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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第3章 闇鍋注意報!!!!
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0-1 捨て子だった神童(過去編第一話)

ーー前回のあらすじーー


 100エーカーの森の天才、よしだくんは畑の害獣を始末するべく新たなトラップを制作した。


 ヤムチャとトラップの様子を見ようと二人きりの落ち着いた空気になった所で、彼はヤムチャ(リーダー)の本心を聞き出したのだ。


ヤムチャからも長い付き合いになると言われた彼は懐かしい記憶を振り返っていた……。



 読者の皆さんは突然に昔の記憶が甦ることはありますか?

嗅覚は五感の中でも一番記憶との結びつきが強いらしいです。


 なので逆に思い出したくない記憶があるなら鼻を塞げばいいことになります。

……ヤムチャの怒った顔をそれで思い出さないように出来るかと言われれば別問題ですが。

俺は……生まれてすぐに産みの親から捨てられたらしい。





 段ボールに入れられて放置されていたところをとある研究者に拾われたんだんだとさ……。

俺はその博士、って呼んでいた彼に育てられた。




 そして自分と同じ研究者となれるような教育を受けさせてもらった。

幼い頃から工学系、生物系、天文系……色々な分野についての知識を俺に叩き込んでくれた。




そして十歳になった時、今後一番勉強したい分野を選べと言われた。


あまり深く考えずに選ぶといいと言われ、俺は機械系の領域を学ぶことにした。




 すると、次の日からは彼の働いている団体の研究所に連れて行かれて、実際の現場で研究に参加させてもらえることになったんだ。




 博士の早期教育が幸いしたのか、次の年には研究所でも少しずつ成果を上げ始めて、研究チーム内では神童と言われるようになった。



 本当に博士には感謝しかなかった……でもその次の年、俺は研究所を追い出されてしまった。

正確に言えば逃げてきた、という方が正しいかもしれない。



研究所の中には俺のことを快く思わない連中もそれなりにいたことは分かっていた。




『どうせ上げた成果も博士のコネだろ??』


『子供のくせに生意気な……!!』


『あんなガキが俺より成果を出してる?ふざけるな!!』




そんな会話が至る所から聞こえてきた。


思い出すだけでも寒気が走るような嫌がらせもたくさん受けたさ。




 博士もこのままでは俺の身が危ないと思ったのだろう。

そこで彼は俺をここ、100エーカーの森を俺の『左遷』先に選んだんだ。






 真夜中にお忍びでヘリに乗って研究所から脱出し、そのまま機内で寝て朝起きたらライフルを構えたボディーガードの男が三人同乗しているジープの座席の上だった。




「おお、起きるのを待っていたよ。君が起きるまで村の近くで車を止めていたんだ。」


「うーん……博士……。ここは、話には聞いたことあるジャングル……?みたいですけど……。こんな場所に村なんてあるんですか?」


「ああ、外界との交流がほぼない村らしいんだ。あと1kmくらい進めば見えてくるぞ。」




そう言うと彼は車を走らせた。


 ボディーガードの男達はジープに乗った俺たちを襲おうと突撃してくる野生動物を度々ライフルで撃ち殺していた。




「いいかい。君の安全を確保するためだけなら、私は君を研究所ではなく学校で学ばせればいいだけだと思っている。君は昔から勉強漬けで、同年代の子たちとは遊んだりしてこなかったからね。学校でも良かったんだが、丁度いい頃合いだと感じていたんだ。僕は君のことを今までとは全然違う環境に置くべきなんじゃないかと思った。」



「違う環境ですか……?」



俺はまだ博士の言っていることの意味が分からなかった。





「実はな……その村なんだが……大人がいない、子供だけしか住んでいない村だそうだ。」




 俺はこの時、一体何を言われてるのかますます分からなくなった。

俺が戸惑っているように見えたのか博士はさらに続けた。





「何故子供しか住んでいないのかは分からない。……僕はね、持っている知識は全部君に授けたと思っている。ただ君には子供同士の触れ合いから生まれる閃きというのも大事にして欲しくてね。そして今の君にまだ足りないのは、そんな閃きを生み出すきっかけじゃないかな?勉強からじゃ得られないものもあるからね。……だから村で生活を始めても研究はちゃんと続けるんだよ?」




博士はそこまで言うと車を止めた。




「さて、ここから200mくらい真っ直ぐ行けば村の入り口があるらしい。そうそう……一つ言っておかなきゃいけなかったんだ。これから何の研究をしてもらっても構わないが一つ、君に課題を与えようと思う。」



「課題……ですか?」




「例の村には各家庭に電気を届ける送電塔があるそうだ。……ところで君もポケベルの通信技術については勉強したね?」


「はい、ポケベルって便利ですよね。」




「そうだろう?その送電塔を電波中継地点にして、村でその便利なポケベルを使えるようにしてみなさい。閉鎖的なコミュニティでは外部の人間を警戒する傾向があるからね。村で馴染むには彼らにとって有益なことをしてあげるのが有効だ。……それにいきなり村に行って、研究をさせてくれなんて言ったところで怪しまれるに決まってる、村に滞在する口実としても使えるよ。」




「分かりました……必ずやってみせます!!」



俺はそう言うとジープから降りた。








 そして博士たちと一緒に折り畳み式のリヤカーへジープに積んでいた荷物を移しかえた。

荷物の中には研究をするために使う最低限の道具や、村人たちに配るポケベルが含まれていた。





「さあ、ここからは一人で行くんだ。……まさか、このような形で君が私の元を離れることになるとは思ってもなかったよ……。」


「博士……本当に、今までお世話になりました。」



俺は頭をペコリと膝の上まで下げた。



「何を言っているんだ……独り身で子供のいなかった私にとって君は……。いや、こんな話は止めよう、またいつか会えるんだから!君が大人になって、頃合いだと思ったらちゃんと君をこの村まで迎えに行く。それまで……元気でいるんだよ!」



 博士は目に涙を浮かべて手を振った。

それを見届けると俺は前を向き、リヤカーを引いて歩き出した。



もう振り返らないって決めたんだ。



そうしないと……泣くのを堪えているのがバレてしまっただろうからな……。








 リヤカーを引いて歩いていくと、すぐに開いている門のような物が見えた。

高さは4mほど……だが、その周りに外壁らしきものはなく、見張りの人間もいないようだった。



きっとこの門は形だけの物なのかもしれないと思った。






「(これからお世話になります!)」




俺はそう心の中で言い、一礼してからその門を潜った。

 なんと!よしだくんは100エーカーの森の出身ではなかったのです!!

そして幼い頃から英才教育に研究……。


 無限に遊べると言う子供の特権はどこへ……?

作者だったらそんな生活、発狂間違いなしです。



 他人から妬まれるというのは自分が他の人よりも優れている証拠でもあります。

だから妬まれること自体は悪いことでもない……本当でしょうか??

それでも、出来るだけプラスに、誇りに思っていいと私は思います。


 作者は『ホメラレモセズ、クニモサレズ』が一番気楽ですし、そうやって生きています。

だから妬まれた経験なんて……あれ?私って強みがない!?

読者の皆さん、どうか作者を妬んでください!!(切実)

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