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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第3章 闇鍋注意報!!!!
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0-5 思春期のオトコノコ

ーー前回のあらすじーー


 ヤムチャの家に招かれたよしだくんは衝撃の事実を聞かされることになった。

100エーカーの森では大規模な失踪事件が過去に起きたのだとか……。

未だ傷の癒えない住人たちの現在を知ったところで彼はヤムチャと風呂に入ることとなった。


 ……と言っても別に男色なシーンがあったわけではなく、ただ兄弟のように仲良く肩を組んで湯船に浸かっているだけであった。


 和やかな雰囲気の中、騒がしく現れたのは中二病全開のシンタローであった。

彼は湯船で暴れ回り、突如としてヤムチャの家で乱闘が繰り広げられることとなったのだ。



 子供たちが温泉で湯船に飛び込むのは嫌がる方も多いでしょうが、作者は特段何とも思いません。

敢えて言うなら、湯しぶきがどれくらいの高さまで上がったかをよく観察しています。


 何なら一緒に混ざりたいくらいなのですが……流石にそんな勇気はないですね。

大人でも湯船に飛び込める温泉があったら教えて欲しいくらいです!


 読者の皆さんもたまには家の浴槽に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

これが結構気持ちいいので……家族や隣人に怒られても知りませんが……。

三日後の昼過ぎ……。






「おお、こりゃ見事なまでにピッカピカだな!!」






送電塔自体の修理がどうにか終わった。




結局ヤムチャは俺のことを監視するとか言っておいて、それを口実にずっと手伝ってくれていた。


と言うかむしろ、手伝うついでに申し訳程度の監視してたようなものだ。




「でも本番はこれからですよ。ポケベルが使えるように電波を中継する設備を作らなければいけません。そのことなんですが……この送電塔、元々は電波塔としても使われていたんじゃないんですか?」





そう、修理している間に気づいたんだ。



 元々この送電塔には電波中継装置が設備としてあったが、かなり古いものだったようで大分前に壊れてしまいそのままになっていた。




「いや、んな話は聞いたことねえな……。もしかしたら俺が生まれるよりも前の話かもしれねえ。」



ヤムチャは頭をポリポリと掻いた。



「確かに随分と年期の入ったものでしたが、その部品を付け換えて改造するだけで何とかなりそうなのですぐにやってしまいますね。」


「あ、ああ……俺にゃよく分からんが頼むぞ。」







そして三時間後……。






「多分これで上手くいくはずです。ちょっと試しにメッセージを送ってみましょう。」




俺はヤムチャに一台のポケベルを渡し、自分の持っているポケベルからメッセージを送った。





そしてすぐに『ピロピロピロピロ』という音が、ヤムチャの持っているポケベルから鳴った。




「うおっ!なんだ!?」




と、機械に慣れていないヤムチャはビックリしてポケベルを落としそうになった。



「ちゃんと届いたみたいです。じゃあこれの使い方を教えますね。」




それから俺はヤムチャに一からポケベルの操作を教えた。



 機械らしき機械がこの森にはテレビくらいしかないようだったので、彼に使い方を説明するのは結構大変だったのを覚えている。


そもそも『ボタン』って言う概念すらなかったのはさすがに驚いたな……。





そして教えるのに試行錯誤して一時間が経った。




「これをこうして……こうか?」



ピロピロピロピロ、と今度は俺の持っていたポケベルが鳴った。



メッセージを確認すると『オレハヤムチャダ!』と送られてきていた。




「メッセージ、ちゃんと来ましたよ。」


「よっしゃあ!ちゃんと送れたぞ!!これで俺もポケベルが使えるってわけだ。それにしてもこれ、結構楽しいな!晩飯の時にみんなにも使い方を教えてやってくれ!!」




そう言うとヤムチャは再びポケベルをいじり始めた。




『ハラガヘッタロ?オヤツノジカンダカラナ。』



そしてそんなメッセージが送られてきて、



『チョットオレニツイテコイ。』



続いてそう書かれたメッセージが来た。




『リョウカイデス!』



俺はせっかくなのでポケベルで返信した。



送ったメッセージを確認したのか、ヤムチャは嬉しそうな表情をして、俺に背を向けて歩き出した。









 ヤムチャは森の中を歩いている間、ずっとポケベルの画面を見ていて足元を気にしてなかったから何度かつまずきそうになっていた。

普段は気配がどうとか言っているが、流石のヤムチャもポケベルには勝てなかったみたいだ。




夢中になるのは分かるが、やっぱり歩きポケベルは危ないよな!







『ツイタゾ、ココデナンカクッテイコウゼ!』



と言うヤムチャからのメッセージが来た時には、俺たちは古びた建物の前に立っていた。






 入り口には『駄菓子屋』と書かれた歴史を感じる看板がかかっており、とても大きくはないが小さいとも言えない微妙なサイズの平屋だった。



 そう、ここが読者のみんなにとってはお馴染みの、例のキヌタニの駄菓子屋だ。

これ以前の日は晩御飯の時間まで作業に夢中になっていたせいでここに来ることが無かったんだ。




「この村、駄菓子屋なんてあったんですね……。」




俺はポケベルではなく口頭でヤムチャに言った。




「ココニハナンデモウッテルゾ、スキナモノヲクッテイクトイイ」



ヤムチャはそんなメッセージを俺に送ってから入り口の引き戸を開けた。






「い、いらっしゃい……。ひっ!?えっ、あっ、そそ、その、こここ、こん……にちは……。」



 ヤムチャに続いて建物の中に入ると、右側でレジのあるカウンターの椅子に座っていたキヌタニが俺を見るや否や、初めての来店にビックリしたのかカウンター越しに顔の目から下を隠して、小声で挨拶してきた。




「どうも……昨日ぶりですね。」




「ひえっ!?えとえと、あわわ……。」



俺がそう返事すると、キヌタニは怯えて完全にカウンターの下へ潜り込んでしまった。



 今思えば、キヌタニが面と向かって俺と会話してくれるようになるまで大体一年くらいかかっていた気がするな……。






「ヨシダ、こっちに来い。食いたいものはあるか?」



俺はそう声をかけられたので彼の方に近づいた。



 食料品売り場の棚には今と違わずたくさんのお菓子が並んでいた。

マシュマロ、かりんとう、水羊羹、チーズスフレ……。



 そもそも俺はお菓子をほとんど食べたことがなかったので、この森に来てから初めて食べたお菓子も沢山あったな。


世の中にはこんなにも色んな種類のお菓子があるんだと感激したものだ。



「えっと……でも僕お金持ってないんですけど。」


「ああ、それなら安心しろ。どの売り物にも値段が書いてあるが建前だけだ。タダだぜ、タダ!!」






「え……?ヤムチャ……売り物はタダじゃないよ?売り物を買う時は本来、お金を払わなきゃいけないのに……。」



 駄菓子屋の入り口の方から声が聞こえてきたと思って振り向くと、キヌタニがカウンターの隅から俺たちの様子をうかがっていた。





「……ってあいつは言うが俺は今までお金を払ったことなんて一度もねえし、そもそもこの森の住人はお金なんざ持ってねえからな、気にすんな。」



ヤムチャはキヌタニにギリギリ聞こえなさそうな声で俺に言った。





「いいんですか……?じゃあ……これなんだろう……?」



俺は真っ黒なグミのようなものが入っている袋を手に取った。



「あ、それは……ちょっとな……。まあ、気になるなら食ってみるといい。」




 ヤムチャは微妙な顔をしていた。

そんな彼の反応が気になりながらも、俺は袋を開けてそのグミ的な物体を口に入れた。







こ、これは……?






独特な甘さとハーブの味……何だかクセになりそうだった。





「えっと……不思議な味がします。」



そして俺はその謎の物体を次々に口に入れていった。






「あーーヨシダ……お前、大丈夫か?」



ふと、俺のことを心配そうに見ているヤムチャの姿が視界に入った。




「ムグムグ……え……?どうかしましたか?」



「あ、いや、そのだな……そんな物をすごい勢いで食ってるから気が狂ったかと思ってな……。」



 俺はちょっと何を言われているのか分からなかった。

で、手に持っている袋を見ると『リコリス』と書いてあった。






「リコリスって……何ですか?」



「何って……いや、お前が今食ってる物だが……そこまでリコリスにがっつく奴を俺は今まで見たことがねえんだがよ……。」





後で知ったことだがこの森の住人はみんなリコリスが苦手らしい。



 なのに何故そんな物をキヌタニが駄菓子屋で売り続けていたのかはよく分からないが……とにもかくにもこのリコリスの魅力は未だに誰にも理解されないままだ……。




そんなリコリスは今でも俺の密かなお気に入りのお菓子だったりする。





「んまあ、ヨシダが好きで食ってるなら全然いいんだ……。話は変わるがこの駄菓子屋、売られているのはお菓子だけじゃないだろ?」




そう言われて俺は駄菓子屋を見渡した。


確かに、売られているのはお菓子だけじゃなかった。



 肥料や除草剤のような園芸用品、頭痛薬や湿布などの医薬品、ハサミや糊といった文房具、そして何故かライフルや手榴弾まで売られていた。


ここら辺も今と別に変わってないな。





「ん?あそこ……一体なんですか?」




 ふと、俺は店の一番奥に暖簾で囲まれている違和感満載のスペースを見つけた。

気になってそのスペースに近づいてみたんだ。



暖簾には『18歳未満立ち入り禁止!!』と書かれていた。





「えっと……この森には子供しかいないんですよね?何でこんな場所があるんですか?」




「あーー……。まあ、これは大人がいた頃の、昔の名残ってやつだ。……どうする、入ってみるか??男なら誰でも一度は通る道だからな!」




そう言ったヤムチャの顔はまるで菩薩のようだったのを覚えている。





「あのー……18歳未満は……店の関係者以外……入っちゃダメなんですよ……。」





入り口の方から再びキヌタニの小さな声が聞こえてきた。





「……って言ってるけどよ、あいつも15歳なんだぜ?18歳未満の店員が立ち入ってるんじゃ説得力もねえよな!」



ヤムチャは少々バカにしたように言った。




「そ、それじゃあ……入りましょうか?」



 ヤムチャが何となく入りたそうなオーラを出していたこともあって、暖簾の先が一体どういう空間なのかも当時は想像できなかった俺は、何の抵抗もなく暖簾をくぐった。






「なっ!?そんなさらっとくぐれるとは……ヨシダ、お前強者か……!?」



ヤムチャも俺に続いて少しオドオドしながら暖簾をくぐってきた。






「えっ?二人とも本当に中に入っちゃった。……どうしよう、18歳未満は入っちゃいけない決まりなのに……。」






 そして暖簾に囲まれた空間は……R15作品ではとても描写できないような光景で、とても名前を出せないようなものがたくさん売っていた。



「何だか……変な部屋の照明ですね?どうしてピンク色なんだろう?」


「え、あ、ああ、そそ、そうだな!」



 ヤムチャはどぎまぎしながらそう返事をした。

この頃の彼はまだまだ子供だったというわけだな。




「見たことのない物ばっかり売ってるけど……これは何ですか?」



俺は棒状の玩具を手に取った。





「ほう?そういうのに興味があるのか?なら俺がレクチャーしてやろう。ただし、オトナのな!」



そう言ったヤムチャの目がキラリと光った気がした。




「……え?いや別に……って何で脱がすんですか?えっ、それ、何を……ちょっ!嘘……ひぎゃあああああああっ!!!!!」







 ヤムチャの出来心による悪戯によって当時わずか12歳だった俺はこの時、やっぱりR15作品では言えないようなことをされて、トラウマを植え付けられた。





これに懲りて金輪際、俺は18禁コーナーに立ち入ることはなかった。

 テレビがあるならリモコンにはボタンがあるだろって思いましたか??

いやいや、この森のテレビはチャンネルの切り替えもダイヤル式なんですよ!


作者も一度しかそんなテレビは見たことがないですが……。


 それから駄菓子屋にはレジが置いてありますが、多分キヌタニしか触らないのでやっぱりボタンの概念はない。と言うことになります! -QED-



 歩きスマホなんて言われていますが、歩きポケベルもあるんですね!

どの道、外を歩くときはちゃんと前を見ましょう!!



リコリス、作者も食べたことないです!


 日本人の口に合わないだけで、別に不味いわけではないというのは本当なのか……リコリスの味と作者のバカ舌はどちらが勝つのか、いつか試してみたいところです……。



 ヤムチャも「オトコノコ」だったんですよ!!

健全な男子なら当たり前のこと!どうか見逃してあげてください!!(子供に悪戯するのは……?)


 あ、良い子は18禁コーナーに入っちゃだめだよ?

うるさい大人にガミガミと怒られちゃうかもしれないからね(作者は絶対に怒りません)!

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