんだ!?




どうしたら普通になれるんだよ……。







         ーーscene2  バケモノとおじいちゃんの鬼ごっこーー

                                   END

 チッダールタが着けていたエプロンはミーシャの物らしいです。

これがバレたらきっと怒られるでしょうね……。


 作者は料理する時もエプロンはしないです。

服が汚れるなら最初から着なければいいじゃない。(涼しい顔)

なので油が跳ねると熱いです……。



 ボケている人の『ボケてない』を頭ごなしに否定するのは良くないですが……、

酔っている人の『酔ってない』は本当に信用してはいけません。


 そうやってハシゴしたり車の運転をするから後で反省することになるんですよ。

読者の皆さんはお酒絡みの失敗ってありますか?


 作者はありませんね。

何故なら覚えてないですから。

何かやったとしても私は知りません(一番たちが悪い……)。

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