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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第2章 名医、隕石になるってよ
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2-22 善と悪の双子……?

ーー前回のあらすじーー


 嫌な予感を察知して洞窟の中へ入ったヤムチャは、働かないメイドと働く執事、そして変態なご主人様が暮らす不思議な空間に迷い込んでしまった。


 ゲストとして迎え入れられた彼はアイスクリームの乗った茶碗蒸しやフルーツヨーグルトライスを差し出されたが、食べることを拒否し執事とメイドの顔面に料理をクラッシュさせた!!


 続いてご主人様からメイドと執事を雇う流れを聞いて呆れたところで、やはり彼らの顔面をブラウン管テレビにクラッシュさせた!!


こうしてチッダールタ家は衰退の一途を辿り、自然消滅してしまうのであった……。



 随分と昔のこと、N〇K教育の「味楽る!ミ〇カ」というアニメで錯乱した主人公(?)が豆腐をアイスと混ぜてしまうシーンがありました。


 →結果として美味しかった!という内容だったので実際に豆腐とアイスを混ぜて親と食べたことがありました。


 意外と不味くはなかったです、ただ混ぜただけでもかさ増しになるので読者の皆さんも豆腐アイスを食べながら本編を読んでみてはいかがでしょうか?

とりあえず、連絡を入れてやらねえとな。



俺はポケベルを取り出して発信した。





「あーーもしもし、こちらヤムチャだ。」




『あっ、よかった!やっと繋がったわ!!』







『あなたがいつも作業してる畑でキヌタニ、倒れてたわよ!!』









………………?








……………………??









…………………………???








おい、ミーシャ……お前今何て言った?






『もしもーし??ちょっと聞いてるの?』





さっき、キヌタニは……洞窟にいたはず……だよな?



俺はミーシャに返事をするのも忘れて一目散に洞窟へと戻る。








「おいおい!キヌタニの奴、瞬間移動でも使えるってのか!?」



俺はどうにか最後の気力を振り絞って走る……。




 そしてその先にはさっきと何も変わらねえ光景、気絶している三人とダーツが刺さって死にかけのキヌタニがいた。




「ミーシャめ、バカを言いやがって……!キヌタニならここにいるじゃねえか!!」




「うっ……ヤム……チャ、何、を……?」




俺はキヌタニを磔台から救出して脇に抱え、鉛のような体を引きずって再び洞窟を後にした。









「おいミーシャ、一体お前は何を見つけたって言うんだ?」



洞窟から出ると俺はポケベルで再びミーシャに連絡を取った。




『ちょっと!!!いきなり連絡が切れたから何かあったのかと心配したじゃない!!で、このキヌタニをどうすればいいわけ!?!?』



ポケベルが壊れそうなほどのドデカイ声が通話口から噴き出てくる!!





「う、うるせぇ……俺にもまだ状況が理解出来てねえんだ。」




もうマジで疲れたんだが……だがこりゃまだまだ休めそうにねえな。





「いいかミーシャ、よーく聞け?俺も現在進行形で脇にキヌタニを抱えてるんだ。」




俺がそう言うとしばらくの間、ポケペルの向こうから声が聞こえなくなった。






『うーんと?ヤムチャ、それキヌタニじゃないわよ??だってキヌタニならここに……。って!早くその得体の知れない物を捨てなさいよ!!!』



ミーシャの奴……その言い方だと俺がキヌタニじゃねえ何かを持ってるみてえじゃねえか!!





「僕、は……キヌタニ……だよ。ミーシャ……は一体、何を言って……るの?」



キヌタニは死にかけで抱えられながらもポケベルの通話口で必死に訴える。






『えっ。……だ、だったら私の横に倒れてるこれは何なのよー!?!?』




 だから大きな声を出さないでくれ……。

頭がガンガンしやがる……!!




「おい、とりあえずそいつを目が覚めねえうちに駄菓子屋へ連れて来い!どっちが本物か分からねえ以上、下手に放置しとくのもマズイからな……。」


『と、とりあえず分かったわ!!』






はぁ……一体何が起きてやがる?




洞窟にシンタローを探しに行った辺りから全部幻だったりしねえかな……?










「うーん……。こうして二人を縛って並べてみても、傷だらけかそうでないかの違いくらいしかないわよね……?」


「ああ、本当にそっくりだ……生き別れの双子見てえにな。」



 俺もミーシャも駄菓子屋に「それぞれの」キヌタニを連れてきて、昨日と同じように鎖で体を縛って、壊れてない場所を選んで壁の中に鎖の端を埋めておいた。





「しっかしこの状況、他の奴らにはどう説明したもんだかなあ……。」



そもそも俺らだって何でこんなことになったか見当もつかねえし……。




「とりあえず……隕石の衝撃でキヌタニは二つに分裂しちゃいました!!さあ、どっちがキヌタニの善の部分でどっちが悪の部分でしょうか?……みたいな??」




 いや、何でクイズ形式なんだよ?

SF小説で見かけたことのある展開だな、それ!




「だっ……だったら、この、僕が、善で決まり……だね……!」



傷だらけのキヌタニが俺たちのことを見て言った。




「善の部分しか持ってねえ奴がそんなこと言うわけねえだろ!!そもそも仮にそうだとして、キヌタニの善と悪の部分がそんな均等に別れるとは思えねえんだよな。善の部分なんて今にも消えてなくなりそうなくらいちっぽけなんじゃねえか??」



「あーーー確かに。じゃあ何があったのかしら?」





「え……?僕に、悪の部分……なんて……そもそも、ないよ?」


「はぁ?人を殺そうとしてそれはないわ。」



ミーシャはキヌタニの足にある傷口を拳で小突く。




「だとしたらやっぱり生き別れの兄弟ってことか?お前の兄弟なんて見たこともねえし、話すらも聞いたことがねえけどよ……??」




「そんな……こ、こんな……醜い、顔の奴……僕の兄弟、なんて……。」




「みにく……ブハッ!アハハアハハハハハ!!!ちょっとー!?醜いも何も瓜二つよ!!これは傑作……ウハハハハ!!!」



ミーシャは堪え切れずに噴き出して、下品とも思えるレベルで大爆笑をしている。



いやこれはさすがに……俺も正直笑うところだったぞ……?






「うーん……ひ、酷いこと言うなあ。僕だってお前みたいな気持ち悪い顔の奴と兄弟なんて願い下げだよ……。」




うおっ!?喋った!?



も、もう一人の傷だらけじゃない方のキヌタニが喋ったぞ!?



「い、いきなり喋らないでくれる!?ビックリするじゃない!!」


「ひいっ!?ご、ごめん……。」



うーーん、このオドオドとした反応……こいつもやっぱりキヌタニな気がするんだが。




「それで……どうして僕は縛られてるの……?て言うか、隣にいるのはこの時代の僕……?」



「えっ……?じゃあ、隣に……いるの……は別の、時代……の僕?ガクッ……。」




傷だらけのキヌタニはとうとう力尽きて気絶したみてえだ。





……にしてもだ。



今の二人の発言を真に受ければ……。





………………は????



一体これは、どうなってやがるんだ……???






「んーとね、バカを言わないでくれる?私みたいな頭の悪い奴でもそんなSFチックな話が嘘だってことくらいは分かるわよ!!」


「ひええっ!この時代に来てまで死にたくないよぉ!!」



 ミーシャは機関銃を自称別の時代のキヌタニに突きつける!

待て待て!!つか、さっき善の部分だの悪の部分だの言ってた奴がSFを否定するのかよ……。



「落ち着けミーシャ!まだ殺すんじゃねえ!こいつをどうするにも情報が足りなさすぎるぞ!!」



ミーシャは俺に腕を掴まれて大人しくここは銃を下ろした。




「ま、まずは話を聞いてよ!!ぼ、僕はこことは別の時代、未来から来たんだ……。それもみんながそう遠くないうちに死んじゃう未来からね……。」



キヌタニは悲しげな顔で俺たちに言う。




俺たちが……全員死ぬ??




「おい、どういうことだ……?嘘なら……本当に殺すぞ!?」



「そうね、今にも殺しちゃいそうだわ……!!」



俺はノコギリを構える素振りを見せ、ミーシャも手を震わせながら機関銃を握りしめている。




「待って待って!!詳しいことは……言えない。だって、それを今のみんなが知ってしまったら結局同じことになる……。僕はあの悲惨な運命を変えたいんだ!お願いだよ、信じて……。」



そんなキヌタニの目には涙が浮かんでいる。




「何も私たちに情報を提供せずに信じろって言うの!?そんなバカな……!」



ミーシャは再び機関銃を構える!



「止めろ!撃つな!!こいつをどうするかは俺たちだけで決めていいことじゃねえ!それに今言ってたことが嘘だとしたら、別の目的があってここにいるはずだ!それを聞き出さなきゃならねえ!!」




「くっ………………!!!」



俺は力ずくでミーシャに銃を下ろさせた!



「そう簡単に信じてくれなんて無理なのは分かってるよ?だから……みんなが納得するまで僕はここで、この時代で……。」



 そう言うキヌタニの目にはいつの時代も変わらない弱々しさの中に……俺は確かに強い信念を感じたんだ……。




「……明日、みんなを集めてここで話し合いをする。それまではこの状態で我慢してろ。商品棚はめちゃくちゃだが無事な食いもんもあるだろ。」



「!!今のとこは信じるって言うの!?そんなバカなこと……。」



「ミーシャ……どう見てもこいつはキヌタニだ。未来から来て、仮に嘘をついてようとこの森の住人、俺たちの仲間だ。それを忘れるな。」



「ありがとう……ヤムチャ。」



それだけ言うと俺は床に落ちてる食えそうなお菓子や酒を拾い集め始めた。



「わ、分かった……って、ちょっとヤムチャ?一体何をしようってのよ?」


「お前も手伝え。すっかり忘れてたがスタークの手術をしてたんだったな。結果がどうなったかは知らねえが、隕石をやり過ごせたお疲れ会とフジモンの歓迎会をしようと思ってな。」



「こ、これからやるの!?まー……そうね!じゃあ私はご馳走を作らなきゃ!!」



俺たちは駄菓子屋で食料をかき集めてから二人のキヌタニに別れを告げて一度集会所に向かった。

 隕石が降って来た影響か未来からキヌタニがやって来てしまいました!

キヌタニはいつの時代もキヌタニなようですが、ちゃんと現在よりもハイスペックになっているのでしょうか??


もしかしたら未来の彼は腕からミサイルが撃てたりして……!?



 そして森の住人達が死んでしまう悲しい未来とは……?

案外、そのキヌタニの腕から暴発したミサイルが原因かもしれません。


 だとしたら彼はこの時代に来ない方が良かったのでは……?

もしかしたら存在が薄くなったこの時代で、自らにトドメを……!?


 そんなシーンを書くのは面倒なので作者の知らない所でやってもらいましょう。

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