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100エーカーの森の悲劇  作者: カンナビノイド¢39
第2章 名医、隕石になるってよ
58/162

2-20 あれが見つからない!?

ーー前回のあらすじーー


 改めてフジモンと森の住人たちは脱出ポッドの落下点にやって来た。

ポッドに興味津々なよしだくんとミーシャ……彼らが見たものは……。


 地面に突き刺さったアーサー王の剣(エクスカリバー)……ではなく人の足であった!!

住人たちは足を掴んでその死体を引き抜こうとしたが残念ながらその足は千切れていた……。

しかし、彼らは諦めることなく(?)遺跡発掘がごとく他のパーツを掘り起こした!!


 そして彼らは忘れていた。

ポッドの落下地点に何があったのかを……。

その死体がスタークであるという事実を彼らが認識したのは、凍てついた彼の顔を見た時であった。


 このことには自分に責任があると感じたフジモンは彼を蘇生させることを決意する!

果たしてフジモンは二代目ブ〇ック・ジ〇ックを名乗ることが出来るのか!?(名乗らせねえよ?)



 これで手術が成功したらむしろブ〇ック・ジ〇ックに二代目フジモンを名乗ってもらいましょう!

他に二代目フジモンを名乗りたい方がいらっしゃったら……別に特別な称号でもないので、どうぞお好きにすればいいと思います(投げやり)。

さてと、俺、ヤムチャとミーシャは駄菓子屋の前まで来た。



「改めて、随分とヤバイことになってるわね……。」


「完全に直すとしたらこりゃ相当な時間がかかりそうだな……。」




俺たちはガラスの引き戸が「あった」入り口から店の中に入る。





「もう……何て言ったらいいのかしら……。」




 店の壁は所々崩れ落ち、食料品の棚は全部倒れちまって売り物が足の踏み場もないくらい散乱して……酒の瓶も割れてて勿体ねえ!!


日用品売り場も爆風で品物が飛ばされて壁にスコップや植木鉢の破片が突き刺さってやがる。



 武器売り場は奥の方にあったからそこまでの被害はねえが……。

いや、そもそも手榴弾とかが何かの衝撃でドカン!といったら弾薬とかに全部誘爆してとんでもねえことになってただろうな……無事なのがある意味奇跡だぜ……。



 屋根も吹き飛んで無くなってやがるから、雨なんかが降って来たら今は無事な売り物も全部ダメになっちまうな……。



 レジのあった木製のカウンターももう穴だらけの粉々だ……。

ここにレジがあってキヌタニが立っていたとしても、誰もここでお金を払わなきゃいけねえことに気がつかねえな……あ、元々誰もお金なんざ払わねえか。





ちょっと待て??キヌタニ?


そういえば奴を洞窟に避難させた記憶がねえぞ!!!



「おい、キヌタニはどこだ??」


「キヌタニ……??はっ!!そうよ!何かが足りないと思ったらキヌタニよ!!」




 俺たちは大急ぎで逆さまになったアイス売り場のワゴン、キヌタニが気づいてないであろうシンタローが作った裏口の周り、ドアが壊れてしまったトイレの便器の中、もはや生活することができない生活スペースに奴の姿がないか探して回った。




「ダメだ……あいつを縛っておいた鎖の端を埋めておいた壁も爆風で飛んだみてえだな……。」


「に、逃げたってこと!?や、ヤバイじゃない!よしだくんにでもバレたら今度こそ駄菓子屋は終わりよ!!!早く見つけないと!!」



「そうだな……今は仙人が見張ってるが、またそのうちエリスに奇襲をかけるかもしれねえ。ミーシャ、お前は森全体の被害調査をしながら奴を探しに行け、くれぐれも内密にな。俺もシンタローに手伝うように知らせてから行くぞ!もし見つけたら捕まえて俺にポケベルで連絡してくれ!!」


「わ、分かったわ!!」





ミーシャは音速で駄菓子屋から飛び出していった。







さてと……






やらなきゃいけねえことは腐るほど残ってる。



だが、腹が減ってはタスクは消化できぬ、と言うわけでだ……。




 電気もまだ通ってて、ワゴンの中身も無事らしいし少しアイスを頂くとするか!!

よぉーし、十個くらいは食ってやるぞー!!





「あーーーっ!!!ヤムチャ今アイス食べようとしてたよね!!こんな大変な時なのに……。」





うおっ!?くじらん……いつの間に俺のそばに!?



「い、いい、いやいや!これはだな……あ、アイスが盗まれてねえか数をチェックしてたんだ!」


「え?アイスって盗まれるの!?みんな自由に食べてるけど……??」




 俺はとっさに適当なことを言ってごまかす。

そこは「ふーん、そうなんだ。」で流してくれよ!!



ど、どうにかして話題を逸らさねえと!!




「お、お前こそどうしたんだ?スタークは手遅れだったか?」


「ああ、何でも手術するのに水が必要なんだって。だがら駄菓子屋で汲んで来ようと思ってさ。」


「お、おお、なるほどな!」




俺は光速で売り物のバケツを拾うと裏口の井戸から水を汲み出した。




駄菓子屋だけは蛇口がなくて直接井戸から水を汲み上げなきゃいけねえんだよな。



 他の家や集会所は井戸から手押しポンプが繋がっていて蛇口の役割をしてるんだが、ここの井戸は深くてそれができないんだと。



 トイレを使うときも水を汲んで、溜めておいて、そんで流さなきゃいけねえんだ。

めんどくせえにも程があらあ、だからここのトイレは基本的にキヌタニしか使わねえな。




「ほら、水を汲んできてやったぞ!!」



「え??あ、ありがとう……。どうしたの、そんなに急いでさ?」


「ん?あ、いや、あれだ!駄菓子屋が崩れそうなんだ!だから早くここから出るぞ!!」




俺はくじらんの背中をぐいぐいと押して駄菓子屋から離れていく。



「え!?そんなに駄菓子屋は壊れそうなの!?!?……そういえば駄菓子屋の中でなーにか足りないものがある気がしたんだけど。」




これは不味いぞ!!……キヌタニが逃げたって気づかれちまったら大変なことにになっちまう!



「あ、えっとだな、あれだろ!!食料品の棚が倒れてたからお前の大好きなポテチがどこにも見当たらなかったんだろ!!」



「あっ!そう言われればポテチが見当たらなかったね!……いや、でも俺が思ってた足りないものってもうちょっと存在感の薄いものな気がするんだよなあ……。」





ポテチより存在感が薄い……?



確かにキヌタニは存在感がねえけどそこまでか!?




「じゃ、じゃああれだろ!お前もこの前装備した日用品売り場のスコップじゃねえのか?爆風で飛ばされて店の奥の壁に突き刺さってたぞ!!」



「そっか!!足りないのはスコップだよ!……でもなあ、そんな頑丈なものだったかな?もっとこう……脆そうなものだった気もするんだけど……。」





脆そうってなんだ!?



確かにすぐ気を失うし、非力だし無能だがよ!!





待てよ、それ本当にキヌタニなのか……??



キヌタニが居ないってバレなければそれでいいんだがな!




「と、とにかく今はこの水を持ってく方が先だろ。」


「はっ!!!そうだった!早く届けなきゃ!」



くじらんは水の入ったバケツを持って走っていった。






……アイス、食い損ねちまったな。









くじらんと一緒にスタークバラバラ事件の現場に戻ってみると奴の胸が切り開かれていた。


 やはり肋骨は粉々で内臓も随分と損傷を受けている。

素人が見てもそれくらいは分かるくらいにめちゃめちゃだぜ。



「おっ、水を持ってきてくれたんだね。じゃあ体についた泥を落としながら胸部の手術をしていこう!凍っているうちが勝負だから素早くやるよ……!」



 自称名医のフジモンは、隣に置いてあるメスやらハサミがたくさん入っているカバンからガーゼを取り出してスタークの体を拭き始めた。



「ヤムチャは戻ってきたのか、駄菓子屋の方はどうだ?それからミーシャは一緒じゃないのか?」



よしだくんはガーゼをくじらんの持ってきた水で濡らしながら俺に聞く。



「駄菓子屋はもう建物としての機能も果たしてねえくらいだ。ありゃ、建て直すのも相当大変だぜ?で、ミーシャはキヌ……い、いや、他の場所がどうなってるか見に行かせたぜ。」




危ねえ……うっかり本当のことをばらすとこだったな。



「そうか……あまり森全体での被害が大きくないといいんだが……。」


「まあ、でもみんな生きてるわけだし良かったよね!!あっ、ここに死にかけが一人いた……。」



「死にかけっつーか、死んだのを生き返らせようとしてるようなもんだがな。こんな状態からどうやって蘇生するのかも少し気になるから見学もしてえが、俺たちにはやらなきゃいけねえことがゴマンとあるんだシンタロー。」



俺はシンタローの肩に手をポンと置く……はずがその手は空を切ってバランスを崩す。



「うおっ??おっ、とっとー!?」



そしてそのままスタークの切り開かれた胸に顔を埋める形で倒れ込んぢまった!!



「うああっ!?い、いきなり君は、手術中の患者に向かって何をするんだ!?」



 うえっ!!血生ぐせえ!!まだカチカチに体が凍りついてて内臓の感触までは伝わってこなくて助かったぜ!!


俺は慌てて顔を上げた!




ああ……空気がうめえ。



「すぅ……はぁー……。すまねえな、ちょっとうっかりコケちまった。……つか、シンタローはどこだ?あいつに伝えなきゃいけねえことがあるんだがな。」


「シンタロー?まだ帰ってきてないよ??」




 帰ってきてないだと?

一体全体、奴はいつになったら戻ってくるんだかな。



……もしかして本当に洞窟でダラダラしてんじゃねえだろうな……??



そう思うとその予感が的中しそうな気がしてきたぜ!




「洞窟の中じゃポケベルも電波が届かなさそうだな、連絡をとるなら直接行くしかないだろう。」



よしだくんも口を挟む。



「やれやれ……しょうもねえやつだな。ちょっとシンタローを引きずり出してくるから、そのバカの蘇生は頼んだぞ。」


「任せておきたまえ、僕は名医だからね!」



フジモンとかいう自称名医は胸に手を当てて返事をする。






 ……自分で名医って言ってる奴ほど怪しいよな、つか見た目からしてもう昔のくじらんのように働かずアニメばっか見てる印象しか受けねえんだよ……。




 まあ、こいつがヤブ医者でスタークが死のうが俺に不利益はねえんだ!

俺はそのまま三人……いや一応、四人に背を向けて洞窟へと向かった。









 そうだ、一応連絡しておくか。

俺は洞窟に入る前にポケベルで連絡を一本入れた。



『もしもし……?』


「ミーシャ、俺だ、ヤムチャだ。どうだ、キヌタニは見つかりそうか?」


『あーー、ダメダメ。こりゃ見つかりそうにもないわよ。どこに行ったのかしらね?まあ、エリスへの復讐心はまだ煮えたぎっているようだし、この森からは逃げてないと思うけど……。』


「復讐心なあ……ん?待てよ??」



エリスへの復讐心……。


洞窟から帰って来ないシンタロー……。




嫌な汗が俺の額を滑り落ちた……。




『何よ、キヌタニの居所に心当たりでもあるわけ?』


「何となくだがな……とりあえずお前は引き続き森の中でキヌタニの捜索をしてくれ。」



俺はそこまで言うと一方的にポケベルの通信を切った。




「いやいや、そうとは限らねえし仙人もいるから平気だろ……?」




俺は何もかもが無事であることを祈りつつ洞窟の奥へと進んだ……。

あの何も出来なさそうなキヌタニがまさかの失踪!!


 それ以前に避難できず、駄菓子屋に放置されていたことは問題にならないのでしょうか?

いや、問題にしたところで面倒なだけなので残念ながらそれに言及する者はいないでしょう……。


 そもそもポテチより存在感が薄いようではこの先、彼の存在を思い出す人物は現れないかも!?

その時、彼は静かにこの物語からフェードアウトするのでお察しください。



ヤムチャは洞窟へと向かいましたが果たして彼はそこにいるのか!?


そしてシンタローは一体どこで何をしているのか!?


さらにスタークはちゃんと生き返れるのか!?



 登場人物が増えて賑やかになって来た二章は終盤へと差し掛かりました!

スタークがどうなろうとも物語の結末を見逃すな!!(主人公だからって死なないわけじゃ(ry)

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