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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第3章 闇鍋注意報!!!!
65/162

3-1 定期報告会

ーー前章のあらすじーー


「いつの時代も宝探しは男のロマンだ!」


 こう言ったのは100エーカーの森のリーダー、ヤムチャだった。

彼は『Yamucha隊』を結成し、とある近所の洞窟へ探検に出かけた。


 そこで発見した物は、神通力が使えると息巻く服のセンスがバグったチッダールタと名乗るおじいちゃんであった。

彼は隕石がこの森に落ちることを予知し、その衝撃からも森の住人たちを守ってみせたのだ。


そういう意味でYamucha隊が見つけたお宝は、何物にも代えがたい秘宝であったと言えよう。



 そんなことが起きた間には、どさくさに紛れて駄菓子屋の店主、キヌタニはエリスを滝壺に突き落して殺害しようと試みていた。


 もう少しでエリスを抹殺することに成功しそうだったのだが、チッダールタによって間一髪、エリスは死なずに済んだのだ……彼女にはその記憶がないようだが。


 その現場を押さえられてしまったキヌタニは裁判にかけられ、最終的には駄菓子屋に軟禁される運びとなり、隕石が落下した際も駄菓子屋で一人苦しんだことだろう。



 さらには、彼よりもどさくさに紛れて暗躍をしようとしていたものが居た。

未来からやって来たと主張するもう一人のキヌタニであった。


 彼は森の住人たちが全員死亡するという悲しい運命を変えにやって来たと言うが、コルクと呼ばれる謎の女性との会話をチッダールタに聞かれてしまったことで彼に殺害されてしまった……。



 こうやってまとめると2章も内容がすっからかんなのですが、これから始まる3章はもっとすっからかんです……。


 どれくらいすっからかんかと言うと、アイス売り場の存在しない駄菓子屋のようなものです。

そんな駄菓子屋は嫌ですね、それこそ存在価値がありません(偏見)。


 あれ?じゃあ3章って読む価値がない……?

それを言ってしまったらおしまいですよ!!


その余計なことを喋っちゃうお口にチャック!!さっさと本編へどうぞ!!!!

1週間後の昼前……。





もうセミの鳴き声もほとんど聞こえなくなって秋の予感がするね。






 今はみんなで集会所に集まっているよ。

まあ、みんなと言ってもエリス、仙人、キヌタニ、スタークは居ないんだけどね。



 でも駄菓子屋で拘束されているキヌタニと洞窟にいるエリス、仙人はポケベルで連絡が繋がってるから居ないって言うのは違うかな?





こんにちは、この前晴れてニートを卒業したくじらんだよ。





 今日は月に一度の色々な報告会をする日なんだ。

……と言っても毎晩みんなでご飯を食べてるんだし、そのくらいご飯ついでにすればいいのにね?







『えっと、じゃあ僕から行かせてもらうね。先月も駄菓子屋の売り上げは0円で損益は-87万2861円、今までの総利益だと-1億2666万506円……主犯がスタークなのは分かってるけど……みんなもお願いだからお金を払ってよ……じゃないと、駄菓子屋が本当に潰れちゃうよ……?』






そんな弱々しいキヌタニの声がポケベルから聞こえてきて集会所が一時静かになった。






「そんじゃ、次は俺が行かせてもらうぜ!www」




『えっ……僕は、無視……?』



と、誰もキヌタニには言葉を返さないまま、彼とは対照的に元気なシンタローが手を挙げた。




まあいいよね、キヌタニだし。






あ、そうそう!



シンタローとエリス、中身が元に戻ったんだ!







3日前の真夜中……。



「(おい、仙人は寝てるのか?)」


「(わ、分からないけど行くしかないんじゃない?)」



俺とヤムチャは二人が入れ替わってて紛らわしい事態を解消すべく午前三時頃、洞窟に特攻した。



 この時はややこしいからっていう理不尽な理由で二人とも連帯責任で、シンタローもエリスと一緒に洞窟で幽閉されてたんだ。




「(よしよし、全員寝てるみたいだぞ。)」



俺たちは懐中電灯の明かりを頼りに三人の動向を探った。



 シンタローとエリスは懲りてなかったのか、それぞれメイド服とタキシードを着て隣同士で仲良く爆睡していた。



「(いいか、作戦通りにやるぞ。さあ、行け!!)」



俺はヤムチャのヒソヒソ声を合図に一瞬で仙人に近づき、彼のことを掴み上げた!




「うーん……?な、何だか浮いてる気が……?」


「仙人、ちょっと体借りるよ!」




「よし!くじらんこっちだ!!!」



そしてヤムチャの方にチッダールタを運んだ。




「えっと……く、くじらん?一体何を……??」


「よっしゃ!今だ!」




「ふぇ……?」


「んあ……?www」



 まだ目の覚めきってないエリスとシンタローの頭をヤムチャは持ち上げて、俺は仙人を二人の間に置いた。




「おらあああ!!!戻れぇぇー!!!」




「「「あああああああ!!!!」」www」




そして間髪入れず、ヤムチャは仙人の両肩に二人の頭を思いっきりクラッシュさせた!!







 結局三人とも気絶しちゃったけど、目が覚めたらちゃんと中身も元に戻ってたってわけ。

話だけ聞くとすごくあっけないよね。








「家の修復だが、よしだくんとミーシャの家は昨日までに終わったぞ!www俺の家も今日のおやつまでには元通りになりそうだww後はヤムチャの家と駄菓子屋とこの集会所だなwwww」




 そう、シンタローはこの一週間……いや、解放されてからの三日間で二人の家を完璧に元通り……いや何ならリフォームしちゃったんだ!


俺も見に行って来たけどこれは新築!って感じだったよ!!





「後さ、折れちゃった木とかを片付けて薪にして、よしだくんの家の脇に積んでたら初めて薪の山の高さが5mを越えたんだぜ!!」





……うん、その情報はどうでもいいかな?







「じゃあ、次は俺だな。電波塔の被害報告だが、足場が至るところで崩れていて、瓦礫やら砂利やらがかなり激突したようだから見た目はボロボロになっていたが、機能面では問題ないから安心していいぞ。……あ、それから俺とフジモンで森の中で倒れた低木を新しく植え直しているんだが、あまりに数が多くてしゃがんでばっかだからもう腰が痛いんだ……。誰か代わってくれないか?」



「ぼ、僕は普段こういう作業をしないんだ……もう限界さ……!」




フジモンが悲鳴をあげてるけど……。



そんなこと言われたってなあ、みんな今は復興やら何やらで忙しいんだけどな……。





「まあ、ずっとあの作業をしてんのはさすがにキツいだろうな……。ミーシャとくじらん、代わってやれや。フジモンは駄菓子屋でキヌタニの見張り、よしだくんは畑で害獣の見張りをしてくれ。」



「ん?何だよ、害獣が出てるのか?」





「ああ、それは今から話すぞ。宇宙船が落ちてきた衝撃波で木が倒れたりして、野生動物の縄張りが荒らされたせいか奴等、気が立っててな……凶暴化してる上にここんとこ畑をメチャクチャにしやがる!!だから罠を仕掛けてるんだが次から次へと沸くんでキリがねえんだよ!!」



「そうなんだよね、群れで来られたりすると一部の動物は罠にかからずに畑に入って来ちゃうんだ……。」





俺も溜め息をつく。


 まだ畑仕事を始めて三週間くらいだけど、せっかく苦労して育てた農作物が食い荒らされるのは辛いものがあるね……。



「なるほどな、じゃあ新しいトラップのアイデアでも暖めておくとしよう。」






『それでは私もエリスの近況を報告させてもらうとするか。ここ一週間の平均睡眠時間は18時間、水を飲む回数は12回、トイレは6回、一日中ダラダラしているぞ。』



『お腹減ったあ……もう限界、って!ちょっとご主人様!?そんな恥ずかしいことまで報告しないでくださいませ!!』



 ポケベルから仙人の荘厳な声とエリスのやかましい悲鳴が聞こえてくる。

て言うか、一日に18時間も寝てるなんてニート時代の俺より桁違いに酷いなあ……。




 ちなみにエリスはこの一週間、水しか口にさせてもらえてないらしいからすごく辛いんだろうね。

まあ、罰だから自業自得なんだけど。



 それからどうしてだか知らないけど、エリスの刑罰がヤムチャの判断で期限が一週間から一か月に伸びたんだよね。


エリスってば何かしたのかな????





 そういえばさっきよしだくんは言ってなかったけど、洞窟の入り口近くに電波の中継点……?って言うらしいんだけど……それを作ったことで洞窟の中でも連絡が取れるようになったみたいだよ。




「……おい、まだご主人様って呼んでるのか?……もしかしてまた見返りに何かして拘束を解かれてるんじゃねえだろうな??」



ヤムチャは二人の声が出てくるポケベルをじっと見る。




……え?見返りって??



『わ、私はしてないわよ!!むしろこのエロ仙人が拘束を解いてあげるからもっと過激な写真撮らせてって……!!』


『せっかく駄菓子屋からレースクイーンとバニーガールの衣装を持って来たのにエリスときたら着てくれないからな……。』




「あ、あんたらは洞窟で何をしてるのよ……!?」



 レースクイーン!?バニーガール!?!?

そ、そんな格好……グヘヘヘへ!!



俺は滝のように鼻血を出す。




「うおっ!?く、くじらん!!落ち着け!変な想像は控えろ!!」


「そうだな、想像よりも本物を見た方が絶対にいいぞwwwww」



よしだくんが俺の鼻にティッシュを突っ込むけど、そんなんじゃ止まんないってば……。




『それではいっそのこと、服無しでいって……、』



服無し!?!?そ、それって!!!



俺の鼻血は滝から濁流へと変わる。




『なっ、何するのよー?このエロ仙人!!!』


「ちょっと、ちょーっと!!!ストップストップ!!この会話ストーーーップ!!」




ミーシャは大慌てでテーブルの上にあるポケベルの通信を切った。





な、何だか血を流しすぎて頭がクラクラする……。




「全く油断も隙もありゃしねえな!……くじらん、生きてるか?」



「グフフ……う、うん、な、何とか大丈夫……。」




「わ、私はあんなのが仙人だなんて絶対に認めないわよ……!」







「あ、そうだ。僕からも二つほど報告させてもらいたいことがあるのさ。」



フジモンがここで手を挙げた。




「数週間で捜索隊が僕のことを探しに来るだろうって君たちと会った時に言ったよね?あれは脱出ポッドが救難信号を出していて、それを目印に僕のことを探しに来るってことなんだ。でも……、」


「何か問題でもあるのか?」



「うん……現在位置の送信情報がおかしいんだ……。僕らは今、ドイツ語で会話をしている。だからヨーロッパにいると思ったんだけど……でもポッドが送信している位置情報はアマゾンのど真ん中なんだ……もう機器が壊れてしまっているようでね……。」



えーと……?あんまり、いや全然フジモンの言っていることが理解できないんだけど……。



「えーっと、ごめん。もうちょっと噛み砕いて説明して欲しいわ。」


「正直言って何が何だかさっぱりだ。よしだくん、解説を頼む。」



 ヤムチャとミーシャは案の定、頭がパンクしちゃったみたいで視線が明後日の方向を向いちゃってるよ……。



「まあ、すごく簡単に言うとだな……。自分はここにいるから助けに来てくれっていう電波を脱出ポッドから出してるんだが、どうやらこの森じゃなく違う場所にいるっていう情報を送ってるんだろう……。」



うーーん……まだ微妙に分からないよ?



「まあ、そんなところだね。でもドイツに落ちたとしてそれはそれでおかしいんだよ……。」


「いや、ここはドイツだぜ?www何がおかしいんだってwwww」



 シンタローはフジモンの言っていることが可笑しかったのか爆笑してるけど、笑い事じゃないと思うんだよなあ……。




「毎晩集会所でテレビを見させてもらっているけど……ニュースでも空から何かが降ってきたっていう情報が流れなくて、代わりに僕が地球へ帰る時に行方不明になったっていう話題ばかり放送してるんだ……。いくら何でもドイツに脱出ポッドなんて落ちたら周りの国でも軍のレーダーで落下位置くらい確認できるはずなんだ。」



「つまりここがヨーロッパだとは信じられないってことか?」



よしだくんはそう返答する。



 確かに、俺はここ最近ずっとヤムチャの家に居候してるけど、テレビでたまにニュースを見ててもどこに脱出ポッドが落ちたか分からないって話題ばっかり聞こえてくるんだよね。



「とは言っても俺らは代々ずっとここで生きてきたんだ、それを疑われてもな……。」



「た、確かにそうだよね……申し訳ない、このことはもう少し自分でも考えてみるよ。それで二つ目はスターク君のことなんだけど……。」



 『スターク』という単語が聞こえた瞬間、集会所の空気が凍り付いた。

……そりゃ誰も話題にはしたくないからね!



「怪我の具合を診ようとしたら暴力を振るわれるし、採血をしようとすると断られるし、病態を聞くと逃げるんだけど……。彼は極度なシャイなのかい?」



「いや、奴は元々そういう人間なんだ。それに関しては諦めてもらうしかないな。」



 フジモンが深刻そうに言うけど、よしだくんは平然とシビアな返答をする。

まあ、俺もよしだくんと同意見だけどね。



「自分の患者にあんまり身勝手な行動はとって欲しくないんだけどね……。それに回復のスピードも普通の人間と比べて異様に早いし、そこもちょっと気になるから調べてみたいっていうか……。まあ、医者としては患者が全快してくれれば別に構わないんだけどね。」



フジモンはそこまで言うと口を閉ざした。





「あ、そうだ。俺はシンタローに渡さなきゃいけないものがあったんだ!」



俺はふと思い出して懐から一枚の紙を出す。



「シンタローに建てて欲しい家の図面を書いてきたよ!!」



と言っても別に俺は建築の専門知識なんてないからすごく適当なものだけどね……。




「おお、そうか!wwお前の家も建ててやらないといけないなw場所は……元々スタークの家があった所でいいかwwww」



「えっ!?じゃあスターク君の家はどうするんだい?」


「何を言ってんだ、奴の家ならあの廃寺で十分だ。」



 ヤムチャがそう言うとフジモンは「えぇ……。」って顔をした。

まあ、スタークだし別にいいよね。





「それじゃあ最後は私ね。みんなも気になってるキヌタニ殺害事件の捜査だけど……。」



そこまでミーシャが言うとみんなゴクリと唾を飲んだ。



俺もその真相がすごく気になってるんだ……。






フジモンの歓迎会を行った翌朝……第一目撃者は俺だったんだ。






∴くじらん∴ 大変だよー!!キヌタニが血だらけで脱皮してるー!?!?



∴よしだくん∴ は?こんな朝早くからそんなふざけたチャットを送るなんて迷惑極まりないぞ、お前はシンタローか?



∴ヤムチャ∴ 落ち着けくじらん。キヌタニなら脱皮したんじゃなく、単純に二人いるだけから心配するな。血だらけなのは……知らねえ。



∴くじらん∴ 単純に二人いるだけって意味分かんないんだけどー!?と言うか、むしろそれだったら一人死んでることになるよ!?!?



∴よしだくん∴話がまだいまいち見えないんだが……。ヤムチャの言うことも明らかに変だし、ここは三人で駄菓子屋に集まろう。







 って言う会話を朝早く駄菓子屋に向かった俺が最初にパソコンのチャットで報告したんだ。

ミーシャとフジモンは寝てたから全然気がつかなかったみたいけど……。







「こ、これは……!?!?そ、そんなことが……。」



ヤムチャはその場に力無く崩れ落ちた。



 駄菓子屋の中では二人のキヌタニが腰を鎖で縛られて倒れていて、そのうち片方の傷だらけでない方のキヌタニは脳天に穴が開けられて、目を見開き、右手にはピストルが握られていたんだ……。



「な、何てことだ……。」


「だ、だから言ったじゃん……大変だってさ……。」



俺もよしだくんもその場に立ち尽くすことしかできなかった……。




「さっきパソコンのチャットでこいつが二人いるって言ってたな?未だに今見ているものが信じられないんだが、これは一体どういうことなんだ?」


「ああ、実を言うと詳しいことまでは俺にも分からねえんだが……知ってることは全部話すからみんなを集めるぞ……。」




そんな流れがあってシンタロー、エリス、スターク以外は駄菓子屋の入り口に集められたんだ。



「こっちの……被害者のキヌタニの方は、ヤムチャの畑で倒れてるところを私が見つけたの。私とヤムチャが聞いた話では未来から来たって言ってたわ。」



「そんで、そう遠くないうちに俺達が全員死ぬって言ってな……。その未来を変えるためにこの時代に……どうして死んじまったんだ!!」




そんな……もしキヌタニの言ったことが本当なら……俺たちは死ぬの?


って、この時はすごく怖かった。



いや、考えたら今でも怖いから思い出さないようにしてるんだけど……。



「ヤムチャ、絶望するのは早いぞ!この未来から来たキヌタニの言ってたことが本当かなんて分からないだろう?」



よしだくんがヤムチャに言った。





「うーん……それにしたってこの死に方はおかしい……。もしキヌタニ君がこのピストルで自殺したとすると……普通、頭の側面を撃ち抜くはずじゃないかい?」



突然、フジモンが口を挟んできた。



 確かに言われてみれば、自殺する時に自分の額に銃を突きつけて撃つのって大変な気がするんだよね……。


医者だからフジモンはこのことに気が付いたのかな?




「えっ!?それって…………」


「うん、これは他殺の可能性が高い。」




そのフジモンの言葉でこの場の空気は一瞬にして凍りついた。





つまり、フジモンはこの中に犯人がいるって言いたかったみたい……。





「しかしそうするとなると犯人は誰になるのかな?一番怪しいのは第一発見者だというのはよく聞く話だが……。」



仙人がそう言うとみんなの視線は自然と一点に集まった。




「えー!?!?お、俺ー!?!?!?ちち、違うよー!!!」


「もしかしてキヌタニを殺害して、そのすぐ後に第一発見者として何食わぬ顔でみんなに事件のことを知らせたのか……?」




 ヤムチャは泣き叫ぶ子供も気絶するような形相で俺を睨み付けた!

もちろん俺は犯人じゃない……たまたまこの現場を見つけちゃっただけなんだ……。





「いや、それはないんじゃないかな。状況を見る限り、頭から流れ出た血は完全に固まっている。つまり撃たれてからそれなりに時間が経っているってことだ。恐らく夜中のうちの犯行だろうね。」



フジモンがそう言ってくれて、とりあえずヤムチャは俺を睨むのを止めた。



……思い出すだけでもすごく怖かったよ……。




「うーーーん……ああ……ぼ、僕はあのまま気を失ったのかな……?」



と、ここで傷だらけの方のキヌタニが目を覚ました。




「意識が戻ったか……どうだ、死体の隣で眠ってた気分は?」



よしだくんが皮肉たっぷりにそう言った。



 この時代のキヌタニはずっと前からここにいたってことだから、隣で殺人が起きてる時にもぐっすり眠ってたってことになるんだよね……。




「ねえキヌタニ!!隣で人が死んだのに何でそんなグースカ呑気に寝ることが出来たの!?」



俺は生きてる方のキヌタニの胸ぐらを強く掴んだ!




「え……?死んだって……??何の話?……!!!ひ、ひえっーー!!ぼ、僕が死んでるーーーー!?……きゅうううううう……。」



目が覚めたと思ったら、キヌタニは未来から来た自分の死体を見てまた眠りについちゃったんだ。





「……えーとだな。そうなると誰が何のためにやったのかさっぱり分からないぞ……。ヤムチャ、どうするんだ?誰がこの事件を調べたらいい?」



「うーむ……犯人が誰か分からねえ以上、一人に捜査させるのは危険だ……。てなわけでミーシャと仙人、お前らで協力して調査してくれ。それからフジモン、こいつの死体を調べて分かったことがあれば報告を頼む。調査が終わるまでその三人以外は駄菓子屋に立ち入るなよ!!キヌタニもむやみに動き回らせるな、トイレにでも閉じ込めておけ!!!」









「ピストルに付いてた指紋を調べたんだけど……キヌタニの、それもうっすらとした指紋しか残ってなかったわ……。きっと一度自分の指紋ごと拭き取って、そこからキヌタニの手に軽く握らせたって考えるのが妥当ね。それから足跡も分析してみたんだけど……一種類だけ変なやつがあるのよ。」



「変なの?ってどんなの?www」


「どうにも女物のブーツのような足跡なのよ。でも私もエリスもブーツなんて履かないし……しかもその足跡、レジがあった場所の付近で急に途絶えてるのよね。」



「おいおい、それって怪奇現象じゃねえか……。」



ヤムチャが溜め息をついた。



 もしかして幽霊の仕業?とは思ったけど、またミーシャがめんどくさいことになりそうだから口には出さないでおくね。




「そうそう僕の方からも報告しなければならないね。死因は君たちも分かってる通り頭を銃撃されたことによる即死、他に目立った外傷はないみたいだ。そして死亡推定時刻は僕の見立てだと発見前夜、午前0~2時くらいだと思うよ。」



「確か、あの日の夜はみんなでフジモンの歓迎会をしていたんだよな、大体23時くらいにはお開きになったはずだ。」



よしだくんが記憶を辿りながら言う。




あの日の夜は酷い目に遭ったなあ……。




「つーことは帰って寝たふりをしておいて、後からこっそり起きて殺害しに行くことも出来るわけだな……。だが、さっきの怪奇現象のことも踏まえると外部犯の可能性も全然ある、いやそうであって欲しいと言うべきだが……。」



 ヤムチャはそう言いながら参ったという風に俯く。

でもすぐに顔を上げてこう続けた。



「だが、何にせよ俺たちはこのことでくよくよしてる場合じゃねえ、この森の復興に集中するべきだ。そうだろ?」


「そうだな……前を向かなきゃならないな!www」



「一週間捜査してもこの進展具合じゃあもう犯人は特定できねえだろ。駄菓子屋も今日からまた解放する。それじゃあみんな、また今日も自分たちの役割を全うしてくれ!」




そのヤムチャの言葉で報告会はお開きになった。






また100エーカーの森の新しい一日が始まるよ!!

 キヌタニ殺害事件は迷宮入りとなってしまいました……。

ですが正直、森の住人たちはそのことをあまり気にしていないようです。


 「キヌタニだからいいか」という考えは100エーカーの森に染み付いているようですからね。

あまりキヌタニに同情すると次に消されるのは読者の皆さんかもしれません……。



 そしてさらっと、100エーカーの森はドイツにあることが判明しました。

全然ドイツっぽくないけど……事実だからしょうがないですね。


 ちなみに名前だけは一致している本家(ディ〇ニー)の100エーカーの森はイギリスにあります。

一度行って、駄菓子屋でアイスを食べてみたい……(駄菓子屋なんて無さそう)。

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