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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第2章 名医、隕石になるってよ
59/162

2-21 奇怪なもてなし

ーー前回のあらすじーー


 隕石の落ちた衝撃を受けた駄菓子屋は壊滅していた……。

破損して売れなくなった品物の損失だけで一体いくらになるだろうか?


 でもその品物が売れようとも駄菓子屋には何故か一銭も入ってこない……そう考えたら損失は結局ゼロなのでは?

きっと駄菓子屋の店主がこの光景を見ていたらそう思っただろう。


 だが、キヌタニの姿はどこにもなかった……。

ヤムチャとミーシャは彼を探すことにしたが、ヤムチャは彼の居所に何となく予想がついたようだ。


果たして彼の予想は正しいのだろうか?



 嫌な予感って意外と的中しやすいですよね。

でも、嫌なことが起こるって覚悟が出来るから不意打ちで災難が来るよりマシなのかもしれません。


 作者のよく感じる嫌な予感は「もうすぐ雨が降り出す」です!

なのに傘を持ち歩かないから……いつも的中するのに意味がないんです。

読者の皆さんはしっかり天気予報を見て傘を持ち歩きましょう!!

で、結論から言うとだな……。




詳しいことは分からねえが、俺が見ている光景は何一つとして大丈夫じゃなかった!!!





 まず、キヌタニは居たのか居なかったのかってことだが……いた。

それも洞窟の壁で磔にされていたぞ……。





「ひええっ……!やめてよ、本当に刺さっちゃうよ……。」


「うーん、ダーツって簡単そうに見えて難しいのね、全然当たらないわ!」



 そしてエリスは何故かメイド服を着て、何故か鎖を外されていて、何故か奴を的にしてダーツをしていた。




「あー……フフ……!うん、グヘへ……!」



 で、仙人だが、普段着ているイルミネーションの付いた服じゃなく、ハート柄のパジャマを着て地面に寝転がり、テレビでくじらんが好きそうないかがわしいアニメを見ながらにやついていた。



 そして奴の周りには食器棚やタンス、ベッドやホットカーペット何てものまで、家具一式がいい感じに配置されている。





「ご主人様、アツアツのココアとお茶菓子をどうぞ。」




 と、そんな仙人に執事のつもりなのであろうタキシードを着ているシンタロー……シンタローだと!?……が湯飲みに入った角砂糖付きのココアと白玉ぜんざいが上に乗った煎餅を差し出す。



「フフフ……うん、ありがとう。そこ置いといてー。」







……なあ、誰か教えてくれ。一体俺は何から突っ込めばいいんだ??





……いや、最善策はきっと、この状況を無視することだろうな。







「あー、すまん。どうやら入る洞窟を間違えちまったみてえだ。」




俺はそれだけ言うと四人に背中を向けた。






「あーーー!ヤム……お客様!まだお茶とお菓子が残っております!!wwww」



 と、唐突に背後からシンタローが爆速で俺に近づいてきて、挽かれたコーヒー豆の入ったティーバッグが浸かっているティーカップに入ったほうじ茶と、アイスクリームが乗せられた茶碗蒸しを差し出してきた。




……え、何なんだ?



このバカは一瞬でここまでヤバイものを用意したってのか?



つか、このお茶とお菓子の組み合わせ、一体どういう了見なんだ?





「……おい、執事さんよ……お茶とお茶請けの組み合わせくらい勉強して出直してきやがれー!!」



俺は茶碗アイス蒸しとコージ茶をシンタローの顔にぶっかけた!






「ぐえっ!!w熱い!冷たい!熱い!!どっちー!?wwww……お、お客様!?食べ物を粗末にしてはいけませんよ!!www」



シンタローは顔を押さえて笑い混じりの悲鳴をあげている。




「いや、食いもんを粗末にしてんのはてめえの方だ!!旨いもんと旨いもんを合わせたらめっちゃ旨くなるとでも思ってんのか!?」



「お客様、食わず嫌いはいけませんよ!奇想天外な組み合わせが意外にも美味だったりするものです!www」




「そーそーー、何をするにも奇抜なアイデアは大事だよねー……うん、何これ?ムシャムシ……ブフゥゥオォ!!!」



 ……仙人はぜんざいの煎餅タルトを一口食べるとすごい勢いで辺り一面に口の中のものを撒き散らしやがった。

何でそんな物を迷うことなく食おうと思ったんだかな……。



「ご、ご主人様ー!?どうされましたか!?体調がよろしくないとか!?」



 シンタローはどこからか雑巾を取り出して、大慌てで仙人の周りの地面を掃除し始める。

おいおい……それって執事の仕事か?



そこでダーツしてるメイドとかにやらせるもんじゃねえのかよ??




「うぎゃああっ!!い、痛いよ……!」


「やった!初めて刺さったわ!しかも鳩尾とかもう大当たりじゃない!?」



 そのおさぼりメイド……エリスはキヌタニにダーツが命中したのがよっぽど嬉しかったのか、ピョンピョンと飛び跳ねて喜ぶ。



 そしてキヌタニは腹から血をダラダラと流し、目に涙を浮かべて痛みを堪えているみてえだ。

……こりゃエリスの罰を厳しくする必要があるな。






「いやいや、ご主人に向かって猫の餌を出さないで?」



 仙人は寝転がったまま湯飲みを持ち上げると、掃除をしているシンタローの顔面に熱々のココアをぶちまけた!



「熱い熱いーっ!!wwwご、ご主人様!?ココアはお苦手でしたか!?!?」




シンタローは今の今まで地面を拭いていた雑巾で自分の顔を拭った……。



「うわっ、めちゃくちゃ顔が汚れたー! wwww」


「全く……ダメな執事だなあ……ボリボリ。」



仙人は口直しに残されていた角砂糖を噛み砕く。







……もう帰っていいか?


いいよな??


ここに居た所で俺にどうしろって言うんだ!?




「あーあ……お前ら、やっぱバカなんだな。」



俺は今度こそ背を向けて洞窟から出ようとした。



「お客様ー!?お土産をお忘れですよー!wwww」



そしたらまたしても顔を汚したままのシンタローが後ろから追いかけてきたんだが……。



お土産って何だよ、もう嫌な予感しかしねえぞ!!


俺は仕方なく振り返った。




「こちら私の特製料理でございます。どうぞお持ち帰りくださいwwww」



 そんなシンタローの手に乗っている皿の半分には白米、もう半分には……クリームシチュー??、が盛られていた。



 うげぇっ、カレーライスならぬクリームシチューライスか……何があってもこいつにだけは料理をさせない方が良さそうだな。


プリンの中に佃煮とかを入れてきそうだ……。




「と言うかだな、何で手土産を皿のまま渡すんだお前は。せめて何かに包むくらいしろよ……。」



俺はついつい何の得にもならねえのを忘れて突っ込んじまう。






「あーあ、ダーツって疲れるわねー。あら、ヤム……お客様!?い、いつからいらっしゃったのですか!?!?ロクにおもてなしもせずに申し訳ありません!!!」



「……もてなしならそこのエセ執事から十分すぎるほどに受けたさ、次は絶対に受けたいとは思わんがな!!!!」


「そ、そんなことおっしゃらないでください!!私が本気を出した時のもてなしはこんなものではありません!!www是非またお越しくださいwww」



「え??もう帰られてしまうところなのですか?ε-(´∀`*)ホッ……コホン!!!せ、せっかく一緒にダーツを嗜もうと思ってましたのに……!」




そこのエリス!!!


お前今一安心しただろ!!!


何が残念だ!?!?



 それにしたって俺に対してだけさっきと口調が全然違うんだが……シンタローもエリスも建前だけはなりきってやがるな。





「それでシンタロー、何よそれ?犬の餌みたいであんまり美味しくなさそうだけど食べていい?」


「こらこら、これはお客様へのお土産だwお前が食べていい品物じゃねえぞwww」



「いや、そんな土産いらねえから食っていいぞ。」



 俺はシンタローの手からクリームシチューライスの入った皿を奪うと、エリスの顔面目掛けてクラッシュさせた!



「うきゃああっ!?い、いきなり何をされるのですかっお客様!?……ペロッ、ムグム……ブッハハアッー!!!」



 エリスは一瞬驚いたようだが、顔にべったりとくっついたクリームシチューライスを舌で口に運ぶと即座にそれをシンタローの顔に吹きかけた。



「ちょっ!?ww何してんだよ!このバカメイド!!www」



本当にメイドなのは建前だけだな!!


シンタローは笑いながらエリスが着ているメイド服のエプロンで顔を拭く。



……いや、執事の方も立派なのは建前だけだった!




あーあ、俺の中で執事とメイドの評価がタダ下がりしてるぜ……。


世の中の執事とメイドの読者は気を悪くしねえでくれよ?




「いや、どうなってるのよこの料理!!ご飯にフルーツヨーグルトってどんなフルーツ的センスしてるの!?」





……ん?何だって??


ヨーグルト???




「ありゃ?そんなに不味いのかよ?ww美味しいと思ったんだけどなあ……wwww後さ、フルーツ的センスって何だ?wwww」



いや、あのにやついてるシンタローの表情は絶対に嘘をついている顔だ!!


あんまし明るくねえ洞窟の中だから、てっきりクリームシチューだと思ったんだが……。



ナナメ400度上に行かれたっつーか、もうそれ料理じゃねえな!食わなくて本当によかったぜ……。







「ねえ、君たち……。騒がしくてアニメ見るのに集中できないんだけど、静かにしてくれない?」


「「も、申し訳ございません!ご主人様!!」」



 突然寝転がってテレビに釘付けな仙人が口を挟んできた。

こんなおじいちゃんの一言でエリスもシンタローも黙ってしまう。



 そうだな、仙人がアニメを見てるんだ。

うるさくしちゃ悪りぃな……って、ちょっと待て??






「いや、何でエリスが解放されてメイドやってんだー!?」


「えー!?ちょっとぉぉー!?!?」



俺はエリスを仙人めがけてぶん投げた!



「コボォ!?こ、今度は何!?めちゃめちゃ痛いんだけど!」


「もー……何するのよぉ……!」



 エリスの頭が背中にクリーンヒットした仙人は顔を歪めながらこっちを向き、エリスは地面に倒れて動けなくなっている。



「だから洞窟幽閉だよ!!身動き一つとれねえようにしとけって言っただろ!!」



「うああああーー!!wwwww」



今度はシンタローを仙人の腹目掛けて蹴り飛ばす!



「ぐげぇ!?だ、だから痛いんだって!!」


「いやー、ほんとそれwwww」



シンタローが笑ってるせいで余計に腹が立つな!!









「で?どうしてこうなった!?一字一句余すことなく説明しやがれ!!」



俺は三人を床に正座させた上で仙人をぐっと睨み付ける。




「だってしょうがないじゃん、エリスが……、」






以下が仙人の供述だ。







 ……洞窟の上側に引っ越して家具とかも持ってきたんだけど、しっかり配置するのめんどくさいなあ……って思ってたんだ。




そんな時にエリスが、



「一生のお願いっ!この鎖外してっ!!外してくれたら何でもしますからー!!!」



って土下座してきたんだよね。




だから持ち合わせのメイド服に着替えさせて荷物の整理をさせてたんだよ。


まあ、しょうがないよね。








「な、な……何がしょうがないんだー!?!?」



俺は連続で仙人の膝を踏みつける!


こ、この仙人……頼りになると思ったんだが何か適当だな!!!




「い、痛いから。だって何でもしてくれるんだよ?色々とさあ、フフフ……。」


「そーそー!!メイド服を着たら変なポーズとかとらされたり、写真も撮られたし!何ならお着替え中に写真撮ろうとしてきたし!!」


「だって何でもするんでしょ?フヒヒ……。」



 俺に膝を踏まれ続け、エリスに脇腹をど突かれ続けながらも仙人はめちゃくちゃ気持ち悪い赤ら顔でにやけてやがる!



こいつ……くじらんやエリスに負けず劣らずド変態じゃねえか!!




 仙人ってのは本来欲がねえはずなんだ、色欲にまみれて神通力を失った仙人もいると聞いたことあるが……こいつは何億年かかっても本物の仙人にはなれそうもねえな!!



そのまま仙人は続ける。







 そんなこんなをしてたら腰に鎖を巻かれてボロボロになったキヌタニが磔台を引きずって洞窟にやって来たんだ。




「え、エリ……ス、お前を、リンチにし……てやる。」



ってうわ言のように言いながらね。





「き、キヌタニ!?どうして駄菓子屋から脱出出来たのよ!?あんたが自由な身動きをとれるなんて許されないの!!!」



 ってエリスが怒鳴りながら、いとも簡単にキヌタニから磔台を奪って暴力を振るい続けた挙句、キヌタニを磔にしちゃったんだよ。




「さーーーて……、ヤムチャたちもいないことだし今日はどうしてやろうかしらね?」



「何で、僕が……懲らしめて、やろうと……思ったのに……立場が、逆転して……るの?」



「私があんたから磔にされなきゃいけない理由なんてこの宇宙に存在しないわ!そんなのダンゴムシでも知ってる常識でしょ!!……鞭打ちだといつもと変わり映えしないしー、ナイフで体の肉をちょっとずつ削いでいくのは……キヌタニは骨と皮だけかあ。」



って、ちょっとエリスが迷ってたみたいだから助言してあげたんだ。



「とても苦痛を伴う処刑方法に石打ちの刑ってあるんだけど知ってる?体の下半分を地面に埋めて息絶えるまで手のひらサイズの石を投げつけ続けるんだけど。」



「へぇー!それ最高ですね!!……あーーでも、死んじゃったら私も大変な目に遭いそうだし、投げるならもうちょっとダメージの少ないものにしないとダメですわ……。」




って言われたからダーツを貸してあげた。








「ダーツを貸してあげた。……じゃねーだろ!!!!!!エリスがキヌタニを的にしてダーツしてたのも半分はお前が原因か!!!もっとスライムとか殺傷力のねえもん貸さねえか!!」



「い、いや、最初はゴムボール貸してたんだよ?だけどあれはしょっちゅうこっちの方に転がってきて私がアニメを見るのに邪魔だったんだよねー。エリスは小さな子供みたいに喜んではしゃぎながら投げてたけど。」



「ちょ、ちょっとぉー!?恥ずかしいからバラさないでくださいませ!?(*ノ▽ノ)キャッ」



 エリスはそう言いながら顔を真っ赤にしている。

いいじゃねえか!!お前がガキっぽいことなんてみんな分かってらあ!!!





「てめえも一緒に幽閉されて反省するか!?ああ!?!?」



俺はさっきの倍速、しかも二乗の力で仙人の膝を踏み潰してやる!!




「痛い痛い!!!だってダーツなら転がらないし壁にぶつかったときの音もあんまり鳴らないから、アニメを見る邪魔にもならないんだ。」


「アニメを見るのに命懸けてるな!もう画面の中に入り込める術の研究でもしてやがれ!!!」



俺は仙人をテレビ画面に向かって投げ飛ばす!!





 そしたら、ガッシャーン!!!という音を立てて、仙人の首から上がブラウン管テレビの中に突っ込みやがった。




「あーあ、ご主人様が……wそんな乱暴なことをしてはいけません、お客様の悪い癖ですよ?ww」



 シンタローは笑いながら仙人の頭をテレビから引き抜く。

悪い癖ったってこうでもしねえ限り、お前らと話してても拉致が明かねえんだよ!!


つーか、仙人が画面の中に入りたそうにしてたから望みを叶えてやったまでだ!!





「ねえ……テレビ壊れちゃったじゃん。どうしてくれるの?」



すると顔を血で真っ赤に染めた仙人がジト目でこちらを見てきた。



「テレビくらい駄菓子屋から取って来い!どーせ、金なんて払う必要ねえんだからよ!!」




「い、たい……っ!え……?どうしてお金を払おうとしないの……?売り物にはちゃんと値段がついてるのに……。」




あっ…………。



キヌタニの話をしていたのにすっかりこいつの存在を忘れていたぞ……。




「うるさいわね!キヌカスの分際で他人からお金をとろうなんて何様よ!!」



 エリスは正座したままキヌタニに向かって手に持っていたダーツを投げつけたが、命中することなく彼の足元に刺さった。



「くっ……!!!エリス……からは、金だ……けじゃな……くて、い……のちもとって、やるんだか……らね!」



キヌタニは己の下唇を噛みしめながら喉から声を絞り出す。



 こんな雑魚のくせにここまで強い意思を持ってたなんてな。

復讐心を燃やされるのは困っちまうが正直に見直した。



素直に関心だぞ、本当にな。








 それで、エリスがダーツを始めてからしばらくすると、シンタローが外の状況を報告しにやって来たんだよね。




「……まあ外はそんな感じでめっちゃウケるんだけど、こっちもこっちで随分と面白いことになってるなww」


「まー、私のせいじゃないけど。エリスもキヌタニも人の洞窟で一体何やってるんだろうねー。」


「ん?エリスがメイド服着てるじゃんwwwてことはだ……。」



 そこまで言うとシンタローはどこからか取り出したタキシードにいきなり着替え始めたんだ。

それでエリスが放り出した荷物の整理とか私の身の回りの世話を始めたんだよね。










「ほぉー、シンタロー君!?何か言い残すことはあるかー??」



俺はシンタローの頭をひっつかんで持ち上げる!



「あーー、やっぱ執事がタキシードはダメでしたかーwwwwでも持ち合わせが……w」


「ああそうかそうか!!じゃあ死装束でも用意してやるよ!!」



俺は適当な方向にシンタローをぶん投げた!





「ふぎいぃぃぃぃぃ!!!???」


「ぶえぎゃあっ!☆」






あ、、、、、、、、。






「うーん、お客様もたまにはなかなか面白いことされますねー♪」







 豪速球のごとく吹っ飛んだシンタローの顔面がキヌタニの股間に埋もれちまったじゃねえか……。

キヌタニは口から泡吹いて悶絶してるしよ……。


まあそれはいいとして!





「おーい、ここはどこ?wwwどうにも湿っぽくて不潔な感じがするんだけどw」



 シンタローは顔を引き抜いて、自分の顔が埋もれた場所がどれほど不快な空間だったのかという事実を目の当たりにした。




「え、、、えええええ!?!?あああーーー!!!wそれはないわーwwwww」

「ギャッハッハッハッハー!!!け、傑作すぎる……きゃああっ!?!?」



 あまりにショックが大きかったのかシンタローは右も左も分からずに走り出し、爆笑しているエリスの胸の中にゴールインした。



「ちょっ、ちょーっと!?いっ、いきなりはダメーっ!!」



エリスの全力ビンタによるバシーーン!!!という音が鳴り響いた。



今のは……めっちゃ痛そうだな。




「いったたーーい!!wwwうわー!!wwww」



 それでも正気に戻れないシンタローは走りながらバランスを崩して、割れたテレビ画面に頭を突っ込んで静止した。






「えーーーーーとだな……続きを、ってもう話すこともねえか。」



「うん、だからもうアニメ見ていいよね、って見れないじゃん。あーあ、そこのバカメイド、ちょっと肩揉んでよ。」



仙人はエリスに背中を向けた。



「だーれがバカですか、じゃあいきますよ。うんしょーっと!!あーー、これは随分と凝ってらっしゃいますね。」







 あ??俺は……今の今までこいつらに説教噛ましてたはずだよな?

なのに何でこのバカ達はこんなに和みムードなんだよ???







「……ねえ、メイドのくせにもうちょっとサービスできないの?」


「え?サービス……ですか??」


「そうだよエリスwwご主人様の背中に胸を押し当てろwww」




テレビの画面から抜け出したシンタローが顔を血で染めながら言う。


いやだから、お前ら説教されたばっk……




「あんたは何をさせる気!?それは完璧にセクハラよ!」


「んーじゃあ、ご主人様の膝の上に座って前から肩をお揉みするんだ!wwwww」





なあ、お前ら反省してるのか?


してるわけねえか……。





「サービスって言ったらそれもそうなんだけどさ、まず服装が裸エプロン以外は論外だよね。」





あーーーもう我慢の限界だ。





「お、、ま、、え、、ら。」


「「「ん??まだ何かあるの?」」www」





もう殺るか?


殺っちゃっていいよな??






「いいや……てめえらにはもう何も求めねえー!!」


「うんっ??」


「ふえっ??」






俺は仙人とエリスの首根っこをひっ掴んだ!




「ここで当分お寝んねしてやがれー!!」


「「うがあああっーー!?!?」」




そして割れたテレビ画面に二人の頭を叩き込んでやったぜ!!




「これでゲッツーだな!!さあ、後はお前を打ち取ればゲームセットだぞ??」




俺は両腕に力を込める……。




「いやいやいや!!どこに野球の要素があったの!?!?www」



 シンタローは笑いながら後ずさりする。

もう二度と笑えねえようにしてやるか……。




「うるせえ!!ここからが本番だ!!!」



俺は素早く間合いを詰めて、警戒されてそうなシンタローの首ではなく両足を掴んだ!!




「うおおっ!?そっちだったかー!!wwww」



そして俺はシンタローの体を持ち上げてそのままバットのように素振りをしてやる!




「やめてぇー!wwwスタークみたいに足が千切れるー!!!www」



「スリーアウトと見せかけて……逆転サヨナラスリーランホームランだぁー!!!!!」




俺はシンタローバットで二人の頭がはまったテレビ目掛けてフルスイングをした!!!




「ええええーーー!?!?そういうことーーー!?!?!?」







 カキーーーーーン!!!という野球ならば間違いなく場外ホームランだって分かるような快音を残して、テレビが眩しく光った!!




「ぐっ!?ま、眩しいぞ……!」




 だが、眩しかったのは一瞬だ。


 次に目を開けた時には、粉砕したテレビの残骸と白目を剥いて倒れているバカトリオの残骸だけがそこには転がっていた。







やっと、やっとだ、やっとゴミが片付いたぜ……。



もう今日はいつもの100倍くれえの疲労が溜まってらあ、早く戻って晩飯でも食いてえな。



俺はフラフラ歩きで洞窟を後にした。








「あ、あ……れ?ぼ、僕……は、はり……つけの、まま……なん……だけど……。」

 そんなこんなで全てが平和的に解決されました!!(どこがだ)

変態なご主人様、そしておバカなメイドと執事はテレビの中に吸い込まれました。(魂がね!)


 画面の中に入る術は世の中のあらゆる人々が研究しているのでしょうが、どうして実現しないんでしょうね?

皆さん、努力が足りないんじゃないでしょうか!?(どこから目線???)

それでもVRとかはあるし、割と実現しているのかも?


 結局のところ、最終的には今回のヤムチャのように物理的、かつ無理やり入り込む(押し込む)のが正解だと思うのです。


辿り着いた先はあの世かもしれないですが……。



 あ、今更ですが100エーカーの森に売られているのは全部ブラウン管のテレビです!

今の子供たちはもう知らないのかな……?


 作者が子供の頃はブラウン管テレビの画面が普通の大きさだと思っていましたが、今の液晶テレビが家に来た時は「画面でっか!!!」とか思いながら今ではあの大きさが当たり前になってしまってますからね。


液晶テレビに突撃しても貫通してしまうだけなので突撃するならブラウン管テレビにしましょう!!

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